【ミリマス】意思に並べ【しずしほ】

ジャンル分け、どうしましょうかねぇ。

そんな感じで、お久しぶりです。
アイドルマスターミリオンライブ　より　最上静香、北沢志保のCPです。
この２人、真面目系堅物な上に、相性が良くないように思えたのですが、
ゲーム内での「静香誕生日」を見る限りは、それなりに仲が良いみたいで
どうやって進めれば幸せになれるかなぁ。

暫く迷走しつつ、書くことになりそうです。

　光の中にあると、自分だけが黒ずんでいるのが分かる。他は全て輝いているのに、自分だけ輝けていない。

　気のせいだと言われても、安心することなんて出来ない。輝けない自分を知っているから、安心出来ない。

　私は、みんなとは違う。そのことへのコンプレックスが、薄れたりなんてしない。

　

　

　　　　　意思と並べ

　

　

　自らが目指す場所、未来の私に望む姿。そこにあるべきは輝いている自分であり、アイドルとして迎えられている自分であるべき。

　そんなこと、誰かに言われるまでもなくわかっているつもりだし、分かった上で描けないからこそ、自分自身にイライラしてしまう。

　足りない、私が理想とするには、まだ足りない。

　今の自分が足りていないことなんて、考えなくても分かる。そんな下らないことに悩むくらいなら、倒れるまで練習を重ねたほうがマシだと、今までの経緯からも理解している。

　ただ、それだけで良いのかと、それが正しい道なのか、最近になって疑問を抱き始めてしまった。

　馬鹿な話だと思う。それぞれが練習を重ねて、何かを作り上げようとするのが、正しい姿のはず。私はそう信じていたのに。

　馬鹿な話だと思う。みんなのレベルを合わせる為に、あえて１番低いところにあわせるなんて、時間の無駄。私はそれを言い続けていたはずなのに。

　どうして、考えが揺れてしまうの？

　私が理想とするアイドルは、光の中にいてなお、くすむことがない。周りが輝くほど、光を強くする存在。

　だからこそ憧れた。その輝きを手にしようと、私は努力してきたはず。

　理解されなくても良い、そう思っていた。独りでも平気だと、そう思い込んでいた。

　強さを手に入れるには、弱さを手にしてはいけない。誰かにすがるような、頼っているような状態では、目指す場所には届かない。そう信じていた。

「全て、違ったのよ」

　先輩達のステージにバックダンサーとして参加させてもらえた。あの時に、私は理解したの。自分のやり方が間違いになる時もあると、時には歩調を合わせるのが１番大切だって。

　それぞれの努力を、その全てを受け入れた上で、天海さんは次へ進む道を見つけた。私には出来ない、私には分からないやり方。

　けど、それこそが正解だった。準備の出来ているメンバーだけでやっても、ステージとしての均衡が崩れてしまう。突出し過ぎるのは、ステージとしては失敗なんだって、教えてもらったわ。

　もちろん、ソロでやる時にまで、誰かと歩調を合わせる必要はない。自分の努力だけでどうにかできるものは、どれだけ追求したとしても良い。

　大切なのは、それを誰かに強いないこと。自分が出来ることだからと、相手にもそのままを求めないこと。

　みんな輝くものを持っているのに、その輝きを消してまで、私に合わせてもらおうとするのは失敗だった。私はそれを学んだわ。

　ただ、学んだからこそ、自分がくすんでいることに気付いてしまった。自分の輝きはどこにあるのかと、悩んでしまう。

　分からないわ。私は求められることをしているだけ、求められるレベルに到達出来るよう、努力をしているだけ。何か輝くものがあるとは思えない。

　分からないわ。どうして、私はアイドルとしての自分を探しているのか。きっかけは、けして誇れるものではないのに、どうして光に憧れていたのか。

　アイドルと言うなら、私よりもふさわしい子はいっぱいいる。笑顔にしてくれる、笑顔の中心にいて、輝きを放ち続ける子がいる。

　それなのに、私が目指していいのかしら？　アイドルとして、仕事を貰ってもいいのかしら？

　前は疑うこともなかった、霞むこともなかった。自分のやり方は正しいと信じていた。葛藤するようなことは、なかったのに。

「情けないわね、分からなくなるなんて」

　信じて良いのは自分だけだと、言い聞かせてきたはずなのに。誰にも弱みを見せないように、努力を重ねていたはずなのに。

　彼女に気付かれてしまった。よりにもよって、１番気付かれたくない相手に、ばれてしまった。

　最上静香。私達の中で、圧倒的な歌唱力を誇る彼女。私のように独りでいようとすることもあるのに、友達に囲まれて楽しそうにしている彼女。

　正直なところ、羨ましいと思ったことがないわけではない。ただ、私には無理だと。彼女と同じような考え方、行動をするのは無理だと諦めていたから。

　それなのに、彼女は私に関わることをやめなかった。どれだけ冷たくしても、ケンカとしたとしても、私を仲間はずれにしたりしなかった。

　シアターにいる仲間として、私も一緒に扱ってくれたわ。

　そのことに感謝はしている。独りで良いとはいえ、コミュニケーションが皆無な状態では、一緒に仕事が出来るはずもないから、より多くの人と接する機会をくれた彼女には、感謝をしている。

　ただ、それだけのはずだった。感謝をしていても、それだけで終わりのはずだったのに。

　困っていることがあるからと言って、踏み込まれるとは思わなかった。私のまとっている、人を突き放すための雰囲気をものともせずに、よりもによって心配してくるなんて、思ってもいなかった。

　親しくしている仲でもないのに、どうして彼女は、私を心配してくれたのか。考えても、今の私には分からない。

　分かることは、自分自身が彼女を無視できなくなってしまったと言うこと。その事実だけであり、私の心の中に彼女専用のスペースができてしまったということ。何より、その事実に対して、不愉快だと感じなくなってしまった自分がいること。

　別に、私だって他人を拒絶し続けて生きているわけではないのだから、受け入れても良いと思える日が来るのはおかしくはない。ただ、ありのままの自分を知られてもいいと、そう思える相手が存在したことについては、驚きを隠すことが出来ない。

　家族以外に、気を許せるような相手が出来るとは、思ってもいなかった。

　自分の弱さを突きつけられて、ありえないと思っていたものに遭遇して、私が今まで信じていた世界は壊れてしまったの？　それだけで壊れてしまうほどに、私の世界はもろかったのかしら？

「現実を見るしかないのね」

　休憩の短い時間で取り戻せるほど、私の世界は感嘆ではない。そして、否定しなければならないほど、悪いことでもない。

　どう接すればいいのか、どう変わっていけばいいのか、それが分からないだけ。分からないから、怖いと感じているだけ。

　そして、その怖さを乗り越えられないほどに、自分自身を甘やかすつもりはない。分からないままでいいといえるほど、私は幼くない。

　今いるこの場所は、努力を怠れば失われてしまうもの。アイドルとしての自分も、姉としての自分も、全てが危うくなってしまうでしょう。

　そうならない為には、慣れるしかない。彼女が近くにいる、新しい日常になれるしかないの。

　別にいいでしょ？　私だって、彼女のことを嫌っているわけではないんだから、笑いかけてもらって温かくなれるのだから。ちょっとくらい、変わっても良い。

　新しい未来でも、私独りではないのだから。恐れることなく進んでいけばいいんだわ。

　

――頼れる人がいる。それは幸せなことだから