【アイマス】気持ち招いて【はるちは】

いやはや、1ヶ月以上更新してませんでした。
ほぼ毎日書いてるのに、不思議ですね～

・ｗ・）　UPするのが面倒だったとか、言えない

そんなこんなで、はるちはです。
さぁ、説得を始めましょう。

　嘘をつきたいわけではないの。素直に、そのままを伝えてしまいたい。

　けれど、世界は優しくないから、現実というナイフはあの子を傷つける。私だけで終われたはずのことに、あの子を巻き込んでしまう。

　そんな真実を目の当たりにするくらいなら、私は嘘つきのままでいいかな。

　

　

　　　　　気持ち招いて

　

　

　整った顔立ち。流れるような髪は綺麗で、時々触らせてもらえる時は、幸せを感じてしまう。

　すらっとしたシルエット。本人は気にしているようだけど、そこに魅力を感じてしまう私は、いけない子なのかな？

　アイドルとして禁止されていること。気付いたとしても、口には出せないはずの気持ち。

　私、天海春香は、如月千早に恋をしてしまった。

　沢山の歌を歌って、色んな番組で演技をして、沢山のファンに応援してもらって、アイドルとしての私がいる。

　それを裏切ってはいけない。ファンの期待に応えられる、トップアイドルを目指すべきだって、分かっているよ？

　けど、気づいてしまったものはなくならない。千早ちゃんから伝えてもらった、大切な言葉もなくせない。

　だからね、ちょっとだけ素直になることにしたの。止まれない気持ちを押し込めないのなら、抑えられない気持ちが、この胸を突き破るのなら、大変なことになる前に、ちゃんと相談しようって。

「だから、私と千早ちゃんの交際を認めて欲しいんです」

　告白して、それからの話だったのかもしれない。隣の彼女を見れば、それが正しい順番だって教えようとしてくれている。

　けど、告白が叶っても、恋人になれても、誰にも祝福してもらえないだなんて、そんなのイヤだから。千早ちゃんとの仲を、喜んでもらえないなんてイヤだから。

　難しいかもしれないけれど、プロデューサーさんを説得することにしました。

「春香、そして千早も、自分がアイドルだって分かっていて、ファンがいると分かった上で、言っているんだな？」

「はい、私のワガママが、事務所に凄く迷惑をかけることだって、分かってます。アイドルとしての将来にも、大きく影響が出るって、分かっています」

　将来の道を閉ざしてしまうかもしれない。そのリスクに気付けないほど、私達も子供でないから。千早ちゃんと、何度も相談した結果で、私に任せてもらった結果だから。ここで退いたりしません。

　ワガママなのも分かっています。アイドルは、ファンの恋人だって。恋愛は禁止事項なんだって、分かってます。

　それでも、止まれなかったんです。私の気持ちは、私を見てくれる千早ちゃんから伝わってくるものを、有耶無耶にしたままには出来ません。恋人ではない恋愛関係なんて、失礼だから。

　自分に出来ることを諦めて、つかめたかもしれない将来を手放すなんて、私には出来ません。千早ちゃんが好きになってくれた天海春香は、こんなことで諦めたりはしないんです。

「確かに仲が良過ぎるのは知っていたし、それに助けられたこともある。俺の口から良いとも、ダメとも言えないな」

　私達を交互に見て、どうしようかと悩み始めるプロデューサーさん。良かった、話は聞いてもらえそうだね。

　私達が恐れていたのは、話を聞いてもらう機会さえ与えてもらうことが出来ず、最初から全てを否定されることだったから。

　諦められない夢と、諦められない気持ち。その両方が大切で、どちらも千早ちゃんの笑顔に繋がるから、閉ざしたりはしない。その為に、そのままを話そうって決めたから。

　千早ちゃんは、そんな私を信じてくれる。春香なら上手に出来るわって、笑ってくれたから。その期待に、応えたいよ。

「いや、まぁ、誤解のないように言っておくが、俺個人としてはいいんじゃないかと思う。ただ、プロデューサーとしては、両手を挙げて喜んだりは出来ない。今後のことを考えると、反対だ」

　考えをまとめるために、喋る。それがプロデューサーさんの癖だって知っているから。私達は待てば良い。私と、千早ちゃんが信じているプロデューサーさんなら、きっと私達のことを最大限に考えて、答えをくれるはずだから。

　私達の将来のこと、ファンに与える影響、事務所に所属しているほかのアイドル。その全てを考えて、きっと良い答えをくれるはずだから。

　うん、何よりも、反対されなかったことが嬉しいから。この先はお任せします。

「言うまでもなく分かっているとは思うが、公表すれば、確実にパッシングを受ける。週刊誌にターゲットにもされる。秘密にしておきたいことも、隠せなくなってしまうぞ？」

　アイドル同士の恋愛。それも女の子同士だから、結構騒がれちゃいそう。暫くの間は大変だと思うし、泣いちゃうかもしれない。

「分かってます。私も千早ちゃんも、それくらいのことは乗り越えられるって、そう思ったから相談したんです」

　いつも荒を探しているような、人の悪いところを探しているような、そんな週刊誌に負けたりはしない。インタビューで、どんな質問をされるか分からないけど、負けたりしない。

　私達は一緒にいようって決めたから。その為に必要なものは、全部飲み込むって決めたから。

　失う覚悟は決めて、失わない為に全力で頑張る。失敗は出来ないし、したくもない。私の全部で超えてみせます。私だけで無理なことは、千早ちゃんと一緒に、私達で超えてみせます。

「んー、そうか。なんとも……まぁ、あれだ、流石に俺だけで決めたり出来ないから、少しの間保留でいいか？　社長や律子にも相談してみるよ。話しても構わないな？」

「はい、問題ありません。ごめんなさい、忙しいのに悩み事増やしちゃって」

「別に良いさ。２人にとって大切なことを、話してくれて俺は嬉しいぞ」

　怒られることはなく、嫌悪されることもなく、何より拒否されることもなかった。それが１番嬉しくて、それだけで安心しそうになって、力を抜いてしまいそうになる。

　でも、これで認められたわけではない。社長の説得は勿論だけど、律子の説得が大変なはずだから。アイドルとしての私達を応援してくれる、夢を叶える為に全力で助けてくれる、そんな彼女を説得しなければいけないから。

　気を抜かずに、けれど気負わずに。私達らしく、これからも過ごすしかないよね。

　視線をたどれば、ちょっとだけ満足そうな顔をした千早ちゃんと目が合う。うん、そうだよ。私は１人じゃない。私だけで出来ないことも、２人なら出来るはずだから。諦めないことが大切だから。

　千早ちゃんの笑顔で幸せになる為に、涙で悲しみを流さない為に、私達がんばろう。大丈夫、きっとみんなも分かってくれるはずだから。

――恋人としての一歩を始めよう