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ここは「魔法少女リリカルなのは」の2次SSをメインとしています。 ※ 百合思考です。 最近は、なのは以外も書き始めました。
ヽ(*´∀`)八(´∀`*)ノ
プロフィール
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らさ
年齢:
37
性別:
男性
誕生日:
1986/07/28
趣味:
SS書き・ステカつくり
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遊ばれる静香ちゃんを書きたいのに、志保が頑張ってくれないぃぃ



 私が手にしているものは幸せなのでしょうか? この先もずっと続く、幸せなんでしょうか?
 私が手にしているこれは壊れませんか? ちょっと目を離しただけで、崩れてしまったりしないのでしょうか?
 確かな物のように見えていても、中身があるとは限りません。柔らかそうに見えるそれは、芯がないだけかもしれません。上辺だけの関係、一時的な関係。そういったものなら、物語の形でいくつも知っています。
 けれど、それを恋愛と呼ぶのは正しいのでしょうか?
     柔らかさは秘密の中に
 ここは、どこ?
 ここは慣れ始めている、私達の劇場。大切なものを作る場所で、大切なものの集う場所。自分を磨く場所であり、みんなが輝くところ。
 そんな場所で私は、背中を柔らかいものに包まれていて、両肩を押さえられているから起き上がることは出来ない状態。
 私は誰?
 私は最上静香。アイドルの一人として、この劇場にいるもの。
 最近は自分自身の強みも分かってきて、足りない部分も見えてきた。焦るだけでは意味がなく、方向性を定めなければいけないと気付けたところ。
 では、今の状況はなに?
 事務所のソファーで、志保に押し倒されているわ。顔も遠くない位置にある。
 自分に足りないものを身につける為、練習に付き合っていたはずなのに。いえ、練習に付き合っているからこうなっているのかしら?
 どうして、こうなったの?
 プロデューサーが、ドラマの仕事をとってきたの。残念ながら主人公ではないけれど、物語のキーマンとなりえる大切な役ね。格好いい生き方をしている女の子で、キャッチコピーは、王子様系女子。ええ、なんにでも女子ってつければいいものではないでしょ? なんて、質問はこの場合はさんではいけないのよね。分かりやすいキャッチコピーのお陰でどんなキャラが求められているのか分かるし、どういった役割を担うのかも分かる。そういった意味合いでは役者にとっても良いこと。
 事実として志保は格好いい生き方をしているからピッタリな配役だと思うし、演技力という視点からでも私の判断でよければ、十分な物だと思う。
 それなら、問題はなに? 現状で問題となるのは、どんなこと?
 その答えはとても簡単。志保にソファーに押し倒されている状態が、私の中で大きな問題として扱われている。これは練習でしかないし、私が覚えるべきセリフも少ない。志保が他の子を押し倒しているのを見せ付けられるくらいなら、嫉妬心が沸かなくて済む。
 ただ、どうしても揺れ動くものを止められないから、私の感情と望みが動くのを止められないから、さっきから焼くに入れていない。
 具体的に言ってしまえば、抱き締めてキスしたい。目の前にある真面目中を真っ赤に染めてしまいたい。押し倒されているだけでなく、私も志保を押し倒したいの。それが叶わないというのなら、キスをしてくれても良いわよ? ついばむような軽いキスでも、呼吸が苦しくなるようなディープキスでも、一通りの方法はインターネットで調べているから披露出来る。ただ、志保ってこいうの苦手でしょ? 練習中に挟み込むのは嫌うし、例え休憩時間だったとしても居眠りをしている私にいたずらすら出来ないのだから。そんな行為を望めないのは知っているわ。
 練習中だから仕方ないのは分かっているけれど、そこら辺はやり方があるでしょう? 勢いをつけすぎて、偶然にも唇が触れてしまうとか、肩を押さえるつもりが胸を触ってしまったとか、そのままのしかかってしまうとか。アクシデントだとごまかせるレベルのものなら、どうにかなるでしょ? 恋人としてのアドリブ力は、芸能界で生き抜いていく上でも役に立つはずよ。
 それに、さっきから私はドキドキしっぱなしで今にも心臓が飛び出してしまいそうなのに、志保ったら練習のことしか頭になくて、私を、恋人を押し倒しているという普段であれば絶対に出来ないシチュエーションに、気づいてないでしょ? どうして、そんなに勿体ないのよ。格好良さも可愛らしさも、綺麗なところまで持っているのに、どうして目の前の状況が分からないの? 臆病になるにしても、限度があるわ。
 ねぇ、役作りにばかり意識を取られてないで、あなたの下になっている恋人のことも少しは見なさいよ、これだけ近いんだから、私が怒っているの伝わってるでしょ? ねぇってば、少しは私のことを見てくれても良いんじゃない?
「あなたは私のものなのに、そんな勝手が許されると思っているの?」
 なによそれ、不満を抱くなって意味? 納得出来ないわ。
「思ってはいなくても、それが事実でしょ?」
 熱が篭っていない瞳、演者としての志保の瞳。どれだけ表情を変えようとも、どれだけ口調が変わろうとも、そこに現れるのは水面のように静かで、澱みなく全体を見回している冷たさだけ。奥にどれだけの熱情と愛情が潜んいようとも姿を見せることはなく、可愛らしさなんて厳重に隠されてしまっている。
 けれど、私は知っているから引っ張り出したい。瞳の奥に隠れてしまっている、その熱を引っ張り出したい。ただのワガママで、自分が満足出来ないからというワガママだけで、志保の熱情を呼び出してみたい。揺れることのないその水面に、感情を投げ込みたくて我慢出来なくなりつつあるわ。
「……ここまでにしましょうか。ありがとう静香、急にお願いしたのに台詞を覚えてくれて助かったわ」
「そう。ごめんなさい、志保。私、間違えたのね」
 練習が終わること自体は歓迎だけど、押し倒されている状態が解除されてしまうのは残念だわ。今なら人もいないから、ちょっとくらい間違いがあったとしても困らないのに、終わってしまうのね。最近は仕事が忙しくて一緒になれる機会も少ない。自主練習をしている時に顔を会わせるくらいしか出来ない。
 正直にいってしまえば、寂しいのよ? 志保の隣は私の指定席なのに、他の人にとられてしまっている状態だもの。悔しいわ。
「ねぇ、静香。私この仕事を頑張るわ。静香以外の女の子を押し倒して、静香ではない女の子に愛の台詞をささやくの」
「仕事だから仕方ないでしょ? 演技派アイドルである、北沢志保の見せどころじゃない。頑張って、応援はしているわ」
 だからとって、ここで役を降りて欲しいとか、断って欲しいだなんて、子供の言い訳は使えない。私達はまだまだのラインにいて、知名度も低いけれどプロなの。確かに私達を応援てくれているファンがいるのだから、その期待を裏切るようなことはしたくないし、させられない。私個人の感情が通じるのは今この場所までで、ここから先はアイドルとしての領分だから。アイドルではない、恋人としての最上静香は口を閉じるべきなの。
 そのチャンスを自ら潰してしまったわ。志保にアイドルという枠を投げつけて、自分の欲望を隠してしまった。どちらが大切なのかと、天秤に載せて結果に従った。
 大丈夫よ、これくらいで志保は嫌ったりしない。私のことを冷たいと、非難したりはしない。あなたは私よりも常識人だから、こういったところでは責めてこないから。私は安心して組み敷かれているわ。
「静香はそれで良いの? 仕方がないって、割り切るの?」
「私たちはプロでしょ? 仕事の上で余計な感情を挟むの、志保だって嫌うじゃない。その姿勢は見習うべきものだと思っているわ」
 割り切れているのなら、応援はしているなんて言わない。普通に、応援しているわと言えば良い。
 それはとても小さな抵抗でしかなくて、咎められるほどのものにもなれない。誰かに聞かれたのだとしても問題はなく、志保の障害になるようなサイズにもなれない。私の中にだけ影を落とすもの、意味のない抵抗として心に刺さるもの。
 けれど、これで良いのよ。仕事は仕事。プロである以上手を抜くような真似はしたくないし、私達はそれを許せるような性格でもない。ただ真っ直ぐに、寄り道さえ出来ないような勢いで、走り続けるだけ。どこへ辿り着くかも分からない、辿り着けないかもしれない道でも、先があると信じていくだけでしょ?
「私、静香のことをもう少し子供だと思って期待していたのに、がっかりだわ」
「あら、大人びているどころか入り口に立っていそうな志保に言われるなんて、心外よ。私に何を求めていたの?」
 身動きすら取れない状態で、志保に押さえつけられているわけの私に、何を望んでいるのかしら? 何も出来ないような状態にしておいて、更に望みごとだなんてどういうことなの?
 静かさをたたえていたはずの水面には、波紋が広がり始めている。その奥から姿を現すのは、どんな感情なのかしら? 冷静だったあなたを押しのけて、私の前に姿を現そうとしているのは、どんな志保なの?
「鈍いわね。ここまで言ったのに分からないの?」
 波の激しくなる水面。そこにはわずかな呆れと、明確なる怒りが宿っている。冷たさから一転して、熱さへ。青色から赤色へ。移り行く色が綺麗だと眺めていたら、飲み込まれてしまいそう。志保の感情にひきづられて、私の熱がまた動き出してしまう。仕方のないことだからとなだめ兌換上が、再び動き出してしまう。
 こんな不安定な私が大人に見えるだなんて、志保にも子供っぽいところがあったのね。なんだか、笑ってしまいそうよ。
「なんで笑ってるのよ? 別におかしなことは言っていないでしょ?」
「なんでもないわ、気にしないで。自分の中にある矛盾が見つかっただけよ」
 私の中にいる志保は大人なのに、どうして子供っぽいところ見つけて喜んでいるのかしら? 中学生という年齢は、まだ子供だ。成人もしていなければ、義務教育すら終わっていない。私達はアイドルとしてお給料を貰う立場にもいるし、それなりの責任が伴う立場でもある。ただ、心が成長しているかどうかは分からなくて、歪な形に、不安定な状態であったとても不思議はないから。
 その入り混じった状態を楽しめるのが、相手を受け入れるということなのかもしれないわね。
「もういいわ。おかしいのなら、そうやって笑っていなさい。ここから先の時間は、私が静香分を補給するのに付き合ってもらうから。イヤなら抵抗することね」
 だから、志保が私の上にのしかかったとしても、これは普通ことなのよ。受け入れてしまえば良い、恋人としてなら当然のこと。静香分というのが何を示しているか分からないけれど、私も志保分を補給させてもらえば良いだけ。
 重なるようにして、甘えるようにして、私の上に載る志保。望んでいたタイミングではないけれど、私の望んでいたものだから、その体を押しのけたりするようなことはない。小さく震えているのは安心したからか、それとも私がイヤがるとでも思っていたのか――まったく、そういうところがダメなのよ。少しくらい強引にされたところで怒ったりはしないし、例えそうなったとしても謝れば良いでしょ? 私達が一緒に過ごせている時間はまだ短いものかもしれない、志保が安心して身を任せられる長さではないのかもしれない。そうであっても、浅い繋がりで済ませているつもりはないわよ? 世間にバレたらよろしくないことになってしまう程度には、深い関係でいるつもりなんだから。こんなつまらないことで怯えてないで、もう少し信用して欲しいものね。
「今日の予定はお昼からでしょ? 1時間くらいはこのままで良いわ」
 プロとしての自分と、恋人としての自分を両立させたいのなら、必要なのは情報よ。ここに訪れる可能性のある人物、訪れる時間、仕事へいくべき時間。そういったものを頭の中に入れているのが、求められることね。
「静香、はめたわね? 最初から、こうするつもりだったんでしょ?」
「流れに乗っているだけよ。人聞きの悪いこと言わないで」
 私は押し倒されているだけで、志保の背中に手が回っているのはただの事故でしかない。それに、胸元で甘えるようにほほをこすりつけているのだから、まんざらでもないんでしょう? なんだかご機嫌斜めな感じだけど、拗ねても何もあげないわ。
 私の腕の中にある温もりが安らぎをくれるように、志保の腕の中にある私も安らぎを贈れるような存在でありたい。どこまでも一緒にいたいと願ってもらえる、そういった恋人でありたいわ。
 ねぇ、志保。言葉に出さずに伝わるというのは素敵なことかもしれないけれど、難しいのよ。言葉にして伝えるのでさえ、私達は失敗することがあるでしょう?
 こんなふうに見詰め合っていても、あなたの気持ちは私に届かない。それは、私の気持ちがあなたに届いていないのと同じなんでしょうね。届くように祈るだけでは意味がなく、届けられるように努力をするほうが意味を成す。
 どれだけ体温を分け合ったとしても、言葉に叶うものってないのかしらね。それはそれで悲しいことだけど、まずは言葉にすることから始めましょうか。
「志保、愛しているわ。このまま離したくないくらいに」
 好きという言葉では、もう足りない。私の感情を表すものとして、好きという言葉だけでは足りなくなっている。溢れるものが止められなくて、生まれてくるものを止められなくて、心の中から吹き出してしまう。我慢しなければいけない場所でも、ふさわしくない場所であっても、どうにかして伝えようとしてしまう。志保が求めていない時も、あなたが眠っている時でも、この胸の想いを届けたいとワガママになっていく。
 これが恋人として正しい形なのかしら? それとも、自分勝手なだけ?
 初恋の叶ってしまった私には、それが分からない。恋愛なんてドラマの中にしかなくて、恋人なんてマンガの中でしか成り立たないと思っていた。自分が登場人物になるとは思えなかったし、そんな立場になって悩む日がくるなんて考えていなかった。
 だから、今苦労しているのは当然の話。私が想像していなかったことのツケでしかないわ。
 それを志保にも味合わせているというのは申し訳ないけれど、考えたことがなかったのは一緒だと思うから。これから一緒に理解して行きましょう?
 私の上で身動ぎをし、少しだけ賑やかになる志保。けれど、その言葉は私の耳に届くことはなく、意識はソファーへと吸い込まれていく。
 いいじゃない、今が幸せなのだから。今の積み重ねでしかない未来も、きっと温かいものに変わっていくわ。
 
――柔らかさの中に詰まっているもの、志保は底に何を求めるの?
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