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ここは「魔法少女リリカルなのは」の2次SSをメインとしています。 ※ 百合思考です。 最近は、なのは以外も書き始めました。
ヽ(*´∀`)八(´∀`*)ノ
プロフィール
HN:
らさ
年齢:
38
性別:
男性
誕生日:
1986/07/28
趣味:
SS書き・ステカつくり
自己紹介:
コメントを頂けると泣いて喜びます。
リンクフリーです。
ご報告頂けたら相互させて頂きます。


メールアドレス
yakisoba_pan◇hotmail.co.jp
◇を@に変えて下さい
当ブログ内のSSは無断転載禁止です。 恥ずかしいので止めて ^^;
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・w・) 後1本かいたら、すずアリに手をだそう



 1人で楽しめることなら2人でも楽しめるけれど、1人でも苦しいことは2人でも苦しいの? 一緒に超えようとする仲間を得られたのに、そこにあるのは苦しみだけで終わってしまうのかしら?
 もしもあなたがそう思っているのなら、とても悲しいことだわ。相手のことをちゃんと見ていない証拠でもある。
 この広い世界において仲間が傍にいてくれるのに、大切な人が傍にいてくれるのに、独りきりの時と変わらないだなんて失礼よ。
 ちゃんと、相手のことを見て、理解する努力をしなさい。
 
 
     だから隣に
 
 
 努力を重ねるのは大切なことで、時間は私を裏切ったりしない。目標の為に費やした労力は、必ず私にプラスを与えてくれる。そこから何を学び取るのかこそが本当に大切なことで、過程におけるものは全ておまけでしかない。そう理解しているつもりだったわ。
 だから、結果を手に出来るように頑張ってきたし、厳しい練習も乗り越えてきた。このオーディションに受かることは、歌手としての可能性を広げるだけではなく、今までの私を認めてあげられるような大きな意味を持っていたから。逆に言えば、受からなかったのは私自身の努力が足りなかった結果。無常ではあるけれど、真実である以上はどうしようもないのよ。
「落ち込むなとは言わないわ。ただ、落ち込み方は考えなさい」
「時には現実を忘れたくなる時もあるの。殻の中に閉じこもって、辛さや悲しみを忘れようとするのは大切よ」
 オーディションの結果はすぐに出された。古くから存在するオーディションであり、その場で結果を出すやり方が評判を集めている。もちろん、いいところばかりではないけれど、数多くの希望者が募る有名なもの。
 正直なところ、受かるだなんて思っていなかった。今なお活躍している方々が通過した門だから、どうにかなるだなんて思ってはいなかった。
 それでも、悔しいものは悔しいのよ。難しいと分かって受けたのは事実でも、悲しいものは悲しいの。どうにも出来ない実力差が目の前にあるようで、超えられない壁が存在しているようで、現実を見るのがイヤになりそうよ。時間がないのに、私に与えられているチャンスは少ないのに、どうしてこんなところで転ばないといけないの? どうしようもないと、転がったままで泣かなければいけないの?
「別に、嫌なわけじゃないのよ。単純に残念だなって、そう思っているだけ。私の知っている静香はもっと強いはずなのに、オーディションに落ちたくらいで凹んだりしないはずなのに。どうして、私の腕の中で震えているの?」
 凹むはずがない。そういって信じてくれるのは嬉しいけれど、私は志保が思ってくれているほど強い人間ではないわ。弱い自分を隠そうとして、ルールに染めているだけ。自分の意思だけでは負けてしまうから、そこにあるものに頼っているだけなの。私が強く見えるのだとしたら、ただルールを守ろうとしているだけなのよ。
 それはみんなも守ろうとしているもので、みんなの中にもあるもの。だから、私が強く見えるのでしょ? ただの勘違いよ。
「震えてないわ。ただ、ちょっと居心地が良いから長居したくなるの。温かくて柔らかいから、離れられないだけよ」
「格好悪いことをはっきりと言わなくて良いわ。ついでにそれ、逃げてるって言うのよ?」
 分かっているわ。逃げているなんて、自分が一番分かっているのよ。自分だけでは立つことも出来ないから、志保にすがっているの。手を離されたら倒れてしまうほどに震えているのに、アイドルとしての意地があるから、ルールの中に納まっていたいから。どうにかしようと、無様に足掻いているのよ。情けない話よね。
 時間がないと、常々口にしている立場。それなのに調和を乱すような動きを嫌い、誰かと仲良くあることを強制するような言葉を吐く。けれど、自分自身を支えることさえ出来なくて、ケンカしていたはずの志保の強さに惹かれてしまった。どこまでも自分を貫こうとする、甘さを捨てた態度で挑んでいるその姿に憧れたのよ? 笑ってしまうわ。
「逃げたいわけではないの。また挑戦したいから、後ろに下がりたくないの。前に進もうとしている志保と一緒にいられれば、自然と歩み始めるから。その時を待っているだけ」
 志保にすがっている今の姿を、肯定するつもりはない。けれど、心が折れていないのだから否定するつもりもない。
 どこまで行っても私は私でしかなく、それ以外の存在にはなり得ないのだから。今ここにいる私を認めて、その上で前に進む為の方法を考えるしかないの。それしか方法がないから、私は待っているのよ。
「それなら、人の胸をおもちゃにしていないで、すぐにでもレッスンを始めることね。甘えていたところで、得られるものなんてないんだから。分かっているでしょ? 待っているだけでチャンスが訪れるほど、この世界は甘くないって」
「芸能界が甘くないから、志保に甘えているのに。そこら辺分かってくれても良いんじゃない?」
「私達は恋人であると同時にライバルでもあるのよ? あんまりな避けない姿を見せないで。見捨てたくなるわ」
 見捨てる勇気なんてないくせに、時々志保はきついことを言うわね。ううん、時々でもないかもしれないけれど、相変わらずきつい言葉を投げてくれるわね。それが悪いことだとは言わないけれど、タイミングを考えないと誤解されるわよ? 私は既に誤解の司法もないほどに言葉を浴びているし、あなたの厳しさにもなれているつもりだわ。その魅力にも捕らわれているし、繋いだ手を離すようなこともしない。
 でも、あなたのことを誤解されるのは悲しいから。アイドルとしての北沢志保は輝いていて、誰よりも努力を惜しまない頑張りや。家に帰れば頼りになるお姉ちゃんにして、優しい笑みを浮かべているでしょう? そして、私と一緒にいる時には、少しだけとはいえ甘えてくれるし、熱のこもった眼差しを向けてくれることもある。
 数多くの魅力を持ち合わせているのに、厳しい面しか見せないのなんて勿体無いわよ? 将来に活かすことも出来るはずなのに、どうしてそこまで意固地になるのかしら?
「ねぇ、志保。私の魅力ってどこにあるの? アイドルとしての私が延ばしていくべきところって、どこかしら?」
 そんなあなただから、聞いたことがなかった。私の魅力だなんて、プロデューサーにでも聞くべきことを、あなたに聞いたことはなかった。
 けれど、今は聞いてみたい。このタイミングでなら聞けるはずだから、このタイミングでしか聞けない気がするから。志保から見た、最上静香の魅力って何?
「歌と姿勢でしょ?」
「……悩まずに答えてくれるのね」
 聞くタイミングは今しかない。それに間違いはないはずで、正しいと思うわ。
 けれど、志保が答える必要なんてなかった。誤魔化してもよかったし、怒っても良かったの。それなのに、どうして答えてくれるのかしら? こんな情けない姿を晒している私の、どうでも良いような質問にどうして答えてくれるの?
 こういった質問こそ、捨てておけばいいんじゃないの?
「事実を事実として見られないようでは、私自身の底が知れるでしょ? 凄いものには素直に賞賛が送れるのも、プロとしては必要なことだと思うし。なにより、静香の歌が私よりも遥かに高いところにあるのは、みんなの認める事実よ。そこに噛み付いてどうするの?」
 私の歌が志保のそれよりも、高いところにある? そう感じたことはないけれど、認めてくれているのなら事実なのかしら?
 それとも、歌と姿勢というのは良いところではなく、そこしか残っていないと言われているのかもしれないわね。何も持っていないのよりはマシだけれど、悲しい現実ね。まだまだ努力が足りないんだわ。
「そんなことはないと思うけど、こんなにも褒められるとやれるような気がしてしまうわ」
「うぬぼれてしまうのなら、それまでよ。ガッカリさせないで」
「分かっているわ。ありがとう、そろそろ自分の足で立てるわ」
 駄々をこねるのはここまでにしましょう。私に流行るべきことがあり、志保にもやるべきことがある。甘えたいだけなら、それを全て終えてからでも遅くはないもの。今はやるべきことに向けて、足を進めましょう。
 守られているだけの存在である自分を、私は認められない。前に進む為に弱さを捨てなさいと言うつもりはないけれど、弱さを武器にして誰かに迫るようなことはしてはいけないわ。それでは、自分の成長も、相手の成長も止まってしまうから。2人そろって不幸になるだけで、何も生まれない。
 プロであることに誇りを持ち、夢を守る為に歯を食いしばるのであれば、ステージの上ではアイドルとしての笑顔でいたいわ。自らの夢に向かって、努力出来る私でいたいから。
「情けない姿を晒したついでなんだけど、ダンスレッスン付き合ってくれない? 今の私だと、通して踊るのも難しそうだから。一緒にやってくれると助かるわ」
「別に噛まないけど、手を抜いたりはしないわよ? ミスなんてしたら、さっきやられたイタズラの分、しっかりとお返しさせてもらうから」
「……ミスすら許されないなんて、厳しい世界ね」
 どうにも、調子に乗って揉み過ぎたみたいね。蛍光灯の明かりの下だというのに、志保の頬は赤く染まり何かのスイッチが入っていることを伝えてくる。この状態でミスを犯すというのは、志保の理性を飛ばしてしまうのと同意義だから。自らを守る為に、志保のイメージを守る為にも、私は失敗出来なくなった。
 上等よ、それくらいの緊張感がないとやってられないわ。止まらず動き続けることを、私自身に教えましょう。
 
――志保がいてくれるのなら、私が怯える必要はどこにもない
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