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ここは「魔法少女リリカルなのは」の2次SSをメインとしています。 ※ 百合思考です。 最近は、なのは以外も書き始めました。
ヽ(*´∀`)八(´∀`*)ノ
プロフィール
HN:
らさ
年齢:
37
性別:
男性
誕生日:
1986/07/28
趣味:
SS書き・ステカつくり
自己紹介:
コメントを頂けると泣いて喜びます。
リンクフリーです。
ご報告頂けたら相互させて頂きます。


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久しぶりに、二次創作を書いた気分です。
いや、しずしほが久しぶりなだけですかね。

どうにも面倒なCPになりつつある、彼女達です。
甘さからは随分遠いですね。ヘンターイ度は随分高いのですが……あるぇ?




 あなたが求めているものは、同じように私も求めている。その気持ちと伝えたはずなのに、あなたには届いていなかった。
 だから、私は繰り返すの。あなたが気付いてくれるまで、あなたが納得してくれるまで、同じ言葉を繰り返す。
 私はあなたのことを大切に思っていて、大好きだと。繋いだ手を離すことなんて出来ないって。
 
 
     刻まれる音
 
 
 アイドルとして私が活動を湯されている時間は、消して多くない。元々長い間やっていられる職業でもないけれど、歌うことが好きな私にとって、アイドルという存在への憧れは捨てられないものだった。きつく厳しい家、それについて不満を持ったことは少なくない。
 そんな中で掴んだチャンス。またとないであろうチャンスは、父との話し合いの末で手に入れたもの。時間を限定されている状態で呑み叶えられた、儚いもの。その時間の中で私に出来ることは、実績を残して認めさせることだけだから。アイドルとしての私を確立させて、父が諦めてくれるほどの存在になるしかなかった。それだけが、アイドルとしての私を生き残らせる方法。歌い続ける為に、私が選べる道。
 だから、遊んでいる余裕なんてなくて、楽しい時間を優先させるつもりなんてなかった。そういった望みは全て、後で叶えれば良いと思ったの。一人前のアイドルとして、認められる存在になってから求めれば良いって、言い聞かせてたわ。
 けれど、彼女のことが気になってしまったから。私とは違った方向に頑固な彼女を見つけてしまったから、放置することなんて出来なかったの。レッスン中も、事務所にいる時も、食事の時だって、1人でいることを選んでいる、仕事としての最低限の連絡を除けば、話らしい話をすることもない。
 努力家であることは認めるし、態度に見合うだけの力を持っているのだと、見せ付けられることも少ない。けれど、そうだからといって今のままでは良くないと思ったの。誰とも関わらないようなやりかたで、アイドルを目指すのは難しいって思ったから声をかけた。その答えは散々たるものだったけれどね。
 あなたには関係ない、私のことは放っておいてだなんて。
 今の私なら笑って済ませられるセリフも、当時の私にとっては衝撃的だったわ。だって、自分の言っていることが正しいとp信じて疑っていなかったし、それがあなたの為にもなることだと信じていたから。八つ当たりをされたとしても、そこまで酷い言葉を投げつけられるだなんて、想像もしていなかったわ。
 だから、ケンカになったのよね。ええ、良く覚えているわ。あまりの物言いにカチンときて、ケンカを売るような形になたのよね。
 別に今だから許すとかそんなつもりはないけれど、当時の私はあまりにも余裕がなさ過ぎたから、あなたの言葉を流すことが出来なかったのよ。真っ直ぐに受け入れることしか出来なくて、真っ直ぐだからこそ受け止め切れなくて。どうして私が攻撃されないければいけないのって、感情のままに攻撃した。
 自由になる時間は少なくて、それなのにあなたに反応してしまった。それまでは自分の感情を表に出すようなことは少なくて、プロデューサーとのやり取りも業務連絡みたいで……って、それは今も変わらないのかしら? 別に嫌いというほどでもないけれど、大人の男性というのはどうしても父に近いものを感じてしまうから、どうしても固くなってしまうの。信用もしているし、信頼もしているけれど、そういったのとは別のところにあるんでしょうね。
「それで、結局何が言いたいの? 貴重な休憩時間を喋り倒そうとするなんて、静香らしくないわよ?」
「あら、たまには良いと思わない? 恋人の知らなかった一面を知れて、志保は嬉しくないの?」
 結論に辿り着く前に、話の長さへとクレームをつける相方。顔を見ることはないけれど、背中合わせで相手の体温を感じられる至福の時だったのに、なぜ壊してしまうのかしら。幸せになり過ぎると怖くなるといった、そんな天邪鬼なところが出てきてしまったの?
「私が最も驚かされているのは、真面目一辺倒だと思っていた静香が、私を煽っているところよ。誘うような挑発をされていることに、今でも違和感を感じるわ」
「それは、志保が悪いんでしょ? 私の深いところを見ようとせずに、表面に出ている優等生を信じようとしたから。それが最上静香の全てだって、そう決め付けたからでしょ?」
 伝えたかった言葉はそんなに遠くないはずなのに、志保に止められてしまっているせいで、いつまでも辿り着けそうにない。後少しで、可愛らしい志保を呼び出せる言葉に辿り着けるところだったのに、邪魔されてしまっている。その事実は私の心にとげを与えて、相手の心に踏み込むように進めてくる。
 他の人、例えばこれは未来や星梨花だった場合には、私は攻めるようなことはしないでしょう。そういった間柄ではないということよりも、相手がそれを望まないということに重点を置いてしまうから。調和の為には良くないと、優等生な私がブレーキをかける。
 それとは違う。志保と向かい合っている時の私だけは、優等生でいられないから。小悪魔にもなるし、遊女のように誘うことも辞さないの。志保の全てを知りたくて、志保の全てが欲しいからこそ、私は両手を伸ばそうとする。あなたに届くようにと、私の心が届くようにと。手加減をすることもなく、全力の私だけで相手をするの。
 その結果が誘っているように見えるのなら、それも本当の私よ。最上静香の一面なの。志保に飽きられてしまわないように、色々な色で輝こうとしている1つの結果よ。
「まるで私が悪いみたいな言い方ね。静香が隠していたのが悪いんでしょ? 分からないように隠しているのに、見えるはずないじゃない」
「それは違うわ志保。あなたの場合は見るつもりがなかっただけでしょ? 見ようと思えば見えたはずのものでさえ、関係ないと目をそらした結果でしょ? それを私のせいにされても困るわ」
 話の腰を折られた上に、どうして責められなければいけないの? あと少しだけ時間をくれていれば、綺麗に話をまとめられたというのに、そこら辺汲んでくれても良いんじゃないかしら? 私と志保の仲なんだから、そこくらい期待しても良いでしょ?
 背中越しに伝わってくるものは熱いくらいだというのに、口から書き出される言葉は熱を失ったかのように冷たい。その温度差が志保らしいって、笑える程度には理解しているつもりだけど。温かい言葉をくれても良いのよ? それくらいのサービスはしてくれても良いでしょ?
「そこは否定しないけど。それでも静香、あなたは変わり過ぎよ。典型的な委員長タイプだと思っていたのに、ここまでワガママでボケるような人だとは思わなかったわ」
「もしかして、嫌いになった?」
「心にもないことは、聞かないことね。変わることなく、好きに決まっているでしょ?」
 志保から私に向かう感情。それがどれだけの熱量を持ち、私に向かっているのかは分からない。それでも、ちょっと水をかけたくらいで消えるようなものではなく、私の心まで熱くさせるものだと知っているから。時にはこんな言葉を投げかけることもある。
 きっと、志保以外の人は驚くでしょう。志保も驚いているのかもしれないけれど、もう慣れたんじゃないかしら? 私達は未だにケンカもするし、お互いのことを傷付けあうのも珍しくない。気に入らないところがあれば責めるし、好きなところがあればそれを真っ直ぐに伝えて相手を困らせる。
 そんな不器用な形で続けているから、隠し事もなくなってきてしまったわ。本来であれば隠しておくべきはずのことも、お互いの問題として、2人の問題として半分ずつ持つことになってしまった。それが悪いことだとは思わないし、恋人としては、ずっと傍にいたいと思いあっている相手となら、理想とすら呼べる状況であると理解はしているわ。
 ただ、それが願ったものでも習ったものでもなく、ただの成り行きだから。ちょっと勿体無いことをしてしまった自覚はあるの。
「ねぇ、志保。どうして、私はあなたを好きになったのかしら? アイドルとしていられる時間は多くないのに。そこにある貴重な時間を割いてまで、あなたと一緒にいようとするのかしら?」
「静香の心の中を私に聞いてどうするのよ? 分かるはずもないし、例え当たっていたとしても認められないでしょ? そんなの考えるだけ無意味じゃない」
「冷たいわね。少しくらい付き合ってくれても良いでしょ?」
 少しだけ振り返って、その整った顔を見つめてみる。汗で張り付いている髪を気にする様子もなく、以前とは違ってスマートフォンをいじっていることもなく、私のお喋りに真剣に付き合ってくれていたのが分かる。どんな時でも一生懸命で、自分に高い理想を求めているからこそ、冷たいほどの硬さを求めてしまう。それが自身を傷つけるものになると分かっていても、必要であるのなら利用する。上を目指すこと、アイドルとしての自分を高めること、必要とされる以上の自主練を重ね、偶然ではなく必然でアイドルを続けようとする、若干14才の少女。
 その心の中に存在する熱は、私のものに負けず劣らず熱くて、彼女自身を焼き続けている。燃え続けることで存在を主張して、動き続けることで焦げ付かないように誤魔化して。いつか足を止めてしまった時、取り返しの付かないような炎となるかもしれないというのに、手放すつもりはないらしい。
 茨の道でもスキップするかのように進み、ガラスの橋を怖がることなく渡り、氷の河を砕いてでも前へと進む。
 それがどれだけ厳しいことかを知っているから、彼女は同行者を求めなかった。自らに求めているものを他人に向けない為に、相手へのナイフとしない為に、志保は孤独でいることを選んだの。私とは別の方法で、同じ場所を目指そうとしていたわ。
 こっちは友達に、仲間に安らぎを求めたい他というのに。休憩場所となってもらうことを、望んだというのに。志保はその一時の弱ささえ不要な物だとして、もろく、けれども硬い殻にその身を包んでいた。失敗すれば、もう立ち上がれなくなってしまう。そんな危うさを抱えたままで彼女は前へ進むことだけを望んだ。
 その結果がどうなったかなんて今となっては意味がないもので、これからも未来を目指して行く彼女にとって見れば小さな失敗でしかないのでしょう。
 けれど、その小さな失敗が私と彼女を繋いでくれた、決定的な物になった。彼女は強い人だと、私なんかとは全然違うんだと思い込んでいた愚かさを、吹き飛ばしてくれたわ。
 だって、涙は反則でしょ? 真っ直ぐに前を見つめたまま、いつもの強気な態度は崩さないまま。それでもこらえ切れなかった涙だけが、その表情に似合わない涙だけが流れ落ちたわ。汗だと言い張ることも出来たかもしれない、別に誤魔化さなかったところで誰も責めたりはしない。
 けれど、彼女自身がそれを許さなかった。誤魔化すことも自らの実力を偽ることも、彼女自身が拒んだの。その強さ、私にはない物だった。状況が悪いと、時間が足りないと、そんな良いわけを口にしていた私にとって、彼女の行動は考えもしなかった。落ち込みもしない、悔しがるわけでもない。愚痴をこぼしたりも、やる気をなくしたりもしない。ただ、見ていたわ。彼女が逃してしまったものを、彼女を踏みつけて勝ち上がった者が披露するものを、瞬きを忘れたかのように注視していた。中学生だと、所詮まだ子供なんだからなんて、甘い考えを持っていた私には出来ないこと。けれど、大人である志保には出来ること。その差が気に入らなかったの、涙も流さすに仕事として消化してしまった彼女に、腹が立ったの。
 だから、引きずり落とそうとした。私がいるところまで、彼女を呼び落とすことにしたの。抱きしめて、慰めることで彼女の強さを砕こうとした。硬いだけの強さなんて、どうせ崩れると疑いもしなかった。自分のおもいこみだということを忘れ、彼女も辛いはずだと勝手に解釈したのよ。
 結果的に言えば、怒られたわ。彼女を下して伸し上がった相手の演技、その一挙一動に集中していたというのに、私がチャンスを潰してしまったから志保は怒ったの。私にとっては理不尽な理由で、志保は怒ったの。
 もう、そこからはケンカね。こっちは僅かながら親切心もあったから、強がらなくても良いのよなんて、上から目線で抱きしめていたから。
 でも、そのケンカで私達はお互いを深く知ることになったわ。傷つけあうことで、えぐりあうことで、お互いの深い部分まで知るようになって、全然違うということを知ったの。同じようにアイドルを目指しているはずなのに、その先に臨むものも違えば、その道中として選択するものも全く別で、だからお互いの主張が分からないということを理解したのよね。懐かしいわ。
 あの時の志保は真っ赤になりながら、今では見せてくれなくなった冷たい目をしていたわ。こちらの言葉をただ拒絶する為に、受け入れない為に心を凍らせた、そんな瞳をしていたの。
「はぁ、どうして志保のことが好きなのかを思い出していただけなのに、拒絶されるのは悲しいわ」
「前置きが長過ぎるのよ。そもそも、私は知っているんだから細かく説明してくれなくたって、分かっているわ」
「残念ね。私がどれだけ大きな気持ちを抱えているのか、知ってもらおうと思ったのに」
「今更疑うわけないでしょ? 静香も私と一緒で頑固なんだから、一度決めたことを簡単に諦めたり、変えたり出来ないでしょ? それがアイドルであっても、恋愛関係であっても変わるわけないじゃない」
 困ったように、呆れたように笑う笑顔は、綺麗なものではない。それなのに、私のことを分かってくれているから、とても魅力的に映るし、なんだか安心してしまう。最初は尖っているだけだったのに、どこにこんな柔らかさを持っていたのかしら? やっぱり、姉という立場を経験していると違うのかしら? 志保は私にないものを沢山持っている。それについて羨ましいと思ったこともあるけれど、その分だけの苦労を彼女は超えてきている。経験値として自分の中へ溜め込んで、それを基礎として成長を続けている。
 置いていかれたくない、いつまでも隣を歩いていたい。こんなふうに一緒にレッスンを受けて、仕事の話で盛り上がって、そのままデートの話をして。いつまでも、こんな関係を続けていたいの。
 相変わらず分からないところは多いし、ぶつかることも全然減らない。志保の求めていることが分からなくて、志保の感じている世界を知りたくて、それなのに何も変われない。私の気持ちは真っ直ぐ向かっているはずなのに、どうして何も伝わってこないのかしら? 志保のことをこんなにも求めているのに、どうして理解出来ないのかしら? まだ、熱意が足りないということ?
「静香、そんなに見つめなくても私はどこにも行かないわよ。真剣な顔して、また小さなことで悩んでるんでしょ?」
「……どうすれば志保を虜に出来るのか、悩んでいたわ」
 トップアイドルになることを目指し、日々の練習を超えていく。足りないところは自分達で補って、掴みたいものはちゃんと自分で見つめて。そうすることで練習の質だって上げてきたつもり。
 それでも、まだ届かない。ファンが増えて、劇場も大きくなって。それでもまだ足りないって実感出来る。志保の恋人として満足できないのと、アイドルとしての先が見えないのは一緒なのかしら? いつかは終わりを迎えてしまうものなの?
「休憩中にいちゃついてもらうのは構わないけど、そろそろ練習再開よ?」
 普段は優しい、けれど怒ると怖い。分かり易いほどに大人の女性である、ダンス担当のコーチが呼んでいる。出来ることならもう少し、こうして近くに志保を感じていたいけれどワガママは言えないわね。私達はまだ先を目指して、上を目指している途中なのだから、こんなところで足を止めているわけにはいかないわ。
「志保、行きましょうか。次こそは合わせるわよ」
「言われなくても分かっているわ」
 休憩が終わるのであれば、私達はアイドルへと戻る。この表現が正しいのか分からないけれど、居間の私達には女の子としての時間よりも優先すべきもの、プロとしての時間が待っている。志保の隣を歩くと決めた以上、甘さを残すつもりはないから。
 私達が望んでいる未来は、きっと寄り添えないもの。プロとしての道は、いつか離れてしまうもの。それでも、今は同じところにたち、同じ道を歩いているライバルだから。すぐ隣のあなたに負けたりしないわ。
 
――勝負よ、志保。簡単に負けないでね?
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