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ここは「魔法少女リリカルなのは」の2次SSをメインとしています。 ※ 百合思考です。 最近は、なのは以外も書き始めました。
ヽ(*´∀`)八(´∀`*)ノ
プロフィール
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らさ
年齢:
37
性別:
男性
誕生日:
1986/07/28
趣味:
SS書き・ステカつくり
自己紹介:
コメントを頂けると泣いて喜びます。
リンクフリーです。
ご報告頂けたら相互させて頂きます。


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yakisoba_pan◇hotmail.co.jp
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当ブログ内のSSは無断転載禁止です。 恥ずかしいので止めて ^^;
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ここで一区切りつきましたー




 世界が怖い、そう感じたのはいつ以来になるのかしら?
 冷たいと感じたり、理不尽だと感じることは多々あっても、怖いと感じるのは少なかったはずなのに。
 何か、具体的に怯えるものがあるわけではない。ただ、安心できる場所がどこにもなくて、逃げ込むところもないだけ。
 心を強く持てば、それで解決できるのかもしれないけれど、今の私にはちょっと無理みたいだから。今日も、暗闇の中で怯えている。
 
 
     代償からの自由
 
 
 どうして、私は許されているのだろう? どうして、私は幸せを手にしているのだろう?
 本来であれば、処罰されていてもおかしくない身でありながら、最愛の人の手の中に納まることを許されている。傷つけたはずの人の腕の中で、私は幸せを感じている。
 壊そうとしているのなら分かる。復習として、欲望のままに求められるのなら、分かる。それを罰として受け入れろといわれるのなら、逆らうつもりはない。
 私にはそんな資格はないし、千歳ねぇの気の向くままに壊してもらうのだって、悪い話じゃない。それで笑ってもらえるのなら、私のしたことを忘れられるのなら良いって、そう思ったのになぁ。
「ほら、千代田。あーん、して」
「どうして、こうなるの?」
 悪いことをしたと思うのなら、暫く一緒に行動しなさい。そうすれば、何をすべきなのかを見せてあげられる。
 そんなふうに言われて、日常生活も、演習も、出撃も、べったりくっついている。2人きりになれるのなら、千歳ねぇも怒れるのかなって、そう思ったのに。気付けばおしゃれをさせられて、提督お勧めのカフェに連行された。
 そもそも、今日の言い訳としては、空母としての運用方法を学ぶために、姉妹艦が一緒に活動するとして、報告したはず。提督は疑うこともなく受理してくれたし、その際に許可書と共に渡されたのがここの地図だから、グルだったということ?
 素直に罰してくれたほうが気楽なのに、どうしてこんなにも引き伸ばされているの? 航空戦力を有しているとはいえ、所詮は軽空母でしかない。他の艦娘でも勤まるのに、私を残す理由はないでしょ?
 軍としてなら、私個人に拘る理由は、どこにもない。
 助けてもらった上で、こんなことを考えているのは、失礼なのでしょう。千歳ねぇにも、提督自身にも、説明してもらったのに――不安も不信も、消えることがない。
 心配しなくて良い理由がないでしょ? 不安を感じない理由はないでしょ?
 それに、どんなにいっても鎮守府のみんなが心配なのよ。私だけが罰を受ければ良いことで、何らかのペナルティを課せられているのだとしたら、これ以上迷惑をかけているのだとしたら、どうやって償えばいいの?
 今は何も下されていないのかもしれない。上層部からの指示も、他の鎮守府からのクレームも、出ていないのかもしれない。
 けれど、それは将来を保証してくれるものではない。戦いが劣勢になった場合、盾にされないとは限らないのよ? 特攻要員として、うちの鎮守府が優先的に選ばれるかもしれないのよ?
 私に優しくしてくれた、提督が危ないかもしれないのに。どうして、安心しろって言えるの?
 姉だから? 提督だから? そんな言い訳で、私が納得するはずないでしょ?
 私だって、軍艦なの。戦う為にいる存在なの。道を外れたことをしたって、自覚もあるの。
 楽になりたいって、短絡的に考えているって、分かってはいる。でも、私がいることによって迷惑をかけるくらいなら、簡単な判断で済ませて欲しい。私を捨てて得られるもので、満足して欲しいの。
「千代田は、まだ納得出来ていないのね」
 何度ぶつけたかも分からない言葉。それを反芻している間に、千歳ねぇの顔がくもってしまっている。
 悲しませたいわけではない。涙を流して欲しいなんて思ってない。
 ただ、こんなにものんびりした時間を過ごして良いとは、どうしても思えない。リスクを避けるためには、せめて私を拘束しておくべきだと、鎮守府内に軟禁しておくべきだと、何度も言っているのに。
 こういった公共の場では話せないこともあるし、騒ぐつもりはないけれど、千歳ねぇ達が何を考えているのか、イマイチ分からない。
「仕方ないわね。ここでなら話せそうだし、ちょっとだけ聞いてくれる?」
 ここでなら話せる? それは、鎮守府内では話せないような内容だってこと? おかしくない?
 町の喫茶店よりも、鎮守府の方が機密を保てるはずなのに。どうして、ここでなら話せるの?
 提督の耳には入れたくない話ってことかしら?
「実はね、私も最初は信じていなかったの。提督を疑うようなことはしたくなかったけど、信じ込むには危険だったから。いつ、どのような形で沙汰が下るのかって、正直怯えていたところはあるわ」
 どうやら、私の予想は外れていなかったみたいね。
 確かに、上官である提督を疑っているただなんて、他の人に知られたいものではないでしょう。なにより、私を助けてくれているのは事実だし、千歳ねぇ、そういったところには姉として敏感なんだから。
 私だって、もう子供じゃないんだよ? それだけは、証明出来たはずなのに。
「全然、そんなふうには見えなかったよ? 提督の話を聞いて、納得しているとばかり思ってたのに」
「ふふ、そこは姉としての意地よ。1番怖いのは千代田なのに、私が震えているわけにはいかないでしょ?」
 姉としての意地、ね。私としては、そういったものは無しにして欲しいんだけど、千歳ねぇにとっては譲れないものなのかしら?
 一緒に怖がってくれるだけでも、随分と違ったはずなのに。なんて考えてしまうのは、贅沢なだけ?
 別に、全てのものから守ろうだなんてしてくれなくても、私だって結構頑張れるのよ?
「何より、私の心が千代田を求めていたから。失いたくないって、傍にいて欲しいって。そう求めていたから、提督にお願いしてみたの」
「何をお願いしてくれたの?」
「無かったことに出来ないかって、今回の騒動事態を無かったことに出来ないか、お願いしたの」
 心が求めていた。そういってくれるのは、素直に嬉しいけど、やっぱりおかしいと感じてしまう。普通に考えれば、自分を襲った相手の為に、上官へ意見しに行くだなんておかしいわ。
「そんなの無理でしょ? 事実として、私は大破していたし、艤装の持ち出しもあったんでしょ?」
 沈む為に進み、潜水艦と接敵した私。魚雷は1発しか撃ち込まれなかったし、朝まで海面を漂うことになった。
 そんなバカな妹を助ける為に、千歳ねぇは艤装を無断で持ち出し、私を回収してくれた。
 感謝すべきことだと分かっているし、実際に感謝はしているわ。ただ、記録として残ってしまっているもの、消費されているものを考えれば、ご誤魔化すのは不可能だって、千歳ねぇなら分かりそうなのに。いくら提督とはいえ、そんなことは出来ないって、分かってるはずなのに。
 どうして、そこまで大切にしてくれるの?
「ええ。提督にも、無かったことには出来ないって、隠すほうが良くないって。いつの間にか作られていた命令書を片手に、首を横に振られたわ」
 私の知らないところで進んでいた、事の顛末。提督としては隠してくれていたのでしょうけど、やっぱり話してくれたほうがすっきりする。
 どうせなら、もう少し打算的な話を聞いて、安心したかったのだけれど。ほんと、善意だけで助けられてしまうって、1番情けないことよね。自分の小ささを実感させられて、嫌になるわ。
「命令書? それってもしかして、前に話してくれた、軽空母の回避性能を試すってやつ?」
「そうよ。いつの間に作ったのか、まったく分からなかったけれど、軍としての体面と命令系統、鎮守府の立場を守る為に最適だって。そんなふうに説得されたの」
 私が飛び出して、大破して、修理される。完治までと考えれば、結構な時間があったはずだけれど、それでは上層部を納得させるのは不可能。どんなに遅くても、私がドッグに運び込まれた時点では、命令書が作られていなければ間に合わない。
 提督のところへ連絡が行ったのは、早くても千歳ねぇが出撃した後のはずだから、作っている時間なんて殆ど無かったはずだけど。どうやったのかしら?
「もちろん、疑ったし、中身も確認したわ。正直なところ、人間味がなくて凄く不気味な命令書だったけど、千代田の行動と、私が持ち出した艤装に関して、ビックリするほどに的確な命令になっていたの」
 夜戦時における、軽空母の回避性能試験。
 発艦させることが難しく、また着艦させることも難しい。そんな状況下で、艦載機を失わない為の手段を立案するための実験。
 大破するまでは手出しすることは無く、また実際に艦載機を失ってしまっては意味が無いので、基本的には軽空母1隻のみの行動とし、後方に索敵と救出を目的とした部隊を置く。
 しかしながら、実験の為に戦艦等の主力艦を投入することは難しく、未改造の姉妹艦である千歳のみで対応する。
 細かく聞いたことは無かったけれど、実に軍隊らしい命令内容。この命令通りであれば、私が大破したことも、千歳ねぇだけが艤装を持ち出したことも、全てが説明できる。いや、この命令書以外では、どこかに矛盾が残ってしまう。
「提督、笑っていたわ。事務畑の人間だから、どういった命令書なら問題がないのか、上層部の支持はどうやって取り付けるのか、理解していると。ちょっとだけ大変だったから、しっかり幸せにならないと許さないって」
 ここまでしておいて、事務畑という一言だけで流そうとするのね。そこらへん、千歳ねぇも疑問は抱いているようだけど、詳しくは聞かない方が、身の為ということ? お偉いさんの親類といった感じなのかしら?
 それにしても、いくら権限があっても部下のためにここまでしてくれるのね。対価と呼べるものさえ請求されず、幸せになりなさいって、タチが悪いわ。疑いたくても、罪悪感が勝ってしまう。
 千歳ねぇを幸せにするのは当然だし、傷の責任を取るのも私が望むこと。ただ、提督のお礼だって何か考えておかないと、このまま一方的に助けられているのなんて、御免だわ。
「本当はね、細かいところまで千代田に伝えないで欲しいって、そんなお願いもされたけど、ちゃんと説明してもらわないと、千代田は納得できないでしょ?」
 謙虚なのは美徳かもしれないけれど、提督に限ってはもう少しアピールしたほうが良いんじゃないかしら? 艦娘の信頼を得ることも、容易でしょ?
 何にしても、私の行動が咎められない理由は、理解したわ。命令として綺麗に処理されていることは、十分に理解したわ。
 ただ、それだけでは終われない問題があるでしょ? そこを解決しない限り、素直には喜べないわ。
「千歳ねぇはそれで良いの? 本当に、それだけで良いの? 命令書は大破と艤装への言い訳でしょ? 私が付けた傷は、関係ないわ」
「あら、それについては説明したでしょ? 私も求めていたから、問題はないって。御礼だって、ちゃんと言ったでしょ?」
「無理してない? 我慢してたりしない? 私が妹だからって、自分が姉だからって。抑え込んだりしてない?」
 千歳ねぇは、一歩退いてしまうから。自分の言葉よりも、相手の言葉を優先してしまう。そんな優しさを持っているから、心配なの。
 傷について納得する為に、自分を誤魔化していないかって、私の為だと押さえ込んでいないかって。どうしても、心配が消えないの。
「そんなことしていないわ。私がしているのは、千代田を抱きしめないとか、着替えを覗かないとか、そういった我慢だけよ? 何でもアリにしちゃったら、傷つけてしまいそうだから」
「付けてくれれば良いじゃない。どうして、遠慮するの? 私はそれだけのことをしたんだよ?」
 私は不意打ちで襲ったのに、同じことをされても良いのに。どうして、遠慮するの? 私は、千歳ねぇに赦してもらわないといけないのに。
「ううん、ダメよ。千代田が償いの気持を持っている間は、ダメ。私はね、恋人として千代田と対等でいたいの。姉ではなく、千代田の恋人として、対等であることを望んでいるの」
 恋人として対等である為に、千歳ねぇは襲わないと言うの? 私は襲われることで、同じように傷を負うことで、対等に慣れると思っているのに。それは、間違いなの?
 分からない。千歳ねぇが受身でことに、拘る理由が分からない。私達恋人として認められているんだから、多少のことなら見逃してもらえるのに。どうして、待つの?
「それなのに、弱みに付け込むようなことはしたくないわ。私は、自分の魅力とテクニックで、千代田を堕としたいの。ちょっとくらいでは抜けられないようにして、私の愛を受け止めて欲しいの。重たい愛を、受け入れて欲しいの」
「そんなの、おかしいでしょ? 千歳ねぇが求めてくれるのなら、私はいつだって……」
 求めて欲しい。私の勘違いではない、千歳ねぇの気持ちが私のほうを向いていると、千歳ねぇも求めているのだと教えて欲しい。
 いつでも良い。今からでも良い。私を求めて欲しい、恋人として求めて欲しいの。
「ダメよ。そんなやり方ではダメ。千代田には、望んで堕ちてもらわないと。妹だからって、甘えさせてあげるわけにはいかないの。抜け出せない場所に、自分の足で来て貰わないとダメなの。言ったでしょ? 私の愛は重たいから。無理矢理押し付けたりなんてしたら、千代田が壊れてしまうわ」
「壊してくれて良いよ? 千歳ねぇが望むなら、壊してくれて良いんだよ?」
「イヤよ。私はお人形で遊びたいわけではないの。千代田の恋人になるって、さっきから言っているでしょ? 求めるだけの恋愛なんて、寂しいだけだわ」
 千歳ねぇが言っていることが、全部分からないわけではない。納得できる部分もあるよ?
 でも、そうだったとしても、待とうとする理由は分からないよ。愛が重たいのは、普通じゃないのは、私だって同じなのに。千歳ねぇだけが我慢している、今を認められるわけないでしょ?
「千代田、理解しなくてはいけないわ。私達の愛は重過ぎて、きっと他の人では受け入れることも出来ない。外から見ているだけでは、どれだけ幸せかも分からないでしょう」
 御伽噺に出てくるような、みんなが憧れるような、綺麗な恋愛は私には無理。きっと、千歳ねぇとの恋愛だって、どろどろとしたものになってしまう。
 愛が重いから。相手のことが大切過ぎて、何も譲れないから。他の人には分からないのかしら? 祝福してもらえないということ?
「けど、そんなの気にしなくて良いのよ? 私が愛しているのは、千代田だけだから。他の人が入り込む余地なんて、微塵ほども残っていないのだから。千代田さえ笑ってくれるなら、それが私の正解よ」
 私は別に良いの。自分がそういうものだって、私の恋はそういうものだって、分かっているから。理解してもらえるような、可愛いものではないって理解しているから。
「千歳ねぇは、本当にそれでいいの? 私に合わせて、我慢してたりしない?」
「そうね。きっかけは、襲われたことだったかもしれないわ。それまでは無自覚で、何かをしたいなんて欲求はなかったし、千代田と触れ合っている時も姉妹としての感情以上は、持ち合わせていなかった」
 私が襲ったりしなければ、千歳ねぇはもっと綺麗な恋愛が出来たかもしれない。私が関わったりしなければ、あそこで我慢出来ていたのなら、みんなに祝福してもらえる恋愛をしていたはず。
「ただ、それは無自覚だっただけの話。心の奥底には、千代田への想いが溢れていたの。触れたいって、抱きしめたいって、千代田への想いはあり続けたの。遅いか、早いか、どれだけの話ね」
 机を挟んでいるだけの、目の前にいるはずの、私の姉。彼女の口から語られる言葉には、重みがあり、私を包み込んでいくよう。
 今までは温かいだけだったのに、時々どろっとしたものが混ざっているように感じてしまう。いえ、もしかしたら、変わっていないのかもしれない。私が気付けていなかっただけで、千歳ねぇは私を求めてくれていたのかもしれない。
「だから、気付かせてくれたことに、求めてくれたことに、私は感謝しているわ。それに、怒ったり、嫌ったりする前に、私は恥ずかしいの」
「恥ずかしいって、どうして? 私には分からないわ」
「それは、千代田が妹だからよ。私は姉として、本来引き受けるべきところを、千代田に委ねてしまった。私が動くべきところを、千代田に任せてしまったの」
「そんな……別に良いじゃない。私が我慢出来なくなっただけよ? それなのに、どうして、千歳ねぇが責任を感じるの?」
「ごめんなさい。千代田がどう思っているかは、関係ないの。これは、私の中での決め事だから」
 恋人として対等でありたいといってくれたのに、姉であることには拘るんの?
 私が勝手にやったことに、責任を感じられても困るんだけどなぁ。
「私はね、姉なの。恋人になりたいけれど、その前から千代田のお姉さんなの」
 事実なのかもしれないけど、それで納得しろっていうのは、無理がない? 姉だから、妹の行動には責任を負うとでも言うの?
 おかしいでしょ、どう考えても、その理屈はおかしいわ。
「分からなくても良いわ。ただ、そういうものもあるんだって、知ってくれれば良い。千代田に譲れないものがあるように、私にも譲れないものがあるだけよ」
「でも、納得出来ないわ。恋人になろうっていうのなら、対等であるべきでしょ?」
「その考え方は間違っているって、否定するわ。恋人として対等であることと、対等であるから恋人になることそれは全然違うのよ?」
 確かにそうかもしれないけど、千歳ねぇのは大き過ぎない? 私、もう子供じゃないんだよ? 守られるだけの、弱い存在じゃないんだよ?
 認めてもらえるように、大人になったつもりだよ?
「それに、対等であろうとしても無理なことってあるでしょ? 対等であることに拘って、幸せになれないのでは意味が無いわ」
 幸せか。うん、変なこだわりを捨てて幸せになれるのなら、それが正しいのかもしれないね。
 私はただ、並びたかっただけなんだ。いつまでも守られる存在じゃないって、妹であることを理由に逃げたくなかっただけなの。
「私はね、千代田を愛でたいの。抱きしめて、甘やかしたいの。うふふ、遠慮なく私の沼に静めてあげるから。二度と逃げられないように、私から離れられないように、きちんと捕まえるから。飛び込んできて良いのよ?」
「それは素敵だけど、イヤよ。そんな一方的に注がれるようなやり方は、イヤ」
 それだと、今までと変わらないわ。妹として愛されるのは、イヤよ。私は恋人になるの。千歳ねぇに認めてもらえる、そんな女になるの。
「なら、精一杯抗ってみなさい。私を溺れさせられるように、千代田無しでは生きられないように。全力で、私を溺れさせなさい」
 私はまじめな話をしているつもりだったのに。千歳ねぇは、どうあっても逸らすのね? 気にしていないってアピールするために、私の話を聞くつもりないんでしょ?
 だったら、私にも考えがあるわ。
「その余裕ぶった顔、絶対に変えて見せるわ。千歳ねぇだって泣くんだってこと、もう知ってるんだから」
「あら、私の涙は高いわよ?」
「必ず泣かせて見せるんだから、後悔しないでね?」
 全てを理解することなんて出来ない。一瞬見えた、黒い部分を見逃すつもりは無い。
 ただ、その全てを含めて千歳ねぇなんだから。私が好きになった千歳ねぇなんだから。もう気にしない。
 そのままを愛せば良いんでしょ? 千歳ねぇが望むことを、私が望むことを、そのまま実現できるようにすれば良いんでしょ?
 ふん、誰が逃げるもんですか。どれだけ重くても、手放したりしない。どれだけ深くても、諦めたりしない。千歳ねぇを離したくないのは、誰にも譲れないのは私だって同じなんだから。
 妹だからって、甘く見ないでね?
 
 ――壊れるほどの幸せに、沈めてあげるわ
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