ここは「魔法少女リリカルなのは」の2次SSをメインとしています。
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1986/07/28
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志保可愛いですよね。きっと、静香ちゃんの陥落も不可能ではないんです。
そんなわけで、微妙にソリの合わなさげな御二人。CPとしていちゃいちゃして欲しいのです。
幸せになれ、このやろー
そんなわけで、微妙にソリの合わなさげな御二人。CPとしていちゃいちゃして欲しいのです。
幸せになれ、このやろー
自分の置かれている環境を、嘆いたところで何も変わらない。不幸を自慢したところで、集まるのは同情だけ。
自分を変えなければ、自分が変わらなければ、世界が変わることなんてないんだから。望みがあるのなら、叶えられるようにするだけでしょ?
前を向き続ける勇気は、私の心に宿っている。
鏡の向こう側
優しい目をしている。そんなことを言われたのは、初めてだった。
私とは違う、みんなの輪の中にちゃんと入れる子なのに、どうして構うのだろう?
心を開くことを恐れ、弱みを見せることを恐れ、独りでいる私。あの笑顔の中に混じる自信がなくて、理由も見つけられなくて、独りになってしまった私。
まじめな子だから、最初は注意されるのかと思った。みんなの輪に入るよう、シアター組として会話に参加するよう、促されるものだと思っていたのに。
「北沢さんは、1人で寂しくないの?」
最初は、そんな言葉から始まった。お互いの名前もロクに呼ぶことがなく、必要以上にしゃべることを私が求めず。苗字で呼ばれているような関係。
それなのに、彼女は話しかけてきた。最上静香は、私との関係を持とうとしてくれた。
私だって、別に嫌っているわけではない。見た目通りというか、真面目であることは、見ていれば分かったし、友達を作るのだって下手ではない。
だから、気になってしまった。私に話しかけた理由を、私をみんなの中に含もうとして理由を、聞いてみたかった。
必要最低限、連絡事項意外でしゃべらないような関係では、仕事をする上でも支障をきたすことになると、分かっていたし。何より、独りでいるのが平気だとは言え、友達が欲しくないわけではない。
「別に、寂しいなんてないわ。にぎやかにするのが、苦手なのよ」
そうは言っても、ライバルでもある彼女に、本音を漏らすようなことは出来ない。本音や弱みというのは、知られていいものではないから。
同じようにシアターに属している者とはいえ、私達がライバル関係にあることは明白で、それを忘れて付き合えるほど、私の心は柔軟には出来ていない。
もっとも、未来や星梨花といった、にぎやかな子達と楽しくやっている彼女に、簡単にバレたりすることはないと思うけど。
「そう、北沢さんは強いのね。私なんて、誰かと話してないと不安なのに」
不安、か。確かに、今までとは違う、全く知らない世界に飛び込んでいくのだから、不安になるのが分からない訳ではない。
ただ、あれだけの歌唱力を持ち合わせているのなら、そこまで怯えなくても良いでしょ? 何を基準に集められているのか、いまいち分からないメンバーだけれど、その中で群を抜いて歌が上手なのだから。
先輩達を知っているから、自信に変えるのは難しいのかもしれないけれど、誰かに認めてもらえる武器があるのは、大きいと思うわ。
「志保でいいわ。これから一緒にやっていくのに、苗字じゃ不便でしょ?」
実際に不便であるかどうかは別として、他人行儀過ぎるのはマイナスとなるでしょ? ずっと1人でやっていけるわけではないのだから、難しくないことは歩み寄れば良い。
そうすることで、新しい自分を発見するチャンスに繋がるはずだから。常に挑戦し続ける姿勢は、この世界では求められるから。
失敗が許されない身としては、ちょっとしたことでも見逃さないようにしていきたい。
「なら……志保は、どうやって演技力を磨いてきたの? 歌やダンスと違って、練習が難しいでしょ?」
演技力? あぁ、今日やった寸劇のことかしら?
「あれは、別にそんなんじゃないわ。ただ、提示された情報に、人物設定も含まれていたでしょ? だから、やれるところを取り込んだだけよ」
演劇部に所属しているような余裕はなかったし、失敗出来ない、負けられないという気持ちで取り組んだだけだなんて、恥ずかしくて答えられない。
彼女に張り合う意思なんてないだろうし、ライバル関係にあるとは言えども、それをはっきりと口に出してしまうのが好ましいとは思えないから。必要なのは刺激しあえる関係であり、牽制しあっていてはお互いがつぶれてしまう。
そういった意味では、話しかけてくれたことに感謝しないといけないわね。私から進んで会話に加わるようなことはないし、苦手意識を持たずに、改善していくべきなのでしょう。
「本を読んだり、ドラマを見たり。そうね、みんなを見ているだけでも勉強になるから、ちょっと参考にさせてもらったわ」
ただの会話の中にもポジションが存在し、得意な話題、苦手な話題というものが存在する。知識量の差による、口数の変化。しゃべることへの意欲が変われば、同じ話題でも盛り上がり方も変わる。
監察するつもりはないけれど、独りでいると意外なほどみんなの会話が聞こえるから。それだけのこと。
「なるほど。参考にさせてもらうわ」
「真面目ね。流しても良いのよ?」
他人の意見を取り込もうとするのは、素晴らしいこと。上に行こうと思っているのなら、大切なことだと思う。
ただ、全てを真に受けて、出来るようになろうとするのは大変よ?
演技が得意なほうには見えないし、そもそもアイドルとしては、あまり意味があるように思えないのだけど?
「それにしても不思議ね。私には、志保がそんなに注意深く見ているようには見えないのだけど?」
「凝視していたら、ただのおかしい人よ。常に考えているわけでもないから」
演技として、役者の道を目指すのであれば、この会話だって無駄にすることなく、細かく分析しているのでしょう。
ただ、それはアイドルとして求められる姿だと思えないから。アイドルになる為に、アイドルとして活動する為に、私はここにいるのだから。まずは、そちらに力を入れるべきでしょ?
例えば、彼女のように歌の上達を目指すほうが、建設的よね。
「そう、だから、なのかしら?」
私の言葉は、彼女に何かを考えさせるほど、難しいことだったの? 思っているままを口にしただけのはずなのに、疑問を感じることでもあったのかしら?
やっぱり、会話って難しいわね。意図したとおりのことが、伝わらなかったりするし。ただ一言を原因にして、仲違いすることも有り得るし。
「さっき、志保が私達を見ていた目が、凄く優しかったの。まるで見守られているような、そんな感じがしたわ」
優しい? それは、本当に私だったの?
別に、何かを考えていたわけでもないのに。どうしてかしら?
「それで気になったの。どうして、そんな目をしているのかしらって」
彼女が疑問を感じた理由が分からないし、優しいと感じた理由も分からない。
ただ、あえてあげるとするなら、弟を見ている時に近かったから? 落ち着きのない子もいるし、ちょっとだけ心配になったりもするから、近いものがあるのかしら?
「心当たりはないわね。気のせいじゃない?」
もっとも、そんな不確定なことを伝える必要はないでしょう。私が分かっていないことなのに、伝わるとも思えないし。
疑問をそのまま、分からないこととして受け入れるのも、大切なことよ? 全てを知ろうとすれば、疲れるだけだわ。
分からないことはいっぱいあって、出来ないこともいっぱいあるのだから。それを認められるのも、強さなんじゃないかしら?
「……なら、そういうことにしておくわ。ごめんなさい、無駄な時間を取らせてしまって」
「別に、問題ないわ。予定があったわけではないから」
生活のリズムが切り替わりつつある今、レッスンを詰め込むことは禁止されている。慣れることに時間を割けるほど、余裕がるとは思えないけれど。ここで倒れたり、体調を崩すようでは、先が思いやられてしまう。
あの心配性のプロデューサーだ。必要以上に、私を構おうとしてくるでしょう。
「それじゃ、お疲れ様。また、明日会いましょう」
「ええ。あなたも無理をしないようにね」
常に焦っているように感じてしまう彼女。何を考え、何を想っているのかは分からないけれど、もう少し余裕を持つべきだとは感じる。ギリギリのラインを狙いすぎていては、1つ失敗するだけで取り返しがつかなくなってしまうから。
ライバルが簡単に消えてしまっては。張り合いがないわ。トップに立てるのは1人だけだけど、その道中すら孤独である理由はないはずでしょ?
――まったく、世話が焼けるわね
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