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ここは「魔法少女リリカルなのは」の2次SSをメインとしています。 ※ 百合思考です。 最近は、なのは以外も書き始めました。
ヽ(*´∀`)八(´∀`*)ノ
プロフィール
HN:
らさ
年齢:
37
性別:
男性
誕生日:
1986/07/28
趣味:
SS書き・ステカつくり
自己紹介:
コメントを頂けると泣いて喜びます。
リンクフリーです。
ご報告頂けたら相互させて頂きます。


メールアドレス
yakisoba_pan◇hotmail.co.jp
◇を@に変えて下さい
当ブログ内のSSは無断転載禁止です。 恥ずかしいので止めて ^^;
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ぬぅ、甘くならない。糖分不足で、私がパーンされちゃいそうです。

ただ、なんとなく、志保のお花畑を見つけられた気はします。1人にすればきっと、堕ちるはずー




 負けるつもりはない。悔しいから、努力をする。
 置いていかれるつもりはない。先に進む為に、努力をする。
 そうして今、私はここに立っている。
 
 
     遠い背中
 
 
 満員御礼とはいかない会場。それでも、イベントの内容的に考えるのなら、十分といえる客入り。
 舞台袖から見える客席の様子は、騒がしく、みんなが楽しみにしてくれているのが分かる。
「どうして、こうなったのかしら?」
 誰かに聞かれる心配はない、小さな声。自分にだけ向けた、棘のある言葉。
 個人的に、今日のイベント内容には納得がいかない。よりにもよって、なぜ私が選ばれたのか、その理由を何度聞いても納得出来ない。
 ただ、納得が出来ないからといって、中止にして欲しいと申し出をするほどに、私は幼くない。プロとしてステージに立つ以上、全力を尽くすべきであり、その言葉をいつも口にしているのが、私自身なのだから。手を抜いたり、不満を理由にどうこうするつもりはない。
「私より向いている子がいるでしょ?」
 アイドルとして、歌うのが嫌いなわけではない。音痴だと指摘されたこともないし、持ち歌がないわけでもない。単純に、私よりもこのステージに向いている人員がいるだけ。
 彼女がオンステージで歌うとなれば、この規模のライブハウスでは収まらない。もっと大きな会場を借りて、その上で完売を目指せるはず。それだけの力があることを、私は知っている。
 背中を見せられるのはイヤだから、差を見せ付けられるのはイヤだから。持ち前の頑固さもあいまって、いつも以上に努力することは出来た。負けたくないと、そう思う気持ちが私を前に進ませた。
 それでも、いえ、努力を重ねたからこそ見えてしまった。彼女との歴然とした差、どれだけ足掻いても埋まらないものがあると、これほどまでに思い知らされたことはない。
 歌唱力では勝てない、純粋な歌では勝負にならない。彼女に勝ると自負できる、演技も足してみた。自分のとく意図するものを上乗せすることで、総合的に彼女を上回ろうとした。
 その結果は散々足るもの。アイドルとして、商品価値としてみた場合、私のやり方は正しかったと思う。自分に出来ることで、足りない部分を補おうとしたのは、正しかったわ。
 ただ、そんなやり方をしたからこそ、彼女の実力をより深く、傍で感じることになった。
 一緒のステージに立ち、その歌声を浴びた時、勝敗にこだわっていた自分がどこかへと、飛んでいってしまったの。凄いものは凄いと、心が認めてしまった。
 だから、そんな彼女が歌わないのが、私にとっては不満。私より上手な子を差し置いて、裏方に回してまで、このイベントが作られている今が、気に入らない。
「志保、難しい顔をしているけど、何かトラブル?」
 アイドルとしての衣装ではない。スタッフとして、この場に参加してくれている彼女。その声はよく通り、私の考え自体が間違っていないのを見せ付ける。
「別に問題ないわ。ただ……」
 ただ、なんと繋げようか。
 静香が歌えないことが不満だから、今日のイベントは中止にして欲しいとでも言う? そんなの、認められるわけない。
 調子が悪くなったから、変わって欲しいとでも言う? 余計な心配をかけるだけなのに、嘘はよくないわ。
「ただ?」
 ここで不満を口にするのは、私のやり方ではない。そんなことをするくらいなら、もっと上を目指せるように努力をすればいい。出来ないことを嘆くのではなく、出来るように足掻けばいい。その方が、建設的。
「私のソロライブなのに、結構入るものね」
 結局、口から出てきたのはただの感想。分かりきっている、見れば分かること。
 それに、この感想は失礼だ。不思議に感じることはあっても、アイドルとしての私にはファンがいる。その事実は分かっていたはずで、こんなふうに表現するのは、いいことではない。
 ダメね。イベントに対する不満を思うほどの余裕があるからこそ、無駄な会話をしてしまった。開演まで時間があるとはいえ、気が緩んでいる。
「そうね。まだ開演まで1時間以上あるのに、既に半分以上が埋まっている感じかしら? 会場、最初の予定より大きくしたのに、予想以上だったのね」
「会場、変更してたの?」
「やっぱり聞いてなかったのね。まぁ、練習中の志保に伝えた、プロデューサーが悪いんだけど。チケットが完売した後も、随分と問い合わせがあったみたいよ? それで、収容人数の多い会場に変更したみたいだけど、ライブハウスに拘ると、ここら辺が限界みたいね」
 プロデューサーに何かを言われたような気はしていたけれど、会場の手配とかは全て任せてしまっていたから。自分の出来ることだけに集中してしまっていたから。会場が変更されていたのには、気付けなかったわ。
 興味がないからといえば、それまでだけど。ソロライブで、いつもどおりを貫こうとしたのは失敗だったわね。今からでもいいし、ちょっとは情報を掴んでおきたいわ。
「それにしても、ライブハウスに拘ったって。私はそんな希望出してないわよ?」
「ライブハウスに拘ったのは、プロデューサーよ。歌を届けるだけではなく、志保の表現力を含めた、アイドルとしてのステージを届けることに意味があるって。その為には、ホールみたいなところでは意味がないから、大き目のライブハウスを探したって聞いてるわ」
「ごめんなさい、初耳よ」
 なんだか、今の私が予見されていたみたいで、ちょっと恥ずかしい。
 確かに、今日のイベントに向けてのレッスンは、少し違和感があった。いつもであれば、飽きるほどに繰り返されるボイスレッスンと、そこから派生するように時間をとられる歌のレッスン。その2つが中心になるはずなのに。ダンスのレッスンが削られることはなく、演技の時間が削られることもなかった。
 小さな役とはいえ、ドラマの仕事が入っているから、その対策だと思っていたけれど、実際のところは今日に向けてのものだったのかしら?
「そうでしょうね。亜利沙さんが過去のイベント履歴とか、設備とか全部調べてて、そのデータベースから選定されたから。会場の変更は、かなりスムーズに進んでたし。志保にそんなことを伝えても、邪魔になるだけでしょ?」
 実際のところ、レッスン中の私にそんな話をされたところで、覚えているとは思えない。プロデューサーが問題ないと判断したのなら、それでいいと、頭の片隅にも残さなかったでしょう。
 自分のことながら、呆れるわね。
「ちなみに、私がスタッフとして動いているのは、志保のステージを近くで見たいからよ。他にも何人かいるけど、ほとんどは同じ理由ね」
「何か、参考になるものがあるかしら? ステージと入っても、メインは歌よ? 静香が参考にするようなものがあるとは、思えないわ」
 演劇でなら、舞台でなら。静香にも見て欲しい。輝いてみせると、そう伝えることも出来るでしょう。
 ただ、プロデューサーがどれだけ拘ってくれたとしても、今日のメインは歌だから。静香が参考にするほどのものがあるとは思えない。
「あら、私は好きだから見たいのよ? 志保が歌っている姿が、楽しそうにしている姿が見たいから、ここにいるの。ダメかしら?」
「ダメとは言えないけど」
「なら、良いじゃない。ライブハウスだから、関係者席もないし、客席側にいくのは禁止されたから。断られたら、どうしようかと思ってたの」
 ここまで言われて、反論出来るはずもない。楽しみで仕方ないと、全身で伝えてくる彼女に、ダメだなんていえるはずないでしょ?
 静香が傍にいてくれるのは心強いし、見ててもらえるのならいつも以上の力が出せるかもしれない。
 何より、彼女の笑顔が待っていると分かってから、私の心は弾んでいる。歌いたくて仕方ないと、踊りたくて仕方ないと、私の心が騒いでいるから。
 会場に来てくれているファンのみんなには悪いけど、今日のこのステージは彼女の為に、応援してくれる静香の為にベストな結果を目指すことになったから。
「さぁ、もう時間がないわよ? 準備はいいかしら?」
「ええ、大丈夫よ。いつでもいけるわ」
 不満は解消され、私の心も待ちきれなくなってきた。それに合わせるように、会場がいっぱいになっていく。
 胸に宿る熱は、いつも以上のもの。それを絶やすことなく、沈めることなく、終了時間まで駆け抜ける。
 
―-さぁ、開演の合図を送りましょう
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