【アイマス】辿る道の先【はるちは】

その２だよー

６月１日のイベント、目指すよー

　明日を目指す為の元気、明日を目指す為の勇気。あなたは、それをどこで手に入れますか？

　先の見えない道を進み続ける為に、あなたを支えてくれるものは、何ですか？

　明確な答えのある、そんなあなたは、幸せな人でしょう。

　

　

　　　　　辿る道の先

　

　

　将来についての不安は、誰でも抱えているものだと思う。いつも笑っている人でも、その笑顔の裏には、葛藤と悩みがあるはず。

　その上で、笑顔になれるのだから、本当の強さと言うものを、私は垣間見ている。

　自分にないものを求め、自分に出来ないことを認め、それだけで終われると思っていたのに。結局のところ、私は彼女に惹かれ、隣にいることを望んでしまう。

　それが甘えであり、依存している状況であることは、理解している。ただ、理解していたとしても、止めたいと思わないあたり、私はもうダメなのだろう。

「春香は、不安になることはないの？　その、将来についてとか」

　何がきっかけで、始まった話かしら？　転がるように話題を変えていたせいで、思い出すのは難しい。

　楽しい話をしていたという気持ち以外、記憶に残っているものは少ない。それほど重要だと捉えず、楽しさだけを優先した結果ね。

　ただ、以前から気になっていた、彼女の強さ。それを知るには、良い機会なのかもしれないと、そう判断したのは事実。

　彼女のことを知りたいと、１つでも多くの情報を得たいと、そう思う心が言葉になってしまったのね。

「んー、不安になることはあるよ？　怖いことだっていっぱいあるし、もしもこうなったらどうしようって、思うこともあるよ」

　春香の夢はトップアイドルであり、同じ事務所にいる、例えば私であっても、ライバルには変わりはない。彼女の道を阻むつもりはないけど、ぶつかる日があったとしても不思議ではない。どんなに努力したとしても、同じステージに立っている以上、対立関係になる可能性はある。

　春香としては、それは辛いことであり、出来ることなら避けたいはずだと、私は思っている。

　高め合える関係というのは、どうしても競う要因が出来てしまうのだから。

「トップアイドルを目指していても、どうなればトップアイドルなのかも分からないし。凄いなーって、憧れちゃうアイドルは、いっぱいいるし」

　春香は、アイドルに憧れて、キラキラとしたものに憧れて、この世界に飛び込んだ。目指しているものは、はっきりとしている。

　でも、はっきりとした目標なのに、達成基準としてはあやふや。トップアイドルとして、明確な基準はない。

　それなのに走り続けて、大変なことも笑顔で乗り越えて、恐怖を抱えているのは凄いわ。私には、真似出来ない。

　私が目指しているものとは違うけれど、やっぱり春香は凄いわ。強くて、まぶしい、太陽みたいな子ね。

「それに、あんまり考えたくはないけど。ずーっとアイドルでいることは、出来ないでしょ？」

「そうね。確かに、いつか転身が必要になるわ」

　アイドルとしていられる、アイドルだけでいられる時間は短い。長く続けていくなら、どうしても歌手や女優としての道へ、踏み込んでいく必要がある。

　どれくらい先のことかは分からないし、それまでアイドルでいられるという保証もない。考えても仕方のないことだし、春香は見ていないものだと思っていたのに。しっかりと考えていたのね。

「でも、そういった難しいことを、今考えるのは止めたんだ。先のことを考えて、見えてもいない恐怖に震えて。そんなの、アイドルじゃないから。私が憧れたアイドルは、そうじゃないから」

　綺麗ごとだと、笑う人もいるでしょう。将来のことを、しっかりと考えるべきだと、諭す人もいるかもしれない。

　ただ、忘れてはいけないことが、１つだけある。春香が、アイドルとして考えた結論が、これなのだと。彼女の強さは、ここから生まれるのだと。その事実を、忘れてはいけない。

　私を、みんなを元気にしてくれる、春香の笑顔は、春香が悩んだ結果、見せてくれると。

「今笑顔でいられるのなら、明日も笑顔でいられるって。それを繰り返していけば、いつか未来に辿りつくから。その時に考えようかなって」

「春香らしくて、良いわ」

　そういって笑ってくれる、あなたがいるから、私も頑張ろうって思う。あなたの笑顔の為になら、どんな壁でも乗り越えられるから。諦めると言う、悲しい選択肢を選ばなくて良い。

　全力を出せば良い、何も惜しむことなく、全てをぶつければ良い。それでもダメなら、次にまた頑張れば良い。

　どうしようもないと、ダメだって諦めなければ、どうにかなる。大丈夫って言えるのなら、また挑戦出来る。

　そうやって頑張っている春香を、私は知っているから。負けたくないの。あなたの頑張るこの世界で、羽ばたきを止めたりしない。

「ありがとう、春香。私も、頑張れそうよ」

「えへへ、なんでお礼言われてるのか、分からないけど。千早ちゃんが喜んでくれるのなら、それでいいや」

　物事を難しく考えるのは、悪いことではないと思う。分からないことに、恐怖を抱くのも、悪いことでもない。

　ただ、想像するだけで何も出来なくなるのなら、考えないと言う選択をするのだって大切。分かってはいても、中々出来ないことよ？

　春香の隣にいたいと、そう思うのだから、私にも出来るようにならなきゃね。

　

――さぁ、今日を頑張りましょう。