【アイマス】どこかの世界で【はるちは】

っしゃ、おら、いくぞー！

あ、意味はありません。書くことなくて、困っただけです。
３本目UP

　人は何故、幸せを望むのでしょうか？　不幸なままでいることは、許されないことなのでしょうか？

　誰も不幸であることを、望みません。みんなが幸せになることを、願っています。

　それなのに、幸せになれる人は少なくて、ほとんどの人は諦めない為に、努力しています。

　ねぇ、どうして、幸せになることを望むのでしょう？

　

　

　　　　　どこかの世界で

　

　

　私のいるこの場所が、幸せで満たされているかどうかなんて、分からない。私の進む道が、幸せに溢れているかどうかなんて、誰にも分からない。

　ただ、幸せになるように努力をして、幸せを逃がさないために、私は笑顔でいるって決めたから。どんなに辛いことも、どれだけ難しいことも、笑顔で乗り越える、そんなアイドルになるって、私は決めたんだから。

　そこは譲っちゃダメだよね。

「春香は、強いのね。笑顔がまぶしいわ」

　そんなことはないんだよ。そんなこと、ないんだよ。私には何もないから、千早ちゃんみたいに、これと言えるものがないから。だからこそ、トップアイドルを目指すんだよ？

　私の目標は、夢に見ているのはトップアイドル。どうすれば良いかも分からない、誰がなっているかも分からない、そんなものを目指しているの。

　それに比べて、千早ちゃんは凄いよ。歌で頑張るって、歌を頑張りたいって、もう決めているんだから。私には、そんなに強い意志がないの。

　だから、トップアイドルという夢にだけ、突き進む。ほかの方法を知らないから、私のやり方で頑張る。

　いつか転んでしまうかもしれない。倒れて、起きる気力がなくなっているかもしれない。その時にこそ、私が今まで積み上げてきたものが、振り返りもせずに溜めてきたものが、今の私を助けてくれるはずだから。その時まで、走り続けているの。

　誰かに夢を届けられる、夢を持ってもらえるような、そんなアイドルになりたい。幸せをもたらすような、そんなアイドルになりたい。

「千早ちゃん、幸せって何かな？」

　いつか聞いたことのある、興味本位の質問。確実な答えなど求めず、はぐらかされても気にしないような、些細な疑問。

　けれど、彼女は笑ったりしなかった。軽く流すこともなく、真剣に考えてくれた。幸せの意味、幸せの価値、幸せの変化。その全てが、私にとって新鮮で、彼女の声が聞こえるたびに、新しい世界を切り開いてくれた。

　どういった状態を、幸せと呼ぶのか。その人の幸せと、一般的な幸せとの対比。幸せになることによる、周りへの変化、周りから受け取る変化。私の知らないこと、私の考えていないこと、私の驚くこと。

　その全てを、千早ちゃんが１人で説明してくれた。

　だから、私は千早ちゃんに語ってもらえるような、幸せとは春香のような状態よって、そう言ってもらえるように頑張るんだ。千早ちゃんに、１回でも多く名前を呼んで貰うために。私のことを、見てもらう為に。私に強さを教えてくれた、千早ちゃんに認めて貰う為に。

「そうね、今の自分を許せることじゃないかしら？　幸せなら、気持ちにゆとりも出来るでしょ？　きっと、自分自身を見つめる余裕が出来るわ」

　千早ちゃんの言うことは難しい。時々、分からなくなるし、置いていかれているみたいで寂しい。

　ただ、それは千早ちゃんが、私よりも幸せについて真剣に考えている証拠。彼女の努力が刻んだ、確かなものだから。聞くだけで、ちょっとすっきりする。

　千早ちゃんが、自分自身のことを見つめていると、過去の出来事を、見ない振りするのではなく、受け入れて、その上で乗り越えたんだって。私も嬉しくなっちゃうから。

　千早ちゃんが、目指す夢に向かって踏み出している、その一歩。長くて、険しくて、一寸先すら見えなくて。

　それでも、彼女は進んでいくから。全てのものを乗り越えて、進んでいくから。私は、しっかりと応援するよ。千早ちゃんが望むところへたどり着けるよう、声を届けるよ。

「千早ちゃんは、幸せになれそう？」

「どうかしら？　良く分からないから、幸せになる努力はしていくつもりよ？　いつか失った時に、昔を振り返れた時に、今が幸せだったんだって、笑って見せるわ」

　つまらない世界も、代わり映えのない日常も、変えようとする心が大切なのかもしれない。私には、真似出来ない事をしている。

　やっぱり、千早ちゃんは凄いよ。私よりもずっと、未来のことを考えているんだね。

　けど、私だって負けないよ？　夢を諦めることはできないんだから、私も頑張るんだから。いつか、私の頑張りを認めてもらうからね。

「そっか。千早ちゃんて、大人だね」

「春香も変わらないでしょ？」

　そう言ってもらえるのは嬉しいけど、同情はいらないよ？　私だって、まだまだなこと、分かっているんだから。

　目指しているところに、辿りつけていないのは、分かっているから。アンテナを立てて、諦めずに進むから。ちょっとだけ先で待っててね。

　すぐに隣に並んで、一緒に歩けるようになるから。

　

――私の居場所は、私が作るの