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ここは「魔法少女リリカルなのは」の2次SSをメインとしています。 ※ 百合思考です。 最近は、なのは以外も書き始めました。
ヽ(*´∀`)八(´∀`*)ノ
プロフィール
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らさ
年齢:
37
性別:
男性
誕生日:
1986/07/28
趣味:
SS書き・ステカつくり
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千早ちゃんに寝込んでもらいました。
そして、春香さんが看病するっと……イイネ




 留まることを許されない世界。止まることを望まれない世界。常に新しいものを探し、常に上を目指し続ける世界。
 時には挫折することさえ許されず、折れた翼をかばいながら飛び続ける。
 けれど光り輝くものを目指し、今日もまた希望者が門を叩く。
 
 
     空濁りて
 
 
 千早ちゃんが風邪をひいて寝込んでいる。それを聞いた瞬間、私の今日の予定は全てキャンセルされ、スーパーマーケット経由で千早ちゃんのところへ向かうことだけで、頭が一体になってしまう。
 ちょっとくらい調子が悪くても、事務所には繰るのに。そんな千早ちゃんが寝込んでいるだなんだて、放っておけない。
 何より、体調不良であることを、プロデューサーさんから聞いたのは大きい。きっと、私に心配をかけないようにって、気と使ってくれたのかもしれないけれど、逆効果だよ。声も聞けない内に、納得出来るはずないでしょ?
 来週にはレコーディングも控えているのに、ライブだって計画されているのに――このままでは千早ちゃんが後悔してしまう。自分の力が足りなかったって、後悔してしまうから。そうなる前に、私に出来る全力で応援したいって、そう思ったの。
 だから、どんな状況なのかも聞かずに、合鍵を使って経部屋に飛び込んでしまった。チャイムを押して、起こしてしまうのも悪いと思ったから、鍵を開けてしまった。
 大丈夫、そこまではちゃんと覚えている。着替えようとしている千早ちゃんを押しとどめ、濡れタオルで汗を拭いて、着替えさせたところまでも覚えている。うなじが眩しく見えて、髪の毛に隠された背中は神秘的で、千早ちゃんにそんなつもりがないのは分かっているけれど、凄くどきどきした。
 相変わらず調味料しかなくて、使用頻度が低そうなキッチンを借りて、おかゆを作ったのも覚えているよ? えへへ、千早ちゃんが嬉しそうに待っていてくれて、美味しいって食べてくれたのも、ちゃんと覚えているんだから。
 熱は殆どなくて、セキがでるって聞いたから、おろしショウガを入れた紅茶だって入れたし、千早ちゃんが寝付くまで側にいるつもりだったの。体調が悪い時は、どんなに強い人でも不安になってしまう。それは千早ちゃんも変わらないはずだから。
 ただ、元々の予定では、ちゃんと帰宅するつもりだったんだよ? 事務所からきたからお泊りセットもないし、私がいることで疲れさせてもいけないし、千早ちゃん、気を遣って起きていようとするかもしれないから。
 ちゃんと、帰るつもりだったんだからね? そこは、ちゃんと分かっていてほしいな。
「うん、友達のところに泊めてもらうことになったから……うん、明日には帰るよ」
 今日は帰らないことを電話で伝えて、明日の予定を確認して――私は千早ちゃんの隣に戻る。
 ベッドでちゃんと横になっている、弱々しい彼女の側へと戻る。
「ごめんなさい、春香。その、困らせてしまって」
 いつもは凛々しさを感じさせてくれる瞳も、今はその強さを感じない。こちらの様子を伺うように、申し訳なさそうにしている。
 布団のふちから手と、顔の半分だけを出している姿。こんな時でなければ、写真にでも収めたいところだけど、残念。看病の為に側にいるんだから、そんなことしちゃ駄目だよね。
「困ってなんかないよ。ただ、ちょっと驚いただけ」
 うつすといけないから、帰りなさい。明日の予定もあるでしょ、春香を待ってくれてるファンがいるんだから。
 そんなふうに言われて追い返されるって、私は思い込んでいた。どんなに心配しても、そこまでは踏み込ませてくれないって、恋人でも許してくれないって思っていたのに。
 まさか、側にいて欲しいだなんて、千早ちゃんの口から直接聞けるとは思っていなかったよ? そこまでの弱さは見せてくれないって思い込んでいたから、嬉しいな。
 この嬉しさ、誰かに話してしまいたい。嬉しさを共有してくれそうな人、いるかな?
 普段強気な彼女が、病気の時だけとは言え、私のことを頼ってくれた。側にいて欲しいって、そう願ってくれた。弱い姿を見せても良いって、気を許してくれたの。
 凄く、素敵なことでしょ?
 惜しむべきは、側にいるのにお喋りを楽しめないこと。千早ちゃんに負担をかけたり出来ないから、眠ってもらわないとね。
「私は嬉しいよ。千早ちゃんが頼ってくれて」
 熱は大したことないけれど、私よりも随分と温かい手を握り、そのまま布団の中へと導いて行く。少しでも早く治るように、彼女の負担が減るように。私に出来るのは、それくらいのことだけだから。
 変わってあげることは出来ない。魔法のように治してあげることも出来ない。側にいて、安心してもらうことしか出来ないの。
 だから、出来ることは全部するよ? 千早ちゃんが望むことも、口にしてくれないことも。折角側にいられるんだもん。
「さぁ、寝よ? 今日だけで治してしまうつもりなんでしょ?」
「ええ。長引かせるようなこと、したくないわ」
 うーん、やっぱり強気なところが、全部なくなってるわけじゃないんだね。次を目指して進もうとする瞳。そこに力が宿っていることを、強い言葉が教えてくれる。
 少しくらい休んでも、誰も怒らないのに。千早ちゃんは強いね。時々怖くなるよ。
「折角いてもらうのに、ごめんなさい」
「ううん。明日になったら、元気になった千早ちゃんと、いっぱいお喋りするから。気にせず、休むことに専念して」
 明日からを頑張る為に、今はしっかりと休まなければいけない。それは、プロとしても大切なことでしょ?
 私は、そんな千早ちゃんを応援出来るの、嬉しいから。頼ってもらえて、嬉しいから。気にしないで。
 
――千早ちゃん、おやすみなさい
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