【アイマス】空の檻【はるちは】

（・ｗ・）　アイマス２面白い
　　　　　　今更、やり始めた私です。

はい、アイドルマスターより、はるちはです。
今回は千早サイドとなりますが、先は長そうです。

　心とは、どこからきているものなのでしょうか？　心とは、どこにあるのでしょうか？

　形のない想いに囚われて、自らを縛ってしまうのは何故ですか？　はっきりとしない気持ちを足かせに、立ち止まってしまうのは何故ですか？

　私達は自由であるべきなのに、何故自らを縛ってしまうのでしょうか？　非効率だとしか言えません。

　

　

　　　　　空の檻

　

　

　歌は翼であり、私を高みへと連れて行ってくれるもの。音楽とは友人であり、私を高めてくれるもの。

　歌さえあるのなら、他はどうでも良い。歌えるのであれば、どのようなことも我慢できる。

　そう考えて、芸能界の扉を叩いた筈。過去の私は、確かにそのような考えに囚われて、この世界へと踏み込んだ。

　あれから色々なことがあり、今ではアイドルとしての活動も板についてきた。それが悪いとは思っていないし、私の歌を楽しみにしてくれているのなら、そのスタイルに疑問を持つのも馬鹿らしくなってきた。

　ただ、１つだけ忘れてはいけないのは、そう思わせてくれた彼女の存在。彼女が隣にいてくれたからこそ、彼女の笑顔があったからこそ、私はここにいる。アイドルとしての自分も悪くないと、素直に歌が好きと言っても良いと、全て彼女が教えてくれた。

　天海春香。彼女こそが、私にとってのアイドルであり、今の私がここにいる理由。同時にかけがえのない友人でもあり、特別な感情を抱いてしまった相手。

　私自身、少し面倒なタイプであることは理解している。口を開けば歌のことばかり、みんなと足並みを揃えるのは苦手なくせに、一度決めたことを中々曲げられない。アイドルとしてはいつまでも半人前で、ステージパフォーマンスだって年下の子に負けてしまう。

　何より、相談もしないのに勝手に落ち込んで、わめき散らして、みんなに迷惑をかけたこともある。凹んだら中々回復出来ないし、助けるよりは助けられる立場。

　そんな私なのに、春香は見捨てることもせず、側にいようとしてくれた。彼女にとっては、当たり前の行動だったのかもしれない。とても単純な理由で、聞いても覚えていないような、そんなことかもしれない。

　けれど、私には理解出来なかった。自分の時間を割いて、私の我がままをただ聞いて、ひどい言葉を投げつけられても退かないで――きらきら輝いていた。目標に向かって、進む姿が格好良かった。

　好きになってしまった今なら分かる。あの時よりも仲良くなれた、私には分かってしまう。

　私は、私の弱さを見つけてくれて、認めてくれて、受け入れてくれた。そんな春香にすがったのだと。情けなくも、弱々しくも、彼女の腕にすがってしまったのだと。

　それと同時に恋心を知り、自らの感情が向かう先を知り、恥ずかしくなった。いくら弱気になっていたからって、それは無いだろうなんて、呆れたりもした。

　けれど、現実は変わらない。私の心が休まるのは春香の側で、彼女の隣を目指すために、私は羽ばたいていると、気付いてしまったから。気持ちの行き着く場所、そこには彼女の笑顔が必要なんだって、理解してしまったから。

　自覚してしまえば、疑問が解消される。私の空からは、雲が１つ残らず吹き飛ばされ、どっちを向いても、息がこぼれるほどの青空が広がっている。ずっと探していた、求め続けていたものが、そこには広がっている。

「私には、翼がある。歌は、あなたの心にも届いている」

　春香、知ってた？　私は、臆病なのよ。いつか忘れられるんじゃないかって、誰の記憶にも残らずに、目の前にいるのに気づいてもらえなくなるんじゃないかって、怖いの。

　ずっと笑っていることなんて出来ないわ。怖いものを直視することも出来ない。明日の行く先も分からない、この世界で頑張り続ける自分を、想像出来ない。

　でも、あなたが手を握ってくれるなら、千早ちゃんって呼んでくれるなら、もう少しだけ頑張れる。

　今日を頑張る気持ちは、昨日の春香にもらったわ。

　明日を目指す元気は、今日の春香がくれるのね。

　未来を目指す力は、明日の春香がくれるのかしら？

　全ての私には、春香が必要なの。ちょっと重たいかもしれないけれど、これが本当の私だから。誰にも話せない、口に出せない、私の本心。

　認めたくない、こんな弱さなんてなくなってしまえばいい。そう思えるものだけれど、これだって私なんだから。いつか、春香には伝わってしまうのかもしれないわね。

　でも、大丈夫よ。あなたの邪魔だけはしたくないから。誰かにバレて、トップアイドルへの憧れを閉ざしたりはしないから。

　思い出と、優しさだけ、私に頂戴？　７６５プロの名前を広めて、あなたのステージも広げて見せるから。どこへ飛んでいってもフォローできるように、側にいられるように、頑張るから。

　私の歌は翼になる。大空を羽ばたき、突風を巻き起こす。はるかなる高みも、まだ見えぬ未来にもたどり着ける。

　舞台が変わっても、恐れない。世界が相手でも、怯えたりしない。あなたが教えてくれた気持ちを、その勇気を誰かに届けるから。

　春香、私はもっと頑張れるわ。

　

――頼ってもらえる、千早ちゃんでいる為に