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ここは「魔法少女リリカルなのは」の2次SSをメインとしています。 ※ 百合思考です。 最近は、なのは以外も書き始めました。
ヽ(*´∀`)八(´∀`*)ノ
プロフィール
HN:
らさ
年齢:
37
性別:
男性
誕生日:
1986/07/28
趣味:
SS書き・ステカつくり
自己紹介:
コメントを頂けると泣いて喜びます。
リンクフリーです。
ご報告頂けたら相互させて頂きます。


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yakisoba_pan◇hotmail.co.jp
◇を@に変えて下さい
当ブログ内のSSは無断転載禁止です。 恥ずかしいので止めて ^^;
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・w・) 今度は はるちは だよー

はい、いつも通りですが、コメントすることないんですよね



 時計の音が大きく響く部屋。私が生活しているはずのこの部屋は、随分とシンプルな家具しか揃っていない。
 寝る為の場所。音楽を聴けるのであれば、鍵がかかる場所で眠れるのであれば、多くを望むつもりはない。
 ただ、彼女が不満を感じているようなので、もう少し家具を増やしてみようと、色を増やしてみようと思う。
 今までここにはなかったものを受け入れ、昨日まではなかったものを作り出せる場所に変えていく。その変化は歓迎すべきはずのものだから。
 そう、心に生まれてしまった、小さな穴に比べれば、歓迎していいはずのもの。
 
 
     真夜中の訪問者
 
 
 暗闇というのは、孤独を強く感じさせる。いつもと変わることがない、独りきりの部屋だというのに、どこかに寒さを感じてしまう。
 それはなぜかと問われれば、彼女の明るさを、笑顔の温もりを知ってしまったからで、以前の私であれば気にもしなかったはずのこと。
 けれど、気付くだけの余裕を得た今、私は弱さと同時に強さも手に出来たから。私の変えてくれた彼女には、感謝している。
 そう、間違いなく感謝している。折れていたかもしれない、私の羽。それが砕けぬよう、守ってくれた。どこまでも飛んでいけるようにって、支えてくれた。その事実に感謝をしても、恨み言を言うつもりはない。
 独りでも大丈夫だと、強がっていた私は過去に置いて、今の私は一緒にいることでの、本当の強さを手に入れた。弱さを抱えることも出来ない、そんな強さは続かない。強いままでいたいのなら、誰かと一緒にいる道を選ぶべき。
 私は、それを春香から教わったの。
 ただ、手に入ってしまった弱さというのは、厄介なもの。平気だったはずのことが怖くなり、満足していたはずのことに不満が残る。良い方向に進んでいるとは思うけれど、厄介であることに変わりはない。
 例えば今も、過去の私であれば考えられなかったような、非常識な行動に出ようとしている。
「春香は、眠っているのかしら?」
 夜中と呼んでも差し支えのない時間。そんな時間に、メールを送ろうとするなど、迷惑な行いでしかない。睡眠を妨げられれば、いくら春香でも機嫌が悪くなるだろう。
 明日のお出かけ――デートにも、影響が出てしまうかもしれない。
 何より、明日のことを考えるのであれば、一刻も早く寝るべきで。例え眠れなかったとしても、目を閉じているだけで疲労は違うもの。
 それだけのことが分かっていながら、危険性を把握していながら、どうして私の指は、止まろうとしないのだろう?
 洒落た内容を送れるわけではない。お得な情報を発信するわけでもなければ、急ぎの仕事の連絡でもない。ただ、寂しいから送る、そんな短い文章。もし、起きているなら、春香の声を聞きたいという、ただの我が侭。
 これを受け取った春香は、どう感じるのかしら? 千早ちゃんでもこんなメールを送るんだねって、笑ってくれるかしら?
 それとも、私のことを嫌いになってしまうのかしら? 
 どんな未来を選び取ってしまうか、全く分からない。いきなり嫌われるようなことはないと思いたいけれど、寝ているところを邪魔されれば、誰でも機嫌は悪くなってしまうもの。春香も、当然良いようには思わないでしょうね。
 そもそも、気付かずに寝ているという可能性もある以上、このメールにはなんの意味もないのかもしれない。
「それでも、送るの?」
 意外なほど反響する声は、私自身の答えを求めている。送るのか、送らないのか。
 今の気持ちのままで眠るのは難しいでしょうから、きっと朝まで考えることになってしまう。そうなれば、明日の予定に影響するのは分かり切っていることで、安全な道を選ぶのであれば、メールを送ることを諦め、目を閉じてしまうのがベスト。
 そんなのは、分かってる。理解しているつもりなの。
 ただ、気持ちの部分で納得していなくて、送りたい、春香の声を聞きたいと、駄々をこねている。
 そんな迷惑になるようなこと、春香に嫌われる原因になるかもしれないこと、避けたいのに。どうして、我が侭を言うのかしら?
 自分の気持ちくらい、ちゃんと制御出来ていたはずなのに。独りで過ごす夜なんて、慣れているはずなのに。どうして、そんな我が侭を言うの?
 春香を困らせるなんて、私のすることではないでしょ? 我が侭を言うなんて、私らしくないでしょ?
 そう、我が侭を言うのは、春香の役割で、私はそれを聞く立場。困ったように笑う、その笑顔を満開にしたくて、一緒になって考えるのが、私のやりたいことでしょ?
 だったら、どうするべきか、分かるわよね? メールを消して、携帯電話を閉じて、目を閉じる。その時にちょっとだけ悲しいかもしれないけれど、明日のことを考えれば、明日訪れる幸せを考えれば、小さなものよ。
 さぁ、行動しなさい。いつも通りの如月千早でいる為に、行動しなさい。
 
 ピッ
 
 メールを送信しました。
 暗い部屋に輝く、私を照らし出す画面。そこに映し出されている文字は、私が望んでいたものとは違う。
 タイトルを入れることもなく、削除されるはずだったメール。簡素でいて、私の欲望だけを積めた文章。
 それが、春香の下へと送られてしまったことを、意味する文字。
「え? どうして、送ったの?」
 機械に疎いとはいえ、この程度の操作であれば間違えることはないはず。いつもなら、ちゃんとボタンを確認して、確実にメールを消しているはずなのに。
 そう、いつもなら、ちゃんと画面を見て、ミスがないようにしっかりと確認するはずなのに。目を閉じたまま、考え事をしたまま、ボタンを押してしまった。
 その結果として、意図しない形でメールが送られた。うん、それは理解できる。ちゃんと確認しないから、失敗してしまっただけ。
 そして、今、私の携帯電話には、着信が入っている。マナーモードになったまま、ブルブルと震える携帯電話。映し出される画面には、『春香』の文字。私が待ち望んでいたはずの、大切な人の名前。
 けれど、この電話がかかってくるということは、メールを送ってしまったということで、春香を怒らせてしまったかもしれないという、最悪の未来をひいてしまった可能性がある。
 逃げたい。今すぐ携帯電話を投げ出して、どこかへ逃げてしまいたい。見なかったことにして、何も知らなかったことにして、逃げてしまいたい。
 そう願う想いとは裏腹に、私の指は通話ボタンへと伸びていく。春香の声を聞くために、今すぐの幸せを手に入れるために。
 だって、仕方ないでしょ? 寝ていたかもしれない春香を起こして、電話をかけさせているのよ?
 その状況で逃げ出すとか、失礼にも程があるわ。せめて、ちゃんと電話に出て、謝罪をしなければいけない。そうしなければ、明日顔を合わせるのも気まずくなってしまう。
 春香を理由にすれば、全てを肯定してしまう理性と本能。その事実には嫌気がさすけれど、今ほど都合が良いと感じたことはない。
 言い訳は完璧。自分はしっかりと騙せたはず。
「もしもし、春香? ごめんなさい、こんな時間にメールして」
 そっと吐き出される吐息と共に、言葉がこぼれていく。嫌われたかもしれないのに、文句のための電話かもしれないのに。春香に話しかけているという事実だけで、私の心が満たされていく。
「えへへ、私も起きていたから、大丈夫だよ。明日が楽しみで、寝られなかったんだ」
 電話から響くのは、春香の元気そうな声。若干眠気が混じってはいるのか、声の強弱が揃ってはいない。
 ただ、そんな小さなことで私の幸せが変わることはなく、どんどんと温かいものが溢れてくる。さっきまで暗鬱とした気分だったはずなのに、明かりに照らし出されたような気分になる。
 やっぱり、春香は私にとっての太陽なのね。先を照らし、私を包み、元気を与えてくれる。
「そうなの? ちゃんと寝ないとダメよ? 春香、最近忙しいんだから」
 ただ、夜更かしを見逃すのと、私の心が温まるのは、全く別の話。
 春香にはいつも笑顔でいて欲しいからこそ、健康的な生活リズムを刻んで欲しい。我が侭かもしれないけれど、それが私の願いだから。
「千早ちゃんには、あんまり言われたくないかな? 私以上に忙しそうなのに、休日も歌っていたりしない?」
 ――どうして、バレているのかしら? 新曲を貰って以降、早く春香に聞いて欲しくて、1日でも早く形にしたくて、練習を重ねているのは事実。
 ただ、それを誰かに伝えたことはないし、春香にもバレないように気をつけていたというのに。どうして、1番伝わって欲しくない人だけに、ちゃんと伝わってしまっているの?
 もしかして、隠しごとするの下手なのかしら? そんなつもりはないのだけれど、気をつけた方が良いわね。
「黙ってるってことは、心当たりがあるんでしょ? ダメだよ? 千早ちゃんだってか弱い女の子なんだから、ちゃんと休まないと倒れちゃうよ?」
「知っていたわけではないのね。確かに、弱いところがあるのは認めるわ。ただ、か弱いだなんて、そんな言葉で自分を守るつもりはないわ」
 弱いと言えば、聞こえが良い。守って欲しいと、素直に甘えているように聞こえるのかしら?
 ただ、それを確かめる術を私は持たない。直接、春香に確認するような、勇気もない。出来るのは、事実を確認することだけ。か弱いという言葉で表現されたくない、私の心を伝えるだけ。
 そう、弱いと認めることは出来ても、か弱いだなんて言ってられない。私にだって、ゆすれないものはあるから。
「それに、今度はバレないように気をつけるから、大丈夫よ」
 ただ、春香に気を遣わせてしまったのは事実で、心配をかけたのも事実でしょう。その弱さ、どうにかしなければいけないわ。
 嬉しいことでも、望みたいことではないから。甘えるのと、心配をかけるのは全く違うから。どうせなら、別の形で気遣われたいだなんて、我が侭なのかしら?
「千早ちゃん、頑張るところを間違ってるよ。休憩して、万全の状態で練習してよ。元気のない千早ちゃんなんて、私見たくないから」
 元気のない私、か。逆に、元気な私って、どんな感じなのかしら? 活動的とは言えない、笑うことさえ苦手な私。
 春香のくれる元気で照らされているだけで、私自身が輝いているわけではないのよ?
「それに、寝ていたら千早ちゃんのメールに気付けなかったから。起きてて正解だったよ」
「メールしておいてなんだけど、良いことではないわ。早く寝なさい」
 ほんと、メールをしたような人間が、電話の催促をした私が、言って良いことではない。寝ることを促すのなら、メールしなければ良かったのだから。
 春香が喜んでくれていることと、私が幸せになったこと以外、何も得していないのよ? 明日の待ち合わせ、2人して遅刻するかもしれないのに。まったく、恋をするって、不思議な体験の連続ね。
 電話をする前はグチグチと悩んでいたはずなのに、今となっては全てがどうでも良くなってしまって、例え遅刻したとしても、私達は笑い合っているのでしょう。
 今だってほら、私の口からも、電話口からも笑い声が聞こえてくる。時間帯を考えて、抑え気味ではあるけれど、それでも自然ともれてしまうような笑い声。
 これが幸せの証なのかしら? 形にはならず、目には見えないもの。
 けれど、確かにここにあることを感じられる。
「千早ちゃん、私幸せだよ? 今、すっごく幸せ」
「それは、私も同じよ。春香と出会えて、恋人になれて。これが幸せなんだって、実感してるわ」
 出会ったばかりの私達は、よそよそしかった。同じ事務所とはいえ、ライバルとなるのは避けられない関係だった。
 同僚として認められた私達は、少しずつ歩み寄ることを知った。あれも、春香がきっかけを作ってくれたことを、私は忘れない。
 友達となった私達には、笑顔が増えていった。一緒にいることが楽しくて、仕事以外の話も増えていったわ。
 親友と呼べる私達は、ちょっとだけ距離を置くようになった。思えば、この頃から恋心が芽生えていたのかもしれない。
 そして、今は恋人と呼べる関係になって、デートに誘えるような仲になった。
 関係が変わって、私達の立場も変わって、それでも気持ちは進んでいく。結構、不思議な感覚よ。これからも大切にしたい、感情。
 春香となら、もっと大きく出来る気がするの。
――心の扉だって、あなたになら開けられる
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