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ここは「魔法少女リリカルなのは」の2次SSをメインとしています。 ※ 百合思考です。 最近は、なのは以外も書き始めました。
ヽ(*´∀`)八(´∀`*)ノ
プロフィール
HN:
らさ
年齢:
37
性別:
男性
誕生日:
1986/07/28
趣味:
SS書き・ステカつくり
自己紹介:
コメントを頂けると泣いて喜びます。
リンクフリーです。
ご報告頂けたら相互させて頂きます。


メールアドレス
yakisoba_pan◇hotmail.co.jp
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当ブログ内のSSは無断転載禁止です。 恥ずかしいので止めて ^^;
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あげられていなかった分、どんどん行くぜー
コミケは行けないし、ライブにもいけないから、悲しいぜー




 自らの全力を尽くそうとする時、人は力んでしまう。全てを遣おうとするが故に、不必要なところへも力をいれてしまう。
 全力を尽くすのだからこそ、余力を持つだけの心構えが必要。更に一歩踏み込むための、準備が必要。
 しかし、全力を尽くすが故に、その事実に気づけるものは、非常に少ない。
 
 
     渾身のレシピ
 
 
 天海春香のドキドキキッチン。今回の献立は、定番とも言えるクッキーです。
 今までに何度も作ったし、みんなの評判だって悪くありません。結構、自信を持って出せる、お菓子です。
 でも、だからこそ、飽きられてしまわないか、がっかりされてしまわないか、そういった怖さがあります。
 特に、彼女の場合。美味しく出来ている時も、あまり上手に作れなかった時も、喜んで食べてくれるからこそ、怖さは倍増。
 本当に満足してくれているのか、言葉通りの感想を信じてもいいのか、迷います。
 だからこそ、今回は今までのイメージを変える為に、クッキーとしての新境地へと、チャレンジしたいと思います。
「以上、脳内中継終わり」
 今の状況を把握して、自らの迷いを断ち切る為に、失敗を恐れない為に、しっかりと目の前を見つめる必要がある。
 テーブルの上に並ぶのは、小麦粉やグラニュー糖など、お菓子作りの基本とも言える材料。至福の時間を作る為、これから使う材料。
 私の魅力の1つであるはずの料理スキル。今までは、それを当然のもとのとして扱ってきた。お菓子を作ったり、おかずを作ったり、誰かを笑顔に出来るのであれば、それで幸せを感じられた。ただ、それは、あくまでも食べてもらうことに目的を置いた、笑顔が欲しくて作った料理ではない。
 けれど、今回は笑顔を目的として、美味しいといってもらえることを目的として、お菓子作りに挑む。
 作り方や材料、そういったところに関しては、これといって変なものを取り入れるわけではないよ? 美味しいかどうかも分からない、そんな不思議なものを作るつもりはないの。
 ただし、千早ちゃんに美味しいと言って貰うことを、自分の欲望のために作るから、どんな仕上がりになるかは分からない。全力を尽くしたところで、目的がかなわないかもしれない。
「それでも、構わない。今の私は、深刻な千早ちゃん不足なんだから」
 レコーディングやドラマの出演。ミニライブの重なりや、イベントへの出演依頼。
 様々な仕事と、色々な要素が重なり、千早ちゃんと一ヶ月以上顔を逢わせていない。CDやテレビでは限界があるというのに、ううん、そんな限界とっくに超えているのに、千早ちゃんに会えてないの。
 この一ヶ月、沢山の言い訳と、思い出に浸る時間を増やすことによって、なんとか自分を保ってこれたけれど、それも限界なの。
 心の底から笑うことが出来ない。プロデューサーさんには、笑顔が暗いと注意される。美希には、おにぎりを分けて貰って、頭をなでられてしまった。このままじゃいけないって、どうにかしようって頑張ったけれど、これ以上は無理だよ。
 自分がどこにいるのか、何をしているのか分からない。困ったことが起きると、瞬間的に意識を飛ばしてしまいそうになる。いつもの私であれば、今までの私であれば、アイドルをしている間は頑張れたはずなのに、最近はそれすらも難しくなっている。
「長かった。こんなに苦しいだなんて、思わなかったよ」
 生地をコネながら、想いを込めながら、つぶやく声は、自分でも驚くくらいに、感情がこもっていない。録音された、機会音声のような無機質さを持ち、ちょっと怖い。
 きっと今の私は、笑顔になることも出来ず、真っ直ぐ歩くことさえ困難だと思う。腕を動かすのに、いつもの何倍も力が要るんだよ? 凄く疲れて、それなのに眠れなくて、辛いんだ。
「でも、嬉しいの。おかしいよね。苦しいのに、辛いのに。苦しめることが、嬉しいの」
 全ての症状の理由に、千早ちゃんがいてくれる。私の心がしぼんでしまったのは、千早ちゃん不足なんだって、体が訴えてくる。
 これって、素敵なことだと思わない? 私、ここまで千早ちゃんのことを、好きになれるんだよ? ちょっと重たいかもしれないけれど、千早ちゃんへの好意で苦しめることが、嬉しいんだ。
「千早ちゃん、びっくりするかな?」
 私が、こんなにも弱かったことに、驚くかな? それとも、想いの深さに退いてしまうかな?
 分からない。私は千早ちゃんじゃないから、どんな反応をしてくれるのか、分からない。
 けれど、分からないから楽しみなの。何も分からないからこそ、想像できるの。千早ちゃんの姿を思い浮かべて、クッキーを渡す練習が出来るんだよ?
 えへへ、そう考えると、ちょっとお得だよね? 私には、現実の千早ちゃんがいて、想像の中の千早ちゃんもいて、全ての千早ちゃんが大好きだから。
 カタ抜きで作られた、沢山の星達。その1つ1つに込められた願いは、どれほどの強さを持てるのかな? ちゃんと、千早ちゃんの心まで届いてくれるかな? 楽しみで、ちょっとだけ怖い。ほろ苦い気持ち。
 気付けば始まっていた恋なのに、ここまで変われるとは思っていなかったよ。
「やっぱり千早ちゃんって、凄いね」
 後はオーブンで焼いて、出来上がりを確認するだけ。することの無い、待っているだけの時間。
 今の私には耐えられないはずの時間だけれど、未来の私の為に、もうちょっとだけ我慢するね。
――明日、また会おうね
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