ここは「魔法少女リリカルなのは」の2次SSをメインとしています。
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やべ、そろそろ書くことなくなってきた
求めている間は手に入らないのに、諦めた瞬間に手元に来るものがある。その時、注ぎ込んでいた情熱は、どこへ行ってしまうのだろう?
必要とするタイミングと、不要とするタイミング。この境目に存在するものは、どこからきているのだろう?
図ったかのように、狙っているかのように、差し出される。ただし、それが必要だったものに変わっているのは、揺るがない事実。
涼風と共に
嬉しいはずのことも、予想していないタイミングで訪れれば、驚くもの。何も出来ずに、流されるものだと、初めて知った。
「お、お邪魔します」
千早ちゃんのお部屋で、お泊り。別に今回が初めてではないのに、ちょっと緊張してしまう。
いつもであれば、終電を逃したり、朝が早い時、私がお願いして泊めてもらったりする。もちろん、ただ遊びたい時に、泊めてもらうこともあるけど、言い出すのは私から。千早ちゃんから誘われることなんてなくて、千早ちゃん側には理由がないはずで。
こんなこと、今までなかったのに。
知っているはずの部屋が、知っているはずの光景が、まったく別のものに思えてしまう。
「どうして、緊張しているの? 何かあった?」
「別に、何もないよ? 全然、いつも通りだよ?」
緊張する必要なんて、どこにもないはずなのに。いつも通りのはずなのに、どうして?
スーパーで買い物をしたのだって、明日の予定を聞いているのだって、いつも通り。不思議なところは何もなくて、何に緊張しているのか、自分でも分からない。千早ちゃんと一緒にいられることを、喜んでいれば、それだけで良い筈なのに。
確かに、千早ちゃんにお呼ばれするのは、今までになかったこと。ただ、明日がデートであること、一緒に出かけることを考えれば、別に不思議でもなんでもない。一緒にいられる時間を、少しでも長くしようとしてくれているだけ。
会えなかった時間を、一緒にいられなかった時間を、少しでも埋めてくれているんだって。いつも通り浮かれていれば、笑っていれば良いのに。緊張を解くことが出来ずにいる。
急なお呼ばれだったのは事実で、前もっての準備は出来ていない。ただ、私のカバンの中には、お泊りセットがいつも入っているから。いつお世話になるか分からないし、千早ちゃんが良いよって言ってくれるから、いつも持ち歩いているから。今日だって、困ることはないよ?
うー、どうして、素直に喜べないの? 何かが、ひかかっているような、この感覚は何?
お願いする形ではなく、お呼ばれする形だから、緊張しているのかな?
「いつも通りに見えれば聞かないけど? 何か気になることでもあるの?」
気になること。いつもと違うところ。
あると言えばある。ただ、深い意味があるようには感じられないし、疑問を持つのが失礼に当たりそうな、千早ちゃんを悲しませてしまいそうな、そんな内容だから、聞けない。
どうして、呼んでくれたのかなんて、聞けない。どうして、今日は呼んでくれたのって、変なこと聞けるはずがない。
「調味料、少し足らない気がしたから。どうやってアレンジしようかなーって」
どうにか出来る、誤魔化せる範囲であれば、これが限界なのかもしれない。
幸いにして、千早ちゃんは料理が得意なほうではないし、これであれば誤魔化したとしても、バレないはず。
時間さえあれば、いつもの私に戻れるはずだから。千早ちゃんが感じている違和感を、消し去ることも出来るはずだから。
考えるフリをして目を閉じ、気持ちを落ち着かせる。大丈夫、ここは千早ちゃんの部屋。今は2人きりで、友達としてきているだけだから。私が期待するような、期待していいような関係には、まだなっていないから。
今まで通り、楽しい時間を、笑顔になれる時を過ごせば良いの。特別なことは何もない、日常の一部。今まで通りの、私達がここにいる。
「うん、なんとかなるかな? インパクトは必要ないし、無難な味にまとめることにするよ」
「そうなの? 私には良く分からないけど、春香がそういうのなら、どうにかなりそうね。ごめんなさい、よく分かってなくて」
「気にしないで。千早ちゃんに食べてもらえるだけで、私は嬉しいんだから。美味しいものを作りたいって気持ちが、自然に沸いてくるんだよ」
私の料理が、千早ちゃんの笑顔を作ったと、そう実感できるだけで嬉しい。自惚れではない、勘違いでもない、事実としてそうなることに、私は幸せを感じるから。そんな素敵な未来に、希望を抱けるから。
うん、その時を思い浮かべたら、落ち着いてきたよ。大丈夫、いつも通りの私だ。千早ちゃんが大好きな、私が戻ってきたよ。緊張も不安も、全てを押しのけて、いつもの私が帰ってきた。
これなら、失敗しないね。気持ちのこもった、美味しい料理が出せそう。安心して。
美味しいものを作って、千早ちゃんの笑顔をゲットする。2人の幸せな時間を、ゲットしてみせる。
「レッスンで疲れたでしょ? 私作っておくから、千早ちゃんは休憩してて」
エプロンを付けながら、勝手を知るキッチンへと向かう。調味料は足らないはずだから、知恵と工夫で美味しくしてみせるよ。
私は私のやり方で頑張るから、笑顔を見せてね。
「え? でも、そんなの悪いわ。私にも手伝わせて」
珍しい。いつもなら、食卓の準備とか、部屋の片付けとか、料理をしようとはしないのに。どうかしたのかな?
以前の番組で失敗をして以降、千早ちゃんは料理から遠ざかっていたのに。何か、影響を与えるものがあったのかな?
「手伝ってくれるのは嬉しいけど、今日のレッスンハードだったでしょ? 大丈夫なの?」
手伝ってくれる、手伝おうとしてくれるのは嬉しいけど、疲れている千早ちゃんに、包丁は危ない気がするよ? 怪我をするくらいなら、待ってて欲しいなぁ。
「私は大丈夫よ。それに、今日は……その、料理を教えて欲しくて、春香に来てもらったの」
それ、初耳だよ? 聞かなかった私も悪いけど、何も説明されてないよ?
「うーん、それなら簡単な献立が良かったかなぁ。前に作ったことあるけど、肉じゃがはちょっと難しいよ?」
煮込んでいる間に、おしゃべりも出来るし、シャワーも浴びれるから、千早ちゃんの希望を聞かずに決めてしまった。
よく考えてみたら、千早ちゃんにとっては苦手意識を持ってしまった、最初に挑戦すべきではない料理のはず。
ゲロゲロキッチンにおける失敗は、アイドルとしての経歴に、傷を付けるようなものではない。失敗しただけで、落ち込むほどのものではない。
そう思っているのは、私だけではないはずだよ?
「難しくてもいいの。私だって、そろそろ何か覚えたいし」
ただ、千早ちゃんは強いから。自らの失敗に対して、真正面から挑もうとする。努力によって、正攻法で乗り越えようとするから。その真っ直ぐな視線を見た上で、辞めたほうが良いよなんて、私には言えない。
「何かあったの? 千早ちゃんが料理に興味を持つなんて」
だから、ちょっと曲がったような、真っ直ぐではない質問をする。当たり障りのないように、ちょっとズレた質問を、今更してしまう。
私には、千早ちゃんほどの真っ直ぐさ、ないんだよね。
「大したことではないのよ? いつも春香に作ってもらってるでしょ? だから、たまには、私がご馳走できるようになりたいなって。それだけ」
料理に関して、自信がないわけではないから。レパートリーを増やしていく上でも、誰かの為に作りたいし、それが千早ちゃんの為ともなれば、私は全力で取り組めたから。
ただ、その上でも、千早ちゃんが作ろうとしてくれていることは、嬉しい。千早ちゃんの手料理が食べられるのなら、覚えてもらえるよう、全力を尽くしちゃうよ?
「普段から作るようにしていれば、調味料だって揃うし。買い物の時に悩まなくて良いでしょう?」
脳内の声に埋もれて、小さくなったつぶやき。
それでも、千早ちゃんの照れた表情が、私の心を惹きつける。恥ずかしそうな上目遣いが、私の心を離さない。
今だけでなく、先を見つめてくれる、その眼差し。それは、間違いなく幸せを願ってのもの。2人で過ごす、素敵な時間の為に、千早ちゃんが頑張ろうとしている。
「それに、料理をしている時の春香、とても楽しそうだから。一緒に作れるようになりたいって」
そっか、そうだったんだね。
千早ちゃんが料理を作ろうとするのも、頑張ろうとしているのも、私が関係しているんだ。自惚れなのかもしれないけれど、そう聞こえたんだから、思い込んでても良いよね?
それだけで幸せになれるから、ちょっとくらい良いよね?
「ごめんなさい。春香のことを何も考えていない、私のわがままね。忘れて頂戴」
「ううん、そんなことはないよ。えへへ、嬉しいな」
嬉しい。それ以外の言葉で表せないほどに、彼女の気遣いが嬉しい。
「今日はちょっと難しいかもしれないけど、千早ちゃんと一緒にお料理が出来るようになれば、きっと楽しいよ」
応えたいと、強く思う。彼女の思いに応えられるだけのものを、私も持ちたい。
千早ちゃんの為と、言い訳をしなくても良いものを。口に出さなくても、分かってもらえるものを、きっとこの手にしてみせる。
幸せの為の努力。そこに広がるのは、ちょっとの苦労と笑顔の道。先にある幸せを目指す、上り坂。
ふっふふ。上ったら下るだけだから、早いよー? 千早ちゃん、逃がさないからね。
――失敗なんて怖くない。そこには幸せがあるんだから
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