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ここは「魔法少女リリカルなのは」の2次SSをメインとしています。 ※ 百合思考です。 最近は、なのは以外も書き始めました。
ヽ(*´∀`)八(´∀`*)ノ
プロフィール
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らさ
年齢:
38
性別:
男性
誕生日:
1986/07/28
趣味:
SS書き・ステカつくり
自己紹介:
コメントを頂けると泣いて喜びます。
リンクフリーです。
ご報告頂けたら相互させて頂きます。


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yakisoba_pan◇hotmail.co.jp
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当ブログ内のSSは無断転載禁止です。 恥ずかしいので止めて ^^;
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長くなったので後半を切り捨てた結果がこれだよ

・w・) なんか、ぶつ切り感がそのままありますね

まぁ、ここから転がるでしょう



 自分に素直になること。相手に素直になること。全ての事柄を、言葉にしてしまうこと。
 そこに疑問を持たない子を、私は知っている。
 トラブルを引き寄せることも多く、失敗していることも多い。迷惑をかけられた回数は数えられないし、怒った回数も数えられない。
 けれど、彼女のことをうらやましいと思う気持ちは、なくならない。
 
 
     水底に沈みて
 
 
 自分が望んでいることを口にすれば良い。そうすれば、仲良くなれるから。
 仲良くなる為に提案することなら、恥ずかしがる必要はない。下手に遠慮をするから、いつまでも笑いあえる関係になれない。
 そう教えてくれたのは、劇場のみんな。
 騒がしくて、賑やかで、いつもお祭り騒ぎで――私の心を支えてくれる、大切な仲間。
 そんな仲間に学んだことだから、今くらいは素直になってみようと思う。心の中にある思い、それを口にしてみようと思う。
「私、志保の可愛い姿が見たいの。だから、これを付けてくれない?」
 望みを口にしなければ、伝わらない。言葉にしていない思いでは、相手に届かない。
 阿吽の呼吸を求めるくらいなら、きちんと説明すれば良い。大丈夫、彼女ならきっと受け入れてくれる。
 そこを信じることこそ、恋人として必要なことでしょ?
「静香、体調でも悪いの? 今日はもう、帰ったほうがいいんじゃない?」
「至って健康よ。体調管理も仕事のうちだって、志保が教えてくれたじゃない」
 私の右手にある柔らかいもの。熱がこもりやすいそれは、温かく感じられて、私の心を弾ませる。
 大丈夫よ、志保なら似合うわ。そんな顔しないで、私を信じてくれればいいの。ただそれだけで、私の心は満たされるから。
「あなた、今の状態分かってる? 鼻息を荒くして、ネコミミを付けるように迫ってくるなんて、おかしいでしょ? 正常だとは思えないわ」
「当たり前じゃない。志保が可愛いんだから、私が正常なままでいられるわけないでしょ?」
 どうして、不思議そうな顔をしているの? 夏祭りであんなことをしたのに、攻められると弱いの?
 大人ぶってる志保も良いけど、今の志保も良いわね。可愛いって言葉が似合うし、これはネコミミを付けてもらうしかないわね。今日、予定が入ってことは確認済みだし、ここには私達しかいない。
「何も恥ずかしがることはないわ。絶対似合うから、何も気にしなくて良いわ。さぁ、思う存分、私に可愛がられなさい」
「今のあなた、アイドルがしてはいけない顔してるわ。鏡、貸しましょうか?」
「私が鏡を借りたら、これを付けてくれる? それなら、喜んで借りるわ」
 2人きりなのに、前回襲われた身なのに、遠慮なんてしないわよ? 志保の欲を満たしたのだから、今度は私の番でしょ?
 あの時、私はだまされたようなものなんだから、ちょっとくらい良いじゃない。ネコミミつけるくらい、なんでもないはずよ。
「さぁ、どうするの? ネコミミを付けて、私に可愛がられるか。そのままで私に可愛がられるか、好きなほうを選びなさい」
「どちらにしても、ひどい未来しか見えないわ。ねぇ、静香は本当にそれでいいの?」
 ひどい未来だなんて、私にとってはパラダイスよ?
 志保に胸の内を教えてもらってから、ずっと考えていたのに。あそこまでしてもらって、どうやって返せば良いのかと、真剣に考えたのに。
 それをひどい未来だなんて、あんまりだわ。このネコミミ、買うのすごく恥ずかしかったのに。
「ダメなの? 私が志保を可愛がるのは、いけないことなの?」
 あの時は恥ずかしかった。でも、志保に触れてもらえて、嬉しかった。
 だから、それを志保にも知って欲しいのに。好きな人に触ってもらえること、求めてもらえることが、どれだけ温かいか。
 そのついでに、私の心も満たせるのだから、損はないはずよ?
「時と場所を考えなさいって、そう言っているの」
「志保がそれを言うの?」
 視線をさまよわせ、逃げ道を探した結果が、その程度なの?
 ダメよ、時間稼ぎにもならないわ。
「あれは、静香が可愛いのが悪かったのよ。こんなふうに、待ち伏せたりはしてないでしょ?」
 いつもの私であれば、止まってしまうような言葉。
 けれど、今の私には通用しないわ。褒めてもらえるのは嬉しいし、若干の恥ずかしさはある。ただ、それが今の恥ずかしさを上回ることもないし、興奮を冷ましてしまうような力も持たない。
「志保が可愛いのも悪いわよ? 抱きしめて頬ずりしたいのに、ダメだと言うの?」
 志保が可愛い。その事実が魔法であるかのように、私の心に取り付いている。
 胸の中で暴れる熱は、逃げ場を探して、私の体の隅々にまで行渡る。
 その全ては、志保が可愛いことにあり、求められたことへの歓喜に染まっていく。
「そこまでストレートに言われて、良いと言えるわけないでしょ?」
「どうせすぐに分かることだもの、隠す必要性を感じられないわ。なにより、志保が赤くなってくれるのなら、伝えたほうがお徳でしょ?」
 言葉を吐き出すたびに、熱が高まっていくのを感じる。おかしな話よね、伝えた分だけ減るのではなく、それ以上に増えていくのだから。どれだけ伝えようとも、冷めることがない。
 自分が自分ではないような感覚。ぼーっとしてしまい、自分が何をしゃべっているのか、把握出来ない。
 だから、志保が嫌がっている理由が分からない。ここには誰かが来る心配はないのに、見つからないようにちゃんと計画してあるのに、どうして嫌がるの?
「ねぇ、静香はそれで良いの? 私が赤くなれば、可愛がれればそれでいいの?」
 志保の可愛い姿が見れる。可愛い志保に、頬ずりをして良い。雰囲気が許してくれるのなら、その先へ進みたい。
 花火大会の時、色々あったのは事実。ただ、それ以上に、志保が大切なことを伝えてくれた。胸の内にある気持ちを、関係を進めたいと口にしてくれた。
 すごいわ。誤魔化すことは出来ても、素直に伝えられない私とは、大違い。こんなふうに、迫ることしか出来ない私とは違う。
「志保に言われて、考えてみたの。私達の関係に足りないものは何かって。危ないところはどこかって」
 私達の関係。恋人という名の、限られた関係。
 それはとても大切なもので、お互いが掛け替えのない存在になっている。
 けれど、同時に壊れやすい関係であり、壊されやすい関係で。守っていくのも、進展させていくのも、結構難しい。
 だからこそ、悩むし、考える。私達にしかない未来を掴み取る為に、誰かに邪魔されて壊されたりしない為に。
 リスクを背負うようなことはしないと、過去の私は安定を求めた。揺るがない関係にする為には、賭けに出るような行動はしないと。志保に嫌われるかもしれない、リスクを抱えるようなことはしないと。それが正しいことだと信じていた。
「そこで気付けたわ。リスクを恐れることと、臆病であることは違うんだ違うって。リスクすらない状態で、何かを得ることは出来ないと、思い出したの」
 私は幸せを求めている。志保と一緒にいられる、そんな未来を求めている。
 それなのに、リスクの背負うのはイヤだと、安定した道のみを選ぼうとしていた。待っていれば幸せがやってくると、勘違いしてしまっていた。
 もちろん、アイドルを続けられなくなるようなスキャンダルは困る。それは、私だけの未来ではなく、志保の未来まで閉ざしてしまうものだから、避けなければいけない。
 でも、リスクさえ避けようとするのなら、幸せも一緒に避けてしまうことになる。求めているものを手にすることなんて出来なくて、何もない、そんな場所に流れ着いてしまう。
 その時になってから後悔しても遅いから、ちょっとくらい強引だったとしても先に進むべきなのよ。
「なにより、危険なのはプロデューサーさんだったのよ。こんなにも近く、志保の魅力を知っている男性がいるのに。行動を起こさないなんて、どうかしてたわ」
 私と志保の関係は、壊れやすい。壊そうと思えば、私達2人共を知っている男性ならば、割り込んでくることも不可能ではないはず。志保の将来性にかければ、手を出してきたとしても不思議はない。私ですら気付けるような魅力を、見逃すような人ではないから。
 だから、バレても良い相手には、伝わる程度に。何もしなくても、私達の関係を察してもらえるように。仲を深めておかないと、まずいわ。
「そもそも、志保が悪いのよ? プロデューサーさんには、小学生メイドとか見せてるのに。私には見せてくれないんだもの」
「あれは、その、演技の練習に付き合ってもらっただけよ? 自分で思いつく役には、限界があるでしょ? だから、それだけよ」
「それだけで、ごしゅP様とか呼んじゃうのね。ずるいわ」
 私の知らない志保がいる。それを知っているのはプロデューサーさんで、他にも色々なことを知っているはずだから――やはり危険だわ。
「あれは、その、ご主人様なんて呼びたくないし、でも、そういう役だったし。演技の練習に付き合ってもらっている身だったから」 そんなに慌てなくても良いじゃない。演技において、志保が人一倍頑張っているのは知っているし、プロデューサーさんの経験に頼ったところもあるのでしょう。
 私が気に入らないのは、そんなことじゃないもの。
「恥ずかしいからと、仕事が出来ないようじゃ、プロ失格でしょ?」
 プロ根性。そう呼ばれているものは大切で、理不尽な振り回され方をするこの世界では、必要な物だって分かってる。
 自分の望んでいる方向へ、真っ直ぐ進んでいける人なんて稀で。やりたいことからは遠くて、どちらかと言えば望んでいないことに程、機会に恵まれてしまう。
 当然、そんな時でも笑顔を曇らせたりは出来ないから、アイドルとしての自分を保っていくには、ファンの期待に答えていくには、そんな甘えは許されないから。
 それを志保が大切にしているのは知っているわ。プロだからと、自分の心を強く律しているのも、肌で感じられるほどに知っているわ。
 ただ、それで済む問題と、済まない問題があるの。そこらへんが、まだ理解出来ていないようね。
「プロとかそういう問題じゃないわ。志保の恋人は私なのに、プロデューサーさんの方が可愛い姿を知っているとか、おかしいわ」
 仕事として、表に出るものなら構わないの。いつか、私もそんな志保の姿を見ることもあるでしょう。別の現場に行っているから、放映されて初めて見る姿もあるでしょう。
 それは問題ではないの。そう、仕事としてなら問題ないの。
 私が見られないのに、プロデューサーさんだけが見ているというのが、問題なのよ。演技の練習だって言うなら、見せてくれてもいいでしょ?
「静香、嫉妬してるの?」
「してるわよ。当たり前でしょ?」
 志保は、志保なら平気なの。自分が知らない恋人の姿を、身近な異性のみが知っているのよ?
 どんなふうに照れて、どんな葛藤があって、どんな声でささやいてくれたのか。自分は知らないのに、知っている人がいるのよ?
 この事実だけで、私は叫びだしたくなるのに。どうして、余裕そうな顔をしているの?
「そう、嫉妬してくれるのね。なら、良いわ」
「良いことなんてないわよ。どうして、そんな涼しい顔してるの? ねぇ、私なにか間違えてる?」
 私の心は荒れているのに、壊れそうなほどに跳ね回っているのに。志保には、それが伝わらないの?
 プロデューサーさんに八つ当たりしそうなのを我慢して、仕事を放り出したいのを我慢して、志保を抱きしめたいのを我慢して。ただでさえ、私の心は荒れているというのに。とどめを刺そうというの?
「いいえ。ただ、嬉しいだけよ」
 嬉しい? えーと、どこかに喜べるところがあったかしら?
 そんな笑顔を見せられても、今は反応に困るのよ。
「嫉妬しているのが私だけじゃない、静香も同じだって分かったから。その事実が嬉しいの」
「私としては、全然嬉しくないわ。志保が素っ気無くて、寂しいし、辛いわ」
 寂しかったと伝えてもらったし、どこかで嫉妬させてしまうような、不安にさせてしまう行動をとったのかもしれない。
 けれど、私が寂しかったのも事実なんだから、ちょっとくらい癒してくれても良いでしょ?
「そう……なら、仕方ないわね。ネコミミくらい、付けてあげるわよ。思う存分、可愛がるといいわ」
「なによ。思った以上に可愛くて、似合うじゃない。明日から、その格好でいてくれない?」
「却下よ。出来るわけないでしょ?」
 予想以上に似合っている。元々、誰にもなつかないような、そんな雰囲気を持っていたし、似合うと思って選んではいたけれど、これは販促じゃない?
 それに、いつも通りの冷静さを保とうとして、真っ赤になりながらも澄ました顔をしているのが良いわ。その無理をしている感じ、抱きしめてあげたくなる。守ってあげたい可愛さというのが、ここにある。
 これは危険過ぎるわね。他の人には、絶対に見せられないわ。
「静香、ここが劇場の中であり、誰かが来るかもしれないことは理解しているわね? 出来ることに限度があるから、そこは理解しなさいよ」
「流石に、そこまでではないわ」
 甘いにおいに包まれて、腕の中のぬくもりに溶かされて、私の理性は随分と弱ってはいるけれど、それでも最後の一線を越えないように、スキャンダルにならないようにだけは、気をつけられる。
 だから、問題にならない程度ならいいのよね? 私が思うままに、可愛がっていいのよね?
 うふふ、良い覚悟だわ。辱めを受けた分、しっかりと可愛がらせてもらうわよ。
 
――夢への一歩。ここで踏み出しましょう
 
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