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ここは「魔法少女リリカルなのは」の2次SSをメインとしています。 ※ 百合思考です。 最近は、なのは以外も書き始めました。
ヽ(*´∀`)八(´∀`*)ノ
プロフィール
HN:
らさ
年齢:
37
性別:
男性
誕生日:
1986/07/28
趣味:
SS書き・ステカつくり
自己紹介:
コメントを頂けると泣いて喜びます。
リンクフリーです。
ご報告頂けたら相互させて頂きます。


メールアドレス
yakisoba_pan◇hotmail.co.jp
◇を@に変えて下さい
当ブログ内のSSは無断転載禁止です。 恥ずかしいので止めて ^^;
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いちゃらぶが読みたいです
誰か書いてください!




 証人喚問。欠席裁判。軍法会議。そんな物騒な単語が浮かんでしまう状況。
 本来であれば、避けて通るべきの道。リスクの高過ぎる、危険な道。
 けれど、そこを通るのが最短距離であった場合、あなたはどうしますか?
 
 
     先にある音
 
 
 女の子の恋愛は、1人でするものではない。友達との共通の話題となり、グループ内で共有される話題となる。
 ある程度の年齢になれば、自然とそういった話で盛り上がれるのは、私でも理解は出来るし、全く興味を示さなかったわけでもないの。
 ただ、自分には遠い世界だと思っていたし、積極的に関わろうとはしなかった。物語の中にだけ存在する、演じるだけのものだと思い込んでいた。
「それで? ねぇ、志保ちゃん。この前、どうなったの?」
 身を乗り出して、瞳を輝かせて、遠慮なく踏み込んでくる彼女。その様子は無邪気としか呼びようがなく、ただの興味で聞いているのが分かる。
 普段であれば、そんなことをされても気にしない。私達の問題だからと、口を開くこともない。
 ただし、強引だったとはいえ、彼女達の協力があったからこそ、静香の気持ちを聞き出せたのも事実。
「別に、大したことはなかったわ。それでも、聞くの?」
 何を話せば良いのか、どこまで話してしまって良いのか。正直なところ、私には判断がつかない。
 今まで、こういった会話に加わったことはなく、周りのテンションについていけそうにないことは、既に明らか。話題の中心に、私と静香がいるはずなのに、静香はここにはいなくて、私は置いていかれてしまっている。
「やっぱり、大人なデートだったんですか? 私、恋愛とか分かりませんが、幸せなんですよね?」
 こちらは、未来以上に純粋な子。どちらかといえば控えめであり、掴みどころのない子なんだけど。完全に、夢見る少女ね。
 頭の中に浮かんでいるのは、物語に出てくるような純愛か、それともドラマのような情熱的な恋か。どちらにしても、私たちの現状からは、随分と遠いものよ。
「星梨花ちゃん、大人なデートってどんなの? やっぱりキスとかするのかな? 腕組んでたり、お姫様抱っことか?」
 その、大人なデートって何? 子供なデートもあるの?
 私よりも、あなたたちのほうが詳しいんじゃないの? なにより、そんなことまで話すの?
 ここで変に話してしまって、静香に伝わるのはまずいし。だからといって、何も話さないのは無理。彼女達が聞きたがっているのもあるけれど、私だってちょっとくらいは聞いて欲しいと思っている。
 幸せのおすそ分けだなんて、そんなたいそうなことを考えているわけではないけれど、静香がどれだけ可愛かったのか、私をどんなふうに見てくれたのか、胸に収めておくだけではなく、口に出してしまいたいと思ってしまう。
「……どうしたものかしら?」
 伝えたいことは沢山ある。しゃべってしまいたいことも沢山ある。
 けれど、どこまで伝えていいの? どこは伝えないほうがいいの?
 そもそも、可奈が期待しているようなことは、何もなかった。キスまで進むつもりは私にはなかったし、静香が怪我をしているような状態で、腕を組んだりはしていない。浴衣だったこともあるし、考え付かなかったのもあり、お姫様抱っこなんてもちろんしていない。
 それなのに、話してもいいのかしら? 彼女達の期待に応えられるような、協力してもらったことに見合うような、そんな話が出来るのかしら?
 私は、口が上手いほうではない。百合子さんのように、小説を読んでいるわけでもない。
 だから、話が上手くなったり、面白くなるようなこともない。
 それでも、聞いてくれるのかしら?
「ごめんなさい。期待に応えられるようなことはなかったわ」
 静香との関係については、誰に対しても誤魔化せない。友人同士の、協力してくれた彼女達に対して、失礼なことは出来ない。
 今の私は恐れているから。嘘をついたりすれば、静香を裏切ることになりそうで、静香の期待に背くようで怖いの。
「それでも良いなら、聞いてくれる?」
 この場の熱が下がってしまっているのは、流石の私にも感じ取れる。謝罪してしまったことで、追及しにくくなったのも理解している。
 それでも、嘘をつくことと、誤魔化すことだけはしたくないから。裏切るような形にだけは、したくないから。
 ここで、彼女達が席を立ってしまうのなら、私は誰にも話さない。彼女達の期待に応えられなかった、協力してもらっただけの価値はなかったと、そう判断されるだけの話。
「志保ちゃんでも、そんな顔するんだね。私、ビックリしちゃった」
 そんな顔って、どんな顔よ! 私が真剣に話しているのに、可奈は何を聞いていたの?
 未来も、横で頷かない。そうだよねって、どこに同意しているの? そんな感じだから、いつまでも静香が心配するのよ。ズルいわ。
 星梨花は何も変わらず、瞳を輝かせているし。この子達、私の話聞いてたの? それとも、どこかでおかしなことを言ったかしら?
 この3人に話を聞かれるのは分かっていたし、盛り上がっても問題がないように、時間だって確保したというのに。私の予想していたものからは、どんどんとズレていく。
「あれ? 志保ちゃん、どうして難しい顔になってるの? ねぇ、ねぇ。早く教えてよ」
「頭が痛いだけよ」
 どこまでいじられるのかと、それだけを心配してここにきたのに。どうして頭を抱えなきゃいけないの?
 ガールズトークというものに、私も加われるはずだったのに。静香の話で、盛り上がれるはずだったのに。どうして、頭を抱えることになるの?
 強引だったとはいえ、夏祭りの時は頼もしかったのに。どうして、こうなるのかしら?
「大変です。志保さん、カゼですか? お薬いりますか?」
「大丈夫よ、星梨花。カゼではないから、気にしないで」
「そうだよ。きっと志保ちゃんは、静香ちゃんが可愛くて、頭が痛いだけだから」
 未来、あなた大物になるわ。今の流れから、そんなふうに思えるなんて、私には分からないわ。静香が可愛いのだけは認めるけど、他は理解できないわ。
 どちらにしても、このままだと話が進まないわね。無駄な時間を過ごしても仕方ないし、聞いてもらいましょうか。
 可奈達と別れた後、どうなったのか。面白くないところから、始めましょう。
「今回、2人きりになるのに協力してもらえたのは嬉しかったわ。ただ、もう少し別のやり方にするべきだったんじゃないかって、今は思うの」
 楽しいところだけを話せるなら、そのほうが良いのかもしれない。手短に話せたのなら、それが1番だったと思う。
 それでも、今後も協力してくれる可能性のある彼女達だからこそ、私が失敗だと感じたところは伝えておきたい。友人としての静香を奪うつもりはないから、そこも含めて聞いて欲しい。
「あなた達の姿が見えなくなってから、静香はすぐに探し始めたわ。お祭りを楽しむ様子もなく、心配そうな顔しか見せてくれなくて、私の方を見てくれることもなかった。私自身も後ろめたいところがあったから、中々止められなくて――結果的に、それがケガにつながってしまったの」
 あの時、私が早く話していれば。可奈達からの提案に乗っていると、だから夏祭りに来たと、伝えていれば。静香は走り回る必要はなかった。
 こちらを見てくれないことに嫉妬して、探してもらえるみんなを羨んで。そんなことをしていたから、静香はケガをした。
「その、静香ちゃん、大丈夫だった? ケガって、痛そう?」
「鼻緒ですりむいただけだから、たいしたことはなかったわ。それに、止められなかった私が悪いんだから、気にしないで」
 未来は、何も悪くない。あの場で止められたのは私だけで、そうなった理由を作り出したのも私だ。
 まったく、心配されるだけの存在でいてくれるなら、私も気にしなくていいのにね。どうして、この事務所には良い子が多いのか。芸能界というのは、もっと厳しい場所だと思っていた。成長するためには、潰されないように強くなるしかない。出来ることを増やし、存在感を出していくしかない。
 そんなふうに考えて、誤解していた自分が恥ずかしいわ。
「でも、もう少し考えるべきでした。静香さん、優しいですから。探しちゃいますよね」
「安心していいわ。簡単な治療はその場で出来たし、ケガ自体は2日程で治るくらいだから。歌のレッスンが多い静香には、そこまで負担にはならないはずよ」
 未来を慰めたと思ったら、今度は星梨花なの? どうして、あなた達が悲しそうな顔をするのかしら。協力してくれていただけで、責任は私にあるのだから、気にしないで欲しい。
「それに、治療のついでに話しておいたから。非難はされたけど、誤解はされていないはずよ」
「でも、言い出したの私だし。ごめんね、志保ちゃん。せっかく2人だったのに……」
 目の前にあったはずの笑顔が、遠ざかっていく。それを追いかけてしまうと、話が先に進まない。
 ただ、このままにして、話を進めることは難しい。
 はぁ、静香に甘いと何度も告げているけれど、私も変わらないわね。自分の目的の為にと、割り切ることが出来ない。
 それを弱さと表すべきなのか、強さにつながるものと捕らえるべきなのか、段々と分からなくなりつつある。自分の中にあったはずのものが、徐々に変わっていくのを感じる。
 硬くてとがっていただけのものが、しなやかさと、柔らかさを手に入れた。手に入れたことによって、以前よりも効率的、多くのものを吸収できるようになった。
 誰かのおかげだと、感謝するようなことはしたくないけれど、この場で感じる痛みをくれたのは、間違いなく彼女でしょうね。ほんと、余計なことばかりするんだから。
「花火も見れたし、静香と話も出来たわ。ありがとう、可奈が頑張ってくれたおかげよ」
 謝罪よりも感謝を。私が謝っても、彼女達が居辛くなるだけ。折角協力してくれたのに、それはあんまりだわ。
 私達のことを忌避せずに受け入れてくれた。その上で、応援したり、協力までしてくれる。そんな素敵な友人達に、感謝も出来ない人間にはなりたくない。
「わたし達、ちゃんと協力できてた? 志保ちゃんも、お祭り楽しかった?」
「ええ、楽しかったわ。ちょっとイライラしたこともあったけど、静香の気持ちも聞けたから」
 甘くなったのかもしれない。
 誰かが泣いていたとしても、前の私なら見捨てたはずなのに。泣くほうが悪いと、視界から外そうとしたのに。
 今の私には、彼女達にも笑って欲しいと、そう願う気持ちが存在する。この場は、結果報告だけをすれば、目的は達成されるはずなのに、彼女達の笑顔まで求めてしまう。
「私も恋愛経験があるわけじゃないし、束縛しようとは思わないわ。それでも、恋人と2人きりでも何もせず、みんなを探すのがどれだけ大切か説教を始めて、最後にケガまでされるのは、良いとは言えないわ」
「静香さんらしいですね。探していた分、2人の時間が減ってしまうのに。それでも、探さずにはいられないんですね」
 ちょっとだけ困ったような顔をしながら、星梨花が私の言葉を補足してくれる。
 それがなかったとしても、他の2人は理解してくれるんでしょうけど。分かってもらえるというのは、分かってもらえているというのは、嬉しいものね。1人じゃないと、仲間がいると教えてくれる。
 だから、その仲間には応えたいのよ。正しい形ではなかったとしても、私に出来ることを、伝えたいの。
「静香らしいけど、納得できるかどうかは別でしょ? 私の方を見ようともしないのに、未来未来って。私がどんな気持ちで横にいるのか、手と繋ごうとした時に逃げられて惨めな思いをしているか、考えたこともないんでしょうね。さすがに、傷つくわ」
「えーと、ごめんね?」
「静香が悪いのに、未来が謝る必要はないでしょ? 大丈夫よ。嫉妬はしてるけど、未来がいい子だって分かっているから」
 恋愛というのは、もっと甘いものだと思っていた。想像の中にしかなかったからこそ、とびきり甘いのを夢見ていた。
 それが現実的ではないと分かったのは最近で、分かった上で反発しているのが今の私。ちょっとくらい、もう少しくらい、甘くなるはずだと。ずっと、あがいている。
 その中で知ったのは、独占しようとする心の動き。認めたくない、私の中にあるズルい感情。なにより、嫉妬と呼ばれる感情が自分の中にあることには、少なからずとも驚きを得ている。
 チクチクと痛むようで、時には突き刺さるよう。呼吸が乱れ、今の関係を壊してしまいたい衝動に駆られる時もある。
 それでも静香の傍を離れたくないと、もっと近くにいたいと、我侭ばかり言う。
「そうでなければ、ここで話したりはしないわ。協力してもらったし、報告の必要性があると感じてるだけよ」
 未来が謝るような、気にしなければいけないことなんて、ここには何もない。今反省するべきは、自分のあり方であり、静香へのあり方。
 共通の友人で、ライバルでもある彼女達なら、下手に言いふらすこともなく聞いてくれると思っただけ。甘えているだけなのよ。
 だから、謝られたりすると、正直困るわ。
「もう、志保ちゃんは難しく考えすぎだよ? 誰も、静香ちゃんをとったりしないから、安心していいよ」
 難しく考えてるのかしら? 確かに、おびえる必要のないリスクを想像してみたり、訳もなく心配になってみたりと、最近の私は考え過ぎなのかもしれないわね。
 折角求めたものが、手の届くところにあるのに、大切にすることを覚えないと。
「それに、私達は笑ってて欲しいから、大切な友達だから協力してるの。別に、報告の必要性とか、そんなのはないよ」
 大切な友達だから、笑っていて欲しいから。可奈、あなたはいつもそうね。
 温かく、私を促してくれる。ダメなところもあるけれど、それを補ってあり余るほどの魅力が詰まっているわ。
 そんな可奈の提案だからこそ、私の心も動いたのかもしれないわね。
「私はその、ちょっとは教えて欲しいかな? 友達が幸せそうにしてると、嬉しいし」
「私は色々と教えていただきたいです。静香さんと、志保さんならきっと、素敵な恋人さんになれますから」
 こっちの2人はもっと素直。恋人が何か、恋愛が何か、どうして笑っているのか、純粋に知りたいのでしょう。
 明るい話題であれば、一緒に喜んでくれる。暗い話題であっても、一緒に悲しんでくれる。無条件にそう信じさせる、何かを持っている。
 まったく、この事務所には良い子が揃い過ぎなのよ。ライバルだということを、忘れてしまいそうになるくらい、優しさに包まれている。
 それこそが、変わらない強さだと、私の心に染み込むまで、待っててくれる。
「そうね。言い方が悪かったわ」
 だから、私も応えたくなる。仕事だけではない、アイドルだけではない、等身大の私のまま。北沢志保のままで、その思いに応えたくなるの。
 笑顔でいても良いと、優しさを否定しないと。そして、強くなることも、否定しないと。私を受け入れてくれた場所。
 ここだからこそ、私は続けられるのかもしれない。変わり続けて、目指しているものへ近づけるのかもしれない。
 答えはまだまだ見えないけれど、努力のし甲斐があると、教えてくれる。
「ねぇ、静香が花火に驚いた話、聞きたくない?」
 今の私に出来ることで、彼女達に応えよう。期待通りとはいかないかもしれないけれど、そのままの私で応えよう。
 誤魔化さなくて良い。演じなくても良い。私はただ、あるものをそのままに、伝えればいいの。
 
――幸せを伝えるって、こういうことかしら?
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