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ここは「魔法少女リリカルなのは」の2次SSをメインとしています。 ※ 百合思考です。 最近は、なのは以外も書き始めました。
ヽ(*´∀`)八(´∀`*)ノ
プロフィール
HN:
らさ
年齢:
38
性別:
男性
誕生日:
1986/07/28
趣味:
SS書き・ステカつくり
自己紹介:
コメントを頂けると泣いて喜びます。
リンクフリーです。
ご報告頂けたら相互させて頂きます。


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yakisoba_pan◇hotmail.co.jp
◇を@に変えて下さい
当ブログ内のSSは無断転載禁止です。 恥ずかしいので止めて ^^;
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ここ3・4日書いてなかったので、少し重めのを書くはずでした
でも、こんなになるとは思わなかったのです。

・w・) ちきしょー、酒だー




 諦めることなんて、ありえないと思っていた。夢が叶うまで、立ち止まることなんて、ありえないと思っていた。
 ずっと信じていたの。努力すれば、諦めなければ、叶うはずだって、信じていたの。
 夢はそこにあるものだって、私は信じていたいの。
 
 
     太陽の翼
 
 
 受け入れられない言葉を聞かされた時、何も出来なくなるだなんて知らなかった。言葉を発することも、息をすることさえ出来ない。
 目の前にいるはずなのに、見えなくて。聞こえた言葉が理解出来ない。
 苦しいことはいっぱい経験したよ? 努力を、結果に繋げられなかったこともあるよ?
 みんなの予定が合わなくて、どうしていいか分からなくなって、泣いちゃったこともあるよ?
 でも、どうして。どうして、あなたがそんな言葉を――
「春香。私達、別れましょう」
 私を助けてくれた声で、私を安心させてくれた声で、私を幸せにしてくれた声で。どうして、そんなことを言うの?
 分からない。これは、夢? まさか、現実なの?
 こんなにもふわふわして、分からない言葉を言われて。それなのに、現実なの?
 嘘でしょ? うん、これはただの夢だよ。こんなこと、言うはずないもん。私の知っているあなたは、こんなこと言わないよね?
「こうなることは、分かっていたでしょ? お互いの為にも、これ以上一緒にいるのは良くないわ」
 夢なら、早く目覚めなきゃ。私には待ってくれている人がいるんだから。私のことを、必要としてくれる人がいるから。
 そんな辛そうな顔、見せないでよ。私は知らないよ? そんな顔をしているあなたなんて、見たくないよ?
 嘘だよ。こんなの、絶対夢だもん。
「千早ちゃん、何を言っているの?」
 答えないで。声をかけないで。
 私の大好きな人の姿で、そんなこと言わないで。
「別れ話よ。ここで、私達の関係を清算するの」
 だから、何を言っているの? 私が聞きたいのは、そんな言葉じゃないよ?
 夢だと言ってよ。大好きだって言ってよ。私の幸せを、壊さないで。私から、千早ちゃんを奪わないで。
「おかしいよ。そんなの、おかしいよ」
「春香、これは現実よ。夢ではないわ、しっかりして」
 夢じゃない? 夢じゃないのに、こんなこと言われてるの?
 千早ちゃんから? 別れようって、私ふられてるの? もう、私は要らないの?
「アイドルに恋愛は禁止よ。今まではなんとか誤魔化せたけど、これ以上は一緒にいられないの。春香だって、分かっていたことでしょ?」
「分かってるよ。私だって、ちゃんと分かってるよ。でも、事務所のみんなが、プロデューサーさんが認めてくれたんだよ? それなのに、どうしてそんなこと言うの? おかしいでしょ?」
 アイドルだから、恋愛は禁止。恋愛は憧れるものであって、するものじゃない。
 そんなの、分かってるよ。凄く難しいことだって、分かっていたから、相談したでしょ? プロデューサーさんに打ち明けて、社長にも説明して、みんなにも分かってもらって。私たちのこと、認めてくれたでしょ?
 それなのに、どうして? どうして、そんなことを言うの? どうして、分かると思うの?
「スキャンダルは困るのよ。今、とても大切な時期だって、春香も分かっているでしょ? 私はもう、一緒にいられないの」
「一緒に頑張ろうねって、約束してくれたのは? 2人ならどんなことも平気だねって、笑ってくれたよね?」
「そうね。私もそう信じていたわ。春香となら、どこへでも行けるって。プロデューサーが認めてくれたから、怖いものなんてないって」
 不安だった時、千早ちゃんが私を助けてくれた。嬉しいことがあった時、千早ちゃんは一緒に喜んでくれた。
 どんな時でも、千早ちゃんが一緒にいてくれたから、私は歩いてこれたのに。どんなことにも負けないって、笑顔でいられたのに。
 私を、1人にするの?
「全ての願いが叶うなんて、あるはずないでしょ? 何かを叶えようとしたら、他の全てを諦めなければいけないのよ」
「そんなの、おかしいよ。諦めずに、頑張るって。私達なら出来るって、信じてくれるんじゃなかったの?」
 全てを叶えることは出来ないかもしれない。そんなの、分かってるよ。この世界には、諦めなければいけないことも、沢山あるよ。
 でも、頑張る前に諦めるのはおかしいでしょ? 一緒に行こうって言ってくれたのに、立ち止まろうとするのは、どうしてなの?
「現実は、甘くなかったわ。頑張ってはいけないこともあるのよ」
 頑張ってはいけない? そんなのおかしいでしょ? 諦めない為に頑張るのに、投げ出したりするのは、おかしいでしょ?
 頑張ってはいけないことなんて、ないよ。どんなことでも、頑張ることだって、大切だよ。
「ごめんなさい。私にとっては、夢が大切なの。幸せになることよりも、夢をかなえることが大切なの」
 歌うこと。歌手となって、世界中の人に歌を届けること。
 千早ちゃんの夢は、アイドルでは終わらない。アイドルで終っているようでは、夢に踏み出すことも出来ない。
 ……そっか。そうだよね。千早ちゃんがどれだけ大切にしているか、私は知っていたはずなのに。私、邪魔になっちゃったんだね。
「スキャンダルは困るのよ。夢を叶えようとしているのに、この時期にスキャンダルは困るの」
 歌手へと転向するには、アイドルの段階で躓いたりなんて出来ない。週刊誌にかぎつけられて、私達の関係がばれてしまったら、千早ちゃんの夢が閉ざされてしまう。
 それはイヤだなぁ。私、千早ちゃんの歌、好きだから。聞けなくなるのも、聞いてもらえなくなるのも、全部イヤだなぁ。
「同じ事務所の、それもアイドル同士の恋愛だなんて、絶対にダメ。そんなのが週刊誌に載ったりしたら、全てが終ってしまうわ」
 そうだよね。夢を叶えられなくなるくらいなら、忘れてしまおうって悩んだことも、相談したこともあるよね。
 あの時、私は分かっていたはずなのにな。やっぱり、いざとなると受け入れらないのかな? 恋人じゃなくなるって、それが分かっただけで、こんなにも震えてしまう。
 すがってはいけないって、分かっているのになぁ。
「私は、守りたいの! ううん、私が守らなきゃいけないのっ」
 大きな声、出しちゃダメだよ。誰に聞かれているかも分からないのに、どこから話が漏れるかも分からないのに。そんな大きな声出しちゃ、夢が消えちゃうよ。
 千早ちゃんの夢、私では叶えてあげられない、大きな夢。
「その為に、別れなきゃいけないのよ。私達、もう一緒にはいられないの」
 私を置いていけば、それで終るはずなのに。どうして、そんな話をするの?
 辛そうな顔をして、泣き叫ぶようにして、どうして言葉を紡いでいるの?
 おかしいよ、泣きたいのは私のはずなのに。おかしいよ、捨てられるのは私のはずなのに。
 どうして、涙を流しているの? どうして、そんな顔をするの?
「千早ちゃん、何があったの?」
「……何も、ないわ。何もなかったのよ。ただ、現実に気付いただけよ。このままじゃいけないって、このまま進むことは出来ないって」
 嘘だよ。今度の言葉は、嘘だよ。
 何もないなんて、嘘でしょ? それくらい、分かるよ。それが分かるくらいには、千早ちゃんのことを知っているよ。
 何を我慢しているの? 悲しみ以外の感情を浮かべられない顔で、そんなことを言うのはおかしいよ。
 何もなかっただなんて、嘘だよ。
「手に入れたものを誰かに壊されるのなら、私の大切なものを奪われるくらいなら、綺麗な形のままで終わりたいの」
 どうして、綺麗に終わりたいの? 私が騒ぐから? 私が千早ちゃんのことを諦められなくて、ずっと好きでいようとするから?
 ううん、違うよね。そんなこと、心配してない。今の千早ちゃんが心配しているのは、もっと別のことでしょ?
 私には言えないものを守る為に、千早ちゃんは辛い道に進もうとしている。ただ1つのものを守る為に、他の全てを捨てる気でいる。
「だって、私に出来るのって、これくらいだから。私が出来ることって、これしかないから」
 出来るかもしれないことを諦めて、全部を自分で抱え込んで。千早ちゃんは、どこかへ消えようとしている。
「ねぇ、春香。終わりにしましょう、私達、もう終るべきなのよ」
 でも、私には何も言えない。辛そうな千早ちゃんに、何も言ってあげられない。
 私の心は、千早ちゃんの言葉を受け入れられていないから、何も出来ない。声を出せない、指も動かない。
「さようなら、春香。応援、しているわ」
 別れ話。私達は、恋人ではなくなる。アイドルでいる為に、トップアイドルになる為に、私達の恋愛は邪魔になる。
 千早ちゃんは、歌手にならなきゃいけない。夢を叶える為に、アイドルで終ったり出来ない。
 スキャンダルになるのは、困るよ。夢が遠くなってしまう、アイドルを続けられなくなってしまう。
 千早ちゃんに出来ることは、私と別れるしかない。恋人がいた事実を隠して、いなくなるしかない。
 私の前から去っていくように、どこかへと逃げるかのように、いなくなるしかない?
 それって、おかしくないかな?
 
 
      ◇
 
 
 あの後、買い物から戻ってきた小鳥さんに心配され、私は家へと帰ってしまった。
 だから、千早ちゃんが事務所を辞めたことも、アイドルを辞めたことも、歌を諦めたことも、全てはプロデューサーさんから教えてもらった。
 私達の関係が週刊誌に載る直前だったこと。それを防ぐ為には、もっと大きな話を作るしかなかったって、教えてもらったよ。千早ちゃんが、私の為に、私の夢の為に、犠牲になったって。
 携帯電話は繋がらない。あの後解消されてしまったみたいで、千早ちゃんの声を聞くことは出来なかった。
 住所も変わってしまったみたい。千早ちゃんが住んでいた部屋は空っぽで、何も残っていなかった。
 私は、アイドルを続けている。前みたいに笑うことは出来なくなったけれど、彼女の残してくれた唯一のものだから。全てを捨ててまで、守ってくれた夢だから。どれだけ辛くても、私は止まらないよ。どこまでも、トップアイドルを目指して、ずっと上を目指してく。
 ねぇ、千早ちゃん。私、輝いているかな? どこかで応援してくれているかな?
 凄いでしょ? ほら、そこにあるのはアイドルアワードのトロフィーだよ。ホコリ被っちゃってるけど、みんなそれを目指して頑張ってるんだ。辛くても、苦しくても、みんな頑張ってるんだよ?
 でもね、私、嬉しくないんだ。受賞が決まった時も、みんなが喜んでくれた時も、全然嬉しくなかったの。
 大丈夫、笑顔は忘れていないよ。だって、アイドルの基本だもんね。千早ちゃんが残してくれたもの、ダメになんてしてないよ。ドームでのライブも決まったし、私だけのレギュラー番組も話がきてるんだって。
 凄いよね、今でもこんなに忙しいのに、トップアイドルになったら、どうなっちゃうんだろう?
 もっと疲れて、もっと嫌になって、立ち止まっちゃうのかな?
 その時、千早ちゃんはどうするの? 怒ってくれる? それとも、今まで頑張ったねって、褒めてくれる?
 どっちでも良いよ。どっちでも、私は嬉しいよ。
 
――千早ちゃんに、会いたいよ
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