ここは「魔法少女リリカルなのは」の2次SSをメインとしています。
※ 百合思考です。
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1986/07/28
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はるちはの告白シーン書きたいなぁ
あなたには、大切な人はいますか? その人が笑っている顔、大好きですか? 幸せになって欲しいと、願えますか?
私には大切な人がいます。側にいないと、すぐに無茶をする人です。自分の体のことなんて、全然考えていません。
見ているのは、未来のことだけ。先のことだけを見つめて、羽ばたこうとします。
とても心配で、側を離れられません。
先からの呼び声
未来、将来の夢。そういった単語を語る時、私は輝いた世界を想像します。キラキラと今以上に輝ける、素敵な世界を創造します。
努力を重ね、アイドルとしての経験を積み、ライブも沢山やって。ファンの人に囲まれている私、サイン会を開いている私、変装をして電車に乗る私。どれもが全て、想像の上でしかないのに、それだけで楽しくなってくる。
途中に待ち受けている困難も、今目の前に存在するトラブルも、どれもこれもが乗り越えられると、無条件で信じられる。信じられるのなら、乗り越えられる。
私は単純だから、それで良いの。彼女の側にいる為に、笑顔で乗り越えられる私でいたいから。
千早ちゃんは、難しく考える癖がある。目標の為に、誰よりも努力しているのに、まだ足りないって自分をいじめようとする。無茶な努力だって、よくしている。歌うことが大好きで、世界中の人に届けようとしているのは、私だって知っているけれど。もう少し、のんびりでも大丈夫だと思うんだけどな。
世界は冷たいって言うけれど、その世界で笑っているのが私達なんだよ? そんな世界でアイドルをしているのが、私達なんだよ?
ファンになってくれる人も、笑顔になってくれる人もいる。中には、感動したって泣いてくれる人までいる。
その人達を前にして、千早ちゃんはまだ言うの? 世界は冷たいって、まだ言うの?
うん、私達の心、奥深くにある気持ち、それを表に出せないって意味では、冷たいのかもしれないね。アイドルだからって、何かを制限されてしまうような、そんな世界は冷たいのかもしれないね。
でも、それは私達だけではないんだよ? 同じように苦しんでいる人は、沢山いるよ?
もちろん、沢山いるからといって、私達の気持ちには関係ないのかもしれないね。私達の気持ちは私達だけのもので、周りのみんなと一緒に悩むことは出来ないから。お互いに、口にすることすら許されないのだから。
――それって、本当に、世界が冷たいからなの? 私達が想いを伝えられないのは、世界が冷たいからなの?
全てを恐れない、幸せだけを求める、そんな貪欲さが足りないんじゃないかな? 自分達の幸せのために頑張る、心構えが足りないだけなんじゃないかな?
うん、バレちゃったら、アイドルを辞めないといけないかもしれないね。アイドルはみんなのものであって、誰かのものにはなれない。アイドルは、恋愛禁止なんだから。
でも、私達の想いって、アイドルであることに負けるものなの? 私達の、アイドルに対する思いは、そんなに軽いものなの?
トップアイドルになる夢と、千早ちゃんと一緒になる夢。その両方を叶えようとしちゃ、ダメなのかな? みんなに反対されるような、悪いことなのかな?
私には、そうは思えないよ? 幸せになることは、良いことだって、そう思うよ?
千早ちゃんは、どうなのかな? 私の気持ちに、私の考え方に、賛成してくれる? それとも、危険だからダメだって、反対するのかな?
今のまま、中途半端なままでいるのは、そろそろ難しそうなんだけれど、ダメなのかな?
◇
淡く発光する、携帯電話の画面。
そこに映し出されているのは、送られることのないメール。宛先欄に表示される名前は、千早ちゃん。
告白をした後に送ろうと、そう考えているメール。
千早ちゃんを説得するための、恋人になる為の文章。勇気を出して欲しいと、身勝手なお願いをするもの。
これくらいしなければ、本気を見せなければいけないと、高ぶる気持ちだけで書いたのだけれど、未だに送られることはない。
実際のところ、怖がっているのは私で、千早ちゃんは全てを覚悟の上で、うなずいてくれるかもしれないのに。後一歩、二歩が踏み出せないままで、今日までズルズルときてしまった。
今のままでも幸せだから、今のままでも大切な人だから。そういって止まろうとする、私の弱い歩み。真っ直ぐ歩くことも出来ず、時々転んだりして、全然進まない歩み。
それを進めさせてくれるのは、千早ちゃんの笑顔で、口から出ようとする言葉を止めるのも、千早ちゃんの笑顔。
あの笑顔を曇らせる可能性のある、そんな我が侭は言えないと、私の心が怖気づく。壊したくないと、震えている。
今のままではいけないのに、何らかの形で、決着をつける必要があるのに。どうしても、口に出すことが出来ない。
甘い関係に、今以上の関係になりたいのに、どうして踏み出せないのかな。何を望んでいるかは分かっているのに、何かを失う可能性に怯えて、口に出すことが出来ない。
底に悩むのは、本当に必要なことなのかな? 私には、分からないよ。
恋人になるって、こんなにも難しいもの? 千早ちゃんの隣に行くことは、こんなにも難しいの?
悩みたくはないのに、止まりたくはないのに、私の足はどんどんと沈んでいく。前ではなく、下を目指して沈んでいく。抜けなくなるまで、歩みが止まるまで、沈んでいく。
よく考えろと、叫ぶ理性にひきづられて、動けなくなってしまう。
これじゃ、いつまでも、千早ちゃんにメールを送ることが出来ないね。
――恋するって、難しいなぁ
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