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ここは「魔法少女リリカルなのは」の2次SSをメインとしています。 ※ 百合思考です。 最近は、なのは以外も書き始めました。
ヽ(*´∀`)八(´∀`*)ノ
プロフィール
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らさ
年齢:
37
性別:
男性
誕生日:
1986/07/28
趣味:
SS書き・ステカつくり
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ご報告頂けたら相互させて頂きます。


メールアドレス
yakisoba_pan◇hotmail.co.jp
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当ブログ内のSSは無断転載禁止です。 恥ずかしいので止めて ^^;
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日常大切



 事実を事実として受け入れるのは、中々に難しいもの。目の前にあっただけで、事実と出来るほど、人間は柔軟な思考を持ち合わせているわけではない。
 それと平行して、信じ込んでしまったものに関して、認識を改めるのも難しい。
 それが真実であったものからすれば、現実が間違っているのだから。
 ただ、もしも現実を受け入れることだけに集中し、認められるのならば、そこには新たな発見が待っている。
 
 
     この手にあるもの
 
 
 朝、事務所に来て、1番最初にすること。それは行動予定を確認することではなく、プロデューサーを探すことでもない。社長への挨拶は余りしないし、他のみんなへの挨拶だって、1番目ではない。
 私にとって大切なのは、彼女が今日事務所にいるのか、いないのかという事実の確認。
 それだけで随分とモチベーションが変わってしまうので、重要なことだ。
 続いて、いなかった場合は少し落ち込み、ため息をつく。いた場合は、彼女のファッションチェックと、可愛さチェックが恒例となっている。
 私よりもセンスがあり、女の子らしい服装をしている春香。その雰囲気を眺めているだけでも、自然と笑顔になれるほど、私は癒される。彼女が側にいてくれることによって、私の視界の中にいてくれることによって、私は自然と幸せになれるのだから、不思議なもの。
 まぁ、好きなものを目の前にすれば、誰でも浮かれてしまうものでしょ? だから、私の反応になんらおかしいところは無い筈。
 可愛さチェックに関しては、瞳の輝き具合や、表情の明るさ、最初にかけてくれる言葉など、色々なものを総合的に見て、どれだけ可愛いかと言うことを、心の中で叫ぶだけ。
 口に出して伝えるのは恥ずかしいし、なにより、春香に怒られてしまうから、随分と簡略化した内容しか伝えられない。
「千早ちゃん、おはよう。今日も良い天気だね」
「おはよう、春香。そうね、どこまでも抜けるような蒼さだわ。こんな日に散歩なんてしたら、気持ち良いんじゃないかしら」
 無難に天気の話題を振ってきているようで、私の反応を細かくうかがっているのは、春香くらいなものだろう。ちょっとした動き、例えば私の視線に興味を持ったりして、こっそりと追いかけているところが可愛い。
 いや、春香自体がそもそも可愛さの塊だけど、そこに動作と表情が加わることにより、眩しさへと変わってしまうことを、私は切に訴えたい。主に、本人に。
 まったく、少しは考えてくれないと、そこら中ファンだらけになってしまうわ。トップアイドルを目指すといっても、限度があるでしょ? 私だけの知っている春香を、少しでも良いから残して欲しいのに、難しいものね。
 それにしても、今日は花柄のワンピースにカーディガンといったものね。なるほど、足回りにいたるまでピンクを基調とした、トータルコーディネイト。完全に春ファッションという感じで、やわらかく、そして可愛らしい雰囲気が増している。シンプルさの中に、これだけのものを内包させるだなんて、これがセンスというものなのね。
「ただ、天気予報通りになるのなら、夜は雨よ。春香、傘は持ってきているの?」
 どう考えても、コンビニのビニール傘が似合うような、そういった服装ではない。出来ることならば、傘も可愛らしいものを持って欲しい。
「え? そうなの? どうしよう、私傘なんて持ってきてないよ。今日のお仕事、遅くなりそうなのに」
 ……傘を忘れるという、間の抜けているところは、春香らしいと言えるのか。
 何にしても、傘は持ってきていないらしく、このままいけば、似合わない傘をさして岐路に着く、そんな春香に出会ってしまう。
 似合わないビニール傘というのも、ありなのかもしれないけれど、どう考えても勿体無い。余裕があるのであれば、どこかで買ってしまうほうが良いだろう。
 ただ、撮影の仕事で、そこまで都合よくは行かないわよね。これは、何か考えたほうが良いのかしら?
「傘がないのなら、タクシーで帰るのはどう? 遅くなるようであれば、夜道を1人で歩くのは、遠慮して欲しいわ」
 アイドルとして名前が売れている今、何よりもこんな可愛い格好をした春香が、夜道に歩くだなんて心配よ。
 何かがあるとは思いたくもないけれど、警戒するに越したことはないわ。
「うーん、現場からだと結構な距離だし、お財布的には辛いんだけどなぁ」
「安全を買うためよ。プロデューサーに相談してみたら?」
 なんでもプロデューサーに頼ってしまうのは、良いことではない。自分達で出来ることは、負担をかけるべきではない。
 それは分かっているけれど、これくらいの相談であれば大丈夫でしょう。プロデューサーも、予定は把握しているはずだから。
「一応、タクシーで帰宅するようにって、言われてはいるんだけどね。ちょっと、勿体無いかなぁって」
「その勿体無いの為に、春香が危ない目にあうのは嫌よ?」
 指示が出ているのなら、問題となるレベルではないはず。春香の気持ちが分からないわけではないけれど、勿体無いからと危険をかえりみないのは、アイドルとしてどうかと思うわ。何より、進んでリスクをとるような真似は、褒められるものではない。
 私達は、自分の立場を理解することも、大切なのだから。
「えへへ、心配してくれてありがとう」
「当たり前でしょ? 春香にもしものことがあったら、私はどうしていいか分からないわ」
 大切なものが失われたり、大切だったはずのものが壊れたり。幼い頃の私には、日常とも言えるものだったけれど。それを再び味わうような、そんな選択肢は採って欲しくない。
 今までが大丈夫だからって、これからも大丈夫だとは限らないのだから。
「私はどこにもいかないよ。ずっと、千早ちゃんの側にいるよ?」
「言葉だけでなく、ちゃんと側にいて頂戴。危ない真似は、しないで」
 春香を心配できること、それ自体は嬉しい。
 ただ、心配しているようなトラブルに、巻き込まれて欲しいわけではない。
 心配だけで終われば良し、それが約束できないのなら、危険を避けて欲しい。
 そう願うのは、間違えではないはずだから。彼女の友人として、同僚として、大切に思っているものとして、当然の反応でしょ?
「うん、そうするよ。千早ちゃんに心配をかけないように、今日はタクシーで帰ることにします」
「それが良いわ。明日もあるんだし、無理はしないようにね?」
「大丈夫だよ。私、元気だから」
 輝くような笑顔で応えてくれる、私の大切な人。その笑顔が曇ることがないように、私に出来ることでフォローしていきたい。
 咲き誇る花は、勝手に咲くことはないのだから。私にだって、彼女の為に何か出来るはずよ。眺めているだけだなんて、私には合わないから。
 私は言葉を届けるわ。
 
――いつまでも、輝いて
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