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ここは「魔法少女リリカルなのは」の2次SSをメインとしています。 ※ 百合思考です。 最近は、なのは以外も書き始めました。
ヽ(*´∀`)八(´∀`*)ノ
プロフィール
HN:
らさ
年齢:
37
性別:
男性
誕生日:
1986/07/28
趣味:
SS書き・ステカつくり
自己紹介:
コメントを頂けると泣いて喜びます。
リンクフリーです。
ご報告頂けたら相互させて頂きます。


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yakisoba_pan◇hotmail.co.jp
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当ブログ内のSSは無断転載禁止です。 恥ずかしいので止めて ^^;
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・w・) なんというか、小まめにUPしようって思えますね



 本当の強さとは、弱さを併せ持っているものである。
 そんな言葉を、いつの日だったか、誰かから教わった記憶がある。硬いだけの強さでは、いつか崩れてしまうと。上しか見られないのなら、足元の小石に躓いてしまうと。
 大切な言葉だと思う。何を伝えたいのかは、私にだって分かる。強さだけを求めてはいけないと、そう諌められているのだって、分かる。
 けれど、現実的な問題として、その弱さを受け入れられるほど、私は強くなかった。
 
 
     ビー玉の夢
 
 
 寝苦しさを覚え、自分の息が熱くなっていることを意識すれば、目覚めることは難しくはない。寝起きの気分が悪かろうとも、夢見が悪るく、姿勢も悪い状態なのだから、目覚めてしまうに限る。目を開くための気力さえあれば、それでいい。
 まぶたの向こう側に光を感じている以上、これ以上眠る必要はないはずだから。
 目の前に広がるのは、私の部屋よりも高い天井。体は不自然な格好をしていて、まるでソファーで眠っているよう。
 いえ、正確ではないわね。私は文字通りソファーで眠っていて、ここが事務所であることは把握している。
 最近、疲れがたまっているのは自覚していたから、それ自体は問題でもない。夢の中でのことも、覚えているつもりはないから、問題にはならない。
 唯一、問題になることがあるとすれば。
「おはよう、千早ちゃん。よく眠れたかな?」
 私の寝顔を眺めていたであろう、笑顔がそこにあること。楽しいものを見つけたかのように、笑顔のままでずっと見られていたことは、確認するまでもなく分かる。
 事務所のソファーで眠っていれば、こうなる可能性があるのは理解しておくべきだし、眠らせてくれたのは春香の気遣いとも言える。
 ただ、好きな人に寝顔を見られたことは、笑顔に出会えた嬉しさを上書きするほどに、恥ずかしい出来事。
「おはよう、春香。今日も可愛いわね」
 恥ずかしさを誤魔化す為には、私が感じている以上の恥ずかしさを、春香に投げてあげれば良い。そうすれば、表情豊かな彼女が慌てている間に、私は冷静になれるはずだから。
 その為のセリフには、極力短いものを選べば良い。そうでなければ、口から飛び出す前に、私に恥ずかしさが伝播してしまうから。
「えへへ、そうかな? リボンの角度、ちょっとだけ変えてみたんだけど、やっぱり分かっちゃう?」
「そうね。いつもの角度も悪くは無いけれど、こちらの方が好きよ」
 ……リボンの角度って何かしら? 多少、いつもと位置が違うような気はするけれど、正直なところ変わりはない。
 春香が可愛いのはいつものことで、少しだけ嫉妬しながら、惹かれているのが私だから。リボンを外す位のことをしなければ、きっと心が揺らぐようなことはないでしょう。
 そもそも、春香の可愛さの中にリボンは含まれているけれど、リボンが本体ではないのだから。リボンを少し変えたくらいでは、春香のかわいらしさは揺るがないわ。ええ、少なくとも私にとっての春香が変わることなんて、ありえない。
 私に無いものをいっぱい持っている、優しさが溢れてしまっている、ふわふわした女の子。恥ずかしさがどこかに飛んでいってしまえば、今すぐにでも抱きしめてしまいそうになる。
 以前であれば、ここまで強い気持ちを抱くことは無かったけれど、最近の、恥ずかしさに少しは耐えられるようになった心なら、余裕が生まれているから。
「千早ちゃん、随分と大胆になってきたね。誰がくるかも分からない事務所で、前だったらそんなこと言ってくれなかったのに」
 弱いままの私でいたくない。春香にばかり負担をかけるような、そんな私を好きにはなれない。春香にも、好きになって欲しくない。
 そんな、春香尽くしの理由で、私は変われた。少しでも良い方に行こうとして、もがいたの。失敗もしたし、どうして良いか分からない時もあった。
 でも、側で春香が笑ってくれるから。大丈夫だよって、勇気をくれたから。私は前に進み続けることが出来たの。一緒に歩いていきたいから、頑張れたの。
「大胆、なのかしら? 私はただ、自分が思ったことを伝えただけよ?」
 素直になりたかった。思っていることを、伝えたかった。
 私が変わったのは、それだけかもしれない。強くなったのではなく、ワガママになっただけ。大胆になったのではなく、ワガママになっただけ。
 それでも、春香が喜んでくれる変化なら、私も嬉しい。
「んー、前の千早ちゃんなら、真っ赤になるだけで何も言ってくれなかったのになぁ」
「春香は、以前の私のほうが良かった?」
「ううん、そんなことはないよ。ただ、嬉しいけど、ちょっと寂しいかも?」
 変わったことを喜んでくれてはいるけれど、以前の私も嫌われてはいなかったということかしら? そうであれば、嬉しい話ね。
 春香には悪いけれど、私は私のままだから。変わっているようで、換わっていないところの方が多い。
 ただ、春香に悲しい顔をさせない為に、私自身が納得出来るようになる為にも、甘え方については考えていかなきゃダメね。一方的な関係なんて、イヤよ。私は温室のバラにはなりたくない。
「今の千早ちゃんも好きだけど、前の千早ちゃんも好きだから。時々でいいから、可愛いところを見せて欲しいな」
 春香が好きになってくれたのは、以前の私。その現実は理解しているつもり。大きな変化を見せると、彼女の心が離れてしまうかもしれない。
 いえ、そんな弱気なことではダメだわ。再び好きになってもらえるように、以前の私から奪い取るくらいの覚悟で挑まないと。春香と一緒にいない未来なんて、想像すら出来ないのだから。
「善処はするわ。ただ、あまり期待はしないで」
 春香に求めてもらえるのは嬉しいこと。ワガママに、全部をとりにいくしかないのね。
 自分に素直になるというのが、どれくらいの線引きでやればいいのか、私にはまだ分からない。もしかしたら、色んなところで失敗しているのかもしれない。
 それを受け入れてもらおうというのは、素直になる以上のワガママなのかもしれない。本当なら、望んではいけないことなのかもしれない。
「えへへ、私は可愛い千早ちゃんが見れるのなら、それで良いから。別に、前の千早ちゃんに戻らなくても良いんだよ?」
 目の前で笑う彼女になら、言っても良い気がするのはなぜかしら? 上手に甘えられるのなら、ワガママも受け入れてくれるって、そう思えるのはなぜかしら?
 その答えだって、今の私には見つけられない。けれど、確信として今感じられる。
 その感覚を信じていくのも、新しい道になるんじゃないかしら? 歩き出せるのなら、未来に繋がるはずよ。
 春香の笑顔が照らしてくれる未来、彼女と一緒に歩ける道。その全てを楽しむのだって、恋人としての特権だから。もう少し、頑張りましょう。
 
――私の夢は、ここにある
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