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ここは「魔法少女リリカルなのは」の2次SSをメインとしています。 ※ 百合思考です。 最近は、なのは以外も書き始めました。
ヽ(*´∀`)八(´∀`*)ノ
プロフィール
HN:
らさ
年齢:
37
性別:
男性
誕生日:
1986/07/28
趣味:
SS書き・ステカつくり
自己紹介:
コメントを頂けると泣いて喜びます。
リンクフリーです。
ご報告頂けたら相互させて頂きます。


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yakisoba_pan◇hotmail.co.jp
◇を@に変えて下さい
当ブログ内のSSは無断転載禁止です。 恥ずかしいので止めて ^^;
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自ら踏み出せなければ、欲するものには手が届かない。
ただ、チャンスを見逃さなければ、踏み込まれた分だけは前進できるでしょう。

・w・) 千早ちゃんがんばって

もっと甘いの書きたいです。



 私の思いは、私だけのもの。私の気持ちは、私だけのもの。
 ずっと変わらないと思っていた、変わることなく貫けるものだと、疑いもしなかった。
 けれど、あなたに出会って、私は変わってしまったから。今までの私よりも、輝けることを知ってしまったから。
 この歌が伝えるのは、あなたへの感謝に変わる。
 
 
      伝うもの
 
 
 空を暗く染め、私の心にもしずくを滴らせる。そんな日曜日が始まってしまった。
 せっかく作ったてるてる坊主も、効果はいまいち。午前中は雨が上がることもなく、買い物に出られるのは午後になってしまいそう。
 ただ、雨自体に嘆く必要はなく、どちらかといえば歓迎してしまっているのが、私の弱いところだったりもする。
 自分の気持ちの伝え方が分からない、そんな私にとって、今日の雨は天からの助けといっても良い。春香と2人でいられる時間を増やしてくれる、素敵なもの。
「お出かけ、お昼になっちゃいそうだね」
「そうね、残念だけど仕方のないことだわ。急ぎの用事というわけでもなかったし、のんびりしていましょ」
 用事といっても、ウィンドウショッピングに行く程度であって、別に今日である必要はない。もちろん、2人で出かけられるという部分にのみ釣られた私としては、若干残念ではあるけれど。必要以上にお洒落になろうとは思わないし、今のスタイルを嫌っているわけでもない。なにより、春香と一緒に試着したりすると、改めて認識させられることもあったりして、ちょっとだけ悔しいから。
 努力しても実らないことだって、あるのよ。
「折角、千早ちゃんとデートにいけるはずだったのになぁ。残念だよ」
「また別の日に付き合ってあげるから、無理は禁物よ」
 休める時に休んでおく。それはプロとして、アイドルとしての仕事でもある。輝く笑顔を保つ為に、元気な歌声を保つ為に、たまには休んで欲しいものよ。
 春香だって、それを分かっているからこそ、朝一での出発を諦め、昼からの予定に切り替えようとしてくれるのだから。無理をするくらいなら、別の日に行けばいいのよ。逃げたりはしないから。
 さりげなく誘うということが出来ない私にとって見れば、次の約束を取り付けられたのだとしたら、それだけでも僥倖と言っても良い。
「この間見つけた服、なくなっちゃうかもしれないよ。千早ちゃんに似合いそうな服、折角見つけたのに。なくなっていたら、ショックだよ」
 時々あることではあるけれど、やっぱりそういう理由だったのね。自分のものを見る為に付き合わせるのではなく、私に似合いそうなものを見つけたから、一緒に行こうだなんて。春香らしいけれど、そればかりに甘えていられない立場としては、中々に強敵ね。自分の服装くらい、決められるようにならないと。私にだって、きっと魅力はあるはずなんだから。春香の信じてくれる私を、信じたい。
 歌の比重を譲るつもりはないけれど、それが視野を狭める結果になってしまうのであれば、私自身の未熟さを隠す言い訳にしかなっていないと、自覚をしなければいけない。自分だけの為ではなく、私達の将来の為にも、私はこの翼を手放したりは出来ないのだから。
 歌に関しては今まで通りに、何かをプラスしていけるような成長を、未来として捕らえないと。
「春香の選んでくれた服、見られないのは残念だけれど。それでも無理はして欲しくないわ。春香、最近忙しそうだし、今日はこのまま休まない?」
 私の部屋には、娯楽がない。時間を潰せるものもないし、一緒に遊べるようなものもない。
 けれど、春香が一緒にいてくれるのなら、私はいくら時間があっても足らないから。聞きたいことも、聞いて欲しいことも、沢山あるから。たまには、のんびりするのも良いんじゃないかしら?
「私だって、それは……んー、でも、やっぱり千早ちゃんとのデートを諦められないよ」
 諦められないだけで、反対したりはしないのね。たまには別の意見をぶつけてくれても良いのに、ちょっとくらいケンカになっても良いのに。どうして、春香は退くのかしら?
 もう一歩踏み込んでくれれば、私の中に入ってこようとしてくれるなら、私だって気持ちを伝えられるかもしれないのに。どうして、近くで見ているだけなの? 今の私には、求めるほどの魅力がない?
 デートだと、笑顔で誘ってくれるあなたには聞けないこと。私の心の中で渦巻いてしまっている、小さな不満。私から動けば全て解決するのかもしれないけれど、今の関係を壊してしまうような、そんなことはしたくないから。
 やっと見つけられた、心から信じられる人を、傷つける可能性があるのなら、我慢していたほうがマシ。私が何もしないのであれば、今の関係が崩れることはないはず。
「だから、それは別の日にしましょう。服はなくなってしまうかもしれないけれど、一緒に探してくれるなら、その、私も嬉しいし。私だって、春香に選んであげたいもの」
「でも、いつ行けるの分からないよ? 千早ちゃん、どんどん忙しくなってるでしょ? 私も予定が合い辛くなってきたし、日付を決めるのが難しいよ」
 歌の仕事が増えれば、必然的にソロ活動が増えてしまう。ユニットでの楽しさを知り、心強さを知った今としては、少し寂しいところがあるのも事実だけれど。春香に話した、夢を諦めるわけにはいかないの。春香と一緒に語った、大切な夢に向けて頑張りたいの。
 何より、1人で頑張ってるわけではないから。テレビで見る春香に、元気をもらえるから。私はいつだって歌うことが出来る。あなたの心に、いつか歌が届くように。歌に乗せた、想いに気付いてもらえるように、私は声を張り上げる。
 大切だと思える人だから。
「1日オフとなれば難しいかもしれないけれど、仕事の合間や、仕事が終わった後だって、時間は作れるわ」
「それはそれで嬉しいんだけれど、ちょっと勿体無いなぁ。あのワンピース、絶対千早ちゃんに似合うのに。見かけた時に、買っておけば良かったよ」
 ワンピースへの執念なのか、それとも私に着せることへの執念なのか。前者であるなら少し残念だけれど、もしも後者であるのならちょっと、いえ、かなり嬉しい。
 それを確かめたい衝動に駆られそうになるけれど、こんな形で日常にヒビをいれるのは避けたいから。結局のところ、素直に聞くことが出来ない。失うことだけを恐れて、その先にあるものに手が届かない。
 泣かせるくらいなら、忌避の目で見られるくらいなら、臆病なままでいれば良い。とても後ろ向きな、私の選択。輝き続ける彼女の側にいるのに、何も見習えていない、そんな選択。
 弱虫なところ、ちょっとだけ嫌になるわね。
「春香。あのね」
 真っ直ぐ伝えることは出来ない。それは分かりきっていること。
 けれど、伝えること事態を諦めてしまうのは、まだ早い。挑むことなく引き下がるだなんて、そんなことは出来ない。不器用でも良い、全部伝わらなくても良い。春かを信じて、私の仲にある言葉で伝えれば良い。
 ここは私の部屋で、今は2人きりなのだから、他の人の目を気にする必要なんてどこにもないわ。
「春香の見つけてくれたワンピース、私も着てみたい。着て、春香に感想を聞いてみたい。それは本当のことよ?」
 出かけたくないわけではないの。折角、デートだと言ってくれる時間を、削られているのは残念なの。
 春香と一緒に街を歩いて、いつもより輝いている街並みを見て、幸せを感じたい。手を繋いだりできるのなら、温もりも伝わってくるから。
「けど、それ以上に、私は2人でいられることが大切なの。春香の側いられるこの時間を、大切にしたいの」
 綺麗な言葉にまとめることは出来ない。同じような言葉を何度も使っているし、分かりやすいとも思えない。
 ただ、私の気持ちは込めるから。春香に伝わるように、春香に分かってもらえるように、ちゃんと言葉にするから。受け取って欲しいの。
「だから、別に出かけられなくても良いわ。春香の隣にいられるのなら、その時間こそが私の宝物になるから」
 輝きを失わない時間。光と温かさが包む、この時間。
 それこそが私の欲しいもの。積み重ねていきたい、日常。
「今日はこのまま、のんびりしない? 何もない部屋だけれど、私は春香とそうしたいわ」
 うつむいたり、目を逸らしてみたり、真っ直ぐ伝えることは出来なかった。恥ずかしくて小さくなったところもあるし、噛んだりもした。
 ただ、残すことなく言えたから。仕舞い込まずに、春香に渡せたはずだから。後は返事を待つだけで良い。
 考えるのも、悩むのも、今は必要ない。春香がどう思うかに、全てを任せれば良い。きっと、悪いことにはならないはずだから。
「ありがとう、千早ちゃん。そんなふうに言って貰えて、私とっても嬉しいよ。ちゃんと、届いているよ」
「そう。それなら、良かったわ」
 届いているのなら、それで良いの。どう感じるか、何を考えるか、答えを出すのは春香だから。
 私は自分のしたいことを言えたから、それで良いの。次は、春香のしたいことを聞くだけよ?
「それにしても、千早ちゃん。デートじゃないって否定しないんだね」
「否定するほどのことではないと、そう思っただけよ」
 否定すると、春香が寂しそうな顔をするからなんて、そのままを伝えられれば良いのに。すぐには無理でしょうね。
 私の太陽を曇らせたくない、ただそれだけなのにね。こういう時、素直になれないのは損だって感じるわ。
「えへへ。なら、今日は1日、千早ちゃんのお部屋でお世話になろうかな。たまにはゴロゴロして過ごす休日だって、悪くないよね」
「そう。ありがとう、春香。私が話せるようにしてくれて。助かったわ」
「いつも助けてもらってるから、そのお礼だよ。気にしないで」
 頼ることの出来る関係、頼ってもらうことの出来る関係。信頼して、お互いを預けることの出来る関係。
 私はそういったものを、春香と築いていきたいの。側にいて安心してもらえるような、そんな私でいたいと思うわ。
 強くて、出来る限り柔らかくて、春香を抱きとめられるような存在になりたい。いえ、近い将来でなって見せるわ。
 全てを抱きとめられる、全てを任せてもらえるような、そんな強さを手に入れる。
 だから、今日は休みましょう。依頼に向けて、元気をチャージするの。
 
――明日はきっと、晴れるから
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