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うん、明日は仕事だね
(・w・) あれ? 出勤時間は何時だっけ?
エイラーニャ テーマ:隠し事です
そろそろサーニャさんによるテコ入れが始まります
ふふふ、エイラよ 逃げ道はないぞ?
夜の帳が下り星が輝きだす頃、人々の1日が終わる。
これから先は闇が支配し、明日を迎える準備をする時間。
そんな中、明日からの生活を続ける為にエイラと向かい合っていた。
「ねぇ、エイラ。無理をしなくて良いのよ?」
「私はまだやれる。無理なんかしてないぞ」
話題に上っているのは、今夜の夜間哨戒。
本来であれば私1人であるはずの任務に、彼女が着いてくるといって聞かないのだ。
「サーニャも1人より、2人の方が良いだろ?」
「それは、そうだけど……」
1人よりも2人の方が心強い。何かトラブルが起こった時も、対処はしやすい。
だけど、エイラには昼の任務もあるのに。いつ、休むの?
「やっぱり、ダメ」
エイラが強いことは知っている。何度も付き合ってもらっているから、夜間飛行に関しても心配はない。
ただ、今日はネウロイの出現予想日でもなく、危険性は低いの。
そんな日までついてくる必要性はない。
「なぁ、サーニャだって知っているだろ? 私は強いから平気だよ」
「そういう問題ではないわ」
強いから、無理をしても平気なの? そうじゃないでしょ?
エイラは無理をしているだけ、辛くても、苦しくても我慢しているだけ。
エイラは無理をしていても、私に教えてくれないだけ。
それが分かっているのに、彼女の提案を受け入れるわけにはいかない。
「エイラはいつもそう。私に心配もさせてくれないの?」
「うっ……そ、そういうわけじゃないぞ? ただ、私もサーニャが心配なんだよ」
「けど、無理はよくないわ」
心配してくれるのは嬉しい。
だけど、その為にエイラが無理をしているのはイヤ。エイラが苦しんでいるのはイヤ。
それに、エイラは気付かないフリをしているだけだから。
「ねぇ、エイラ」
「ど、どうしたんだよ。そんな顔をされてもダメだぞ? 私はついていくからな」
もっと根本的なところから、エイラが勘違いしているところから、ちゃんと直さないとダメね。
時間がないから、恥ずかしいから、そんな言い訳をして私は逃げてきた。
だけど、それでは何も解決しない。目を見て、きちんと伝えなければ意味がない。
今まで通りを繰り返していては、何も前進しない。
「無理をしないで、隠さないで。私に全部教えて」
「何の話だよ。私は何も隠してないぞ?」
「嘘、エイラは本当の気持ちを隠している」
今日の夜間哨戒には少し遅れてしまうかもしれない。ミーナ中佐に迷惑をかけ、怒られてしまうかもしれない。
だけど、私はここを離れるわけにはいかなくなった。
任務よりも、何よりも大切な人が無理をしているのに、それを放っておけるわけがない。
「ねぇ、エイラ。どうして隠そうとするの? どうして逃げようとするの?」
恥ずかしがっていてはいけない。目を逸らしてはいけない。
エイラからも、自分からも、逃げちゃダメ。
「私に知られるのが怖い? 私が気づいてしまうのが怖いの?」
エイラが恐れているのは、私に知られてしまうこと。
エイラが恐れているのは、私に気づかれてしまうこと。
隠そうとしている、私には見せてくれないものに、私の手が触れること。
「私は全部知りたいの」
だけど、私はそれを知りたい。それも知りたいの。
我侭でも良い、ちょっとくらい怒られても良い。
お願いだから、逃げないで。
「笑っているエイラも、怒っているエイラも、泣いているエイラだって知りたいの」
私が好きなのはエイラだから。私が求めているのはエイラだから。
逃げずに、私に見せて。私に教えて。
エイラの心を、私に伝えて。
「だから、隠さないで。全部、私に見せて」
今までは、言葉で伝えられなかった。
ごめんね、勇気がなかったの。恥ずかしくて、逃げていたの。
「けど、そんなことしたらさ」
「うん?」
「サーニャ、私のこと嫌いになるだろ?」
だけど、もう逃げないから。
エイラから逃げない。自分からも逃げない。
「本当の私、弱い私を見せたら、サーニャに嫌われてしまうだろ?」
「どうして、そう思うの?」
この胸にある想いを大切にする為に、私は逃げられない。逃げたくないの。
もう、隠したくないの。悲鳴を上げているこの胸の内を、伝えたいの。
「だって、本当の私は凄く弱いんだ。サーニャを守れないほどに弱くて、サーニャが呆れてしまうほどに我侭なんだよ」
全ての私が、肯定している。
私はエイラが好きなんだって、どんなエイラでも愛せるんだって。
エイラの全てを、全てのエイラを好きになりたいって。
「私は、本当の私が嫌いなんだ。だから、サーニャに会わせたくないんだよ」
彼女の笑顔を、彼女の涙を、彼女の声を、私は独占したいと願っている。
それは許されないと分かっていても、それを願ってしまうから。
「な、サーニャだって、そんな私には会いたくないだろ? 我侭しか言わない、そんな私はイヤだろ?」
その中には、我侭なエイラも含まれている。弱いエイラも含まれている。
全てのエイラが入っているんだよ?
「今の私だって、本当の私なんだからさ。このままでいさせてくれよ。サーニャを守ってるんだって、そう思わせてくれよ」
エイラの心は怯えている。
私が伝えていないから、見えない恐怖に怯えている。見えていないものが、恐怖だけなんだって思い込んでいる。
そこには希望だってあるし、私の想いもあるのに。見ようとしてくれていない。
だけど、それは私が伝えていないから。私の心を、エイラに伝えていないから。
私のせいで、エイラが辛い思いをしているの。
「ダメよ。そんなのは、ダメ」
残酷なことかもしれない。受け入れたくないことかもしれない。
だけど、分かって欲しい。私はエイラが好きなの。エイラの全てを好きになりたいの。
「私は、エイラの全部を知りたいの。強いところも、弱いところも知りたいの」
「だけど、それは……」
「大丈夫、安心して。私は、エイラに幸せになって欲しいだけ。私がエイラを嫌ったりすることはないわ」
なぜ、そんなことで嫌わないといけないの?
なぜ、それだけのことで離れないといけないの?
エイラは難しく考えすぎている。
「エイラ、泣いても良いのよ? それは、恥ずかしいことではないわ」
思いっきり泣けば良い。恥ずかしいなら、私が胸を貸してあげる。
寂しくて泣いているのなら、私が抱きしめてあげる。涙だって、ぬぐってあげるわ。
好きなだけ泣いて、その後で笑顔を見せて。
「エイラ、立ち止まったって良いのよ? それは、自分の心と向かい合っている証拠だわ」
迷った時、困った時は立ち止まれば良い。答えが見えるまで、止まってしまえば良いの。
ずっと待っているから、傍で待っているから。
エイラがまた歩き出せるまで、私が傍にいるから。1人にはしないから。
「エイラ、怒っても良いのよ? それは、私を理解しようとしてくれているだけ」
イヤなことがあれば怒れば良い。理不尽なめにあったら怒れば良い。
私が全部聞いてあげる。エイラの愚痴も、エイラの不満も受け止めてあげる。
一緒に怒ろう? 一緒に悩もう?
そうすれば、答えがみつかるから。
「そして、最後には一緒に笑いましょ」
私は、私の我侭を言う。
エイラは、エイラの我侭を言う。
その後で、歩み寄れば良いの。その後で寄り添えば良いの。
大丈夫、私達になら出来るわ。
「ね? 時間がかかってもいいから、今すぐでなくてもいいから。エイラのこと、私に教えて」
「う、うん」
驚いた顔をしているね。私がこんなことを考えていたなんて、こんな想いを秘めていたなんて、想像してなかったでしょ?
「これからは、私も伝えていくから。私のことをエイラに伝えていくから」
知りたいだけでなく、知って欲しいから。ちゃんと伝えていくよ。
私のことを、私の心を伝えていくよ。
――それが、恋だと思うから