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ここは「魔法少女リリカルなのは」の2次SSをメインとしています。 ※ 百合思考です。 最近は、なのは以外も書き始めました。
ヽ(*´∀`)八(´∀`*)ノ
プロフィール
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らさ
年齢:
37
性別:
男性
誕生日:
1986/07/28
趣味:
SS書き・ステカつくり
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はい、なぜか艦これです
隼鷹さんが可愛いのが、個人的ストライクなのが悪いんです。

なお、作中の提督さんは適当に書いてます。イメージもいません。



「あら、提督。少し良いかしら?」
 夜、上層部への報告書もまとめ終わり、僕の1日が終了しようとしていた時、扉を叩いた者がいた。
 サイレンが鳴らないところをみれば敵襲ではない。慌てていないから、敵の停泊地を見つけたわけでもないのだろう。
 そうなれば、個人的な用事でもあるのか、人目をはばかるべき内容かーー相手が飛鷹となれば、どんなものが飛び出してきたとしても、不思議はない。
 元々が客船であり、戦場からは縁遠かったはずの彼女。計画段階で話が持ち上がってきていたとは言え、実行しなければならなくなった現実に、憂いを感じないわけではない。
 前世とも言える記憶の中では、壮絶な最後を迎えたと聞いているが。
 まぁ、今は戦いの中にあっても、そこまで困窮しているわけでもなく、攻められ続けているわけでもない。最近は隼飛と楽しくやっているみたいだし、大きく問題は抱えていないはずなんだが。
 どちらにして、自ら扉を叩いておいて、白々しい言い方だ。そこが彼女らしくもあるが、妹と対照的過ぎて少し疲れるところでもある。
「そこにたってても、話は進まないだろう? 入ってきたらどうだい?」
「いや、ほら、一応こんな時間だしさ。船といえども、提督の部屋に入るのは遠慮したいっていうか、ねぇ?」
「このままでもいいのなら、話を聞くが。誰かに聞かれても、僕は知らないぞ?」
 遠慮しているのか、それとも単に入るのがイヤなのか。僕、何か嫌われるようなことしたか? エレベーターの点検だって付き合っているし、いくらか問題になっている提督がしているような、セクハラもない。そもそも彼女達は、我々の都合で戦場に送り込まれているんだ。そのような行為に及ぼうとするのは、失礼以外何でもない。
 んー、分からないな。そもそも、嫌われているのか?
「それは、困るんだけど。はぁ、仕方ないか。一応、姉になるんだし、妹の為には頑張るべきだよね」
「そこまで一大決心が必要なことに、少なからず傷つくんだが。隼鷹のことで相談か?」
「私達なんて銃弾でえぐられたり、戦艦の主砲をたたき込まれたり、魚雷に追いかけられたりしてるのよ。代わる?」
 冗談に真顔で返されるとは、思ってもみなかった。
 それに、僕は彼女達のように丈夫ではないし、あの怨念達と直接戦うことは不可能だ。だからこそ、作戦を考えたり、編成を工夫したりしているんだが。
 それで、被弾がなくなるわけではないし、恨まれることに代わりはないか。
「遠慮しとくよ。僕には、僕の戦場があるからね」
 まぁ、恨まれるからといって、手を抜くことは出来ない。この戦いが終わるまで、彼女達を失いたくないと思っているのは、他ならぬ僕なのだから。
「冗談よ、真に受けないで。相談したいのが、隼鷹のことなのも間違ってないし。現状、これといって不満はないから、嫌っているわけでもないわ」
「それを聞いて安心したよ」
 彼女達だけを戦場に送り込んでいること、個人的には納得していない部分もある。軍人としては割り切るべきところなのだろうが、非道を貫くくらいであれば、軟弱者と非難されるほうがマシというもの。
 ただ、僕が出ていったところで、邪魔にしかならないのも現実。艦娘として彼女達が頑張れるよう、清々支援させて貰うこととで満足しよう。
「それで、相談って何だい?」
「そうね、まずは答えられる範囲で良いから、現在の戦況を教えてちょうだい」
「戦況に関しては、君の方が詳しいんじゃないか?」
 実際に相対しているのは彼女であり、僕は所詮執務室で地図と勢力図を眺めている程度。敵意にさらされることもなければ、砲撃を受けるわけでもない。敵の規模に至っても、その目で見て、その身で感じている以上のものを、僕が知っているとは思えない。
「私が知っているのは、戦況ではなく戦場よ。私自身の目で見ている以上の広さは知らないわ。誰かに聞いた範囲では知っているけれど、それ以上のものは知らない。何より、上層部が何を考えているかなんて、想像もできないわ」
 なるほど、戦場に身を置いているからこそ、視野が狭くなっていると理解しているのか。ここまで出来るのであれば、彼女に秘書を努めて貰うのもありかもしれないな。僕では思いつかないような、もっと良い作戦を考案してくれるかもしれない。
 何にしても、そういうことであれば答えたいところだが、僕だって権限は強い方ではない。何より、艦娘である彼女には、伝えるべきでないこともある。
「答えられることが多くないのは、想像通りだとは想うが。けして悪い状況ではないよ。全体的には戦果もあるし、壊滅的な状況に陥っている場所もない。現状として、確保できている海域はないが、それでも輸送船団が護衛付きであれば、結構な距離を移動することもできる」
 商船のみで活動できるのは、近海に限られてしまうが、経済に直接的な影響を及ぼすほど、深刻なことでもない。
 前線に置いても、食糧危機の話は聞かないし、順調であると見ても、問題はないだろう。
「鎮守府を他の場所に建設する話もあるし。悪い状況ではないだろう?」
「提督、最後を質問で締めるのは、卑怯なんじゃない? 私は、何を根拠に答えればいいのかしら?」
 ふぅ、彼女を秘書として採用していなかった、今までの日々が悔やまれるな。有能な艦娘はいるが、こちらの落ち度をしてきしてくれる子として考えれば、これほど貴重な存在はいない。
 しかし、そうなると隼鷹と引き離すことになるだろうし、引き受けてくれるとは限らない。
 いっそのこと、隼鷹を秘書にして、飛隼に補助をしてもらうか? 多少、執務室が賑やかになるだろうけど、気分が沈んでいるくらいなら、そちらの方がありがたい。
「戦場で感じていること、それこそが真実なんだ。否定するのでも、肯定するのでもなく、報告として教えてくれればいい。僕は方向性を決められるような階級ではないが、可能な限り無謀な作戦を採らないよう、上層部に訴えるくらいはするさ」
 僕に出来ることは小さい。僕の権限で守れる者は少ない。
 けど、僕の情報を上層部に、同じ状況にいる提督に伝えられれば、多少の改善にはつながるだろう。短期決戦を望めない以上、無謀な行動は慎むべきだ。
「ふーん、提督は私達のこと好きなんだ?」
「ああ、部下を愛さない上司ほど、使えないものはないからな。結局担がれているだけなんだ、戦場で頑張ってくれているのは、君達だ」
 好きとか、愛するとか。彼女達も乙女ということだろうか? 僕には形式としてしかわからないけれど、それを糧に頑張れるというなら、理解するように勤めよう。
「ならさ、提督に1つだけお願いがあるんだ」
「守れると約束はできないが、それでも良いかい?」
「忘れないでいてくれるなら、それで良いよ」
 約束を果たせなくとも、忘れないなら良いか。そちらも、けして簡単なことではないのだが。僕の努力次第といったところだろうか?
「私達は砲撃の飛び交う戦場にいるし、難しいとは思うけど。轟沈する子を、出して欲しくないの。私から、隼鷹から仲間を失わせないで欲しいの」
「好んで傷を負わせるつもりはないが、中々難しいことを言うね」
 部下から信頼される、そんな提督を目指すのなら必須の条件とも言えるだろう。僕自身の目標を果たすためにも、守るべきものだろう。
 しかし、今は戦時下であり、時には非情な判断を迫られる時もある。そんな時になって慌て出すようであれば、もっと多くのものを失ってしまうことになるだろう。
 僕達には守るべきものがある以上、絶対と呼べる安全は存在しないのだから。
「あのさ、正直私は良いんだ。そういうもんだと思っているし、遠くから見送った記憶も持っているからさ」
 誰を見送ったのか、知らないわけではない。ただ、あえて名前を出さなかった彼女の優しさに、牙をたてる理由もないだろう。
「ただ、隼鷹は……妹にはそんな思い、させたくないんだよ。あの子、隠れて泣くの上手だから。誰も気づいてあげられないだ」
「艦娘の経歴に関しては、一通りは目を通したさ。正直なところ、同じような作戦の指示がきても、命令できる自信はない」
 軍人としての心得と、僕自身の貫きたい信念は、必ずしも一致するとは限らない。何かを切り捨てることによって得られる、悲しい勝利に意味を見いだせるほど、僕は戦場を知らないのだから。
 このようなこと、本来であれば部下である彼女に伝えるべきではないのだろう。しかし、隠す意味もなければ、過去の命令だって知られているんだ。
 僕以上の覚悟を、その胸に抱いていると、そう思っても良いのだろう。
「そんな弱気でも困るんだけどさ、あの時は状況が許してくれなかったし。あの子と会えたのも、戦場だったんだから」
 飛鷹型として、わずか2艦しか存在しない彼女達。構造的な違いがあったとしても、そこには姉妹としての絆が存在するのだろう。
「今、この基地には沢山のか艦娘がいるでしょ? 前は会ったこともないような、私なんかより、ずっとひどい目にあった子だっている」
 壮大な最後を飾った艦が多過ぎるのも正直なところ、困るんだが。今は、考えるべきでないのだろうな。 
「私は、そのことをあまり知らない。自分が沈んでからのことは、記憶にない」
 自らが沈み、海のそこにいる間も、戦場は動き続けていた。それの事実を知っていることは、不幸とも呼べるのだろう。
「けど、隼鷹にはあるんだよ。あの子は解体されるまでの、無力になってからの記憶もあるから。いつか誰かが轟沈させられるんじゃないかって、暗い海の底へと消えていくんじゃないかって、いつも怯えているんだ」
 なるほど。資料の中には、無力になってからの記載もあったな。当時の状況からして、修理出来なかっただけなんだろうが、見ているだというのは辛いだろうな。
「それなのに涙もろいからさ、秘書やってる時は、作戦を1番初めに知ってしまった時には、泣きそうになってごまかそうとしていることもあるんだよ?」
 隼鷹を秘書として指名した時、いつもより格段に明るい彼女を見たことがある。何も言わない内に笑いだし、少しの間部屋から出ていってしまうのが常だったが。そういった理由だったのか。
「あの子、素面どころかアルコールは飲めないんだよ?」
「それは、飛鷹だって同じだろう? 艦娘は基本的に、燃料しか飲まない。時に、アイスを食べるのが贅沢だろう?」
 実際のところ、飲めなかったり、食べられないわけではないのだろう。単純に、不調をきたす可能性を考えれば、接種できないだけ。任務に忠実であろうとする、彼女達の心構えのようなものだろうと、僕は捉えている。
「知ってたの?」
「記憶の中にない、エンジンの不調を引き起こしかねない液体を、君達が易々と飲むとは思ってないよ」
 重油が貴重であった過去の戦場において、彼女達が何を考えていたのかは分からない。同様に、引き継いでいるとされる記憶が、どれほどのものかも分からない。
 ただ、想像できないほどではない。
「あはは……なら、もしかして隼鷹が泣いてるの、気づいてた?」
「いや、何かをごまかそうとしているということしか、知らなかったさ。追求しなければいけないほど、危険なことはしないと信じているから」
「そう、ならいいんだけどさ」
 つまりのところ、隼鷹を泣かさないように、僕に釘をさしにきたわけだ。自らの覚悟以上に、効くものだな。
「何にしても、さっきの話。忘れないようにはするさ」
「うん、人間は変わっちゃうものだって知ってるけど、提督のこと信じてるから。提督も、私達を信じてくれると嬉しいわ」
「疑っているなら、ここまで悩んだりしないさ」
 疑えるものなら、疑ってみたいものだ。残酷なまでに純粋で、僕の期待に応えようと一生懸命な君達を、知らなければね。
 まぁ、それは僕の胸の内にしまっておけばいいこと。彼女達の頑張りに見合うだけの、未来へと導けるよう、努力すればいい。今考えるべきは、目の前で訴えている姉のことなのだから。
「それにしても、やっぱり姉妹ともなると、似るんだな」
「ん? それ、どういうこと?」
 同型列の艦というだけで、構造が大きく違っているはずなのに、似ているところが多い。あえて指摘せずとも、知っているとは思っていたんだが、まさか気づいてなかったのか? それとも、気づいた上で、僕の口から聞きたいとでも?
 ふむ、ある程度の差はあるとしても、彼女達も乙女か。ならば、その心の内を、無骨な軍人が理解できるはずもなし。きにするだけ、無駄というもの。
「飛鷹は口調がきついとは思っていたが、感傷的になると隼鷹のよに、流暢なしゃべり方になるだろ? 別に、無理して堅く喋らなくても、良いんだぞ?」
「無理なんてしていないわ。私は、あそこまで明るくなれないだけよ。勘違いしないで」
 明るく喋る飛鷹を見てみたい気はするが、仕方ないだろう。明るくなってもらえるよう、努力することこそが僕の僕の役割といったところか。
 もっとも、現状として重要なのは、そんな個人的な望みではない。頑張った姉に、ご褒美を与えることだ。
「それに、相手のことを思いやるのも、大きくは変わらないな」
「何があったのよ?」
「簡単な話だ。既に、隼鷹から同じようにお願いされただけだ。いつになく真剣に話すから、少々怖かったがな」
 扉を叩くこともなく、断ることもなく、こちらの都合すら構うことなく、一直線にぶつかってきた。
 冗談を言えるような雰囲気などなく、あまりに真剣だったので、艦載機が飛んでくるのではないかと、内心怯えていた。いや、あの時大声を出そうものなら、驚いて発信させていたとしても不思議はないだろう。自らの小心ぶり感謝する日がくるとは、屈辱だ。
 ああいった一生懸命なところ、嫌いではないのだが。もう少し落ち着いてくれると、より頼りになるんだがな。それをどうすれば、伝えられるだろうか?
 しかし、それら全てを置き去りにしてでも、忘れてはいけないことがある。見逃してはならない、重要なことがある。
「妹を庇おうとする気丈な姉に、お姉ちゃん大好きな妹か。ふむ、それだけで活力が沸いてくると言うもの。明日の作戦も、最大限に安全なものを採ると約束しよう」
 美しき姉妹愛。それは、僕の心へと活力を注いでくれる。疲れなんて全て吹き飛んでしまい、悪かったことも、良かったことも、彼方へと押し流してしまう。
 そう、この美しいものを護るために、僕は指揮しよう。この2人の愛を護るために、僕はここにいるんだ。
「あの、やる気を出してくれるのは嬉しいし、危険が少ないのも良いんだけどさ。何か、動機がおかしくない?」
「美しき姉妹愛に心を打たれただけだ。気にしないでくれ」
 僕に出来ることは、僕にしかできないこと。なればこそ、最大限の努力が求められ、それが結果へと反映されるはずだ。
 今はそのことを信じ、出来ることをすればいい。
「さて、これから作戦の再考に取りかかる。話が終わったようであれば、早く休みなさい。隼鷹が心配するだろう?」
「……うん、後はよろしくね?」
「任せて貰おう。今の僕なら、最高の指揮が採れる」
 階級など関係ない、経験など関係ない。今の僕には、僕にしかできない、最高の指揮が採れる。
 それを実現するための、もっとも優れた作戦を考え出さねばならない。それこそが、僕の出来る唯一の戦争なのだから。
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