一時の間

はい、なんかお久しぶりです。
作品をかけなかった輩です。
ダメですね、私。

なにやら、スランプとか言うやつみたいです。
文章書いても、作品にはなりません　orz


そんな中、なんとか書けたっぽいAB
ええ、なぜかABです

「ゆい×日向」　一時の間
一生懸命な奴は、カッコイイ
カッコイイ奴は、報われるべきなんですよ

「どうして、私の我侭に付き合ってくれるんですか？」
戦線の一員として活動し、またガルデモのヴォーカルとしても活動している私。
それなりに忙しく、楽しい毎日を送っている私。
その私に、音無先輩は尋ねてきた。
「お前の望みは何だ？」
いったい、何を聞いているのか分からなかった。
いったい、何を言っているのかが分からなかった。
アホばかりのメンバーの中でも、とりわけアホな音無先輩。
天使と仲直りしようとか、残酷なことをしてはいけないとか……。
音無先輩だって、何か心残りがあるから、この世界にいるはずなのに。
音無先輩だって、理不尽だった世界に抵抗する為に、戦線にいるはずなのに。
「優し過ぎますよ」
やりたいこと、望んでいたこと。それをやり遂げた時、私達は消えてしまうらしい。
正直、信じていなかった。
この世界は楽しいし、自由がある。
けど、この世界で望みが叶うなんて、そんなことは信じていなかった。
「あの瞬間。岩沢さんが消えるまで、私は信じていなかった」
前ガルデモのヴォーカル。私の憧れの人だった。
あんな風に歌って、あんな風に格好良く生きたかった。
生きていた時、私が夢見た姿の１つが、そのまま岩沢さんだったから。
「けど、ソレだけじゃ満足出来ない」
私は、生きている時に出来なかったこと。やりたかったことを全部遂げるまで、消えるわけにはいかない。
あの世界は間違いだったんだ。あんな世界があってはいけないんだ。
そう思って、この世界で生きなきゃいけないんだ。
「……ここは死んだ世界だったっけ？」
だからどうした。
生きている頃の私は、お荷物になるだけで何も出来なかった。
何も出来ないどころか、お母さんの邪魔をするだけの存在だった。
歩きたい。走りたい。ジャンプしてみたい。
遊びたい。行ってみたい。外に、出たい。
そんな我侭を言うだけだった、私。
あの頃に比べれば、今の方がずっと生きている。
お荷物じゃなくて、人間として生きているんだ。
「神様に逆らってやるんだ」
みんな幸せになりたかったのに、幸せになれなかった。
みんな努力していたのに、実らせることが出来なかった。
そんなの、ひどいよ。理不尽だよ。認められないよ。
「お母さんだって、あんなに頑張ってくれたのに」
暗くなるから、悲しくなるから。思い出さないようにしていること。
辛くなるから、泣きたくなるから。思い出さないように、気をつけていること。
「お母さん、ごめんね……」
けど、今夜だけは良いよね？
昔を思い出しても、良いよね？
誰もいないし、誰も見ていないはずだ。
手が痛い。
だって、野球の練習をしていたから。
体がだるい。
だって、日が暮れるまで練習していたから。
心が痛い。
だって、お母さんに謝りたいから。
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」
自然と口から漏れてしまう謝罪。
もう届くことはなく、ただ消えてしまうだけの謝罪。
お母さんに謝っているのか？
自由を奪い、時間を奪い。私の為に生きてしまったお母さんに。
音無先輩に謝っているのか？
本当の望みを教えていない。騙している、優しい先輩に。
「私の望みが叶うことはない。私の夢は叶うことはない」
音無先輩が諦めてくれれば、それで終わるのに。
音無先輩が見捨ててくれれば、それで終わりなのに。
お前の望みは叶えられない。そんなの無理だって。
そう、言ってくれれば良いのに。
「私は、足手まといだから」
誰かのお荷物にしかなれない。
誰かの邪魔をすることしか出来ない。
生きている時の私に会えば、みんな見捨てるはずだ。
「歩けないから」
一緒に出かけることなんて出来ない。
「起きれないから」
手をつなぐことだって出来ない。
「体が、動かないんだ」
抱き合うことだって、出来ないんだ。
なんて無意味な存在なんだろう。
こんな私の望みが叶うだなんて、ありえない。
こんな私の夢が叶うことなんて、ありえない。
ずっと、この世界にいるんだ。この楽しい世界で、朽ち果てるまで。
「だって、日向先輩とも会えなくなるから」
どうして、ここで出てきちゃうのかな？
この世界で巡り会えた、人。
私の冗談にも、我侭にも付き合ってくれる。
向こうは、出来の悪い妹が出来た気分なんだろうけど。嬉しかった。
私に向き合って、悪戯に付き合ってくれて、一緒に笑ってくれる。
そんな日向先輩となら、夢が叶うのかもしれないけど……そんなのダメだよ。
いつか消えてなくなる、そんな世界。
そこに残り続けるのは、役立たずの私だけで良い。私だけで、良いんだ。
生きている時だってお母さんの邪魔ばかりしてきたんだから、死んだ後ぐらい迷惑をかけたくない。
それに、この世界で夢を叶えたら、日向先輩を１人ぽっちにしちゃうから。
「私は大丈夫だから」
叶わない夢に涙を流すのは後で良い。
みんなが消えたその後で、たった１人でなら泣いても許されるから――