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ここは「魔法少女リリカルなのは」の2次SSをメインとしています。 ※ 百合思考です。 最近は、なのは以外も書き始めました。
ヽ(*´∀`)八(´∀`*)ノ
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らさ
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38
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男性
誕生日:
1986/07/28
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SS書き・ステカつくり
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うばー☆

はい、土曜日です
久しぶりにこの時間帯にUPできますよー


けいおん! より 梓×紬
「行先不明」です。

米原こみゅけっとにだすコピー誌の原文になりそうです







辺りが暗くなり、夜の訪れを告げる頃。私、中野梓は人を待っていた。
事前に確認した時刻はもうすぐだし、そろそろ出てきてもおかしくないんだけどなぁ。
「先輩、お疲れ様です」
闇の中に浮かんだ、見覚えのあるシルエット。
そのシルエットに向かって、私は話しかける。
「あら、梓ちゃん。こんばんは」
「バイト、今終わりですか?」
なるべく自然に、偶然を装って話しかける。
ここでバレてしまっては、意味がない。
「ええ、今日のアルバイトはこれで終わりです」
少しぐらい暗くても、あせることのない笑顔。
それを見られた喜びに包まれつつも、会話を続けていく。
「あの……良かったら、一緒に帰りませんか?」
「もちろん、一緒に帰りましょう」
第一段階は成功。
紬先輩なら断られることはないと思っていたけど、少しだけ不安はあった。
もし、この場で断られてしまったら、私は気を落としたまま帰路につくことになっただろう。
「それにしても、先輩」
「何ですか、梓ちゃん?」
紬先輩は私より年上のはずなのに、反応が幼い。
まぁ、唯先輩に比べれば、随分と大人なんですけど。それでも、反応が可愛らしい。
「結構遅い時間ですし、お迎えをお願いした方が安全ではありませんか?」
「んー、送り迎えですか……」
紬先輩は凄いお金持ち、らしい。
そんなお嬢様が、桜高に通学しているのは不思議。軽音部に入っているのも不思議。
だけど、何よりも電車で通学しているのが不思議なのだ。
前に、律先輩が電話した時には執事さんが出ていたから、送り迎えぐらいしてくれそうだけど。
「確かに楽にはなりますし、安全かもしれませんね」
私としてはちょっと残念だけど、仕方ないです。
何かあってからでは遅いですし、学校に行けば紬先輩には会えますから。
「ごめんなさい、気を使わせてしまって」
「別に、むぎ先輩が謝ることじゃ……」
私はちょっと心配になっただけで、謝られるようなことはしていない。
「それに、折角心配して頂いて申し訳ないですが、やっぱり私は電車で通学します」
「え、どうしてですか?」
私としては紬先輩と一緒に帰れるから、嬉しいけど。
そういう問題ではない。
「毎日車で送り迎えされていては、みなさんの注目を集めてしまいますから」
「そうですか……」
「それは、恥ずかしいです」
確かに高校まで送り迎えされていたら、逆に目立ってしまうだろう。
そうなれば誰だって恥ずかしい。
「ふふ、それにもう1つ大きな理由がありますよ?」
「まだあるんですか?」
目立ちたくない、普通の高校生でいたいのは分かりました。
けど、それ以上の理由があるのでしょうか?
「送り迎えをお願いしてしまうと、梓ちゃんと一緒に帰れませんから♪」
「え……?」
私と一緒に帰れない?
確かに、送り迎えを頼んでいれば、私と一緒に帰ることは出来ない。
けど、それだけの理由で呼ばないのは、危険だと思います。
「だって、梓ちゃん。わざわざ待っていてくれたでしょ?」
「その、あの……もしかして、気付いてました?」
危険だからと、注意しようとした矢先。完全にふいを突かれてしまった。
これでは、注意どころの話ではない。
「うふふふ。だって、この時間にはもう用事はないでしょう?」
何よりも気付いていて、それでも私と帰ってくれる。
その優しさが嬉しかった。
「その、迷惑だったでしょうか?」
けど、それは私の都合。
むぎ先輩と一緒に帰りたくて、少しでも傍にいたくて、待っていただけだから。
もしかして、私がこなければ車を呼んでいたのかな?
「そんな顔しないで下さい。私、嬉しいんですから」
「そう、なんですか?」
それなのに、紬先輩は嬉しいと言ってくれた。
私の我侭だったのに、嬉しいって。そう言ってくれた。
「こんな時間まで、私を待っていてくれたのでしょう?」
「それは、そうですけど。私が勝手に待っていただけですから」
頼まれていたわけでもなく、約束をしていたわけでもない。
ただ、私が一緒に帰りたいから、勝手に待っていただけ。
「そんなこと言わないで下さい。私だって、梓ちゃんと帰れて嬉しいですから」
「は、はい……」
けど、もし、紬先輩が言ってくれていることが本当なら、私にとってこれほど嬉しいことはない。
待っていて良かったって、そう思えるから。
「でも、梓ちゃんだって気をつけなきゃだめですよ?」
けど、幸せな時間は紬先輩自身の手によって、崩される。
珍しくキリっとした顔で、何を言われるのだろう?
「え、何を気をつけるんですか?」
普段からぽわぽわしているむぎ先輩に注意されるなんて、どんな重要なことだろう?
私、何かミスしたのかな?
「可愛いんだから、誰かにさらわれてしまいますよ?」
「……冗談も程々にして下さい」
何か失礼なことをしてしまったのか、嫌われるようなことでもしてしまったのか。
何を注意されるのか、本当に怖かったんですよ?
「まだまだ人通りも多い時間ですから、そんな心配いりませんよ。それに、うちは普通の家庭ですから、大したお金も持っていませんよ」
さらわれるとか、そんな怖いこと言わないで欲しいです。
それに、可愛いだなんて……どうせなら、別の場面で聞きたかったです。
――あれ?
「私って、可愛いですか?」
「勿論、私の可愛い後輩ですよ」
「そうですか……」
何を期待していたんだろう?
いや、そもそもどんな返事が欲しかったのだろう?
梓ちゃんは可愛いと、そう言って欲しかったのかな?
けど、それはなぜ?
どうして、紬先輩に可愛いと言って欲しいのだろう?
それに、可愛いと言われるだけで良いの?
それ以外、それ以上を望んでいたりはしないだろうか?
分からない。私がどうしたいのか、自分のことなのに分からない。
「それにしても、わざわざ待っていてもらったのに帰り道だけというのは寂しいですね」
そんな私の心を置き去りにして、話は進む。
答えても答えが出てきそうにもないし、私は素直に話しに乗る。
「そうですか? 私はむぎ先輩とお話出来れば、それで良いんですが……」
「うーん、何か良い方法はないでしょうか?」
私が勝手にやっていただけなのに、本気で悩んでくれている紬先輩。
はぁ、どうしてこう、優しいのかな?
別に、放っておいてくれても――いや、構ってもらえるなら嬉しいですけど。
「そうだ、私のお部屋に遊びに来ませんか?」
「紬先輩のお部屋にですか?」
……どんなかぜに飛躍すれば、そんなお誘いになるのだろう?
時々、紬先輩が分からなくなる。不思議なんだ。
「流石に遅いので、また明日以降になると思いますけど……」
「えーと、ご迷惑になるのではないですか?」
むぎ先輩の部屋。
本音を言ってしまえるのなら、言ってみたい。
けど、屋敷を使おうと思えば半年前から予約が必要だって聞いたし、お邪魔したら迷惑にならないのかな?
「そんなことありませんよ。梓ちゃんなら、いつでも大歓迎です」
そんな私の悩みを吹き飛ばす、先輩の笑顔。
「そうですか、なら是非……いえ、それでもやっぱり止めといた方が……」
全てを受け入れてくれそうな笑顔に、思わず頷きそうになるけど、なんとか踏み止まる。
ここで、遠慮もせず頷き、遠慮のない子だとは思われたくないから。
「そんなこと言わずに、きてみませんか? 勿論、梓ちゃんの予定が合えばですけど」
けど、むぎ先輩がここまでいってくれているし、これ以上断るのも悪いだろう。
それに、先輩の部屋に行ってみたいのは事実だ。
「では、すみません。近々お邪魔させて頂きます」
ただし、あくまで友人として招待されただけ。うん、それだけなんだ。
別にそれ以上を望んでいるわけでもないし、良い筈なんだけど……このもやもやしている気持ちは何でしょうか?
「うふふ、ありがとう。さぁ、帰ったら準備しないと……」
「いえ、そんな。別に今から準備しなくても」
妙なほどに張り切りだした、むぎ先輩。
私とは少しズレた感覚を持っているのは知っているけど、やっぱりこうなってしまった。
けど、優しいだけではなく、こんなところも見せてもらえるのは嬉しい――





「むぎ先輩の部屋かぁ……」
話の流れでお邪魔することにはなってしまったけど、大丈夫かなぁ?
今、私の胸には言葉には出来ない、そんな気持ちが存在する。
それが何を意味して、どうしたいのかは、まだ分からない。
「唯一分かっているのは、むぎ先輩が関係していることだけ」
むぎ先輩の傍にいたり、話しかけられた途端に、この気持ちは暴れだす。
葛藤するでもなく、衝動でもなく、ただ暴れるだけ。
むぎ先輩の傍にいたい、もっと一緒にお喋りしたい。
そんな、嫉妬にも似た感情を持つ。
むぎ先輩から離れたい、この場から逃げ出したい。
そんな、恐怖にも似た感情も持つ。
相反する感情が同時に表れて、暴れだす。
「私、どうしたいのかな?」
どうすれば良いのか分からない。
どうしたいのかも、分からない。
自分のことなのに、分からない。
「どうすれば、この気持ちが分かるのかな?」
高校生になって、新歓でのライブを見て、軽音部に入部して。
私自身、大きな変化があった。
あの時だって不安はあったけど、こんなに焦ったりすることはなかった。
「私、何を焦っているのだろう?」
この気持ちの正体が分からなくて、不安になっている。
けど、それと同時にこの気持ちが何なのか、気付いてしまうことを恐れている。
知りたいけど、気付いてはいけない。
そんな気持ちが、私を焦らせている。
――こんな気持ちのまま、遊びに行っても良いのかな?
「むぎ先輩は悪くないのに……」
折角、誘ってもらったのに。むぎ先輩と2人きりになるチャンスなのに。
何か、取り返しのつかないようなことをしてしまいそうで、怖い。
「逃げているだけなのかな?」
自分の心が分からなくて、逃げているだけ。
分からないのが怖いから、逃げたいだけ。
それだけなのかもしれない。
「負けるのも、逃げるのも嫌」
ギターに関しては勿論、私生活でだって負けたくない。
ここでいう、負けが何かは分からない。
けど、むぎ先輩の家に遊びに行かないのは、逃げになると思う。
「はぁ、結局答えは出ないかぁ」
答えが出てこなくて、残念なような、安心したような。そんな複雑な気分。
考えるのが嫌になってくる。
「もう、寝ちゃおうか」
考えても分からないなら、考えなければ良い。
待っていても、足掻いても、むぎ先輩の家に遊びに行くのは決定されているのだから。

――私の心はドコに向かっているの?
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