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SDカード 私のこと嫌いなのかねー
(;w;) 明日用の、たーいせつなデータだけ吹き飛んだ!
とりま
魔法少女リリカルなのはシリーズ より ヴィヴィオ&すずか テーマ;大切な人 です
CPではなく、コンビですぉ
思いの伝え方は人それぞれ
受け取り方も千差万別
あなたは、何を贈りたいですか?
「こんにちは、ヴィヴィオちゃん」
「ごきげんよう、すずかさん」
ヴィヴィオちゃんの夏休み。異世界の訪問という宿題で、なのはちゃん達が鳴海市に帰ってきました。
本当なら、アリサちゃんと2人で対応する予定だったんだけど、生憎の夏期講習中。私1人でくることに。
士郎さんや桃子さんなら喜んで引き受けてくれるのでは、なんて思ったんだけど……お孫さんにあたるヴィヴィオちゃんの前では使い物にならないと、苦笑されてしまった。
そんな感じで、私は現地人代表としてヴィヴィオちゃんの前にいます。
「今日はヴィヴィオの宿題の為に来て貰ってありがとうございます」
何を答えれば良いのか? 何を質問されるのか?
まったく聞かされていないけど、どうにかなるよね。
「いえいえ。私もヴィヴィオちゃんとお話したかったから来たんだよ」
何だか大変な事件に巻き込まれたって聞いたけど、ヴィヴィオちゃんは素直で良い子。
昔のなのはちゃんみたいに輝きの強い瞳を持っている子だね。
うん、楽しいお喋りタイムになるかな?
「ところで、ヴィヴィオちゃん。宿題にお付き合いするのはいいんだけど、私は何を答えれば良いのかな?」
本当なら、なのはちゃんやフェイトちゃんが一緒に居てくれるといいんだけど……あの2人がいちゃだめって事でヴィヴィオちゃんが追い出してしまった。挨拶とかは後ですればいいんだけど、何かあるのかな?
「えーとですね。ヴィヴィオは、すずかさんに教えて欲しいことがいっぱいあるんです」
「うん、私に分かることなら何でも聞いて」
真っ直ぐに私を見つめてくる顔が可愛らしくて、ついつい笑みがこぼれそうになってしまう。うーん、小さい子ってどうしてこんなにも可愛いオーラ全開なのかな?
抱きしめたくなる、アリサちゃんとは違った魅力で溢れているよ。
「本当は宿題の事を聞くべきなんですけど……地球のことは、以前着た時に調べたので良いんです」
「あれ? それだと、私は何を答えればいいのかな?」
現地の事を調べる宿題だって聞いていたけど、そっちはもう終わっているみたいだね。
でも、それにしては真剣な瞳で私を見るんだね。凄く、重要な事なのかな?
「ヴィヴィオが知りたいのは、昔のなのはママとフェイトママの事です」
「なのはちゃんと、フェイトちゃんの事?」
こくんとうなずく彼女。えーと、2人の事って何を聞かれるんだろう?
「なのはママとフェイトママは、始め喧嘩して仲良くなったと聞きました」
「うん、そうみたいだね。私も見たわけじゃないから詳しくは知らないけど、お話を聞かせてもらったから……」
クリスマスに巻き込まれた魔法の世界。あの時は、はやてちゃんが絡んでいたらしい。
私としても、まさか友達が魔法使いだったなんて思いもしなかったけど、なのはちゃんらしいなって思った。
誰かの為に一生懸命になって、何があっても諦めなくて。それが、なのはちゃんだから。
「なのはママも優しいし、フェイトママも優しいです。私には喧嘩をしていたというのも信じられません」
う~ん、確かに私達でも喧嘩をしているとは聞いていないし……あれ?
「ヴィヴィオちゃん、ちょっといいかな?」
「なんですか?」
「なのはちゃんも、フェイトちゃんも喧嘩はしていないよ?」
すれ違いがあったり、譲れないものがあったりで争ったとは聞いているけど、別に喧嘩をしたとは聞いていない。
同じ物を求めて、別の目的でぶつかったって。そんなふうに聞いているよ?
「そうなんですか? 私は喧嘩をしたみたいな感って、聞きましたけど?」
「う~ん、そのうち話してくれると思うけど、ちょっとすれ違っただけみたいだよ」
「そうですか。喧嘩はしていないんですね」
優しい子だなぁ。
母親2人が喧嘩したことがないのか気になったんだね。
「安心しました。……それと、もう1つ教えて欲しいことがあるんですが」
「なにかな?」
この子の疑問を解消してあげたい。私で分かることなら、教えてあげたい。
この真直ぐな瞳を、曇らせたくない。私に応えられることは、教えてあげたい。
ヴィヴィオちゃんなら、自分で判断が出来るはずだから。
「えーと、ですね。すずかさんは好きな人はいますか?」
「――好きな人?」
「はい、すずかさんは恋人がいますか?」
私の好きな人、か。私の好きな人といえばアリサちゃんだけだけど、そのまま応えちゃっても良いのかな?
私達の恋愛は特殊だし、この子に教えてしまってもいいものだろうか?
ここは誤魔化して、恋はしているけどいないって。そんなふうに応えるべきだよね。
「いるよ。大好きで、ずっと一緒にいたい人が炒るよ」
……やってることが逆だよ。深く突っ込まれたらどうするつもりなの?
別に間違ったことをしているとは、そんな後悔はしていない。
だけど、それは私達の話であって、この子に教えるべきではないでしょ?
「なのはママと同じ顔をするんですね」
「なのはちゃんと同じ顔?」
目の前でうんうんとうなずいて納得しているところ悪いんだけど、私にはぜんぜん分からないよ。
「なのはママがフェイトママを見つめている時の顔です」
そっか。考えてみれば、なのはちゃん達の子供なんだから、こういう関係にも慣れているんだよね。
これなら、何も隠さずに教えてあげられるのかな?
「でも、なのはママがヴィヴィオを見ている時の顔とは違います」
恋人に向ける顔。自分の子供に向ける顔。
同じように愛しいという言葉で表されるけど、全然違う気持ち。
「なのはママがヴィヴィオを見てくれる時、優しい顔をしています。でも、フェイトママを見ている時みたいに、嬉しそうな顔じゃありません」
あはは……なのはちゃん、昔から本当に変わっていないんだなぁ。
フェイトちゃんを見つめている時は、恋する乙女モードが全開になっている。
どれだけ否定しても、全身からピンク色のオーラが出ている限り、意味ないよ。
「ヴィヴィオは、なのはママの子供ではありません。本当のママはずっと昔に死んでしまいました。けど、なのはママはヴィヴィオのことを助けてくれました。大好きだって言って抱きしめてくれます」
運命に翻弄されて、振り回されて、迷子になってしまった子がいる。
はのはちゃんは、ヴィヴィオちゃんのことをそんなふうに言っていた。
「でも、本当に良いのでしょうか?」
私はその子を助けてあげたい。どうすれば、笑ってもらえるのか知りたい。
そんなふうに、はやてちゃん達に相談していたのを知っている。
「ヴィヴィオと一緒にいたら、フェイトママと2人きりにもなれません」
そんな彼女の傍にいるから、ヴィヴィオちゃんは悩んでしまうのかな?
優しいママ。あの2人の傍にいるからこそ、優しい心で悩んでしまうんだね。
「ヴィヴィオと一緒にいたら、結婚もしていないのになのはママです」
色々と考えちゃって、子供なのに他人の幸せを優先して。必死に背伸びをしないといけない。
みんなへの優しさが、自分自身への厳しさになっている。
「ヴィヴィオはなのはママが大好きです。ずっとずっと一緒にいたいです」
自分の思いは心に秘めて。心の奥深くに沈めて。
みんなのことを、大好きな誰かのことを優先してしまう。
「でも、ヴィヴィオが一緒にいたら……ヴィヴィオが一緒にいるせいで、迷惑をかけていないでしょうか?」
ヴィヴィオちゃんが、特殊な生まれであることはそれとなく聞いている。
ヴィヴィオちゃんが、なのはちゃんの本当の子供じゃないのだって知っている。
それでも、手に入った幸せ。その温かさに触れる事に、包まれる事に不安があるんだね。
「うーん、私はなのはちゃんじゃないから、全部は分かって挙げられないけど。迷惑だなんて、絶対に思っていないよ」
私は、なのはちゃんではない。私は、ヴィヴィオちゃんの母親ではない。
傍にいるフェイトちゃんでもなければ、見守っているはやてちゃんよりも遠い。
それでもね、友達だから。彼女達が何を感じているのか、なのはちゃんがどう思っているのか。それくらいなら、分かるよ。
「フェイトちゃんに向ける愛情とは違うよ? それでも、なのはちゃんはヴィヴィオちゃんのことを愛している」
フェイトちゃんへの愛情は、恋人として、夫婦としての愛情。
ヴィヴィオちゃんへの愛情は、親子として、守ってあげたいと言う愛情。
まだ分からないかもしれないけど、ちゃんと愛しているんだよ。
「傍にいたい、守ってあげたいって。親子になりたいって、そんなふうに思っているよ」
ヴィヴィオちゃんを紹介された時の雰囲気。どう見ても、本当の親子みたいだった。
なのはちゃんは一歩先へ進んだんだなって、そんなふうに感じた。
「それに血は繋がっていなくても、なのはちゃんとヴィヴィオちゃんは間違い無く親子だよ」
血がつながっていれば、親子。うん、それに間違いはないよ。
けど、血のつながらない親子。血の繋がりはなくても、親子になっている家庭は、沢山あるよ。
「悩まなくて良いことで悩んで、相手のことが大好きだから悩んで……今のヴィヴィオちゃんは、小さい時のなのはちゃんにそっくり」
血ではなく、思いでつながる親子。
それだって、素敵だよ。それは、親子の絆なんだよ。
「心配になるのはわかるけど、そんなことで悩んじゃ駄目だよ。大好きって言って貰えたら、大好きだよってちゃんと返してあげないと」
幸せの輪を作るのは、とても簡単。
幸せの輪を壊すのは、とても簡単。
どちらも人の心から生まれて、人の心で育つから。
「優しいなのはママ、心配しすぎのフェイトママ。そして、その2人が大好きだから悩んでいるヴィヴィオちゃん。みんな似た者どうし、仲の良い家族だよ」
「そうですか。私は、なのはママ達と家族でいても、ママって呼んでも良いんですね」
「うん、そう思ってくれれば、なのはちゃん達も嬉しいはずだよ」
小さくても、強い意志。守られる立場だからこその、気遣い。本当に、この年齢には似合わない程、大人びてしまっている。
ヴィヴィオちゃんの育っている環境的には、仕方ないのかもしれない。心が強くなり過ぎて、自分を傷付けてしまう。
だけど、それを癒してくれる、抱きとめてくれる人が周りにいるのだから。
時には子供らしく、我侭を言うのもありだと思うよ?
――その優しさは、親子の証だよ