テーマ：平和 - 雨の降る日に

平和とは何でしょうか？
現存している生物を守り、今ある秩序を守り、現状を守り続けることが平和なのでしょうか？
確かに、変化を許さず、現在の状態を維持しているのは平和と呼べるのかもしれません。
これ以上悪くなることはなく、誰かが悲しい思いをする可能性を駆逐することも可能でしょう。
何より、不足の事態を防ぐ上では、これ以上に効果的なものはないでしょう。
しかし、本当にそれが平和なのでしょうか？
ついでに言ってしまえば、平和を目指し、努力し続ける人々は何を求めるのでしょうか？
平和になった時に、平和な時代で、何を望むのでしょうか？
その、望むという行為は変化と呼ぶべきものではないのでしょうか？
現状から、より良い方向へと変えようとしている。自らの欲望に従い、行動に出る。
確かに程度の違いはあるでしょう。大衆的に見て、正義とみなされるか、悪とみなされるか。大きな隔たりがありかもしれません。
それにしても、随分と身勝手ですね。
今のこの時代を平和だと仮定した場合、内戦や内紛の起きている地域も平和と呼ぶのでしょうか？
そこに住み、硝煙にまみれた人間が望むことは、悪とみなされるのでしょうか？
それとも……自分達の生活を脅かす心配がなく、自分達の平和を守れるのなら、どうでもいいのでしょうか？
私にはそれが分かりません。分かろうと、努力する気もありません。
勝手な話ですね。
その世界では、私達のような存在は認められないのでしょう？
争いしか知らず、争うことでしか自分を保てず、争うことでしか存命出来ない。そんな私達を、認めるわけにはいかないのでしょう？
私は、あなた達の生活を脅かします。戦いを求め、戦火を振り撒きます。
私は、あなたに戦いを挑みます。強者を探し、闇の書の力を蓄える過程で、あなたと戦うこととなるでしょう。
その時、あなたは何故戦うのですか？
私と遭遇した時、あなたは何故武器を取るのですか？
あなたは、何の為に戦うのですか？
私は、自分が存在する為に、自分達が存命する為の条件として、あなたと戦います。
あなたを打ち倒し、力を奪わなければ消えてしまうから――もっと、世界を知りたいから。
けれど、あなたの理論でいうなれば、私こそが打ち倒されるべき悪ですね？　許してはならない存在ですね？
なら、あなたは平和を理由に私を倒しに来るのでしょう。
みんなの平和、あなたの生活を脅かされない為、そんな名義大分を掲げて、私を滅ぼしにくるのでしょう。
生きようとしている者を絶ち、自らの安全を保つ為だけに、力を振るうんですね。
ふぅ……ソレ、私達がやっていることと、何が違うのでしょうか。私には分かりません。
あなた達が生きる為には、何もしなくて良いんでしょう？
私達が生きる為には、戦わなければいけないんです。
戦って、戦い抜いて、魔力を集めないと消えてしまいます。
折角存在出来たのに、感情を持ち、心を持って生まれたというのに。まったく、勝手な話だと思いませんか？
少なくとも、私が許せる話ではありません。