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skype仲間から頂きましたが、どー書けばいいのか悩みました
勿論、1時間以内で仕上げましたが……
宜しければどーぞw
「ふっ、今日もええ仕事をしたなぁ」
機動六課部隊長 八神はやて。
JS事件ではゆりかごを沈め、世界の混乱を最小限にとどめた伝説の部隊を率いていた者。
過去の経緯は星の数程あるが、今回の功績で英雄視している局員も少なくはない。
「ふっふふ。やっぱり、わたしに不可能はないんや」
そんな彼女は今、隊舎の廊下を1人歩いていた。
にやけている顔はだらしなく、部隊長として威厳なんて欠片もない。
あまりだらけ過ぎているのもどうかと思うが……。
「あ~、ええ笑顔をもろうたわ」
彼女の持っている携帯端末に映っているのは、恥ずかしそうに笑う少女。バックスを務める償還術士 キャロ・ル・ルシエ。
いつも以上に恥ずかしそうに微笑んでいる姿は、愛らしさに溢れている――らしい。
「やっぱり、恋には気付かせてあげんとな」
これは、はやてが最近始めたボランティア活動の一環【花火職人】の成果だ。
花火。それは夜空を染め上げる華。
花火。それは地上に降りてきた星々の輝き。
一瞬にして心を奪い、記憶に焼き付ける閃光。
あることに気が付いた彼女は、花火職人に憧れた。
一瞬で笑顔にする花火。
一瞬で心を染める花火。
そう、それはまるで初恋そのもの。
「まだ、自分の気持ちに気付けてない子達に手を差し伸べる。それこそが、わたしの目指す花火職人や」
初めての感覚に戸惑い、自分の心に素直になれない女の子。
自分の心が分からずに、どうして良いか迷っている女の子。
そんな子達に手を差し伸べ、自分の気持ちに気付く手伝いをするのだ。
先程のキャロも、自分の気持ちに気付けた1人。
姉として、母として、隊長として……自分を守り続けてくれたフェイトへの気持ち。
戸惑い、迷い、消えてしまいそうになった気持ちを掬い上げた。
掬い上げて、彼女に気付かせる。ただそれだけだと言うのに……。
「はぁ……癖になってしまうで……」
あの笑顔を見ているだけで、あのはにかむ姿を見るだけで、やって良かったと思える。
自分の気持ちに迷っている少女。自分の気持ちに戸惑っている少女。
世界中の少女達に手を差し伸べられたら、なんて幸せなことだろうか?
……少年? 何ソレ、美味しいの?
「うん、少女や。少女だけでええんや」
自分も得する為には少女だけに的を絞り、助ける必要性がある。
百合の花を咲かせる為には、少女だけを助ける必要がある。
「男はどうでもええんよ。あんなのは放置すればええ」
全く、酷い話である。世界の半分は男性だというのに……。
◇
「さて、次は誰を助けようかな♪」
次なる少女を探し、彼女は歩く。
助けを求めていないと、全力で拒否しようとも無駄。
部隊長権限により丸裸にされ、余すことなく喋らされる。昔は優しかったのだが……。
そもそもキャロでさえ、気付く必要があったのだろうか?
自分の気持ちに気付くのは、大切なことかもしれない。
しかし、それにしてもタイミングというものがあるだろう。
タイミングを誤れば、自分を見失うだけだろう。
自分を見失い、気持ちに振り回され、火傷する。そのリスクを、はやては理解しているのだろうか?
「むふふ……ティアナとか面白いかもしれんなぁ」
人の恋心に対して面白いとは、何とも不謹慎な話だ。というか、そっとしておくべきではないのだろうか?
ただでさえ悩みを抱えやすいティアナ。その彼女の心に恋愛要素を持ち込もうものなら、確実にオーバーフローしてしまうだろう。
「スバルとあっちっちて、な」
そんなこと欠片も考えていない笑顔だ。
自分の楽しみの為に他人を利用するとは、中々の外道である。
誰か、彼女を止めてくれ。
「はやてちゃん! また、遊び歩いているですか!」
ここで救いの女神か?
登場したのは、小さな空曹長リインフォースⅡ。
どうやら執務をサボり、遊び歩いているはやてを連れ戻しにきたらしい。
「全く、はやてちゃんが遊びまわるから私が大変なのですよ?」
「あはは……ごめんなリイン」
先程までの雰囲気はなく、真剣に謝っている様子。大した豹変ぶりだ。
ふむ、少しは学ぶべきだろうか?
「謝っても許してあげないです。さっさと戻って、仕事に励むですよ」
娘と母親ともいえる関係のはずだが、情けない話である。
それにしても……気のせいか、はやての頬が少し赤くなっている。
「はやてちゃんがいなかった間、大変だったんですよ? なんか偉い人から電話はくるし、シャーリーは暴走するし……ってちゃんと聞いてますか?」
「勿論聞いとるで~。なんたって、愛しのリインの言葉やからな」
何とも分かりやすい図である。
愛しの相手を振り向かせる為の練習。告白に関する情報の収集。
その為に他人の恋心を参考にするとは、情けない主だ。
「はぁ、しゃーないな。ザフィーラ、後の見回りは任せたで?」
「了解しました」
これで、俺1人になるらしい。
この調子のままずっと続いている。いつになったら告白をするのだろうか?
――我が主ながらヘタレだ