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憧れた時期もありました
どうも らさです
フシギなフシギな、テーマシリーズ
今回はアフターでしたw
正直どうかけとwww
「ねぇ、アリサちゃん」
「何よ、すずか」
優雅なティータイム。アタシの日常の潤い。
ふぅ……今日もお茶が美味しいわ。
口の中で砕けるスコーンと、胸から香る葉の香り。
それらが奏でる音楽を恋人と共有出来る時間。
アタシは言葉も出ないぐらいに感動しているというのに、王子様はそうでもないらしい。
何だか難しい顔をして、アタシの方を見ている。
何があったのかしら?
「ちょっとおかしいことを聞いても良いかな?」
ゆったりとした口調に、遠回しの要求。ホント、すずかったら焦らし上手よね。
まぁ、焦らされていることを楽しんでいるあたり、すずかばかりを攻められないけど。
「何よ、気になるから話なさいよ」
でも、あんまり焦らしちゃダメよ?
アタシは我慢なんてしたくないんだから……。
「うん、その、ね。もし、もしもの話だよ?」
――わざとじゃないでしょうね?
どこまでやれば気が済むのかしら。
「私達が出会わないで、喧嘩しない生活ってのもあったのかな?」
出会わない生活?
喧嘩しない生活?
ん~、あの時のことかしら?
「私がアリサちゃんにいじめられている時に、なのはちゃんが来てくれたのは偶然」
なのはが、あの場に立ち会わなかった可能性だってあった。
「なのはちゃんが、アリサちゃんを叱ったのだって偶然」
アタシが叩かれたのも、喧嘩したのだって偶然。
「アリサちゃんが小瓶を無くしたのだって偶然」
まぁ、アタシが屋上に行かなければ……小瓶を落とさなければ……手伝って貰う必要立てなかったわよね。
「そして、アリサちゃんと私がお友達になれたのだって、偶然なんだもんね」
それにしても、すずかは何が言いたいのかしら?
さっきから偶然偶然て、そんなにも運命に感激しているの?
「今、私達がここにいるのは沢山の奇跡と、星の数ほどの偶然に恵まれたからなんだよね」
奇跡なんて、簡単に起きてたまるもんですか。
滅多に起きないから奇跡って言うんでしょ?
「偶然が1つでも欠けて、奇跡に巡り会うことがなくて……私達がお友達になれなかった人生っていうのも、ありえたのかな?」
アタシとすずかが出会わなければ。
アタシがすずかをいじめなければ。
今の関係はありえなかったって、そう言うの?
なのはがアタシを叱っていなければ。
アタシが小瓶を落としたりしなければ。
アタシ達は友達になれなかったのかしら?
アタシがすずかを好きにならなければ。
すずかがアタシを愛してくれなければ。
恋人同士になることはなかったって、そう言いたいの?
◇
「……いでよ」
「アリサちゃん、何か言った」
すずかとアタシが巡り会わない人生?
そんなもの、あるわけないじゃない
「ふざけないでって言ってるのよ!」
「ふ、ふざけてなんていないよ」
どう考えてもふざけてるわ。
それも、最高に笑えないギャグよ。
「アタシとすずかが巡り会わない? そんなことありえないわよ!」
細かいことを気にする子だとは思っていたけど、そんな事で悩んでどうするの?
いくら繊細だからって、悩んで良いことと、悩んじゃダメなことがあるでしょ?
「そんなことないもん! 私とアリサちゃんが出会わなかった運命だって、そんな悲しい運命だってあったはずなんだよ」
「運命? アタシとすずかが出会えない人生なんかに、運命があるわけないでしょ!」
何でこんなに頑固なのよ?
いつものすずからしくないわ。
アタシの素敵な王子様は、どこへお出かけしてるのかしら?
「だって、考えちゃうんだもん。そんな悲しい私がいるかもしれないって、どこかで泣いてる私がいるかもしれないって」
何が言いたいの?
何で考えちゃうの?
「幸せすぎだもん、アリサちゃんと一緒にいる時間が幸せすぎるんだもん」
「はぁ? 一体何を言っているの?」
幸せすぎるって……そう言ってもらえるのは嬉しいけど、それなら何に悩んでいるの?
そもそも何で悩まなきゃいけないのよ。
理解出来ないわ。
「アリサちゃんは不安にならないの? もしもあの時出会えていなかったら、こんな時間はなかったんだよ?」
アタシとすずかが出会っていなければ、この時間はない。
まぁ、当然よね?
「アリサちゃんは怖くならないの? ちょっとでも間違っていたら、私達は恋人になれなかったんだよ?」
勇気を出さなければ、告白をしなければ、恋人にはなっていない。
いや、だから、何が言いたいのよ?
「最近、1人になったら考えちゃうんだ。私1人だったらこんなに笑えなかったとか、こんなに頑張れなかったって……」
大切な人の為になら頑張れるっていうの?
――嬉しいけど、はっきりと言われると照れるわね。
「ねぇ、アリサちゃんは怖くないの? 不安になったりしないの?」
「ならないわよ。アタシは不安になったことなんて、ないわ」
どんな答えが欲しかったのかしら?
アタシも不安だって言ったら、満足できるのかしら?
どう応えて欲しかったのかしら?
アタシも怖がれば良かったのかしら?
残念だけど、ソレはないわね。
「そんなことになるはずないでしょ?」
アタシ達が出会わない。
そんなのありえないわ。
「どうして、そんなことが言えるの?」
すずかと恋人になっていない人生。
そんなのあるはずないじゃない。
「アタシが意地でも振り向かせるからよ」
簡単なことでしょ?
何を驚いているの?
「すずかとどこで出会ったって、すずかがどこにいたって、そんなの関係ないわ。例え出会えなくても、見つけてみせるわ」
一期一会。なら、出会えた瞬間を見逃さなければ良いんでしょ?
地球の裏側だって、別の次元にいたって、必ず見つけ出すわ。
「で、でも、出会えない運命だってあるんだよ?」
「すずか、それが間違ってるのよ」
はぁ、まったく頑固よねぇ。
「そもそも、出会わないのに運命なんてあるわけないでしょ? そんなの運命だなんて、認めないわ」
運命の出会いであって、出会わない運命なんてあるわけないわ。
何でそんな不思議なものに、怯えるのかしら?
「第一、そんなのありえるわけないでしょ? 例えそんな運命があるとしたら、アタシが壊してあげるわ」
壊して、壊して、すずかを探してみせるわ。
潰して、潰して、すずかのもとへ辿り着くわ。
「アタシの運命は、すずかと出会う為にあるのよ? 当然でしょ?」
「アリサちゃん」
はぁ……前にもこんな会話をした気がするわ。
アタシ達も進歩がないわね。
重なる影と影。
離れることもなく、失われることもない。
2人の道は、ただ前に続いていく。
――幸せの後に続くものは、幸せのみ