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今回はらさとしては珍しく、男の子メインのSSとなっています。
なので百合要素はありません!これっぽっちもありません (;つД`)。・゜・
いいよ次は百合を書くからっ!(UPして無いだけで別のとこでは書いたけど☆
主役はタイトルの通りエリオ君w
でも、なにやら頑張ったのはヴァイスのアニキですw
エリオ・モンディアル 10歳。
時空管理局本局古代遺物管理部機動六課ライトニング分隊隊員として、また機動六課フォアードのガードウイングとして精進を積む毎日。
優しい先輩方と、強く素敵な隊長達に見守られながら平和な毎日を過ごしていた。最近はフリードとの中もさらに良くなり、僕一人でも背中に乗せてくれる。
そんな彼の主人であり、僕の大切なパートナー。
キャロ・ル・ルシエ 10歳。
同じライトニング分隊でフルバックを務めてくれている女の子。何度も助けられたし、時には命すら救ってもらった。
ガードウイングとして、1人の男の子として守りたい存在。
控えめに見ても可愛いし、笑った顔なんて花が咲いたように可憐だ。全てを包み込むような暖かさと、優しさまで兼ね備えている。
ただ・・・
「エリオ君、一緒にお風呂入ろうよ」
ちょっと天然なところが玉に傷。
いや、そんなところも彼女の可愛さの一部なんだろうけど・・・
「ねっ、早く行こうよ♪」
僕を女湯に誘うのは止めて下さい。
僕だってもう10歳だし、その色々と難しい年頃になってきたんだから、一緒にお風呂は入れないよ。
「エリオ君、もしかして私と入るの嫌なの?」
どう勘違いしたのか、鳴きそうな顔で僕を見つめている。
「えっ?そ、そんな事は無いよ。ただ用事があるから一緒には入れないかなぁって・・・」
どうしよう、何か言い訳を考えないと。今日の訓練は終わっちゃったし、特に出かける用事も無い。え~と、困ったなぁ。
あっ、そうだ!
「シ、シグナム副隊長に訓練をつけて貰う約束をしてるんだ。悪いけど一緒には入れないよ」
「そうなんだ・・・うんっ、じゃぁまた今度一緒に入ろうね」
「あ・・・う、うん。分かったよ」
何で僕があせらないといけないのだろう?
誘ってきたのはキャロだし、ティアナさんやスバルさんだって誘ってくれてる。フェイトさんだってもう少し子供で居て欲しいと言っていたし、許されるのかも知れないけど・・・。
やっぱり、ここは男として譲れない部分があるんだよ。心の中でキャロにそう謝罪しながら、僕はその場を後にした
◇
「エリオ、ちょっと良いか?」
「あ・・・ヴァイス陸曹、お疲れ様です」
シグナム副隊長を訪ねたら聖王教会に出かけていて留守だった。
だからといってそのまま戻るわけにも行かず、僕は隊舎の中をうろうろしていた。特に行く当ても無く、ただキャロと顔を合わせる可能性が低い場所ならどこでも良かった。
ヘリポートか・・・確かにココならキャロにあう心配も無いかな。
「珍しいなオマエがこんなとこに来るなんて・・・。召集はかかってなかった筈だよな?」
「あっ、はい、特に召集はかかっていません。ちょっとぼーっとしていただけで・・・すみません、すぐに失礼します」
ストームレイダーのスコープを覗いていたから、点検でもしているのかもしれない。狙撃の腕前は一流だとティアナさんも言っていたし、邪魔しないように早く帰らないといけない。
「おっと、待てよ。何も無いのにお前がぼーっとしている訳無いだろ?それに日頃は中々こねーんだ。少しぐらい話をしていけよ」
帰ろうとした僕を引き止めたのはそんな声と、どこか斜に構えたような笑顔だった。もしかして、僕がフラフラしている理由に気がついている?
「無理に話せとは言わねーが、大体のところは予想がついている。なぁに、誰にもバラしゃしねえから安心しな」
「やっぱり分かってるんですね」
「まぁ、俺もこの年まで生きてきて何かとあったからなぁ。話を聞いてアドバイスすることぐらいなら出来ると思うぜ?」
女性の比率が圧倒的に多い機動六課。捜査班や整備班には男性も結構いるけど、分隊やロングアーチは殆どが女性で構成されている。そうなると必然的に僕が相談できる男は限られている。ヴァイス陸曹はその中でも女性経験が豊富だとうわさには聞いている。そして、そんな人なら僕の悩みなんかも予想がついているのかもしれない。
「どうせ、またキャロとの事なんだろ?何で悩んでいるかはしらねーけど、話しちまえよ。1人で悩んでいても答えは出ねえぞ」
僕の頭をぐりぐりとしながら聞いてくるヴァイス陸曹。
ふざけてはいるが、その行動は安心感をもたらすものだった。
「最近よくあることなんですけどね、キャロが一緒にお風呂に入ろうって誘ってくるんですよ」
前にスーパー銭湯で一緒に入ったのが楽しかったのか、アレ以来度々誘われてはいた。
でも、ここ最近は毎日のように誘われていて困っている。
「ほーっ、女風呂に誘われてんのか・・・良いじゃねえか、今だけの特権なんだ一緒に入っちまえばいいだろ?」
「ぼ、僕だってそう思って1度は一緒に入ろうと思ったんですけど、いざ更衣室まで来ると色々と考えちゃって無理だったんです」
ドア1枚を隔てた先に裸の女性がいるのかと思うと・・・ダメだ、想像しちゃいけない。
「何でだ?誘われたんだから裸を見ても怒られねーし、ラッキーで済ましてしまえば良いじゃねえか・・・。ましてや好きな相手の裸だ。お前だって見てみたいだろ?」
「好きだから困るんですよ!」
そう、何のことはない。僕がキャロを好きだから、何かあってしまってからでは困るから入れないんだ。
「キャロの裸を見てみたいって思ったことはありますよ。触れたいって思った事だってあるんですよ!でも、それはしちゃいけない事なんです。」
日頃は我慢できる。いつもは我慢している。
僕とキャロは恋人ではないし、まだ10歳だ。自立できているわけでも無く、保護責任者であるフェイトさんには迷惑ばかりかけている。
大人だって口で言う事は簡単だけど、自分自身が子供であることは、保護されている立場であることはちゃんと分かっているつもりだ。
「でも、実際にキャロの裸を前にして我慢できるかどうか自身がないんです。・・・僕は、ヴァイス陸曹みたいには出来ませんから」
どこか達観していて、日頃は不真面目。でも、やることだけはきちんとやっていて・・・そんなヴァイス陸曹なら、好きな人の裸を前にしてもいつも通りでいられるのかもしれないけど、僕には出来る自身がない。
「そっか、好きだからダメかぁ。だけどよ、俺みたいに変にニヒルを気取っちまうと後悔することになるぞ」
「え?それってどういう・・・」
思わず聞きかえしそうになったけど、途中で止めた。
だって、さっきまで笑って話していたのに、今は何だか泣き出しそうな顔をしているから、聞いちゃいけない気がしたんだ。
「独り言なんだけどよ・・・」
はぁ、と盛大にため息をつき頭をがりがりとかく。そして、いかにも面倒くさそうにヴァイス陸曹は語り始めた。
「昔バカなやつがいたんだよ。そいつも今のお前みたいに好きな子がいたんだ。でもな、情けねえ事にそいつは逃げたんだよ。自分が相手のことを好きで居るって気持ちに嘘をついて、何もせずに逃げたんだ」
なんでも無いという顔をして喋っているからこそ、誰のことを話しているかが良く分かる。
「かっこわりいなって思ってたんだ。誰かを見てドキドキしてどうしようもなくなるなんてな。何も分かっちゃいなかった、ガキだったんだよ。そして、自分の気持ちを諦めちまったんだよ・・・」
僕にも分かる。
ドキドキしたりソワソワしたり。そんな様子を相手に見せたくなかったんだ。
「いいじゃねえか、一度きりの人生だ。少しぐらい無茶したって、悔しければ声を上げて泣いたってよ・・・。自分の気持ちを伝えるのはこええかも知れねえけど、何もせずに後悔するよりは・・・自分自身に嘘をついちまうよりはずっとマシだ」
自分自身に嘘をつく、それで後悔するのは自分だけかもしれないけれど、とても悲しいことのように感じる。
嘘をつくぐらいなら、無茶をしたり悲しんだりする方がましだと思える。
「で、でも僕はどうすれば良いんでしょうか」
だからといって何が出来るだろう?
初めて人を好きになった僕に何が出来るだろう?
「誰も手を出せって言ってる訳じゃねえぞ?俺はお前が好きだから、一緒に風呂には入れない。ただそう伝えるだけで良いんだ」
少しあわてた様子で付け加えているけど、僕はそんな事しませんよ?
「どうだ?かっこわりいだろ?何言ってんだコイツって思うだろ?」
道化のように手を広げ、悲しい笑みを浮かべている。
それでも・・・
「でもな、何もせずに一生後悔するよりは、ずっと良いんだ。自分の気持ちから一生逃げ続けるよりは、ずっと格好良いんだ」
ヴァイス陸曹が伝えたい事が、何となくだけど分かってきたような気がする。
「思いってのは相手に伝えて初めて意味のあるものになる、一方通行じゃ意味がねえんだよ。」
どんなに強い思いでも相手に伝わっていなければ意味がない。
どんなに想っていても相手に伝えていなければ意味がない。
「大丈夫だ、相手を信じろ。キャロはお前が好きになった子だろ?だったら隠すことなんかねぇ、お前の気持ちを伝えてやれ」
そこまで一気に語るとヴァイス陸曹は輸送ヘリの方へと行ってしまった。
後は自分で考えろということだろうか?
その背中に一礼し、僕はある場所へと向かった。
もう、心は決まった。僕は逃げない、自分の口でキャロに思いを伝えよう。
体の熱に浮かされたまま、僕は走り続けた――――
ちょっと文章が雑かもしれません (;^_^A