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SDカードが、エラーを吐いている
どうやら、フォーマットが必要らしい
……あれ? 今日のSSはこの子の中にしかないよ?
(・x・)ムリダナ
という感じで、ストック分を放出
中々に痛いですぉ
「ええ、天気やなぁ」
草木が芽吹き、温かい風が吹いている。
先日まで続いていた冬が過ぎ、鳴海市には春が訪れていた。
冬の間も賑やかだったこの町。しかし、春となれば一層賑やかなものになるだろう。
「はやて、あんまし遠くに行っちゃ駄目だぞ。まだ、足治ってないんだからな」
「んー、せやかてじっとしてても治らんで? そんなに心配なら、ヴィータも一緒に散歩へ行こうや」
「まったく、最近のはやては元気だな」
文句を言いつつも、素直に同行してくれるヴィータ。
その内お姉さんになるゆうことを考えれば、こういった優しさは嬉しい限りや。
「折角の春や。家でじっとしてたら、勿体無いやろ?」
「そういうもんなのか?」
春は元気を運んでくる季節。春は、別れと出会いの季節。
そして、春の風はわたしにとって、大切な意味を持つ物やから。
「アタシもじっとしているのは苦手だけど、はやて程じゃないな」
「あはは、褒めてくれてありがとう」
「いや、全然褒めてないから」
最近、ツッコミを覚え始めた見たいやけど、まだまだやな。まぁ、時間はたっぷりあるし、ゆっくりと覚えていけばええ。
あの子が残してくれた大切な時間や。家族が笑う為に使わんと。
「今日の風は温かいなぁ」
「うん、いよいよ春になるって感じだな」
「なんや、ヴィータも嬉しそうやないか」
わたし達の辛い冬は終わり、新しい生活の訪れを告げる春に移った。
勿論、ええことばかりやないやろうし、大変なことかて山積みや。
それでも、わたしはこの季節を心の底から、お祝いしたい。
◇
「なぁ、リイン。この風のどこかに、あなたはいるんやろ?」
祝福の風、リインフォース。わたしの家族である彼女は、今ここにはいない。
だけど、この温かい風は、彼女を思い出させてくれる。
彼女と過ごせた、短くも大切な時間。それを思い出させてくれる。
「ありがとうな、わたし達に優しい時間をくれて。家族でいられる時間をくれて」
その時間の中で、わたしは我侭を言い続けた。
リインが困るのも気にせず、ただ自分の意見を押し付けた。
あってはならない幻想にしがみつき、夢だけを語り続けたんや。
「ごめんな。もっと早く気付いていれば、1人で苦しませることもなかったのに」
わたしは楽しいことにだけ、目を向けていた。明るい未来だけを想像して、はしゃいでいた。
その時、リインはどんな気持ちやったんやろうか?
あの時、リインはどんな悲しみを抱えて、わたしを見ていたんやろうか?
「けど、後悔はしてないで」
謝罪は良い。自己嫌悪するのだって、問題ない。
けど、後悔だけはしてはいけない。リインフォースを侮辱するようなことは出来ない。
「ヴィータがちょっとだけ、お姉さんになってくれそうや。ありがとう」
せやから、ここから先はお礼タイムや。
リインに届くように、この気持ちが届くように。
「シグナムが前よりもちょっとだけ、笑ってくれるようになったよ。ありがとう」
世界中、どこにいても彼女は存在している。
地球でも、ミッドチルダでも、他の世界でも。風さえ吹くなら、リインは存在している。
「シャマルの料理は相変わらずやけど、とても嬉しそうや。ありがとう」
わたし達の傍にいて、未だに心配してくれているんやろうなぁ。
ほんま、気苦労を背負い込むのが趣味みたいな子やなぁ。
「ザフィーラは近所の子供達と、仲良くやっている見たいや。ありがとうな」
リインかて家族なんやし、少しぐらいわたしにも心配させて欲しいんやけど。
「わたしとあの子達を巡り合わせてくれて、家族にしてくれた。わたしに笑顔をくれた」
どないやろ。わたしの提案、受け入れてくれんかなぁ?
夢の中でもええ、風の便りでもええ。リインの我侭、わたしに届けて欲しいな。
「全部、あなたのおかげや。ありがとうな、リイン」
わたしは、こんなにも感謝しているんや。少しぐらい、恩返しさせてや。
それぐらいはさせてもらわんと、納得せんよ?
「なぁ、リイン。あなたは幸せやったか? 八神家にきて、わたしに出会って、少しは幸せやったか?」
わたしは、リインに幸せを送れたなんて思ってない。
わたしは、リインに愛を送れたなんて思ってない。
「わたしは、リインを幸せに出来たやろうか? リインを笑わせてあげられたやろうか?」
せやから、少しぐらい恩返しさせて欲しいんやけどなぁ。
――どうすれば、この手が届くかな?