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泣く泣く、フォーマットしました
何本データが入っていると……
(・x・) ソンナコトヨリ、サーニャトハナシヲシタインダケド
微妙に台詞が違いますよ、エイラさん
そんな感じで、エイラーニャです
今回のテーマは占い もとい、エイラの固有魔法「未来予知」
予知は予知、予測は予測
所詮、その程度でしかないんだよ
特定の場面を思い浮かべながら、見えない光へ手を伸ばしながら。私は1枚ずつカードを並べていく。
大アルカナ、小アルカナ。それら全てを使った、割と正確な占い。
まぁ、事実として占いなんて指標にしかならないし、やる人間によって大分代わるものだけど。
それでも、力がこもってしまう。
「……よし、何度やっても問題ないな」
都合10回の占いが終わり、私は一息つく。
こんなに真剣に占うのは久しぶりだし、少しだけ疲れたかもしれない。
「大丈夫、エイラ? 汗かいてるよ」
「ありがとう、サーニャ。私は平気だよ」
私がこんなにも真剣に占っていた理由は、一重にサーニャの為である。
明日のピクニックで雨が降らないか、何かトラブルに見舞われないか。それを占い続けているのだ。
私が同行出来るなら、何があっても守れるのに。なんで、宮藤となんだよ。
「すぐ近くだから、何も起きないよ」
「そうだと良いんだけどな。何かあってからでは、遅いだろ?」
別に、宮藤だから悪いわけではない。あいつ自体に問題はないんだ。
だけど、やっぱり傍にいられないのは不安で仕方ない。
「ミーナ中佐、なんで却下するんだよ!」
ピクニックの予定がまとまったのは、一昨日。確かにシフトは出ていたけれど、まだ調整出来たはずだ。
私がサーニャを好きなのを知っているはずなのに、恋人同士なのを知っているはずなのに。どうして、邪魔するんだよ。
「でも、明日の作戦はエイラが必要だよ」
「そ、それは分かっているんだけど」
多数の小型ネウロイ。それが編隊を組んで、ロマーニャに迫っている。
速度自体は大したことないし、1匹1匹の強さなんてしれている。
しかし、その数の多さから、シールドで防ぎながら戦うのは不可能と判断された。
それが理由で指名されたのは理解している。全てかわしながら、それでいて撃破するなんて。
まぁ、私の専売特許みたいなもんだからな。
他のメンバーだって納得のいく人選だし、それ自体には文句はないんだよ。
「それでも、やっぱりな。ちょっと寂しいんだ」
サーニャの傍にいられない。何かあった時、守れる位置にいない。
その事実が、私の心に寒い風を吹かせている。
「大丈夫。私だって、ウィッチだから」
確かに、夜間戦闘をこなし、魔力針を使いこなすサーニャは、立派なウィッチだ。
「ごめんな、分かってはいるつもりなんだけどさ」
それは、分かっている。分かっていても、私の心が納得出来ないんだよ。
サーニャを守れる位置にいない。それが、とても苦しい。
サーニャが傍にいてくれない。それは心細い。
私を包んでくれる温かさが、優しさが遠くへ行ってしまう。その事実に、ちょっとへこんでいるだけ。
「また、迷惑かけてるな」
サーニャは、必要以上に心配されることを嫌う。
――それは分かっているのに。
私が、サーニャ第一で考えることを嫌う。
――それも分かっていたはずだ。
「ううん。私は、エイラ自身の心配をして欲しいだけ。私が笑顔で迎えられるよう、無事でいて欲しいだけ」
そして、私自身の心配をするように促す。いつも通りのやり取りだ。
これといった変化もなく、私を安心させてくれる雰囲気。
静かで、ゆったりしていて。それでいて、温かい。
サーニャと過ごせる時間。
◇
「エイラ、1つ教えて欲しいことがあるの」
「ん、どうかしたのか?」
何度やっても変わらない結果に満足し、私は占いを終了した。
それにしても、張り切り過ぎて物が散乱してしまったな。
「エイラ、私への告白がどうなるのか、占ったことないの?」
「そうだな、時々占おうとはしたけど……相性くらいかな、やったのは」
正確に言うなら、怖くて出来なかったんだ。
サーニャとの仲がどうなるか、告白の結果がどうなるか、私達の相性はどうなのか。
悪い結果が出た時のことばかり考えてしまって、カードをめくることが出来なかったんだよ。
「どうして?」
「まぁ、色々とあってな」
ただ、それを素直に言うことは出来ない。こんな情けないこと、サーニャには知られたくない。
私にだって、隠しておきたいことはあるんだ。
「教えてくれないの?」
「いや、その、なんて言うか。色々とあり過ぎて、どれを話して良いか分からないんだよ」
くぅ……上目遣いで覗き込むのは、反則だ。
ここのところ、ただでさえ篭絡され気味なのに。このままだと、サーニャの顔を見るだけで、何も出来なくなってしまいそうだ。
何とか、答えないと。何か1つで良いから、理由を答えないと。
このままいると、私の理性がもたなくなりそうだ。
「だってさ、つまらないだろ? 告白の結果がどうなるのか、既に答えが出てきるなんて」
「そうなの?」
我ながら、良い答えだったとは思う。綺麗にまとまって、中々格好良かったと思う。
ただ、サーニャの求めている答えでは、なさそうだ。
「悩んで、苦しんで。甘い想いに浸って。そんなふうになるのも、恋愛の楽しみだろ?」
実際は、それが原因でパニックになっていたけど。今思い返すなら、楽しかったんだと思う。
サーニャのことを考えて、サーニャのことだけを考えて。1日中悩み続ける。
自分の心に向き合って、どんどんと出てくる不思議な感情に振り回されて。夜、眠ることも出来ない。
大変だったし、どうして良いかも分からなかった。
それでも、サーニャに恋をしたことを、私は誇りに思っている。
「それに、占いは所詮占いだよ。確約された未来は分からないから」
まったく当てにならないとは言わないけど、指標程度にしかならないよ。
それに、信じ込むのは危険だ。
「未来は、分からないままで良いんだよ」
分からないから、不安になれる。
分からないから、楽しみに出来る。
好き嫌いはあるかもしれないけど、けして悪い物ではない。
「エイラ、未来予知嫌いなの?」
「別にそんなことはないぞ? ただ、未来を知ってしまうのはつまらなくなるから、全部を知る必要はないってことだよ」
自分の能力を嫌う。そんなことはないけどな。
全部を知ってしまったら、つまらなくなる。そんなふうに思っているだけだよ。
「あらかじめ決まった未来しかないなんて、そんなのつまらないだろ?」
サーニャとの未来。全てが決まっているのなら、私は努力をしないだろう。
全てに指標があり、予測されているなんて機械的だ。
「少なくとも、私は嫌だな」
そんなやり方は、好きになれない。
いくら能力として持っていたとしても、それはやってはいけない気がする。
「厳しい未来でも、楽しい未来でも、私の生きる道なんだよ」
分からないからこそ、不安になり、楽しめる。
「サーニャと一緒にいられる、そんな時間なんだ」
2人で力を合わせれば、どんな時でも幸せになれるさ。
私は、その為にもサーニャを守ってみせるよ。
「だったら、秘密のままで楽しみにしていれば良いんじゃないかな?」
「そっか。エイラって、ロマンチストだったんだね」
「いや、どうしてそんな話になるんだ?」
私、そんな話をした覚えはないんだけどな。
どうして、そんなに楽しそうに笑っているんだ?
「ふふ、隠さなくて良いのよ? 私とエイラの仲でしょ?」
「その台詞自体は嬉しいんだけど、サーニャ何かを誤解してるぞ」
「大丈夫、全部分かっているから」
とても魅力的な台詞だけれど、今は多分間違っている。
いや、今はきっと出てきてはいけない台詞なんだ。
「えーと、サーニャさん?」
「任せて。そんなロマンチストのエイラに相応しい、そんなものを用意するから」
まぁ、良いか。
なんだか分からないし、少しだけ不安はあるけど。サーニャが楽しそうだから、いっか。
それに、良い予感もするし。何かあったとしても、私が守れば良いんだよな。
――サーニャとの未来なら、眩しくなるさ