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ここは「魔法少女リリカルなのは」の2次SSをメインとしています。 ※ 百合思考です。 最近は、なのは以外も書き始めました。
ヽ(*´∀`)八(´∀`*)ノ
プロフィール
HN:
らさ
年齢:
37
性別:
男性
誕生日:
1986/07/28
趣味:
SS書き・ステカつくり
自己紹介:
コメントを頂けると泣いて喜びます。
リンクフリーです。
ご報告頂けたら相互させて頂きます。


メールアドレス
yakisoba_pan◇hotmail.co.jp
◇を@に変えて下さい
当ブログ内のSSは無断転載禁止です。 恥ずかしいので止めて ^^;
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ふふふ
ストック放出ですな


いや、流石に無理よ
そろそろ休憩が必要です
目がかすみ始めたぉ




あ、リリマジ6にて発行しましたコピ本の中身です


わたしの新しい家族。『祝福の風』を継ぐ、小さな肢体。
「リインフォース」
綺麗な銀髪に、澄んだ紅い目。どこか遠くを見ていて、自分を道具だと言い張る彼女。
でも、誰よりも温かく、可愛い笑顔を見せてくれる彼女。世界に溶け、今でもわたしの傍にいてくれると信じてる。
そんな彼女の名を継ぎ、この世に誕生したんが『リインフォースⅡ』。
わたしのリンカーコアを分けてあるし、いわば分身みたいなもんやけど・・・わたしってこんなに我がままやったかな?
「リインはニンジンなんか食べません!」
「我がままを言うな! 折角、主はやてが作って下さったのだ。ありがたく頂け」
「嫌です。絶対に食べません!」
最近、うちの食卓はちょう荒れている。好き嫌いが激しく、なかなか食べようとしないリインと、普段は起こる事も無いシグナムがぶつかっているせいや。
ただ、2人だけならまだ良い方で・・・。
「いらないなら、アタシが貰うからな」
今みたいにヴィータが混ざると手もつけられんようになってしまう。
「あっ! ヴィータちゃんがリインのニンジンを取ったです!」
「へへ~ん。いらねーなら問題ねーだろ」
「ふぇ・・・ひっく・・・」
あかん、また見逃してしもうた。今回こそヴィータが混ざる前に止めよう思うとったのに。
「ヴィータ、貴様っ!」
「なんだよ? どーせくわねえんだったら良いだろ」
「そういう問題ではないと何度言ったら分かるんだ!」
机を挟み、にらみ合いを始めてしまった2人。グズり、ついいには泣き出してしまったリイン。
その2組に挟まれてオロオロしているシャマル。机の下ではザフィーラが何事かと首をかしげている。
こんな頭を抱えたいはずの光景なのに、私は満足感を味わっていた。おかずを取られた。好き嫌いがある。
みんなで食卓を囲めるからこその光景。家族として過ごす食事の光景がそこにはあった。
せやけど・・・もう少し静かに食べたいなぁ。


     ◇


わたしの胸元で揺れる剣十字。彼女が残してくれたものはたくさんあるけど、その中でもこれは特別な意味を持つ。彼女が身につけていたもので残り、わたしの手元にある唯一の品。
そこには彼女の思いが詰まっているような気がして、いつでもお守り代わりにしてしまう。
「なぁ、これってわたしが弱いせいなんかなぁ?」
「人間誰しも弱い部分を持っています。気になさらずともよいかと・・・」
青き狼、守護の獣。いろんな呼ばれ方をしていたみたいやけど、わたしはやっぱりザフィーラって名前で呼ぶんが一番やな。
場所は日の良く当たる庭。別に広くも何とも無いけど、わたしのお気に入りの場所。
そんな場所で、わたしはザフィーラにもたれかかり相談に乗ってもらっていた。
八神家の黒一点。まぁ、本人には自覚がないようやけど、実際かなり頼りにしている。口数も少なく、わたしのお願いにより人間の姿で居る事の方が少ないのに・・・不思議なもんやね。
「わたしはな、強くなるって約束したんよ。もう悲しい思いをせんでもええように。誰も泣かなくて良いようにって・・・でも、うまくいかんもんやね」
あの雪の日。リインフォースに別れを継げたあの場所で、わたしは強くなるって約束した。
あのころの決意はなくなることなく、この胸に宿っているし、気持ちならもっと大きくなっている。
「はぁ、わたしはどうすればええんやろうか・・・」
なのはちゃんみたいに高出力の魔法が使えるわけやない。フェイトちゃんみたいな高速戦闘かて出来ん。あるくロストロギアと呼ばれるわたしの魔法は広域型。ひろーい戦場では使い道もあるんやけど・・・見方を巻き込む恐れもあるし、気軽に使えるもんや無い。その上、自分1人ではうまく調整も出来んし・・・。
「主は1人ではありません」
「ん?どういうことや?」
口数が少なく、わたしの相談に乗っている時もほとんど聞いてばかりいる彼の言葉。それは他のみんなのよりも、重みがあるように感じる。
「我ら守護騎士はあなたと共にあり、あなたを助けるために存在します。それぞれやり方が違っても、その思いは同じでしょう」
騎士として、姉のようなそんざいとして助けてくれるシグナム。
騎士として、妹のようなそんざいとして甘えてくれるヴィータ。
騎士として、母親のような存在として包んでくれるシャマル。
そして、今相談に乗ってくれているザフィーラも・・・。
「そして、その思いはリインフォースとて同じ事」
リインフォースも同じ?
「彼女は我らとは違い、夜天の書の管制人格でしたが、あなたを助けるために全力を尽くすところは同じでした」
わたしを助けてくれ、1人ぽっちから救い出してくれ、一緒に戦ってくれた彼女。
そして、わたしの為に消えてしまった彼女。なんで消える時まで笑顔でおってくれたんかなぁ・・・。
「そして、その思いは誕生したばかりのリインフォースにも受け継がれています」
「リインにも?」
珍しい。どんな相談をしたときでさえ一言、二事しか答えてくれないのに・・・。今回はおしゃべりなや。
「言って良いものかなやみましたがーーリインフォースも家族として、ユニゾンデバイスとして努力を続けています」
「ぜんぜん知らんかったわ・・・」
「報告・・・していませんから」
報告か。まぁ、別にこんだけ頑張りましたーって言われてもお疲れさんぐらいしか言えんし、それぐらいのことで怒りはせんけど・・・ちょうさみしい気もするなぁ。わたしは一応リインのお母さんなんやし、ちょっとしたことでも知っておきたいな。
「なぜかは分かりませんが、リインフォースは俺になついているようです。まぁ、丈夫さという面から考えれば妥当でしょう」
ザフィーラの背中に寝転び嬉しそうにしているリイン。最近そんな光景を良く見るようになった。
わたしにもちゃんと甘えてくれるけど、なんか違うんやろうなぁ。
「丈夫ゆうのが理由になるかはわからんけど、一緒にいること多いよなぁ」
家族みんなと仲よくして欲しい。早くうち溶けて欲しいとは思うけど、一度に2人や3人と仲よくなるのは難しいやろう。
リインは生まれたばっかりなんやし、そこんとこも考えてあげなあかんな。
「簡単に言えば、的になっているのです」
「的? 一体何をやっとるんや?」
「俺の防御は簡単に敗れませんから、魔法の試し撃ちにちょっと・・・」
確かにザフィーラの防御魔法は丈夫やし、体かてうちの子達では一番丈夫やろう。せやけど、試し撃ちってのは・・・ちょう危ないなぁ。
「彼女の魔法はまだ弱く、一撃ももらっていませんが・・・あのまま努力を続ければ確かなものになれるでしょう」
「まぁ、それはええんやけど、何でそんな事を秘密にしとったん? わたしら家族なんやし、相談してくれてもよさそうやけど?」
1人で練習するのも大切やけど、みんなで一緒にやる方が効率が良い。それにリインはユニゾンデバイスなんやし、わたしとユニゾンしててくれればええんやけどな?
「彼女から秘密にするようにと言われていたもので、いくら主と言えども約束した事は話せません」
なるほどな。まぁ、約束をしとるんやったら仕方ないよ。
「それに・・・知られたくなかったのでしょう」
「知られたくなかった? うちらに訓練しとることがばれたらこまることでもあるんやろうか?」
別にわざわざ秘密にせんでもええと思うんやけどな。
「俺やシャマルならいいですが、シグナムやヴィータと比べればどうしても威力で劣りますからね。特に日ごろ喧嘩をしているヴィータには負けたくなかったんでしょう」
・・・生まれたばかりのリインがヴィータを凌駕する。まぁ、あり得ない話ではなかったんやろうけど、難しいやろうなぁ。
喧嘩しとるあいてに弱いとこを見られるのも嫌やろうし、何となくやけど分かる気はする。
「・・・主でしたから喋りましたが、この事はご内密に」
「ええよ。話してくれてありがとうな」
「いえ・・・」
「でも、わたしにまで黙っていたバツや。しばらく抱き枕になってもらうでー」
「・・・了解しました」
静かになった彼を抱きしめ、わたしは少し眠ることにした。


     ◇ ↓夢の中(回想シーン)


暖かな日差し、穏やかな空気。それらがみちるここはうちのリビング。
そこには、シグナム、ヴィータ、シャマル、ザフィーラ、そしてリインが集まっていた。
「はやてママ?」
喋る言葉にもぎこちなさが感じられ、恐る恐る呼んでいるのがよく分かる。あの時は名前を呼んで貰えたのが嬉しくてそれどころやなかったけど・・・もうちょっと考えてあげるべきだったなぁ。
「はい、リイン」
答える言葉は私の口からは出ておらず、別のところから聞こえてくる。
夢やな。
夜天の書が過去の記憶を見せてくれて以来、わたしは夢を夢だと認知できるようになっていた。
まぁ、これといって特はないんやけど、以前あった事を懐かしむ事が出来て結構楽しい。
「ヴィータ、パパ?」
「なんでもいーけど、ソコを見ながら呼ぶな(泣)」
「シグナム……さん?」
「何でも構わん。好きに呼べ」
「シャマル……」
お、シャマルの事をどう呼ぶつもりや?
相当楽しみにしてたみたいやし、うまく呼んであげて欲しいんやけど
「おばさん?」
……リイン。それは禁句やで。この世の終わりみたいな顔をしてシャマルが落ち込んでるやないの。
「おばさんなのね……私、ついに家族からもおばさんて呼ばれるのね」
まぁ、考えてみればわたしがお母さんなんやし、ちょうつらいかもしれんけど、シャマル、もちろんシグナムだっておばさんゆうことになってしまうんやろうな。
でも、この後に比べればマシやろ・・・。
「ワンちゃん?」
「狼だ」
嬉しそうな顔でザフィーラを指さしている。
「ワンちゃん」
「犬ではない」
そのうちリインも分かってくれるとは思うけど、生まれたばっかりやし、無理やろうな。
「ワンちゃん♪」
「……ワン」
ごめんな、ザフィーラ。


『お楽しみ頂けましたでしょうか?』
「え?」
どこかで聞いた事のある声。ハスキーなのに通りが良くて、わたしを安心させてくれる声。
「う、嘘やろ?」
さっきまでの景色が消え去り、目の前には1人の女性が立っていた。
長く、綺麗な銀髪。優しく、透き通った瞳。
「リインフォース?」
「はい、主はやて」
そこには消えたはずのリインフォースが立っていたーー


     ◇


雪の降るあの日に、みんなに見守られながら消えた彼女。それが、なぜここに?
『すでにお気づきかもしれませんが、これは夢です』
・・・やっぱりか。失われたものは取り返せんし、戻ってきたりする事もない。それなのにこんな不思議な事がおきるやなんてーーまぁ、ええわ。
「それでも、わたしは嬉しい。久しぶりやなリインフォース」
例え夢やったとしても、幻やったとしても、会いたいと願っていた相手にその思いが通じたようで、嬉しかった。
『はい、お久しぶりです』
りゅうちょうに喋るのに、どこかぎこちなさ、遠慮してる雰囲気を出している彼女。くぅ・・・雰囲気までそのままやん。

『私は世界中の風に溶け、みなの記憶に溶け、残っています』
『今までだってちゃんと見ていましたよ?』
『私は死んだのではありません。夜天の書の管制人格という仕事を終え、頂いた名前の通り祝福の風として漂っています』
「そっか・・・今でもうちらの傍に居てくれるんやな」
『ええ、ですから主はやての困った癖だって熟知していますよ』
「えーと・・・それはもしかして・・・」
『あまりやんちゃが過ぎますと、ご友人に嫌われますよ?』
「あはは・・・なかなかに手厳しいなぁ」
最近は忙しくて、あんまり揉めてないんやで・・・。
『ところで、主』
「なんや?」
『私と同じ祝福の風の名を与えられた彼女はどうでしょうか?』
ふむ・・・先代としては気になるんかな。
「良い子やで。お手伝いかてしてくれるし、素直な子やよ。まぁ、ちょう好き嫌いが多いみたいやけど、それは追い追い治していけばええやろ」
『そうですか・・・』
「やっぱり心配なん?」
伏せられてたので顔は見えないが、声に感情がにじんでいる。まったく、人の心配ばかりしてたらあかんで・・・
『それは、その・・・心配です。彼女は生まれたばかりですし、制御も出来ないでしょう。もしかしたら、そのせいで主達に迷惑がかかっていないかと・・・』
ホンマに変わって無いな。わたしの夢に出てくる時ぐらい我がままを言えばいいのに。
「そんな心配はいらんよ。それよりもこっちへおいで」
これが事故満足なんは分かってる。彼女はもうおらんし、ここはわたしの夢や。
ここで起きたことに意味は無く。現実には何も影響が出ない。
でも、それならば彼女でも甘えてくれるかもしれない。あの時よりも随分と大きくなったこの体でなら、彼女を抱きしめて挙げられる。
「リインフォース」
『な、なにを・・・』
サラサラした髪にふわっと香る匂い。そして・・・
「ええから、じっとしとき。・・・それともリインフォースはわたしが嫌い?」
『いえ・・・で、では遠慮無く』
何よりも温かい。柔らかい。
傷まみれになっても、どんな時でも私の傍に居てくれる彼女。
風に溶け、世界中を巡り渡っている彼女。
そして、わたしのリンカーコアに混ざっている彼女。
うん、いつまでも一緒やでーー


     ◇


「カラスが鳴くからかーえろ」
「なんだそれ?」
夕日に照らされ、長く伸びている影。時刻は夕方で、もう少ししたら各家庭の夕食の匂いがオーケストラを奏で始めるだろう。
「これはな、カラスが鳴くような時間になったし、遊びは終わって帰りましょうゆうことやよ」
「へ~、カラスってすげーんだな」
「いや、カラスが鳴く時間。つまり夕方になったから家に帰って夕食を食べましょうって意味なんよ?」
・・・わたし説明間違えたんやろうか?
「なんだ・・・アタシはてっきりすげーやつなのかと思ったのに」
そんな期待されても、カラスが困ってしまうで。
「でも、腹の減ってきたし、はやての飯はギガうまだから楽しみだ♪」
「あはは・・・ありがとうな。今日も腕によりをかけて作るで~」
わたしの作るご飯を楽しみにして、美味しいと食べてくれる。前みたいに1人で食べる事も無いし、やっぱり幸せやなー。
それに・・・
「わっ!な、なにすんだよ、はやて」
「うーん、ヴィータは温かいな~」
彼女はこんなにも温かい。
「ちょっと苦しいよ・・・」
悲しみの螺旋。永劫の時。そんな中でも幼さを失わず、わたしの元まで来てくれた。
鉄槌の騎士。紅き鉄騎。
そんな風に呼ばれて、この柔らかな手で罪を重ねてきた。人間として扱われる事も無く、ただの道具として生きた彼女。
でも、今はこんなにも明るく笑ってくれる。ご飯をいっぱい食べてくれるんも、我がままいっぱい甘えてくれるんも、アイスを食べ過ぎて涙目になってるんも・・・全部彼女や。
「はやて、どうかしたの?」
あかんーー考えてたら泣いてしまいそうや。
「なんでもないよ・・・」
こんなんヴィータには見せられへんなぁ。
「えーと、このままなの?」
そっと腕の力を緩めながらも、抱きつくことは止めない。
「なんや? ヴィータはあたしが嫌いなん?」
嫌いだと、そんな事言われないからこそ聞ける疑問。
「そ、そんなことはねーけど。ちょっと恥ずかしいなって・・・」
「ふふ、ヴィータは可愛いなぁ」

「か、可愛いって・・・」
あーあ、頭から湯気が出そうなぐらいに赤くなってしもうとる。
もぅ、ほんまにかわええんやから・・・変な人にさらわれたりしたら、あかんよ?
ヴィータはうちの大切な家族なんやから。


   ◇


リズミカルに響く包丁の音。泡立つお湯が彩りを添え、忙しく動く私達が指揮をとる。
八神家の台所は戦場のように慌ただしくも、優雅な演奏会を連想させた。
ただ・・・
「きゃーっ。お砂糖とお塩を間違えてしまいました。どうしましょう・・・」
「なんべんやっても治らんなぁ。あはは・・・」
「はぅ、ごめんなさい」
同じミスばかり繰り返している金髪の女性。うーん、シャマルのミスも可愛いんやけど、これやとお昼はすごいことになりそうやなぁ。
「きゃーっ!お酒とみりん間違えちゃいました」
「あはは・・・ドンマイや、ドンマイ」
どうやったら間違えるなんてつっこみは、とうの昔に飽きてしもうた。それに、あんまりにもひどいことにならない限り、みんなも食べられるようになったし・・・家族愛ってすばらしいなぁ。
「きゃーっ!卵がレンジで爆発してるぅ!」
「・・・卵?」
えーと、湯で卵でも作りたかったんやろうか?
「きゃー!マーガリンとジャムを間違えましたぁ」
・・・作ってるのってサンドイッチやったよな?
「あれ? キュウリが切れて無い?」
全部繋げてどーするんよ? それやったら使えんで・・・。
・・・ホンマに大丈夫かなぁ。
「うぅぅ・・・なんでこうなるのかしら?」
「シャマルも器用に間違えるなぁ・・・既に才能の域かもしれん」
「そんなの褒められても嬉しくないです」
そりゃ、褒めてないからなぁ。
さっきまでリズミカルに響いていた音が止まり、彼女が私を見つめている。
どうしたんやろうか?
「はやてちゃん。私どうすればいいんでしょうか?」
「ん? なんや悩み事でもあるんかいな?」
最近考え込んでいるようやったし、いつかくるやろうなーとはおもっとったけど。
「私は騎士なのに弱いし、料理も出来ないし・・・リインちゃんにはおばさんて言われるし」
「あはは・・・まぁそうやなぁ」
湖の騎士。風の癒し手。どちらも騎士としての名なのに、シャマルの直接的な攻撃力は低い。勿論サポートや治癒といったことにおいては、右に出るものがおらんぐらいなんやけど・・・やっぱり悩んでしまうもんなんやろうなぁ。
料理に関しても、他の家事はこなせるぶんだけに悔しい。まぁ、うちには食べ盛りな子もおるし、作りがいはあるんやけど・・・ドジっ娘なシャマルには難しいんやろうな。
ただ、仕方がない部分もある。
「うーん、みとめたくは無いんやろうけど『おばさん』は仕方ないんかもしれんなぁ」
「ど、どうしてですか! 私そんなにふけてますか?」
・・・そんな事気にしとったんか。まったく、シャマルも可愛いなぁ。
「そうやないよ。老けて見える事は無いし、綺麗やよ?」
そもそも年を取らんて考えたら、うらやましいわぁ。
そのままの若さを保てるなんて言ったら、世の中の女性に恨まれてしまうで。
「まぁ、わたしが『お母さん』なんやし、シャマル達が『おばさん』て呼ばれるんはしかたないんやないかな?」
「で、でも、おばさんはひどいです」
「そうか? わたしは嬉しいよ?」
そんな泣きそうな顔をせんでも・・・もぅ、しゃーないなぁ。
「わたしはシャマルのことをお母さんみたいやなぁっておもっとるんよ。でもな、誰にも言ったことは無い」
そんなん、恥ずかしくて誰にもいえん。言えるわけがない。
「それなのにリインが『ママ』、『おばさん』言ってくれるって事は、うちらはちゃんと家族として暮らしている証拠やと思うんよ」
似てない、血がつながっていない。そんなうちにとっては絆こそ全て。家族やって、周りに認めてもらわんといけん。
「それにな、リインも悪気があったわけやないんよ?」
「それは分かってますけど・・・」
まぁ、悪気がなければ許される。
そういうもんでもないし、本人が気にしていたのは知ってるけど・・・ちょう我慢してあげて欲しいな。
「シャマルはうちのこの中でも落ち着いて、柔らかい雰囲気を持ってる」
他のみんなとは違った落ち着くような感じ。
傍に居るだけで安心させてくれるような、そんな雰囲気。
「せやから、リインも甘えられる存在としてシャマルを見ていると思うんよ」
「はやてちゃん・・・」
「まぁ、そのうち変わってくるやろうし、今はここを片づけるのが先決や」
リビングにかけてある時計が鳴り、12時がきたことを知らせる。
「さぁ、うちの食いしん坊達が待ってる。はよ作ろうか」
「はい、はやてちゃん」
ふんわりと笑う彼女につられ、わたしにも笑顔が伝播する。
やっぱり、シャマルには笑顔やな


     ◇


呼吸に合わせて上下する丸い物体。手につかもうとするとどこまでも形を変え素晴らしく柔らかい。一度でええから顔を埋めて眠ってみたいなぁ。
「・・・何をなさっているのですか、主はやて」
「いやー、シグナムがうらやましくて・・・つい、な。こう揉んでみたくなるんよ」
ふにゅふにゅしてて形を変える神秘の象徴。あぁ・・・なんでシグナムのはこんなにも大きいんやろう。
「つい、ではあしません。止めていただくよう何度も申し上げているはずですが?」
「うーん、覚えて無いなぁ」
注意されたような、されてないような。あやふやな感じや。
それに・・・
「この八神はやて、注意されたぐらいで止めるほど軽い気持ちではやっとらん!」
「そんな事断言しないで下さい! 思わず将来の心配をしてしまいます」
将来。わたしの将来かぁ。
やってみたいことは山ほどあるけど・・・叶うやろうか?
「ん? わたしがおっぱいマスターになれるかの心配か?」
どっちにしても、今はそんな重要な事を離せる段階やない。
悪いけど、ごまかさせて貰うで。
「違います! あなたが犯罪者として捕まらないかどうかですよ」
ガーン。シグナムの頭の中ではすでにつかまってるんか・・・。
さすがに傷つくよ?
「またまた~、そんな冗談ばかりゆうて・・・わたしも嫌がる相手にはせえへんよ?」
健全なバストアップ。ちょっとばかし、ほんのちょっとばかし雑念が混ざっているかもしれんけど、わたしはそう信じている。
「だったら私の胸も揉まないで下さい」
「嫌よ嫌よも好きのうち、ゆうてな・・・」
「・・・止める気ないじゃないですか」
減るもんやないんやし、もませてくれてもええと思うんやけど・・・?
「それに、一度掴んだ乳は忘れんしな!」
「すぐに忘れてください!」
「いやや! こんなに気持ちのええもん忘れられるわけないやないの!」
おっぱいこそ至上のもの。あの柔らかさと、包み込まれる感触。これに勝てるもんなんてあるはずがない。
それを忘れろなんて、シグナムはなんてひどいことを言うんや。
「主はやて、私はあなたの将来が不安です」
「そっか・・・。まぁ、そんなことは置いといて」
「置かないで下さい」
そろそろ本題に入ろうか。
遊びすぎたら夕方のセールにまにあわんし。
「わたしはシグナムに相談があるんよ」
「お願いですから、今までの話を無かったことにしないで下さい」
別にないことになんかせぇへんけど、今は話を聞いて欲しい。
「シグナム、わたしは真剣なんよ? ちゃんと聞いてえな」
「私が悪いのですか? ま、まぁ、いいでしょう」
ふふふ・・・いつもいつも怒られてると思ったら大間違いやで。わたしは日々進化しとるんや。
「それで相談て何ですか?」
「リインフォースとリインの事や」
「先代とリインフォースですか・・・。リインフォースは分かるとして先代の事で相談ですか?」
「うん、そうなんよ」
まぁ、不思議に思うやろうな。
ホンマはリインの事だけを相談するつもりやったんやけど、シグナムなら何か分かるんやないかと思うんよ。
「実はな・・・この前の夢にリインフォースが出てきたんよ。前の格好のままで」
夢の内容を思い出しながら、ぽつぽつと喋っていく。
「まぁ、わたしの夢での話やし、リインフォースがホンマは何を伝えたかったんかはわからんけど・・・相変わらずわたし達のことを心配してくれててな。なんや申し訳無い気がするんよ」
自分が居なくなった後ですら、心配してくれる。いつまでも、わたしを主と呼んでくれる。
それ自体は嬉しいし、ありがたいんやけど。
「わたしは強くなるって約束した。家族と一緒に強くなるって約束したんや」
あの時交わした約束。彼女と交わした約束。
「けどな、時々その判断が正しかったんか、間違ってるんか分からんようになる」
シグナムはだまって、わたしの話に耳を傾けてくれる。
「リインはまだ生まれたばかりで、手がかかるんは分かってるつもりや」

「でも、最近のわがままはちょう過ぎているような気もするし、何よりシグナム達に迷惑をかけてる」

「彼女はわたしのリンカーコアをコピーして分け与えてあるんや。つまり、彼女が今やっているわがままはわたしの心の中にあったゆうことやろ」

「ごめんな。わたしがしっかりしていればこんな迷惑をかける事も無いのに」
「いえ、主はやてのせいでは・・・」
「別に慰めてくれんでもええんよ。わたしの事はわたしが一番分かってる」

「食べ無いゆうて駄々をこねるんも、いたずらをして誰かを困らせるんも、わたしがどこかやってみたい思うてたからやろう」
「ふぅ・・・主はやて、あなたは不思議な事をおっしゃいますね」
「え? 不思議なこと?」
「はい。確かにリインフォースのわがままには少し手を焼くこともありますが、それはしかたが無いでしょう」
「彼女は生まれたばかりで、人間でいえば赤ん坊ですからね」
「普通の家族は、新しい家族・・・つまり赤ん坊が生まれると嬉しい半面、大変苦労をするそうです」
「我らボルケンリッターも八神家の一員である以上、リインフォースに手を焼くのは当然と言えるでしょう」
「それに、我々は少し困っているだけで迷惑なんかしていませんよ?」
「そっか・・・新しい家族か。ありがとな、シグナム」
「いえ、お気になさらないで下さい」
はぁ、なんも悩む事は無かったんやな。1人だけで悩んで、わたしだけで解決しようとして・・・まったく、もう少し落ち着かんとあのリインフォースに笑われてしまうわ。
「よし、わたしも八神家の一員として、リインの子守と健全なバスとアップに貢献するで!」
「主はやて? あの・・・リインフォースはともかく、バスとアップに貢献とは難でしょうか?」
「ふっふふ・・・それはな、身を持って体験させたるで~」
「え? ちょ、ちょっと何をするんですか!」
彼女に抱きつき、思う存分遊ばせてもらう。あぁ、気持ちええなぁーー


     ◇


「はやて・・・ママ。ちょっといいですか?」
はやてママって・・・まだ、そのままなんやなぁ。なんや嬉しいんやけど、こそばゆい感じがするわ。
「なんや? わたしはいつでもOKやで」
「えーとですね。リインは教えて欲しい事があるんです」
おいでと手招きをし、彼女を肩にのせてやる。
「リインは本当に生まれてきて良かったんでしょうか?」
「リインはユニゾンデバイスです。みんなとユニゾンしてパワーアップするためのものです」
「それなのに、はやてママのリンカーコアをコピーしてもらって、名前までもらいました」
「リインは人間じゃありません、デバイスです。それなのに家族としてみんな扱ってくれます」
「どうしてですか? リインは間違ったことは言っていません」
「なんで道具を家族として扱うんですか? リインにはそれが分かりません」
「あかんものはあかん」
ピンッと彼女のおでこをはじき黙らせる。
「あう・・・痛いですよー」
目の前で涙を浮かべている彼女には悪いが、駄目なものは駄目だ。
それに理由を求める事自体が間違いなのだ。
「昔な、ヴィータが同じ用名事を言ったことがあるんよ」
「ヴィータちゃんが?」
「自分達はプログラムだ。人間なんかじゃねーってな」
優しいからわたしに負担をかけないようにしていた。優しさから言った言葉だった。
でも、そんなん全然嬉しくなかった。
「わたしはその時、とっても悲しかったのを覚えてる」
「どーして、はやてちゃんが悲しいんですか?」
心底不思議そうにしている彼女。うーん、なんて説明したらええかな?
どうしたら伝えられるやろうか?
わたしの心の中をどうやったら伝えられるんやろう?
「それはな・・・。目の前に居て、家族として暮らしているのに、わたしは何も分かってあげれんかったんやって、そう思ったらすごく悲しかったんよ」
手が届く位置に居るのに、心は分からない。当然の事なんかも知れんけど、わたしはめっちゃ悔しかった。
「で、その時はカッとなって『そんなこと言ったらアカン』て叱ってしもうたんやけど、今思えばもっとええ方法があったんやないかなって考えてしまうんよ」
「わたし達はな、みんな揃って初めて八神家なんよ。誰か1人でもかけたらあかん。みんなで一緒に歩くんや」
「嫌な事もある。喧嘩だってすればええ。でもな、最後には必ず笑顔になれるそんな”八神家”になりたいんよ」
「難しくてよく分かりません」
「そっか・・・ごめんな」
「でも・・・リインはここにいても良いんだって分かりました」
「うん、リインはうちの子なんや。他んとこにいったらあかんで~」


     ◇


「くぅぅ・・・冷てぇ!」
「あぅぅ・・・冷たいです」
・・・なにやっとるんやこの2人。
「あ、主はやてお疲れさまです」
「うん、祝辞の準備は出来たんやけど・・・あれ、なんや?」
「どっちが多くのアイスクリームを食べられるか競争しているみたいですよ」
「ふーん、アイスの大食いかぁ」
「ん? アイス?」
ま、まさか・・・
「こら! ヴィータ、リイン。わたしのとってておきのアイス食べたやろ!」
「げっ・・・ば、ばれた。にげるぞリイン」
「はいです。逃げ切ってみせますよー」
「こらー! まてー!」
もぅ、この前まで喧嘩していたのに仲直りしたんか・・・。リインなんかヴィータの肩に乗っかって嬉しそうにしてるし・・・なんやうらやましいなぁ。
でも、それとこれとは話が別や。食べ物の恨みは怖いって教えておかんとな。
「ふっふふ、2人も逃がさんで・・・」
体にたっぷりと教えたるから覚悟しいや。
「おい、リイン」
「何ですか、ヴィータちゃん」
「はやてがやばい。全力で逃げるぞ。捕まったら何されるかわかんねー」
「りょ、了解です」
「逃がすわけないいやろ?」
2人してそんなに驚いて・・・夜天の主をなめたらあかんでー
(一行空白)
シグナム・ヴィータ・シャマル・ザフィーラ。
そしてリインフォースとリイン。そこにわたしを加えた7人で『八神家』なんやな。
それぞれに迷惑をかけて、時には喧嘩だってする。でも、相手を思いやり助け合うことが出来る。
これほど頼もしく温かい家族はそうおらん。わたしが世界中に自慢してまわれる家族や・・・。

さぁ、明日も元気に子育てや!
 

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