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はーい、本日は2本目のUPでございます
ついでに言えば、新カテゴリ追加です
なのはStSより、【ルーテシア×キャロ】ですぉ
受け攻めは、お世話になっている某先生に決めて頂きました
いや、そこまで重要ではないけどね☆
そんな感じで1話目「再開のしらべ」です
離れていた友人に訪れた変化
それはキャロを喜ばせる風となる
キャロ、エリオ。お仕事、お疲れ様。
こちらの世界では、そろそろ紅葉が始まり収穫の時期となりました。
お母さんと一緒に育てている野菜達も食べごろになり、毎日楽しく料理をしています。
この幸せをくれた2人と、軌道六課の皆さんにはどれだけ感謝をしても足りません。本当に、ありがとう。
そういえば、本日はビックニュースがあります。
フェイトさんや、はやてさんのおかげで、条件付きであればお出かけが出来るようになりそうです。
まだ、詳しいことは聞いていませんが、もしかしたらキャロ達の世界に遊びに行けるかも……
では、またメールするね。
ルーテシア・アルピーノ
P.S. インゼクトにお花を持たせたので、受け取って下さい。
◇
「ルーちゃん、外に出れるんだ」
無人世界に謹慎されているルーちゃん。そんな彼女と毎日のようにやり取りをしているメール。
いつもであればなんでもないお話で終わるけど、今日は違った。
条件付き、確定ではない。
それでも、ルーちゃんが外の世界に出られる可能性が出来た。
「これは、大きいね」
同じことを考えていたらしいエリオ君が、横で頷いている。
JS事件の被害者でもあり、加害者でもあるルーちゃん。
罪人として収監されることはなかったけれど、無人世界へと謹慎されてしまった。
折角お友達になれたのに、もっと仲良くなれるはずだったのに。彼女は遠い世界へと行ってしまった。
早ければ1、2年。長ければ何十年もかかる。そんな処罰。
そんな境遇のまま放置なんて出来るはずもなく、フェイトさん達や、私達も出来る限りのことはした。
完全な自由を手に入れるのは難しい。
でも、条件を付ければ不可能ではないはずだから。そう、教わったから頑張れた。
魔法を封印した状態なら、どうだろ?
局員の監視の下であれば、どうだろ?
外出申請を出してみるのは、どうだろう?
いくつもの案を出し、いくつもの会議に出た。
その殆どをはやてさんや、フェイトさんが引き受けてくれた。
私達に出来たのは、ルーちゃんにメールを出すことと、時々呼ばれる会議で証言をするだけ。
嘘を言ってはいけない。けど、聞かれていないことに答えなくても良い。
なんだか、ずるい気はしたけれど、はやてさんの助言に従って答える。
そんな日々がこの前まで続いていた。
「やっと、会えるんだね」
みんなで頑張ったから、みんな諦めなかったから、ルーちゃんは外に出られる。
「そうだね。けど、ルーは大丈夫なのかな?」
安心して、喜びを感じている私の横で、エリオ君が心配そうな顔をしている。
今はただ喜べばいいはずなのに、どうしたのかな?
「僕だって、会えるのは嬉しいよ。けど、かなり無理をした生活を送っているって聞いたからさ」
「フェイトさんが教えてくれた情報だよね?」
「うん、この前聞いた話だよ」
管理局から許可を得る。
それはとても難しいことで、とても長い時間がかかる。
書類での申請。会議を開いて、承認を得ること。上層部に掛け合い、力添えをしてもらう。
査察官による面接。事件に関する情報提供と、証言。
そして、何よりも重視されるのが、ルーちゃん自身の生活状況。
被害者とはいえ、犯罪に加担してしまったルーちゃん。
そんな彼女を無罪放免で許してくれる程、管理局は優しくない。
奉仕活動。管理局への従事を条件に、限定的な自由を得ることができる。
勿論、その後の功績で随分と待遇は変化するみたいだけど……。
「完璧といえるほどに、従順に従っているって話」
ルーちゃんは良い子だ。
戦っている相手でも心配するし、召喚虫達にだって優しく接している。
でも、少しぐらいは我儘を言っても良いはずなのに。
『元々大人しい性格だったのかもしれないけど、反抗することもなければ、我儘を言うこともない。査察官が困るほどに従順だよ』
フェイトさんが教えてくれた状況。
確かにルーちゃんは大人しい性格。感情の起伏は少ないし、優しいけど。
査察官の人が困るほどとなれば、心配だなぁ。
誰にも言わずに無理をしちゃう子だから。
私が傍にいれれば、支えてあげることだって出来るのに。今は、それが出来ない。
ルーちゃんに早く会いたい。
そう思っているのは事実だし、叶えば嬉しい。
でも、それ以上に無理をして欲しくない。毎日笑顔で過ごして欲しいと思う。
ずっとお話が出来なかったお母さんと一緒にいられるのに、彼女が無理をしているとしたら……。
「どうしよう、心配になってきちゃったよ」
私に出来ることなんてないのに。私がしてあげられることなんて、何もないのに。
焦るだけ焦って、何もかも分からなくなりそう――
◇
加速していく思考。追いつけない私の心。
けど、そんな状況を救ってくれる声があった。
「キャロ、落ち着いて。大丈夫、ルーはそんなに弱い子じゃないよ」
「エリオ、君?」
自然保護隊で一緒に働いている彼。
ルーちゃんとの共通の友人でもあり、私の傍にいる彼が止めてくれた。
「普通は無理だと分かれば諦めるし、無茶はしないはずさ」
「けど、ルーちゃんだよ? どんなことも1人で抱え込んで、無茶をしちゃうルーちゃんだよ?」
けど、その言葉は私には届かない。
無理だと分かれば諦める。
無茶なことはしないはず。
どうして、そんなことが言えるの?
それが出来るなら、私達はルーちゃんと争わなくても良かったはずなんだよ?
「どうして……どうして、エリオ君がそんなこと言うの? エリオ君だって知っているはずでしょ?」
傷つき、涙を流し、それでも止まらなかった彼女。
自らの願いの為、お母さんと再会する為に、彼女は進み続けた。
手段を選ばずに、それなのに傷付けることを恐れて。自らの手は、既に傷まみれだと言うのに。
「ルーちゃんが諦めるはずないよ。諦められるわけないよ」
約束した。約束してしまったから。
また、会おうって。友達として、また会おうって約束してしまったから。
ルーちゃんは、私達との約束を守る為に、頑張っているんだ。
私達との約束を守る為に、どんなことも我慢して前に進み続けているんだ。
「エリオ君なら、エリオ君なら分かってくれていると思ったのに」
私と同じ気持ちじゃなかったの?
遅くなっても良い。会えるのが10年先になっても良い。
だから、ルーちゃんに笑っていて欲しい。
そう、願ってくれていると信じていたのに。
「分かっているよ。ルーが無理をしているのも、キャロがそれを望んでいないのも知っているよ」
「なら、どうして? どうして、そんなこと言うの?」
分からない、エリオ君が分からない。
知っているなら、気付いているなら。どうして、そんなことが言えるの?
「友達だからだよ」
「友達だから?」
「そう、僕はキャロとルーの友達だから、2人を信じているんだよ」
信じる?
私とルーちゃんの友達だから、信じているの?
「ルーはもう、前のルーじゃない。仲間がいて、お母さんがいて、友達がいる。もう1人ぽっちじゃないんだ」
ジュエルシードを探して、彷徨っていた頃。ルーちゃんの心は1人ぽっちだった。
誰も信じられず、誰にも頼れず。1人で頑張るしかなかった。
「だから、ルーは無理はしても無茶はしない。どうしてもダメなら、僕達を頼ってくれるはずだよ」
「でも、頼ってくれなかったらどうするの? もう、傷ついていたらどうするの?」
ルーちゃんは笑ってくれるようになった。私を友達だって、そう呼んでくれた。
でも、頼ってくれるとは限らない。1人だけで、どうにかしようって、そう考えているかもしれない。
「僕達にルーが傷つくことを防ぐことは出来ない。守ってあげることは出来ない」
ルーちゃんが傷つくことを、防げない。
ルーちゃんを守ってあげることなんて、出来ない。
友達なのに。私は友達のはずなのに、何も出来ない。
「でも、友達として一緒の未来を夢見ることは出来る」
「一緒の未来?」
一緒に過ごして、一緒に笑える未来。
誰も泣かなくて良い。誰も苦しまなくて良い未来。
それを目指して、みんなで頑張ることは出来る。
「それに、フェイトさんやはやてさんが頑張ってくれているんだから。僕達は、みんなを信じて待とうよ」
同じように心配して、私よりも上手くやれる人が既に手を貸してくれている。
悔しいけど、ここで私が頑張っても邪魔になるだけ。
「そっか。信じてあげることも大切だよね」
信じて待つ。それが正しいのか、間違っているのか分からない。
でも、ここで泣いても、悔やんでもルーちゃんの役には立てないから。
それなら、せめて信じてあげたい。
ルーちゃんは変わったんだって。
変われたんだって、信じてあげたい。
遠く離れてしまっている今、私に出来ることはこれぐらいしかないから。
――ルーちゃん、お願い。笑顔でいて。