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ここは「魔法少女リリカルなのは」の2次SSをメインとしています。 ※ 百合思考です。 最近は、なのは以外も書き始めました。
ヽ(*´∀`)八(´∀`*)ノ
プロフィール
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らさ
年齢:
37
性別:
男性
誕生日:
1986/07/28
趣味:
SS書き・ステカつくり
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(・w・) 連投わっしょい。ラブせつだよー

はい、UPするのを忘れていたものを発掘しました
いい加減にファイル管理の方法変えようかしら?



 この世界に来て、私はいくつかの分からないものに出会った。それまで触れたことのなかった感情、それまで知ることもなかった表情。ラビリンスに存在しないものは、私にとってはなかったも同然だから。イースであった私は、知ろうともしなかったから。
 先日までの私であれば、何も問題はなかった。知らなくても支障なんてなかった。
 誰かと笑い合うことなんてなかったし、誰かと仲良くなろうとしたこともなかった。友達という存在も、家族と呼ぶべき存在も、名かもと呼べる存在すら受け入れることが出来なかったから。
 全てはメビウス様の為に。メビウス様の望むことが絶対で、自分のことなんて置き去り。全てを捧げることこそが正しいと信じていた。その考えだけに、それだけが正しいと思い込もうとして、すがって生きてきたから。
 だけど、今の私は違う。あの時、生まれ変わった私はそれではいけない。
 今までの私が知らなかったこと、感じることの出来なかったことを、1つでも多く分かるようになりたい。1つでも多くのことを知り、ラブ達のように自然に笑えるようになってみたい。幸せを伝えられる存在になってみたい。
 私を受け入れてくれた家族を、私を受け入れてくれた人々を、私を受け入れてくれたこの町を。幸せにしたいから。
 それこそがイースであった私への弔いであり、今まで撒き散らしてきた不幸を薄める為に必要なことだから。
 ねぇ、ラブ。人って不思議なものね。
 イースであった私には、任務の達成しかなかった。達成しても何も残らず、心の中を風が吹き抜けるような、そんな寂しさを抱えているしかなかった。壊すことしか知らず、何かを作ろうとしたことはない。
 どうでも良いと思っていた時には、何があっても心が動かなかった。命令されたこと以外には関心がなく、目の前で誰かが倒れたとしても目を逸らすだけだけ。自分のことすら分からなくなって、周りのことなんて理解出来るはずがなくて、まるで心が凍ってしまったようだったわ。
 とても寒かったのを覚えている。埋めようのない寂しさを、どうしようもないと理解させられる寂しさを、独り抱え込んでいた。誰かに相談することも出来ず、相談しようという気すら起きず。当然、相談相談されたこともなかった。
 ラビリンスと呼ばれる国家が、国民が捨ててしまったものはとても大きい。
 優しさや人の温もりといった、言葉に表せられるものだけれはない。目に見えているものから、目に見えないものまで。大きなものから、小さなものまで。数え切れないほどのものを切捨て、同時に失い。自分達にそんな感情があることすら、忘れてしまったのだから。
 私は自分が不幸だと思ったことはないし、これからも思うことはない。生まれた時には、ラビリンスは今の姿になっていて、訪れた時には、四つ葉町は今の姿だったから。ただそれだけの話。支配されているという感覚などなく、命令に従うのが当然。クラインの出す指示で1日が始まり、クラインの出す指示で1日が終わる。
 楽しいと感じたことはない。けど、悲しいと感じたこともない。
 当然よね。何かを感じられるような、何かを考えられえるような世界ではなかった。その為にメビウスを作り出し、自ら支配されるような道を選んだのだから。機械のように、指示される通りに作業をこなし、予測されていた通りの結果を導き出すだけ。
 悲しいと感じることもなく、楽しいと感じることもなく、寂しいと感じることもなく。そうして、ラビリンスの住人は過ごしてきた。それこそが普通で、当然のことで、最善の結果だと。
「けど、違ったのよね」
 私が感情を得るきっかけをくれたのは、四ツ葉町のみんなだった。
 笑顔を見て、バラバラな動きをする人達を見て、非効率だと憤った。メビウス様の指示のもとに動けば、個人の意思なんて関係ない。予測された通りの最善の結果を、平均的に得ることが出来るというのに。
 悩みごとを聞いて、デタラメな占いをして、下らないと見下した。占いなどと言う不確かなものに頼る弱さ。他人の言動で一喜一憂する不安定さ。それら全てが、無駄なものにしか思えなかった。
 それらが感情だと。イライラするのも、他人をバカにしているのも、不要だと感じているはずの感情なのだと、今の私になら理解できる。
 感情を得てしまったことで、自ら考えるようになってしまったことで、望みを持ってしまった。感情に突き動かされた、最善ではない行動に出ることもあった。
 冷徹な、メビウス様の僕であることが全てであったイースは、ちょっとずつ変わっていった。
 感情と言う、ラビリンスにとっては不要なものを得てしまった私。メビウスの住民から、徐々に四ツ葉町の住人へと変化していた私。
 サウラーは感付いていて、ウェスターも彼なりに知りはしていたのだろう。
 
 
     ◇
 
 
「過去は、消せるものではないの。消していいものでもないわ」
 私だけが忘れたとしても、なかったことにはならない。取り戻すことも、取り消すことも出来ない。
 人々の心の奥深くに、ずっと残ってしまう傷。それを負わせてしまった者として、私が忘れるわけにはいかないから。
 忘れずに、きちんと受け入れなければいけない。自らが起こしてしまったことを、自らを原因として起きてしまった騒ぎを。
 そすることで、新しい私になれるはずだから。過去の私を受け入れてこそ、これからの私があるはずだから。不要だと切り捨てていては、何も成長しない。
 イースからキュアパッションへ。ラビリンスの住民から、桃園家の家族へ。私は幸せの中へと、生まれ変わった。
 笑顔を奪う立場から、笑顔を守れる立場へと変わったのだから。
「私は、もっと笑いたい」
 笑顔の意味を知りたい。色々な幸せを知りたい。
 いつかラビリンスを解放した時、みんなに笑顔を伝える為に。幸せだと、笑ってもらう為に。笑顔の意味と、幸せの意味をみんなに伝えたい。
 私だけが幸せになるのではない、私と関わってくれた人が幸せになれる、そんな方法を探したいから。
「私は、もっと笑顔を見たい」
 幸せの象徴である笑顔。それをもっともっと見たい。
 笑顔を見ていれば、私も幸せになれるから。心が温かくなって、幸せな気持ちになれるから。
 笑顔の溢れる、素敵な街になるように、何か出来ることはないかしら?
「私も幸せにしたい」
 私が幸せにしてもらったように、私も誰かを幸せにしてみたい。
 鳴き声ではなく、笑い声になるように。涙ではなく、笑顔を浮かべてくれるように。私に出来ることで、誰かを幸せにしていきたい。
「私は、もっと幸せを知りたい」
 幸せになるだけではなく、幸せを知りたい。幸せというものを理解して、みんなに広めたいの。
 1人ではなく、みんなが幸せになれる方法を。私だけでなく、みんなを幸せに出来る方法を。
「私も、ラブを幸せにしたい」
 私を幸せにしてくれた彼女を、幸せにしたい。そう願うのは贅沢かしら?
 私を助けてくれた彼女を、幸せにしたい。そう願うのはおかしいことかしら?
 どうすれば、ラブは笑顔を見せてくれるのかしら?
 分からない、今の私にはどうすれば良いのか分からない。けど、未来の私になら分かるはずだから。
 今の私が駄目でも、1年後の私になら、10年後の私になら、ラブを幸せにしてあげられるはずだから。今の笑顔を、きちんと未来へつないでいこう。
 
――せいいっぱい、頑張るわ。
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