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ここは「魔法少女リリカルなのは」の2次SSをメインとしています。 ※ 百合思考です。 最近は、なのは以外も書き始めました。
ヽ(*´∀`)八(´∀`*)ノ
プロフィール
HN:
らさ
年齢:
37
性別:
男性
誕生日:
1986/07/28
趣味:
SS書き・ステカつくり
自己紹介:
コメントを頂けると泣いて喜びます。
リンクフリーです。
ご報告頂けたら相互させて頂きます。


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yakisoba_pan◇hotmail.co.jp
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ラブせつだよ!
やっと、2人が絡んでくれたよ!

(・w・) 目指すは冬、クリスマス!
     あと、1週間ほどしかないけどね!

早く幸せになってくれー。そして、私にえりつぼを書く余裕をくれー(最悪だこいつ
 町の色合いが地味なものへと移ろいだしたこの頃、四ツ葉町にも冬が訪れていた。
 紅葉とスポーツの季節である秋は通り過ぎ、様々な思い出の詰まった季節がまた巡る。
 寒さに身を縮め、首元のマフラーを巻き直す。隙間を少しでも減らせば、冷たい風が肌をなでることもないだろう。
 もっとも、私の横にいる彼女に関しては、この寒ささえ面白みにしかならないようで、先ほどから笑顔を浮かべている。
「せつな、寒そうだね。家に帰る?」
 気を使ってくれているのか、それとも何気なしに聞いただけなのか、知り合ってから1年以上が経つというのに、未だに分からないことのほうが多い。
「大丈夫よ。問題はないわ」
 もっともラブも私のことが全部分かっているとは言いがたい様子で、時々的外れなことを言ってくるからお互い様なのかもしれない。
 新しいことを知れば、世界が広がる。知らなかったのだと気づくことが出来れば、外に出る為のきっかけとなる。
 そう教えてくれた彼女ですら知らないことが多くて、微笑ましい気持ちになってしまう。
 もっとも、私と変わらない年齢である彼女が、私を含めた世界を救ってくれたのだと考えれば、些細なことかもしれないけれど。
「不思議ね。去年も私はこの町にいたはずなのに、冬が寒いと感じるのは新鮮なことだわ」
 1年前。私はラビリンスのスパイとしてではなく、桃園家の一員としてこの町で冬を過ごした。
 途中で大変なことも多くあったけれど、楽しいことや嬉しいことだってそれ以上に経験し、いっぱいの幸せに包まれた。
「そうなの? 去年の今頃だって、せつなは布団の中で丸くなっていたよ?」
「ふふ、その通りよ。けど、寒さを感じていることを、実感していることはまた別なの」
 寒いと感じるのは、五感が正常に機能している証拠。病気だったり、疲労が溜まったりしていない限りは、何の問題もなく感じられるものだろう。
 寒いと実感出来るのは、その寒さに対して思うところがあるから。寒さによって思い起こされる出来事や、過去の出来事を振り返るだけの余裕が出来た証拠。
 もっとも、私の場合は知らないことが多過ぎたし、あの後も大きな変化の中に身を置いていたせいで、随分と日常というものからは遠避かってしまったような感じもする。
 ダンスコンテストでの優勝。その後に続く、ラビリンスでの復興作業。何を行うにしても、けして容易なものではなく、諦めそうになったことがなかったわけではない。
 自分の思い通りにいかないことの方が多くて、良かれと思ってやったことが裏目に出たこともある。いわれのない罵倒に傷つき、全てを投げ出し逃げようとしたこともある。
 そうならなかったのは、ラブとの約束があったから。独りで抱え込まないと、泣いても良いから相談しようと。2人でそう決めていたから。
 その約束があったからこそ私は頑張れた。逃げることもなく、諦めることもなく、笑顔を絶やすこともなく。
「それに寒いのが嫌ではない、変化に喜んでいる自分がいることに驚きよ」
 ラブに話せていない出来事も、1つや2つではすまない。これから先話すこともないだろうし、聞かれても素直に応えるつもりはない。
 私を変えてくれたのはラブであり、私を支えてくれたのもラブであり、私を守ってくれたのさえラブなのだから。これ以上、迷惑をかけるわけにはいかないから。
「四季があるって、素敵なことね。旅に出かけたわけでも、別の世界に移動したわけでもないのに。この町で、四ツ葉町にいるだけなのに、こんなにも沢山のものを見れるのね」
 この1年あまりで、私は大きく変わった。人間として成長し、人の心が分かるようにもなったつもり。
 まだまだ足りないところはあるだろうし、ラブに恩返しも出来ていないけれど。私は、私なりに精一杯頑張れた。
 だからこそ、彼女の横に立てることに感謝はしても、引け目を感じることはない。ラブの家族として、友達として真っ直ぐに見つめられる。
「布団が恋しくなるとか、温もりが欲しくなるなんて、本で読んだだけのはずなのに。今の私なら理解出来そうな気がするわ」
「これからもいっぱい知っていけばいいんだよ。せつなも、ラビリンスの人達も」
 友人として親しくしてもらえている今、それ以上を望んでしまうのは贅沢なのかもしれない。
 私自身の夢や目標を叶えないまま、幸せを掴もうとするのはただの我侭なのかもしれない。
 ただ、我侭なのだとしても、高望みであったとしても、私はそれを諦めるつもりはなく、想いを消してしまう気もない。
「ありがとう、ラブ」
 タイミングさえあれば、私が私のことを許せるようになった時、本当の意味でラブの隣に立てるようになった時、この想いを伝えれば良い。
 その時がくるまで、のんびりとゆっくりと、この想いを育てていけば良い。焦ることなんてなく、褪せるような想いでもないから。
「けれど、ラビリンスでは難しいかもしれないわね」
 だから、今はその気持ちにフタをして、ラビリンスの話をしよう。彼女と一緒に救うことの出来た、私の世界の話をしよう。
 それが彼女の元気になるはずだから。彼女の救った世界が成長していることが、彼女の助けになれるはずだから。
 ラビリンスのメッセンジャーとして、復興に取り組んでいる者の一員として、彼女に知って欲しいから。
「どうして? メビウスの支配からは、管理世界ではなくなったんでしょ?」
「ええ。ラブ達が頑張ってくれて、みんなも頑張って、随分と様変わりはしたわ」
 ラビリンスは大きく変わった。
 誰かの命令にみんなが従うのではなく、自らの心が感じるままに、だけど秩序だけは守って。優しい世界へと生まれ変わろうとしている。
 もちろん、問題が起きていないわけではない。予測されていたトラブルも、突発的なトラブルも、日常茶飯事といえるほどに起きている。
 けど、みんな諦めていないから。投げ出すこともなく、逃げ出すこともなく、諦めることもなく。協力して、力を合わせて乗り越えようとしてくれている。
 だからこそ、次のステージを目指せるように、より良い世界になれるように、沢山のことを学んでいる。
 1つの世界だけを見本にするのではない。ラビリンスという形を持ったまま、良い方向に成長するんだ。
「けれど、元々季節というものがない世界だから。急速に環境を変えてしまうと、住んでいる人達には苦労ばかりかけてしまう形になるの」
 だからこそ、四ツ葉町での全てを取り入れるわけにはいかない。
 そんなことをしてしまえば、私はメビウスがしていたように、自らの考えを押し付けているだけの存在となってしまう。
 それは、悲しいから。私を認めてくれたアカルンにも申し訳ないし、私を友達と呼んでくれたみんなにも顔向けが出来なくなってしまう。
「気温や雨の降る時間ですら管理され、必要な場所には水路が必ず敷かれていたわ」
 すぐに必要なもの、将来的に必要なもの。嬉しくはないけれど、必要なもの。
 世界とは、たくさんのものが重なり合い、歪とも言える1つの形を成している。良いものも、悪いものも、同じ舞台の上に存在しているの。
 だからこそ、間違える。正しくないと分かっていても、失敗してしまう。
 けど、やり直せば良い。間違えたのなら、正しくないと気付いたのなら、誰かに教えてもらったのなら。そこから、やり直せば良い。それもまた、当たり前の動きなのだから。
「自然からは程遠い環境なのかもしれないけれど、全てが地球と同じである必要性は無いわ」
 ラビリンスには、ラビリンスの良いところがある。そう言えるようになりたい。
 自らの故郷を誇れるようになりたい。ラブに笑顔で話せるようになりたい。
 だからこそ、私は頑張る。
「徐々に変化を付けつつ、それを楽しめるようになってくれば、もう少し変えていけるかもしれないわね」
 長く続けていけば、変化するものもあるだろう。望まれる形に、望まれない形に、変質していくものもあるだろう。
 その変化が悪だとは言わない。その変質を、悪だと決めつけることはしない。
 間違っていると感じれば、直していけば良いのだから。みんなと相談して、みんなで悩んで、みんなで考えて。そうして変えていけば良い。
 もっとも、四つ葉町に帰った時にまで、そんな難しい話をするつもりはない。私達で解決できている間は、ラブ達には相談する必要はない。それが暫定的にラビリンスを先導することとなった、アイディアを出す私達の役割だから。
 ふふ、こうやって難しいことを考えるのすら放棄してしまいたいのに、難しいものね。ラブは私達のことを気遣ってくれる。私達は、ラブ達への感謝を忘れることはない。それだけで、十分なのにね。
「そっか。ちょっと寂しい気もするけれど、急に寒くなって、みんなで風邪ひいたりしたら大変だもんね」
「ええ」
 発想は直情的で、だからこそ他人の痛みを共有出来る。誰にでも優しくて、自分のことを後回しにしてしまう子。
 だからこそ、目が離せなくて、ちょっと離れているだけで心配でたまらなくて。それなのに、傍にいるだけで元気を分けてくれる、不思議な女の子。
 最初は感謝の言葉を述べたいだけだったのに、ありがとうと伝えたかっただけなのに。どうして、こんな想いを抱くまでに至ってしまったのだろう?
 自らの胸の内に生まれた気持ちに、振り回されていた頃すら懐かしく、僅か2年ほどの間に起きた変化の大きさには驚くばかり。勘違いだと言い聞かせ、気のせいだと誤魔化して、ありえないと否定して――
 ラビリンスで過ごした日々は、ラブへの想いを大きくしていくだけで、何も解決策を示してはくれなかった。
 女の子同士だからとか、家族なのにとか、言い訳には困らなかった。ラブの気持ちを考えろとか、世間体を気にするべきだなんて、否定する材料にも事欠かなかった。
 けど、消すことも、潰すことも、無かったことにすることさえ出来なかった。
 だからこそ、諦め。素直に認めるしかなかった。
「それに、ラブにはちょっと分かりにくいのかもしれないけれど、四季のない世界も存在するのよ?」
 私は恋愛を知り、ラブへと向かう想いの正体を知ってしまった。認めてしまった。
「そうなの? そうなると、夏休みとか冬休みもないの?」
「それは、どうかしら?」
 認めてしまえば、遂げようと努力するようになれば、とても楽なことだった。
 気持ちを締め付けることなく、そして叶うものだと思っていなければ、とても楽なもの。
 まぁ、失恋覚悟で口にすることの方が簡単であり、ラブに告白をされない状況を作り上げるのに苦心することになるとは、当時の私は考えもしなかったけれど。
 自らを理解したが為に、ラブから注がれている感情にも気付いてしまった。気付いて、そして受け入れることも、拒絶することも出来ない現状に愕然とした。自らの心に嘘がつけない以上、ラブの好意を否定することなんて出来ない。
 引き延ばすことはできても、それ以外の選択肢を選ぶことは出来なかった。
 準備が整うのを、私が自らの気持ちと、ラブの気持ちを受け入れられるだけの、心構えが出来るのを待ってもらうしかなかった。
「氷に覆われた星では、1年中冬みたいなものだし。逆に緑の少ない、砂の星だって存在するわ」
 そして、今日。私は今まで告げることの出来なかった言葉を、彼女に伝えることが出来る。
 今まで我慢してきたことに、感謝出来る。
「けれど、彼等は四季がないことを悲しんだりしていないわ」
 まぁ、いつもの報告を飛ばしてまで優先することではないし、今更少し伸びたところで変わるほどのものでもない。
 ゆっくりと、のんびりと。夜、2人きりになれた時に伝えれば良い。
「その星や、その世界にあった過ごし方があるはずなの。それを探して、みんなで楽しむのも大切なことだわ」
「ふーん、ちょっと見ない間に、せつなは随分と大人になっちゃったね。なんだか、面白くないなぁ」
 おかしなことを言うものね。私が大人になれたのは、ラブのおかげだと言うのに。伝えるべき言葉と、隠すべき気持ちを持てたのも、ラブのおかげだと言うのに。相変わらず、不思議な子ね。
「ふふ、ごめんなさい。復興作業は大変だけれど、みんなが笑顔になってくれるのが嬉しいもの。それに、笑顔の大切さと、温かさを教えてくれたのはラブなんだから」
 もっとも、ラビリンスでの復興作業の影響がないわけではない。ラブ達の残してくれたものが、全く影響していないわけではない。
 傍に居なくても支えてくれて、みんなに幸せの意味を考えるきっかけをくれて。あなたの熱意が、世界を1つ救ったのよ?
「生活を送るだけで精一杯だった人達が、段々と楽しいことにも目を向けられるようになってきたわ。隼人のドーナツ屋は大賑わいで、時々手伝いが必要なくらいになってきたの」
「せつな、嬉しそうだね」
「当然よ。カオルちゃんにも沢山のことを教わったし、隼人が復興作業以外に生きがいを見つけてくれていることが、嬉しいの。いつかダンスだって広めて見せるわ」
 生活水準が向上したとか、安全性が増したとか。そんな報告しか出来なかったから。
 笑顔が戻ったと、幸せになる気持ちを取り戻せたと。そう伝えられることが嬉しくないわけないでしょ?
 それこそが私の目指していたものであり、私の伝えたかったもの。私とラブの仲を認める前に、成しておかなければならなかったことだから。
「そっか。そうだよね」
「命令されたからとか、指示があったからではなく、自分の考えで動くように変わってきた。だからこそ、私も気軽に帰ってこれるようになったわ。初めは、もっと時間がかかると思っていたのに。人間て、凄いわね」
 みんなが頑張ってくれた。みんなが協力してくれた。自ら変わろうとして、傷ついたとしても立ち上がり、未来の為に一歩を踏み出した。
 1人1人が出来ることは小さいけれど、みんなでやれば、国民全員がやるのであれば、それは大きな力となる。
「次は家族の大切さね。誰かと一緒にいられる喜びと安心感。私が桃園家で貰ったものを、みんなに伝えていきたいの」
 ここから先は未来に繋ぐ話。私だけが頑張っても、伝えられない思い。私がみんなから貰ったものを、広めていく時間。
 だからこそ、私も幸せになろうと思えた。自分が幸せになることにも、賛成できるようになった。ラブの気持ちに応えられる、そんな瞬間がやっと訪れた。
「せつななら、大丈夫だよ。きっと出来るよ」
「ありがとう、ラブ。そう言ってもらえると、心強いわ」
 大丈夫、これからは独りじゃない。ずっとあなたと一緒なのだから。
 
――遅くなって、ごめんなさい
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