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ここは「魔法少女リリカルなのは」の2次SSをメインとしています。 ※ 百合思考です。 最近は、なのは以外も書き始めました。
ヽ(*´∀`)八(´∀`*)ノ
プロフィール
HN:
らさ
年齢:
37
性別:
男性
誕生日:
1986/07/28
趣味:
SS書き・ステカつくり
自己紹介:
コメントを頂けると泣いて喜びます。
リンクフリーです。
ご報告頂けたら相互させて頂きます。


メールアドレス
yakisoba_pan◇hotmail.co.jp
◇を@に変えて下さい
当ブログ内のSSは無断転載禁止です。 恥ずかしいので止めて ^^;
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(・w・) 何かが足りないっ!
     ども、らさです。ラブせつでございます。


     しかし、何かが足りない!
 足の裏から伝わってくる、ちくちくとしたような冷たさ。
 心の中に吹き荒れ、あたしの気持ちを吹き飛ばしてしまいそうになる感情。
 それら全てが、自分自身のせいで引き起こされているものだと知り、大きなショックを受けた。
 あたしは、あたしのことをもっと綺麗な人間だと思っていた。他人の為に頑張って、みんなが笑顔になる為に頑張れる人間だと信じていた。
 あたしにとって1番大切なのは、みんなの笑顔。みんなの幸せの中にいれば、あたし自身も幸せを手に出来ると信じていた。
「ほんとは、違うんだよ……」
 だけど、あたしの心に眠っていた想いは、重過ぎて触れることさえしなかった想いは、そんなに綺麗なものではなかった。
 誰かの為ではない、自分の為に頑張るんだって。みんなの笑顔をもらうんじゃない、あたし自身がまず笑顔になりたいって。自分自身のことを1番に考えていて、そこには誰かを大切にしようとした心なんてなかった。
 どうしてなんだろう? あたしは優しくあろうとしただけなのに。
 どうしてなんだろう? あたしは、あたしの信じる自分でいられたはずなのに。
 あたしの大切な人が笑顔でいてくれるなら、どれだけ傷ついても頑張れる。辛い現実から逃げることもなく、真っ直ぐに立ち向かっていける。
 みんなで幸せになるんだ。あたし自身も加えて、みんなで笑顔になるんだ――それこそが、あたしの夢だったはずなのに。
 トリニティに憧れたのだってそう、ミユキさんが楽しそうで、ライブを観ている人みんなが楽しそうで。だからこそ、憧れたはずだった。
 あたしもいつか踊りたい。みんなを笑顔に出来るような、ダンスを身に付けたいって。
 そんなふうに思えていたはずなのになぁ。
「あたし、どうしちゃったのかな?」
 最近のあたしは、おかしい。美希たんや、ブッキー、それにせつなも気付いているだろう。心配をかけたくない、心配するようなことなんて何もないんだよって、そう言いたい。
 あたしが、笑えなくなっただけ。今までのように、全てを信じて無邪気に笑えなくなってしまっただけ。
 心のどこかに小さなトゲが刺さり、小さな痛みを、消えることのない痛みを送り続けている。ズキン、ズキンと。今まで知らなかった、不思議な痛みを送り続ける。
 あたしの心に、そんなところがあるのなんて知りたくなかった、知らなくても、何も困らなかったのに。
 どうして、気付いてしまったのだろう? どうして、気付く必要があったのだろう?
 せつながウチに来て、一緒に暮らし始めて、最初は平気だった。せつなの傍にいられること、影のない笑顔を見せてくれることが何より嬉しかった。
 せつなと出かけて、せつなと一緒に食事をして、せつなとお風呂に入って。そんな、なんでもない毎日がとても楽しくて、嬉しかった。
 クローバーは4人になり、みんなの笑顔も増えた。商店街の人も、せつなのことを認めてくれた。
 良いことばかりの筈なのに、せつなが少しくらい離れたって、別の友達と話していても、それは普通のことなのに。どうしてなの?
 せつなは、誰のものでもない。せつなは、せつな自身の意思で歩き始めた。
 それは、あたしが望んだはずのこと。ラビリンスの管理から開放され、彼女が自由になることを願ったはずなのに。
 イースではなく、パッションになってくれたのを、誰よりも喜んでいたはずなのに。あの時のあたしは、どこへいってしまったんだろう。
「せつなと離れていると、苦しんだ」
 寂しい。何かを失ったように、心が冷めていくのが手に取るように分かってしまう。
 苦しい。せつなが傍にいないことを意識して、胸のトゲが痛み出す。痛みがあたしのこころで暴れだす。
 手を伸ばしたい。せつなへと、せつなに触れるまで、届かないと分かっていても手を伸ばしてしまう。
「嫉妬、しているのかな?」
 せつなの笑顔。あたしの傍だから、見せてくれたんじゃないの? 誰と一緒でも、せつなは笑うの?
 せつなの笑い声。あたしの耳に聞こえていたはず、あたしの心を癒してくれていたはず。芯の通った、力強い声が今は聞こえない。
 せつなの手。誰よりも温かかく、誰よりも繊細で、あたしの手と繋がっていたはずなのに。今は、どこへいってしまったのだろう?
 せつなのには、あたしが必要ないの? せつなは、もう必要としてくれないの?
 あたしを置いて、温かな光の中へと行ってしまうの?
 あたしは独り、この冷たい場所で忘れられてしまうの?
「そんなこと、ないよね」
 何、勝手に暗くなっているんだろう。せつなは、図書館へ行っただけだよ?
 あたしが誘われなかったのは、せつなの心遣いによるもの。けして、邪魔だから置いていかれたわけではない。
 お父さんは、お仕事。お母さんは、パート。タルト達は、カオルちゃんのところ。
 みんな、あたしを置いてどこかへ行ってしまったわけではない。
 夜になれば、みんな揃うよ。あの、温かな食卓にみんなが集うよ。
 その時、あたしは笑っているでしょ? みんなと一緒にいられて、家族一緒にいられて嬉しくて、笑っているはずでしょ?
 夜になれば、このベッドにせつなが帰ってくる。あたしが座っているあたりに、せつなも同じように座っているはず。
 ほら、ね。何も寂しくなんてないでしょ? みんな、帰ってくるんだよ。ちゃんと、みんな帰ってきてくれるんだよ。
 だから、寂しがっちゃダメ。桃園さん家のラブちゃんは、いつも元気でニコニコ笑ってないと。みんなに、心配をかけてしまうでしょ?
 これくらいの、寂しさなんかに負けたりしないんだから。
 涙なんて、流さない――
 
 
     ◇
 
 
「ただいま、ラブ」
 ふわりと、鼻をくすぐるのは大好きな匂い。首に回されるのは、あたしの大好きな温もり。
 もう、どうして帰ってきちゃったのかなぁ。もう少しで、涙だって止まったはずなのに
「おかえりなさい、せつな」
 ベッドにかかる体重は、いつの間にか増えていて。寂しさと、悲しみで溢れていたはずの部屋は、幸せで塗り替えられていく。
 独りだった冷たさは、2人になったことで温かさへとすり替わり。あたしの涙は、いつのまにか歓喜によるものへと帰られてしまった。
 どうして、帰ってきてしまったのだろう? 今日は調べものがあるから時間がかかると聞いていたのに。
 どうして、帰ってきてくれたのだろう? せつなにとって、この世界の知識を仕入れるのは、とても大切なのことはずなのに。
 どうして、早く帰ってきたのだろう? 晩には会えるからって、我慢していたのに。
「いつの間にか、ラブは泣き虫になったのね」
 あたしの心が温まるまで、そうしてくれるつもりなのだろう。あたしの顔を見ないように、あたしの涙を見ないように、せつなはカカオ込むようにして抱きしめてくれる。
 柔らかくて、温かくて、何よりも安心させてくれる。あたしはここにいると、せつなと一緒にココにいると教えてくれる。
 辛くはなかった。厳しくもなかった。ほんの2、3時間絶えれば良いだけ。ダンスの練習か、お昼寝をしていればすぐにでも過ぎたはずだ。
 だけど、あたしは我慢出来なくなった。独りでいることが我慢出来なくて、せつなのベッドで泣いてしまった。
「迷惑だよね。こんなことして」
 帰ってきたら、自分のベッドで家族が泣いている。理由も話さないままに、家族が泣いているんだ。
 心配するなと言う方が無理だろう。
 だけど、心配してくれと言うのは迷惑にしかならない。今、あたしの胸の中にある問題は、あたし自身が解決しなければいけないもの。いつまでも一緒にいられるものではないと、せつなと距離をとらなければいけないと気付くべきもの。
 美希たんや、ブッキーがそうであったように。ある程度傍で過ごしたのなら、お互いの為に離れなければいけない。べったりくっついたまま、成長することは出来ないんだ。
 せつなの心は決まっている。せつなの心は、既に決心をしているんだ。
 後は、あたしが決めるだけ。我侭を言わずに、少しだけ離れればいい。
 大丈夫、家族だから傍に入られる。友達としては、傍にいるんだよ。ちょっとだけ、距離を置くだけなんだ。
 そうやって、あたし達は大きくなって、もっと仲良くなるのだから。
 あたしと、せつなの間に別の誰かが入ることも、ちゃんと理解しないといけない。あたし達は、別の人間なんだ。
「何があったかは聞かないわ。ラブが話してくれるまで、私は待っている。ラブが前を向こうとして、苦しんでいるのは伝わってくるから」
 せつなは、優しい子だ。あたしの気持ちを分かろうとしてくれる、あたしのことを考えようとしてくれる。自分のことしか考えられなくなっている、惨めなあたしとは大違い。
 いつの間に、こんな差が出来てしまったんだろうね? あたしがせつなを守らないとって、空回りしていた日が懐かしいよ。
「心配する、フォローもするわ。そして、我侭も言うわ」
「ふふ、せつなは良い子だから、我侭なんて言えないよ」
 ほんと。どうして、あたしなんかの傍にいてくれるんだろう? あたしのことを、大切にしてくれるんだろう?
 あたしは、何も返せないんだよ?
「疲れているのよ。意地を張るのにも、笑っているのにも、前を向き続けていくのにも」
 そうなのかな? あたしは、疲れているだけなのだろうか?
 元気になれば、また笑えるかな? せつなの隣で、みんなと一緒に笑っていられるのかな?
 そうだと、良いな。
「少しだけ、お休みなさい。あなたが疲れた時は、私が抱きしめてあげるわ」
 耳に流れ込んでくる、心地の良い音。全てを認めてくれて、全てを包んでくれるような、せつなの鼓動。
 彼女から伝わってくる音が、温度が、気持ちが。あたしの心を、許してくれる。重過ぎる気持ちに耐えられなくなって、なにだを流している心を許そうとしてくれる。
 傍にいると、独りではないんだって伝えてくれる。
 
 ――ありがとう、せつな
 
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