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ここは「魔法少女リリカルなのは」の2次SSをメインとしています。 ※ 百合思考です。 最近は、なのは以外も書き始めました。
ヽ(*´∀`)八(´∀`*)ノ
プロフィール
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らさ
年齢:
37
性別:
男性
誕生日:
1986/07/28
趣味:
SS書き・ステカつくり
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yakisoba_pan◇hotmail.co.jp
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んー、足りないのは情熱なんでしょうか?
何か違う気がするので、1話から見直そう

(^w^) 休みって、素敵
赤、緑、黄色。そして、ピンクや白の食器達。
食卓の上に並べられた数々の料理は、お母さんの自信作で。美味しいそれを毎日食べられる私は、幸せ者。
美味しくて、何よりも優しくて。私達のことを考えて、忙しい中で作ってくれる料理。
栄養バランスも、栄養も、愛情も――だけど。
「たはーっ、あたしニンジンだけは駄目なんだよね」
それでも、ラブの好き嫌いを直すことは出来なかったみたいね。幸せな世界にいて、幸せに囲まれていて。
だからこそ、そんなふうに感じるのだと思っていた。
ラビリンスで兵士として過ごした私とは、別の存在。幸せがあって当然の世界に、望まれて産まれてきた。機械的に生み出された、私とは違う。
美味しいと感じることを知らず、毎回決まった量の決まった内容、味気の無い、彩なんて考慮されるはずの無い食事。
そんなものと比べるの失礼だけれど、お母さんの料理を残そうとしているラブを、私は許せなかった。
私なら好き嫌いはしない。好きなものは増えても、嫌いなものなんて増やさない。
料理は全て食べる。我侭を言って、お母さんを困らせたりはしない。そう信じていた。
「せつな、やっぱりダメなの?」
「……最後に食べようと思っただけよ。けして、ピーマンが苦手だから避けているわけではないの」
ラビリンスでの食事では、味付けなんて考慮されていなくて、私自身がそれの重要性に気付くこともなかった。
じんわりと舌の上を進んでいく苦味、徐々に肺を圧迫していく匂い。噛めば噛んだ分だけ、侵食されたような気分になる。
それはただの気のせいで、その苦味こそが、匂いこそが、ピーマンと呼ばれる野菜の味だというのに。
油断した状態で口にした時の記憶が蘇り、どうして苦手意識を消すことが出来ずにいる。
「そんなこと言って、せつなはお子様だな」
「あら、ラブだってニンジンがダメなんでしょ? 甘くて美味しいじゃない」
なぜ、苦手になってしまったのか。どうして、食べのに苦手意識を抱いてしまうのか。
良くないことだと、分かっているのに。私もラブも、しっかりと理解しているのに。どうしてなのかしら?
「それを言われると弱いんだけどね。どうして苦手になったのか覚えてないけれど、ダメなんだ」
「大好きなお母さんの作ってくれた、美味しい料理でも?」
ラブの大好きなお母さん。私の大好きなお母さん。
作ってくれる料理は美味しくて、食べられないものなんてないと。そう、信じていたかったのに。現実はどうだろう?
それに、苦手な食べ物があるのは私達だけではない。ちょっと意外だったけれど、お母さんにも苦手なものがある。
「うーん、なんて言うか、こう。やっぱり、ダメなものはダメなんだよね。お母さんの作ってくれたものだから、頑張ろうとは思えるんだけどさ」
「その気持ちは分かるわ」
苦手とは言え、食べられないほど嫌っているわけではない。頑張って、好きになろうという努力はしているつもり。
お母さんも工夫してくれていると言うのに、どうしてダメなんだろう?
「だけど、なんとかして食べたいとは思うの。頑張って作ってくれたんだもん、どうせなら美味しく食べたいんだけどな」
「何か、良い方法はないのかしら? 美味しく食べたいのは、私だって同じよ」
当然よね。私よりも長く、お母さんと一緒にいるんだもの。苦手意識が、罪悪感に変わっているのかもしれない。
人の心の動きに敏感だから、共有しようとしてしまうから。ラブはラブなりに、苦しんでいるんだわ。
「そっか、うん、なら頑張ってみようかな」
そして、悲しんだまま、苦しんだままにしようとしないのが、彼女の良いところ。
明るい未来へ、幸せへと向かえるように、常に努力をしようと足掻く。立ち止まることをせず、うつむいたまま膝を折ることを嫌い、顔を上げる。
私の知っている桃園ラブとは、そういった強い女の子だ。
「ラブ、何か思いついたの?」
「もちろん、バッチリだよ」
だから、私は期待してしまった。ラブだけに、考えさせてしまった。
私よりも良いアイディアを持っているはずだからとか、何度かチャレンジしているはずだからとか――ただの、言い訳よね。私自身が克服したいのだから、私が考えなければいけないのに。
甘えてしまって、ごめんなさい。
「私とせつな、2人で料理をするの。そして、食べてもらう側、作る側の気持ちを再確認しようよ」
「けど、ラブは料理をしたことがあるでしょ?」
「あるよ。せつなだって、コロッケ作ってくれたでしょ?」
克服する為の手段として、嫌いなものをなくす為のきっかけとして、一度きりではない継続的な対応策を考えるべきなのかもしれない。
あの時、コロッケを作った時には、先に続くものだなんて考えていなかった。教えてもらうまでは、気付けなかった。
「料理をするのは楽しいし、自分が作ってくれたもので美味しいって言ってくれれば、幸せになれるのを知っているはずだよ」
そう、私は知っている。喜んでくれる笑顔を、その笑顔の温かさを。
プレゼントしている立場であるはずなのに、幸せになってしまう。幸せの輪の中に、私を加えてくれるイメージ。
そんな想いを、私は受け取っている。
「だけど、お母さんに手伝ってもらっているから。私だけで料理をしたことはないんだ」
「へぇ、意外ね。ラブのことだから、何でもやってそうなイメージがあったわ」
ラブらしい、素敵な提案だと想う。一緒に料理をすること、それによって生まれる笑顔。
そして、笑顔が増えることで苦手意識をなくそうとしているのだろう。
「料理は楽しいけれど、危険もいっぱいだから。お母さんが心配するの。ラブだけでやるなんて、認められませんて」
「ふふ、お母さん心配しているのね」
「心配してくれるのは嬉しいけれど、ちょっとくらい怪我しても大丈夫なのにね」
お母さんの優しさ、お父さんの優しさ。そして、ラブ自身の持つ優しさ。
その全てを良く知る身としては、ラブの言葉も、お母さんの心配も手に取るように分かってしまう。
「まぁ、そんな感じで。今度の日曜日、ダンス休みだったでしょ?」
「そうね。みんな、都合が合わなかった感じよね」
ミユキさんは、地方でのライブ。美紀はオーディションで、ブッキーはお手伝い。
ラブを誘って練習をするのも悪くはないけれど、そうじゃないんでしょ?
「そこで、私とせつな主催の、家族パーティを提案します。料理の担当は私達、部屋を飾るのも私達、お母さん達のお手伝いは禁止で」
「中々大変そうね。だけど、やりがいはあるわ」
「せつななら、そう言ってくれると思ってた」
2人だけで料理だなんて、失敗しないか、怪我をしないか、心配することは山のようにある。
だけど、その分だけ、それ以上の幸せが待っているであろうことが、簡単に予想できる。お母さん達の笑顔が、幸せをくれるって信じることが出来る。
「ちょうど良い機会だし、それぞれの嫌いなものを克服しようよ」
「ラブはニンジン。私はピーマン。そして、お母さんのホウレン草ね」
嫌いなものを克服出来れば、今まで以上に食事の時間が楽しくなる。美味しいと感じられる時が、増えていく。
それは、この四葉町で経験したことのある、幸せの連鎖みたいなもの。みんなを大きく包んでくれる、素敵な感覚となる。
ラブ、お母さん。そして、私の笑顔が揃えば、お父さんだって喜んでくれるはずだわ。
「よーし、そうと決まれば早速準備するよ」
「お買い物に行くの?」
日曜日の買い物に行くには、少し早い気がする。
まだ日数があるし、冷蔵庫だっていっぱいになってしまうだろう。
それに、メニューだってまだ決めていない。こんな状態では、買い物に行っても仕方ないわ。
「今日は、お父さんもお母さんも帰りが遅いから。本当は、私が夕食当番だったんだ」
なるほど、夕食の準備をするのね。何も聞いていなかったから、勘違いしてしまったわ。
「だから、せつなも一緒に作ろう。いきなり本番だと、難しいでしょ?」
「そうね、少しでも慣れて、美味しいものを作りたいわ」
どうせ作るのであれば、美味しいと言って欲しい。私の料理を食べて、喜んで欲しい。
そう感じられる心が温かくて、その熱をずっと感じていたくて、自分の身体を抱きしめてしまいそうになる。
「お母さんはもちろん、お父さんも驚かせようよ」
「ええ、精一杯頑張るわ」
だけど、自分の身体を抱きしめるのは、もっと後で良い。幸せを、思い出にしてしまうのは、ずっと先のことで良い。
幸せはみんなを笑顔にしてくれる魔法。どんどんと繋がって、大きくなっていく素敵なもの。
だから、独り占めは良くないの。ラブとつないで、お母さんとつないで、お父さんとつないで。どんどんと大きくしていく。
「家族パーティを成功させて、みんなで幸せゲットだよ」
大きくなった幸せは、もっと大きな、多くの幸せへと繋がっていく。
そうして世界に幸せが溢れれば、何も恐れる必要はない。くじけたとしても、立ち止まったとしても、やり直すことが出来る。
何度でも転べば良い、何度でも泣けば良い。泣き終わった時に、ちゃんと顔を上げて進めばそれで良いのよ。
私が教わった幸せ、私が経験した幸せ。いつまでも、いつまでも大切にしていこう。
私は、東せつな。かつて、イースとしてこの世界に訪れた者。ラビリンスが総統、メビウス様の為だけに動いていた兵士。
今は、桃園家のせつなちゃん。ラブの隣にいる、ただの女の子。幸せを感じ、信じることが出来るようになった私。
 
――今度は私の番。幸せを運んで見せるわ
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