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すまん、リアルで妹がいて、手を焼かされた身としては「妹萌」は分からない
川に投げ込んでやろうとは思っても、頭を撫でたいとは思わないんだなー
そんな感じで、こんにちは
今日はこんな時間帯にUPです
バルクホルン → エーリカ テーマ;夜明け です
お姉ちゃんだって、辛い時は辛いんです
あ、先に謝っておきます
バルクホルンはエーリカの嫁です
シャーリー×バルクホルン派の方、ごめんなさい
「夜明けか……」
部屋の中を、赤い光が照らし出し、独特の雰囲気をかもし出している。
力強さと、ソレによる傲慢さ、ついでに暴力的なものを秘めた雰囲気。正直、あまり好きにはなれない。
赤い光が炎に見え、炎の中には陥落寸前のカールスラントが存在する。
倒しても、倒しても、一向に減らないネウロイを相手に、私達は撤退するしかなかった。
家を焼かれ、街を焼かれ、家族に怪我をさせ。ほんと、私は役に立たなかった。
僅かな時間、僅かな人命は助けられても、それ以上の時間と人命が失われていった。
その状況は今も変わらず、人間側にはいたって不利な状態が継続されている。
無論、このまま終わるつもりはないし、祖国奪還も果たしてみせる。
しかし、ネウロイの駆逐や殲滅が想像できるほど、優しい世界ではない。
「私だって、厳しいのは分かっている」
今日もまた、ハルトマンに注意された。
確かに、ここ最近のあいつは随分とまともになった。
下着姿で闊歩することもなければ、部屋だって少しは片付いている。
だが、それにしても納得いかない。
「私が真面目過ぎるのではなく、ハルトマンが不真面目なのだ」
それに、私はけして焦ってなどいない。迅速に行動すべく、準備を怠らないだけ。
ネウロイを倒し、少しでも平和が訪れるように、クリスに笑って貰う為に、私は戦っているだけだ。
『クリスちゃんを言い訳にして、無茶をしちゃだめだからね!』
「お前が言うか……」
昼に言われた言葉は胸に刺さり、半日以上が経過した今でも、私の心をさいなんでいる。
私がクリスを言い訳に使っている? 利用しているというのか?
それは、いくらハルトマンと言えども、許さんぞ。そう、許せないはずなのに。
どうして、私は言い返せなかったんだ?
あいつの言っていることに、一理あるからか?
クリスの名前を出されて、動揺しただけか?
――違う。それだけではない。
ハルトマンが、あいつの瞳が、今までにないくらい真剣だったからだ。
目をそらすこともなければ、笑うこともしない。そんな瞳に降参したんだ。
「心配、されているということか」
普段は何も考えていなさそうで、悩みなんかなさそうにしているくせに。極稀に、真剣な表情を見せる。
部屋の片付けも出来なくて、1人では起きられない。そんなハルトマンなのにな。
「ふぅ……私も、まだ未熟ということか」
自身が完璧だなどと、自惚れるつもりはない。何でも出来るなど、過信するつもりはない。
ただ、考えないようにしているんだろうな。
戦いに身を投じ、甘さは身を滅ぼすだけだと感じていながら、どこかで頼れる存在を探している。
辛い時、泣きたい時に頼れる。そんな存在を探しているのかもしれないな。
まったく、我ながら不甲斐ないばかりだ。こんなことでは、新人達の指導などしようもない。
「どうにかしなければ」
現状を打破しなければ、いつか取り返しの付かないミスを犯してしまう。
クリスの時のような、とんでもないミスを犯してしまう。
私のこの両手で受け止められなかった時、私が膝を突いてしまった時、傷つくのはいつも大切なものだ。
「あんな思いをするのは、もう沢山だ」
そんな未来を否定する為に、私自身の涙を否定する為に、日々努力をしているではないのか?
不安に打ち勝ち、明るい未来を手にする為に、私は努力をしているのではないのか?
「……ただの自己弁論だな」
訓練によって、技術は上がった。戦績も悪くはなく、それなりの自信も手に入った。
だが、心はどうだ? 私は心を鍛えられていると、胸を張って言えるのか?
心身共に、両方を鍛えられていると、そう思っているのか?
思い込もうとしているだけで、心は体についてこられていないのでは?
「いつか、考える時が来ると覚悟はしていた。だが、何故このタイミングなのだ?」
部隊の運用も軌道に乗り、チームワークだって問題ない。正にこれからと言う時に、私はどうしてしまったのだ?
どうしてこのタイミングで、悩みを抱えてしまう?
「幸せが怖いのか? 笑顔を失うのを恐れているのか?」
部隊のみんなを好ましく思い、守りたいと感じている今だからこそ、不安になっているのか?
彼女達の笑顔が眩しいから、今の生活が心地良いから。
その幸せが壊れるのが、恐ろしいから不安になっているのか?
「バカな。あいつらだってウィッチなのだ。そう簡単にやられるものか」
空も飛べ、シールドもはれる。不安なところもあるが、確実に成長しているのだ。
ただ、力があるからこそ、魔法力がありウィッチとしての適正があるからこそ、戦場に送られている。
この最前線で、戦火に晒されながら生きていかねばならない。
「駄目だ。こんなことを考えているから、不安になるんだ」
考えるな。もしもなんて、起きない。私が起こさせなければ良い。ただ、それだけの話だ。
この基地にいるのは、各国のエースだ。私が心配したところで、何も変わるはずがないだろう。
「それに、この問題は私だけのものだからな」
みんなが心配で、不安になる。そして、その不安に押しつぶされそうになっている。
その弱い心を省みることなく、ここまで突き進んだ私の責任なのだ。
悩むのも、解決するのも、私だけの問題だ。
「ハルトマンなら、どうするのだろう?」
いつも笑っているあいつなら、心配することもないのか?
あんなふうに笑っていれば、不安になることもないのか?
「いや、それはないな」
あいつの妹は、ウィッチだったな。
底抜けに明るく、悩みなどないように見えても、あいつだって心配くらいはしているだろう。
気にかけている様子はあるし、あいつでも心配事はあるんだ。
「ふっ、ハルトマンと比べるとはな。これは、相当なものらしい」
ハルトマンのことを考え、うらやましく思うなどとはな。相当参っている証拠だろう。
我ながら、情けない限りだ。
「いっそ、相談でもしてみるか」
ハルトマンなら、聞いてくれるかもしれない。
そして、聞いた上で笑い飛ばしてくれるだろう。考え過ぎだと、私の不安を笑い飛ばしてくれるはずだ。
根拠もなく、確証もないのに、あいつならそうしてくれる気がする。
「部屋の片付けのついでに、聞いてみるか」
明日の待機時間は、元々掃除に当てる予定だったのだ。
掃除のついでに、相談くらい構わんだろう。
――そろそろ、今日が始まるな