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すずアリ テーマ;キスです
このテーマは1週間ほど頑張ってみたいかも
キスから始まる物語
キスへと繋ぐ物語
あなたが選ぶ未来は、どちらですか?
静かな部屋に響くのは、ノートを引っかくシャーペンの音のみ。
いつもの甘ったるい雰囲気は影を潜め、勉強中であるアタシ達は真面目一直線。
うん。すずかの部屋だからって、いつも甘い出来事が待っているわけじゃないのよ。
「ねぇ、アリサちゃん。キスしようよ」
「……唐突な提案ね。どうかしたの?」
ついでに言えば、アタシの思考読んでないでしょうね?
顔を見れば大体分かるんだよーとか言って、アタシのことを観察してたりしないでしょうね?
この子ったら、ホント油断出来ないわね。
「ううん、別に何もないよ? ただ、ちょっとムラムラっとしただけ」
「いや、そんなにあっさり言われてもね。というか、勉強中に欲情してんじゃないわよ」
どうやら、アタシの心の中を読んだとか、そういった超人的な理由じゃないのね?
そっちは安心出来たけど、そんな理由でキスされてたら、きりがないわよ。
「えー、キスだってお勉強だよ? 練習を重ねて、上手になるんだよ?」
いや、間違ってはいないんでしょうけどね。そういった勉強は、今必要ないでしょ?
今のアタシ達に必要なのは、明日からのテストに備えることよ。けして、夜に備えていちゃつくことではないわ。
「テストには出ないでしょ? せめて、勉強が終わるまでは待ちなさい」
まぁ、キスをしたくないのかと言われれば、したいってこたえるけど。素直に言えるわけないでしょ?
それに、このタイミングでキスなんかしたら、折角覚えた年号が飛ぶじゃない。それでは、勉強をした意味がないわ。
「んー、ならリクエストしても良いかな?」
「リクエストって、なにやらせるつもりよ」
あまりにも難しいことや、印象が強すぎることは遠慮して欲しい。
テスト中に今日のことを思い出して、1人で百面相をするのは御免だわ。
「大丈夫。アリサちゃんならきっと出来るよ」
いや、大丈夫って言われてもね。すずかの基準と、アタシの基準は違うわよ?
この前みたいにそのまま頷いて、裸エプロンなんて着せられるのは御免だわ。
まだお昼なの、分かってるんでしょうね?
「大丈夫、この前みたいなことはしないから」
「だから、サラりと人の心を読むのは止めなさい。それ、割と怖いのよ?」
考えていることを読まれてしまう。考えていることが、全て筒抜けになる。
そんな状況では、悩むことも、計画することも出来ないじゃない。
せめて、分かっていても口に出さないとか、出来ないのかしら?
「アリサちゃんが分かり易いだけだよ」
「うぐ……」
いや、そう言われると弱いんだけどね。アタシって、そこまで分かり易いのかしら?
すずかを好きになって、付き合いだして、それなりのポーカーフェイスは身につけたつもりよ?
それに、すずか以外には当てられてことなんて、ないんだから。
「うふふ。けど、私が分かるのは、アリサちゃんだけなんだよ?」
「いや、それはそれで困るんだけどね?」
全部読まれてしまったら、ビックリさせることも出来ないじゃない?
それだと、誕生日とかつまらないでしょ?
「ずっと見ているから、ちょっとした変化にも気付くの。今、こんなこと考えているのかなーって」
「それは、喜んでも良いのかしら?」
アタシのことをずっと見ているから、変化に気付く。
まぁ、何度も繰り返していれば、ある程度のパターンは読めるでしょうし。すずかはそういったところ、鋭い子だから。
全部読まれているだけでもなく、なんとなくなら、別に良いのかな?
「だから、大丈夫だよ」
「いや、何が大丈夫なのか、アタシには全然伝わってこないわよ」
今ので説明終わりなの? アタシ、まだ何も分かってないわよ?
「ダメ、なの?」
詳しい説明を求め詰め寄ろうとした矢先、すずかのお願い攻撃が始まった。
両手を合わせて、上目遣いでアタシのことをじっと見つめてくる。
「うっ……ズルいわよ」
その視線が眩しくて、思わず目をそらしてしまう。
どうしてこう、そんなに期待に満ちた目で、捨てられた子犬のような目で見つめてくるの?
アタシがそういうのに弱いの、良く知ってるのに卑怯よ。
「もー、一生懸命お願いしているんだから、目をそらしちゃダメだよ」
無理よ。その瞳を真っ直ぐ見つめるのは無理。
前は恥ずかしくて、見られなかった。
今は理性を飛ばされそうで、見れないのよ。それくらい、察しなさい。
「分かったわよ。リクエストを受け付けるから、上目遣いを止めなさい。勉強が進まないわ」
「えへへ。やったー」
まったく、調子が良いわね。どうせ、こうなることは分かっていたんでしょう?
まぁ、すずかが喜んでくれるなら、それで良いんだけどね。
「けど、あんまり変なこと言わないでよ? アタシにも出来ないことはあるんだから」
それでも、釘を刺すのを忘れてはいけない。
それを忘れたからこそ、前回はあんな目にあったのだから。
「大丈夫だよ。ちょっとしたことだから」
お願いをされる直前。この時ほど、すずかが可愛く、そして恐ろしく見える時はない。
◇
「それで、リクエストって何?」
引き受けてしまった以上、これ以上時間を伸ばしても無駄。
どちらかと言えば、早めに教えてもらって心の準備をしておきたいわ。
「うふふ。ご褒美のキスは、とびきり情熱的なのが良いなって」
「……時間を取らせた割には、あっさりしてるわね」
それだけなの? ホントに、それだけで良いの?
すずかのお願いにしてはあっさりしていて、拍子抜けなんだけど?
「えー、違うよ」
だけど、すずか的にはあっさりしたお願いではない様子。
けど、情熱的なキスといわれても、やれることは限られているわよ?
まさか、炎に包まれた中でキスをして欲しいなんて、とんでもないこと言わないでしょうね?
「熱くて、深くて。溶けてしまいそうなキスが欲しいの」
「抽象的で分かり辛いわね」
感覚的なものは分かるけど、具体的にどうして欲しいのか分からない。
人にお願いする時は簡潔に、分かりやすく。そう言いたいところだけど、これはダメかしら?
「ごめんね。けど、こういうのはイメージだと思うから」
むぅ、やっぱりダメみたいね。
それにしても、情熱的なキスね。それも、とびきりのやつでしょ?
まぁ、キスに全力を注ぐのも悪くはないけど、その後どうなっても知らないわよ?
アタシの心に炎を灯した代償、払って貰うからね?
「まぁ、良いわ。すずかの心が燃えるような、そんなキスをしなさいってことでしょ?」
「うん、流石はアリサちゃんだね」
アタシの心を燃え上がらせて、すずかの心まで届かせる。
ふふ、面白そうじゃない。やってあげるわよ。消し炭にならないように、覚悟しなさいよ?
「……褒めても、何も出ないわよ?」
「後でたっぷりもらうから、大丈夫だよ」
お礼をたっぷりもらうのは、果たしてどちらかしらね?
2人共ってのが順当なところでしょうけど、今はどうでも良いわ。
さっさと勉強を終わらせて、すずかにキスをする準備をしなきゃ。
――面白くなってきたわね