テーマ：平和 - 雨の降る日に

平和ってなんなのかな？　沢山の命を消費し、目指している平和って何かな？
それは、力尽きた人達が、未来を誰かに託した人達が、みんな笑顔になれるようなものなの？
それとも、彼等が勝手に夢を見ているだけ、そこまでの価値はないものだろうか？
ネウロイとの戦いで疲弊し、国単位での撤退すら行われている現状。夢くらいみていないと、戦えないのかもしれない。
私だって、気の合う仲間や、助けてくれる相棒がいなければ、とっくに彼らの仲間入りを果たしていたことだろう。
そう考えると、出撃があることさえ除けば、今現状だって平和だといえないこともない。
戦場に出ていない時は、私達にはある程度の自由が与えられている。
大半のルールを作っているのはウィッチ自身であり、自由が認められている理由だって、まぁ分からないこともない。
現状としてネウロイに対する、有効な戦力はウィッチしかいない。
各個人で実力にばらつきはあるものの、中型ネウロイ程度なら単機でやれないこともないし、大型ネウロイであっても小隊単位で対応が出来る。
そこに頼りきっているのが現状である以上、多少の我侭には目をつぶってでも、指揮下に置いておきたいのだろう。
それを分からないなんて言わないし、効率を考えればけして悪い話ではないと思う。
ただ、私達が戦って、沢山の人が死んでいって、それでも目指す「平和」ってなんなのかな？
それに、今のままのやり方で本当に平和がやってくるのだろうか？
このまま戦い続けて、ネウロイを全部倒せたとして、そこで止まれるの？
今まで戦い続けてきた世界が、敵を失った瞬間に戦いを止められるの？
そこには軍隊も、兵器も、戦闘航空団もいらないの？
外交だけで全てが解決して、みんなで仲良く手をつないでいられる世界なの？
――まぁ、そんな分かりきっていること、今更聞かなくても良いか。
人間同士で争わないなんて、そんなの思っていないから。
大勢の人に迷惑をかけて、危険にさらしてでも派閥の争いをしているんだよ？
今でさえそれなのに、戦いが止まるわけないじゃん。
ただ、人類滅亡の危険性がなくなっただけで、他の部分は一緒。
どちらかといえば、人類同士になった分だけ、遠慮がなくなってしまうよね。
今までは使えなかった兵器も、人間が相手なら有効なんだから。軍部は当然のように使うだろう。
そもそも、軍部があるってことは戦争する気まんまんじゃん。
決めつけるのは良くないかもしれないけど、私だって子供ではないから。思想の違う国があったり、自国の利益の為に争う必要があるのは理解している。
そもそも、人類同士の戦争があったから、軍隊だって維持されていたんだし。
けど、今後は、ネウロイを殲滅出来た後は、そのしがらみから抜け出さなければいけない。
いつまでも争うことしか出来ないのであれば、人間には知性も言葉もいらないんだよ。
考え方の違いがあったって、言葉が通じなくたって、私達は戦争以外での解決策を知っているはずなんだ。少なくとも、ウィッチは平和の為に戦っているのだから。そのまま人類同士の戦争に使われて、昨日まで仲間だった子と戦うなんていやだから。
私達から始めよう。この戦争を生き抜く為ではなく、戦争が終わった世界で笑いあう為に。
多少のすれ違いや、文化の違いでいがみ合うのではなく、尊重し合って、仲良くやっていけるように。
それこそが、統合戦闘航空団で学んでいることなんだから。
まぁ、争いのなくなった世界で、私の居場所があるかどうかは分からないけどね。
そんな小さな問題、無視してしまえば良いんだから。