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(・w・) まぁ、所詮らさだしね
エーリカ×バルクホルン テーマ:希望 UPです
何を信じて飛ぶのか、それは本人にしかわかりません
人間という生き物は、希望があれば生きていけるらしい。
夢だったり、願望だったりと、前へ進む為のえさが必要になるらしい。
どの本に載っていた言葉なのか、どういった意味合いで書いてあったのか、今となっては思い出すことも難しい。
うっすらとある記憶が正しいのであれば、臨床関係の本だったような気もするけど……入院患者との付き合い方とか、そんな本だったかもしれない。
ともかく、人間が未来を目指す上では、そこまで頑張ろうって思えるだけの魅力が必要だってことなんだ。
地位や名誉といった形のないものから、金品だったり食料だったりといった即物的なものまで。
その中には当然、恋愛といったものまで含まれている。
まぁ、何が言いたいかというと、私はどうもトゥルーデに惚れてしまっているらしいということ。彼女を戦友としてではなく、友達としてでもなく、個人としての好意を持ってしまっているようだ。
確かに、統合戦闘航空団は女所帯だし、どうしてもそういった方面に発展しやすい環境であることは事実。
だけど、そうだからといって私まで感化されて良いという訳ではない。
彼女の心の中にいるのは、最愛の妹クリスであり、祖国の奪還の為に今日も命をもやしているのだから。私みたいなヤツが、こんなことを望んでいるのは良くないことなんだ。
「だからといって、消えるものでもないけどね~」
難しいことは考えたくない、ややこしい自体には関わりたくない。
私は自分の手の届く範囲で、私の守れるものを守るだけ。それだけしか出来ないのに。
どうして、今日はこんなことを考えているんだろ? どうせ答えなんて出ないんだから、止めとけばいいのにな。
考えるのなら、もっと楽しそうなことに気を向ければ良いのにさ。ほんと、私も無駄なこと好きだよねー。
そもそも、なんでトゥルーデを好きになったのかさえ、覚えていないんだよ?
いい加減な性格だとはいっても、それはないよね。
初めて会った時、今より弱かったのは確実なんだろうけど、既に面影はあったなぁ。
教科書から出てきそうな、そんな雰囲気を持ったやつだったのは覚えている。
あの頃は私も真面目だったし、まぁ、気が合ったのかもしれない。
だけど、伯爵とつるむようになって、それもありかなーなんて思っていたら、こんなふうになちゃった。
軍人だ、ウィッチだとは言われても、私達も人でしかない。働けば疲れるし、被弾すれば痛い。死ぬことだってあるんだ。
だからこそ、ウィッチとしてではなく、エーリカ・ハルトマンとしての人生を横臥しようとした。楽しもうとした。
そう思っただけのはずなのに、いつの間にか自堕落な生活になってしまったんだけどね。
多分、私は何もやりたくなかったんだよ。何にもなりたくなんてなかった。
母様がウィッチで、ウルスラもウィッチになっちゃって――私もウィッチになって、飛ぶのが当然だと思っていた。
この手にある魔法で、この力でみんなを守るんだって、舞い上がっていただけ。何も理解しないままに、みんなを守るんだって。そんな勘違いをしていただけ。
だって、そうでしょう? 実際に私が守れるのは世界なんかじゃない。祖国を奪還できる力があるわけでもない。
本当に小さな、手を伸ばして届くくらいの場所しか守れないんだよ?
知っていても、見えていても、守れないものは沢山あるんだ。
それに気付いた時、気付いてしまった時。私は考えるのを止めた。守れないものまで、守ろうとするのを止めた。
だって、そうじゃない?
地球の裏側で起こっているようなことは、何かの拍子で知ったとしてもどうしようもないじゃん。
飛んでいって間に合うものならさ、まだやりようはあるけれど。どうしようもないものは、どうにもならないんだよ。
私が無茶をして、すぐ傍にいる仲間に迷惑をかけるくらいなら、手に届く範囲を守り続けている方がマシなんだ。所詮、その程度の存在なんだよ。
200落とそうが、300落とそうが、例え1000落としたところで、この世界が平和になるわけでもない。
人間同士の争いを防ぐ為にも、ネウロイを駆逐しちゃうのも微妙なところがあるし……面倒だなぁ。
面倒で、もうイヤで、そんな世界でもトゥルーデは真直ぐに立ち、真直ぐに前を向けるのかな?
自分の信じた道を、自分の信じている未来を、自ら描く希望を。ずっと信じているんだよね。
私よりもつらいもの、いっぱい見ているはずなのになぁ。どうしてあそこまで強くあれるんだろう?
不思議で仕方ないよ。
――もう一眠りしようかな