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(・w・) 時計を見間違えたよ!
エーリカ×バルクホルン テーマ:届かぬもの うpです
私は強くなった。軍の中でもそれなりの地位を手にいれ、それなりの強さを手に入れたはずだった。
固有魔法が怪力であることも含め、私が努力さえすれば出来ないことなんでない、守れないものなんてないと思い込めるほどに。
少なくともこの腕の届くところなら、手の届く範囲内であれば守りぬけると、自分の力を信じていた。
だが、それが私だけの思い込みであり、その思い込みで仲間を傷つけてしまっていたことを思い知らされた。
「ハルトマン、何かあったのか?」
「んー? なにもないよ?」
エーリカ・ハルトマン。私の戦友にして、僚機、そして守りたい者の1人。
いつもであれば意味もなく騒がしく、笑いながら走り回っているはずのやつ。
どこかつかみどころがなくて、それでいてどこにいても心配のいらないやつ。
そんなふうに、私は思っていた。ハルトマンなら、大丈夫だと。どんな状況でも変わったりはしないと。
しかし、現実にはどうだ? 本当に、私の予想通りになっているか?
「何もないはずないだろ? いつもと全然様子が違うぞ」
私の思い込みが、この状態を招いたのだろうか? 私が間違えたせいで、エーリカにまで影響が及んだのだろうか?
どうすれば、今まで通りのエーリカに戻ってくれる?
「いつもの私って何さ。トゥルーデに、私の何が分かるって言うの?」
「いや、その、そこまでは言っていないが」
誰よりも分かっているつもりだった。誰よりも近い位置で、ハルトマンを理解しているつもりだった。
こいつの悩みも、望みも、夢も。理解しているつもりだった。
それなのに、どうしてここまで荒れているのか、私には理解できなかった。
今まで通りのハルトマンを求めてしまうだけで、今のハルトマンのことを理解しようと努力出来ていない。
「なら、放っておいてよ。私にだって悩む時くらいあるんだから」
「それは、すまなかった」
これ以上言い争っても、何も生まれない。私達の関係にヒビが入るだけだ。
それに、軍人としての振る舞いを求めすぎていて忘れているが、世間的には今の時期がもっとも多感とされる。
そんな時に悩みの1つくらい抱えていたとしても、別に不思議はないのだろう。
ただでさえ理不尽なまでに戦うことを要求される世の中だ。少しくらい、我侭でも良かったのかもしれない。
軍人らしく、恥をかかないようにと考えていただけなのだが。エーリカはそんなもの、求めていなかったのだろう。
結果的に、私は自分の意見を押し付けるだけであって、エーリカ自身を見ようとしていなかったのかもしれない。
それが招いた結果であるのなら、なんて愚かなことをしたんだろうな。
軍人という型枠にはまりすぎて、傍にいるはずのハルトマンの心を理解できていないなんて。人間として、失格なのかもしれない。
戦友だと、僚機だと、そういった言葉でしか接していなかった。だから、今回の破綻を招いてしまった。
私は、ハルトマンを怒らせた。
もう、この手を伸ばす資格すら失ってしまったのだろうか?
軍部の中に怪しい動きがある今、ハルトマンを守ることは出来なくなってしまうのだろうか?
「くそ」
自分の発言が、うかつな行動が腹立たしい。
何が、守ってやるだ。自分の理想を押し付けていただけなのに、こうなることは分かっていたはずなのに。
どうすれば良い? どうやって、ハルトマンと仲直りをすれば良い?
駄目だ。何も思いつかない。戦場を離れている私は、役に立たないのだ。
――心って、なんだろう