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うまいです
エーリカ×バルクホルン テーマ:体調不良-2です
「ハルトマン。もう、起き上がっても大丈夫なのか?」
「大丈夫なんじゃないかな? 随分とよくなったよ?」
トゥルーデと共同で使っている部屋を抜け出し、訓練場へと向かう私。
足元はふらついているし、全身から力が抜け落ちていくような感覚がある。
少しでも気を緩めたら、コンクリートの床とキスが出来そうだ。
「とてもそうは見えないが?」
「んー、最初の頃に比べたら、相当マシなんだよ?」
ベッドから起き上がることも出来ず、自力で立ち上がるなんて以ての外。匍匐前進で這いずり回る以外の移動は不可能だった。
そんな状態からは随分と改善され、ふらついてはいるものの歩けているし、多少であれば走ったりも出来る。
かなりマシになっているよね?
「多少マシになったところで、訓練には参加出来まい」
「まぁ、それはそうなんだけどね」
「なら、どうして訓練場に向かっている?」
症状が少し改善され、動き回れるようになっただけ。たったそれだけのことで、参加できるほどに訓練は甘くない。
だから、トゥルーデが問いたい内容は予測できるし、理解できていないわけではない。
「見学に行くんだよ。いつまでもベッドの上じゃ、身体の動かし方を忘れそうだからさ」
魔法力の急速消費及び制御不能。
それが、今現在私を襲っている症状。
なんだか良く分からないものだけど、魔法力の放出を止めることが出来ず、またすっからかんになるまで消費されてしまうってことらしい。
そのお陰で、私の足元には魔方陣が輝き、部屋の中では風が吹き荒れている。
ついでに、ストライカーの補助もなしにそんな状態が1日中続くものだから、体力だってすっからかんなのだ。
まぁ、歩けるようになったことを考えると、改善されつつあるっぽいけどね。
「言いたいことも分からなくはないが、まだ原因すら分かっていないのだろ?」
「風邪みたいなものじゃない? もうすぐ治るんだよ、きっと」
症状が改善されつつある今、本来であれば原因を探るのが正しいのかもしれない。
今後、部隊員の誰かが発祥するかもしれないし、その時の対策だって立てやすくなるだろう。
「それにさ、多分、原因なんてないんだよ」
魔法力、魔法、奇跡。呼び方に拘るつもりはないし、呼ばれ方に拘るつもりもない。
ただ、私達が持っている力は元々不思議に溢れすぎている。
何故、女性だけに扱うことが出来るのか?
それも、ごく一部の者に限られ、また能力的な詳細はバラつきが酷い。
どれだけ訓練を重ねても、能力事態が変化することはなく、また成人を迎えると共に力が衰えていく。
不安定で、だけど力強い、そんな不思議な力。
「不思議な、解き明かされていない力を使っている以上、時々こんなことが起こったとしても不思議はないんだよ」
自分の身体がどうなっても良いなんて、そんなふうには考えていない。
だけど、仕方のない部分はあるんだよ。
そこは見ないフリをして、受け入れていかなきゃ。
「まぁ、今日は見学だけしかしないし、それで許してよ」
今日で歩くのは、私の為だけではない。部隊員が全員同じ場所に住んでいる以上、1人が欠けることによる心理的な圧迫は大きい。
それが原因となり、他の隊員に悪影響を及ぼすことは考えられる。
そんな状態におちいる前に、今現在打てる策は1つだけ。私、エーリカ・ハルトマンは元気であると、言葉ではなく形で見せること。
そうすれば、隣にいる頑固者だって、多少は安心するはずだ。
「きつくなったら、自然な形で抜ければ良い。無理だけはするなよ」
「あら、心配してくれるんだ」
まさか、本当に心配してくれているの?
いや、疑うつもりはないんだけどさ。意外だよ。
「当然だ。いつまで私の僚機を空席にしておくつもりだ?」
「あはは……もうすぐ復帰するよ」
そうだよね。軍事バカであるトゥルーデの心配事は、そっちだよねー。
私、何を期待したんだろ?
――さてと、訓練場へ向かいますか