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サーニャに対しては、ダメダメである!
FA?
(・x・)サーニャヲソンナメデミンナー
そんな感じでこんばんは
本日は視点入れ替えです
「ふふふ、今日こそやるぞ!」
食糧倉庫の片隅で気合を入れる人影。時間と様子から察すれば、つまみ食いをしにきたように見えるかもしれない。
けど、私はそんなくだらない用事で、ここに篭ってるんじゃないぞ!
こっそりと練習したくて、誰にも聞かれたくなくて。ただ、それだけだかんな。
「今日こそ、私は告白するんだ」
ラジオではなく、放送でもない。ちゃんと目を見て、サーニャから逃げずに告白するんだ。
「サーニャ、好きだ。大好きだ」
大丈夫、大丈夫なはずだ。今までずっと練習を繰り返してきて、何度もシミュレーションもしたんだ。
ノートが真っ黒になるまで台詞も書き溜めた。サーニャのスケジュールは、分刻みで把握してある。
今日という今日はバッチリだ。
「サーニャ、結婚してくれぇぇ!」
それに、練習でならこんな恥ずかしい台詞も言えるぞ。本番では言えないだろうけど、練習でなら言える。
サーニャの姿を想像して、シチュエーションを思い浮かべて。それでも、言えるぞ。
「ふふふ、今日の私は完璧なんだ」
1つ気になることと言えば、占いでロクな結果が出てないこと。
死神、塔、隠者。どれも良い結果には繋がりそうにはない。
けど、良い方向へ持って意向と努力さえすれば、結果は覆るはずなんだ。
「これだけ練習したんだし、準備もした。少しくらい結果が変わるだろう」
始めから諦めていては、何も出来ない。諦めてしまっては、全てが終わる。
サーニャは、そう教えてくれたんだ。だから、私はもう逃げない。
「きっと、良い結果になるよな」
サーニャのこと、告白の瞬間を思い、1枚めくる。
大丈夫だ、落ち着け。きっと、良い結果になるさ。
「月か……」
――おいおい、本当にロクでもないのがきたな。
隠れた敵や失敗を意味する結果。今現在、もっとも引きたくない結果。
「どうして、こう、間が悪いんだよ」
今日は、サーニャ非番なんだぞ? 2人で出かける約束してるんだぞ?
告白をする為に、浜辺に連れて行く予定だったんだぞ?
「それなのに、これかよ」
いや、確かに所詮は占いだ。当たることもあれば、外れることもある。指標にする程度のものでしかない。
けど、それでも気になってしまう。
自分自身に対する占いは、外したことがないし。みんなに伝えている内容だって、大半は当たっている。
外れた時は集中していなかったり、伝えるべき内容でない時だけ。それだけでしか、外したことはないんだ。
「いや、それでも熱い想いさえあれば」
スオムスの氷ですら溶かすような、この情熱があれば。サーニャを想う、この気持ちさえあれば。
結果が変わったりしないだろうか? 成功するなんて、そんな可能性はないだろうか?
好きになって、告白の練習を始めて。もう、随分と経つんだ。
良い加減に伝えないと、サーニャが他のやつに告白されてしまうかもしれない。
サーニャは相手を気遣って、断れないかもしれない。ロマーニャの尻軽男なら、そのまま襲ってしまうかもしれない。
くぅぅ……。そんなこと、させてなるものか!
「サーニャは私が守るんだ」
私が傍にいれば、そんなことはさせない。させせるわけがない。
だからこそ、早く告白をしておかなければいけないのに。
「まぁ、意気込んだところでOKが貰えるって確証はないんだけどな」
多分、断られないはず。おそらく、サーニャも私に好意を寄せてくれているはず。
今までだって、怒られても拒否されたことはないし。きっと、大丈夫。
「随分と不確かなものしかないなぁ」
絶対と言えるものは、世界には存在しない。確実と言えるものは、存在していない。
全てが不確かなもので、偶然の上に成り立っている。それは、分かっている。
だから、私の告白を受け入れてもらえるか、拒否されるかは分からないんだ。
「うぅ……どうしよう、不安になってきたぞ」
折角練習したのに、準備もしてきたのに。
止めといた方が良いのかな?
「けど、別に焦る必要はないよな。もっと準備すべきことはあるはずだよな」
ここまで待ったんだから、もう少し延びても変わらないはず。ちょっとぐらい先になったとしても、準備期間が増えるだけ。
今日みたいな運勢の悪い日に、わざわざ告白する必要はないよな。
――やっぱり、明日にしよう