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けど、きにしなーい
(・w・) 内容は違うはずだから
エイラーニャ テーマ;音楽 です
貴女とともに奏でるメロディ
それは生きている証であり、恋をしている証となるでしょう
「ミーナ中佐、相談があるんだけど……」
「あら、エイラさんが私に相談なんて、珍しいわね。良いわよ、少しくらいなら時間もあるわ」
「忙しいところ、悪いな」
第501統合戦闘航空団。その中にあって、私には縁のない場所。作戦司令室こと隊長室に珍しく、私はお邪魔していた。
日頃は目にすることもない書類、見慣れない調度品。ふーん、ミーナ中佐ってこんな趣味なんだな。
「それで、相談は何かしら?」
「その、さ。サーニャとのことなんだけど」
正直、ミーナ中佐は冗談抜きで忙しいのだろう。
休憩している姿を見ることなんて滅多にないし、あったとしても何かの書類を持ち歩いていることが殆ど。
ついでに言うなら、夜間哨戒の時まで司令室に詰めていること多いもんな。
ほんと、いつ寝てるんだろ?
「あなたも懲りないわね。また、怒らせてしまったの?」
「えーと、そういうわけじゃないんだ」
またってなんだよ。私はサーニャを怒らせるなんて――多分、滅多にないことだぞ?
うん、きっとそのはずなんだ。ここ最近はケンカをした覚えもないぞ?
「あら、そうなの? それ以外のことで相談だなんて、本当に珍しいわね」
「なぁ、知りたくはないんだけど、中佐って私にどんなイメージ持ってるんだ?」
「わざわざ言う必要はないと思うわよ?」
やっぱり、か。それは、私が簡単に想像できるものってことだよな?
いや、別にそれに関して不満はないんだぞ? 私自身、最近になってちょっとやり過ぎなのかなーって思うこともあるし、間違えてはないんだけどさ。
もうちょっと、こう、良いイメージはないのか?
「分かり易いほどに、サーニャさんが好きなんでしょ? 悪いことではないし、問題はないでしょ?」
「それはそうかもしれないけどさ。告白も出来てないのに、周りにも本人にも知られているって、どうなんだよ?」
「そんなことだとは思っていたけれど、告白できてないのね」
ちゃんとした告白が出来てないまま、ぐだぐだな関係のまま、ここまできてしまった。
私の気持ちは伝わってしまっているし、サーニャの気持ちも知ってしまっている。
逆に言えば、そんな状況だからこそ、きちんと告白をしたいし、知っているからこそ告白し辛いし。どうしていいのか、分からなくなっているところなんだよなー。
まぁ、これに関しては流石に誰かに相談するわけにはいかないしさ。私だけで解決するけど。
「まぁ、それは良いとして。相談事はそれじゃないんだよ」
凄く大きな問題で、早急に解決する必要もある。
だけど、今聞きたいのはそのことじゃないんだ。もっと別のことを。ミーナ中佐だからこそ、知っているかもしれないことを聞きたいんだよ。
「あのさ、楽器って難しいのか?」
「楽器? エイラさんが演奏するの?」
「ぐっ……別に良いだろ? 誰かに迷惑をかけるわけじゃないんだし」
そこまで驚くようなことなのかよ? いや、すんなり受け入れられても困るんだけどさ。
そうだとしても、少しひどくないか?
「迷惑をかけなければ良い。うーん、それだけで終わりそうにはないけれど、エイラさん経験あるの?」
「ない。これぽっちもない。だからこそ、聞いているんだよ」
以前にちょっとチャレンジしたことはあるけれど、まともに演奏できたわけじゃない。
最終的には練習時間のこともあって、断念したしな。
「そんなに自信を持って言われても困るのだけど。うーん、困ったわね」
「別に音楽家を目指すわけじゃないしさ。本格的じゃなくても良いんだけどな」
「そうは言ってもね。楽器を扱うの自体が、難しいから」
まぁ、歌手としての道を諦めてるもんな。失礼なことを言っている、無茶なことを言っている。その自覚はあるさ。
怒られても、怒鳴られても良いんだ。それでいいから、私に出来そうな楽器を教えて欲しいんだよ。
サーニャと一緒に演奏する。その選択肢を掴み取れるように、何かアドバイスが欲しいんだよ。
「ピアノに合いそうなら良いんだ。歌手だった中佐なら分かるかなって、そう思ったんだけど」
「そうね。サーニャさんの歌に合わせるなら、定番だけどバイオリンかしら? チェロとかも良さそうだけど、エイラさん自身には合いそうにないわね」
「やっぱ、そうなるのかー」
バイオリン。クラシック系がメインといえるサーニャとの相性は、最高だろう。
だけど、演奏を出来るようになるまでは時間がかかるだろうし、やっぱりすぐに合わせるってのは諦めるべきなのかな?
「そんな顔しなくても大丈夫よ。エイラさん、要領良いから。基礎的な部分を押さえてしまえば、2、3ヶ月であわせられるようになるはずよ?」
「そうだと良いんだけどなー」
楽器に関する才能がないのか、それとも単純に相性が悪いのか、練習してもさっぱり上達しなかったんだよな。
とどめには怪音波もどきだなんて言われるし、さすがに練習する気すらなくなったしなー。
あの時のことを思い出すと、どうしても躊躇してしまう。
「大丈夫、サーニャさんなら待ってくれるわよ。ゆっくりと、焦らず。確実にものにすると良いわ」
「そっか……ありがとうな、中佐」
これは、茨の道を行くか、挫折するか。道は2つに1つみたいだな。
サーニャと一緒に演奏したいのは本当だし、その為には努力を惜しむつもりはない。
新しいことでも、困難だと分かっていることでも、逃げるわけにはいかない。何より、何もしないうちに諦めるのはダメだ。
――練習、してみるか