テーマ；言葉 - 雨の降る日に

私の言葉と、あなたの心。
あなたの言葉と、私の心。
ちゃんと通じ合っているかな？　同じものを求め合えているのかな？
私は恥ずかしいから、言葉で伝えるのが苦手。
あなたは素直になれないから、心を伝えるのが苦手。
少しずつフォローしあえているとは思うけど、どうしても足りない部分がある。
そんな時、私達はどうすれば良いのかな？
あなたの望む私達になる為に、何を頑張らないといけないのかな？
「これじゃダメ」
私達２人の問題なのに、またエイラだけに頼ろうとしてしまった。
エイラにお願いすれば何とかしてくれるって、そんなふうに思ってしまった。
相談するのは大切で、頼ることだって大切。
だけど、全てを任せてしまうような、そんな頼り方は良くない。ちゃんと、私も考えないと。
私は私に出来ることをする。エイラは、エイラに出来ることをする。
お互いに苦手な部分はフォローしあって、足りないところは補い合って――それが正しい姿だと思うから。
その理想に近づける為にも、私がもっと頑張らないと。
自分の足りないところが多過ぎるから、エイラに頼らないと何も出来ないの。
私の理想なのに、私自身が近づけていないから、エイラに頼るしかないの。
それでは意味がない。私達２人の恋愛なのに、エイラだけに任せていては私がいる意味がないでしょ？
２人で苦しんで、２人で努力して、２人で笑い合って。２人で幸せを掴むの、２人だから掴めるものがあるはずなの。
「頑張らなきゃ……」
エイラは、私に告白しようと努力をしてくれている。自分の気持ちを真っ直ぐ伝えられなかったエイラが、私との恋愛の為に努力しているの。
それなのに、私はただ待っているだけなの？　２人の恋愛なのに、私は待っているだけなの？
そんなのおかしいでしょ？
エイラが頑張っているなら、私も一緒に頑張れば良い。２人で一緒に、目標に向かって頑張れば良いの。
１人ではなく、２人で頑張る。それだけで、素敵なことのように輝くでしょ？　頑張ろうって、やる気が出てくるでしょ？
どこまでも、いつまでも２人でいたいなら、努力をするからといって離れてしまう必要はない。
傍にいて、それぞれが頑張ればいいの。高め合って、理想の姿に近づけていけば良いの。
好きな人のために頑張れるなんて、素敵なことでしょ？

　　　　　◇

「けど、何を頑張れば良いのかな？」
私がしなければいけないことは分かったけど、具体的に何を頑張れば良いのかな？
何を頑張れば、良い方向へと変わっていけるのかな？
何の指標もないままに頑張って、失敗してしまうのが怖い。エイラの望まない方向へと変わってしまうのが、私には何よりも怖い。
エイラが望む形で変われるなら良いけれど、そうでないなら意味がない。
「どうしよう」
今までも、何度か変わろうと努力したことはある。
だけど、どれも中途半端な形に終わって、変われたと感じたことは１度もない。
良い方向へ、理想の私へ近づけたと感じたことは１度もない。
どうしてなの？　どうして、そこでやめてしまったの？
過去の自分に聞いてみても、答えが返ってくるはずはない。
それでも、ちゃんと考えなければいけない。
なぜ、継続できなかったのか。なぜ、止めてしまったのか。なぜ、諦めてしまったのか。
ゴールが見えなかったから？　理想の自分を描ききれていなかったから？
ううん、違うわ。それだけが理由ではない。
ゴールが見えないことは辛いけれど、理想の私になりたいのなら、ゴールなんてないもの。
１人で頑張っていたから？　１人だけでやろうとしていたから？
ううん、違うわ。
今度だって、２人の恋のために頑張るけれど、努力するのは私１人よ。
素敵に変わった私を見せて、エイラを驚かせたいから。一緒に頑張ってもらっては、意味がないの。
「エイラを、意識していなかったから？」
うん、それで正解。あの時の私は目標はあっても、目的がなかったの。
エイラに認められるように、エイラの隣に並びたいと、そんな強い思いがなかったから。
ただなんとなく、変わらなきゃいけないのかなって思っただけだから。想いが伴っていなかったから、変われなかったの。
ただ、理想を語るだけだから、簡単に諦めてしまったの。
けど、今は違う。エイラが好きだと自覚して、エイラも私に好意を寄せてくれているって、それを知ったから。知ってしまったから、今のままの私でいられなくなったの。
変わりたいと、エイラに相応しい、エイラと同じ場所に立てる私に代わろうって、そう思えたの。
その為に努力をしようと、自分を変えていこうって――
「だから、今回は諦められない」
諦めるわけにはいかないの。エイラに恋をいていたいから、エイラと一緒に歩きたいから。
諦めるなんてことは出来ない。私は、私を変えることを諦めてはいけないの。
エイラが変わろうとしているのに、私だけが諦めてしまうのなんて嫌だから。
エイラの隣にいる為の努力を、途中で投げ出すことはしたくないから。
この先もエイラの隣で笑う為に、あの包んでくれるような幸せの中にいる為に、私は頑張る。