リンクフリーです。
ご報告頂けたら相互させて頂きます。
メールアドレス
yakisoba_pan◇hotmail.co.jp
◇を@に変えて下さい
サボりすぎです
エイラーニャ テーマ;読書
恋とは長くつまらない人生における、清涼剤のようなものである。その感覚は独特であり、麻薬のような中毒性も秘めている。
故に、勘違いや病気などと思い込もうとすることがある。
しかし、恐れてはいけない。その感情は珍しいものではなく、誰もが必ず経験するものなのだから。誰もが憧れ、誰もが手を伸ばし、恋愛を成就させようとする。
ただ気をつけるべきことが1つだけある。
確かに、恋愛をするチャンスは平等に与えられているが、それを実らせるのに本人の努力以外、何も当てにならないことを。
待っているだけで成就する恋愛はなく、また軽んじていて成就する恋愛もまたない。
かといって、努力すればどうにかなるといったものではなく、運を引き寄せることもまた重要ではある。
しかし、要素として運が絡んでいたとしても、諦めることはない。その運を引き寄せるには、それに足りるだけの努力が必要なのだ。
それが表に出ようが出ていなかろうが、恋する苦しみを知っているからこそ、彼女達は太陽のように輝くのである――
「ダメだ。全く参考にならない」
くそー。恋愛の教科書とか書いてあるから、サーニャとの関係を進展させる為に、告白する為のアドバイスがあると思ったのになぁ。
これだと、ちょっと期待はずれだ。
「そもそも、説明が長いんだよ」
あーでもない、こーでもないと説明だけを長くして、正しいことを書いているように勘違いさせている。
いや、うなずけるところも多いし、間違ったことは書いてないんだろうけど。難しく書いて、自分は凄いんだぞーって主張し過ぎ。読んでいて疲れる本だ。
ついでに言うなら、私の知りたいことは全然書いてないんだよな、コレ。
「まぁ、いっか。何かの役に立つかもしれないし、置いとこう」
重要度は低いけど、読み物としては悪くない。無駄に落ち込みそうな時に読めば、努力することの大切さを再認識できるのかもしれない。うん、多分。
「それにしても、買い過ぎたな」
以前、サーニャとショッピングに出かけた際、私は本を買い漁った。
サーニャが雑貨や服を見ている僅かな隙に、帰るだけの本を漁った。
まぁ、関係ない本も何冊か混ざっていたし、役に立ちそうにないものもあった。
それでも、私自身の考え方と作者の考え方を比べることにより、どうするべきなのかはある程度判った気がする。
「まぁ、結局は努力すること。早く告白すること。この2つなんだけどなー」
ぼすっと、後ろに置いてあったクッションに倒れこみ、私は考え続ける。
部屋を満たしている明かりとは、正反対の気分で考え続ける。
サーニャに注意された通り、私は素直になることが苦手だ。避けているといっても良い。
笑顔は見せて欲しいし、敵意を向けられるくらいなら、好意を向けて欲しい。そうは思っているんだぞ?
だけど、与えられて優しさに、正面から答えられない。私に向けられた感謝を、正面で受け取れない。
恥ずかしいし、なんだか相手に負担をかけているようで、ちょっと申し訳ない気持ちになるんだ。
特に、好意を受け取る時だな。受け取れば、相手に負担をかけてしまうことが、既に分かっている。そんな状況で素直に受け取るのは、ちょっとな……。
いや、受け取られないことが負担になるのも分かっているんだぞ? 差し伸べた手を掴んでくれなかった時、説明しようのないかいなしみに襲われるのは、知っているんだぞ?
ただ、それより先に、甘えてしまった時の負担を考えてしまうんだよ。
このタイミングで受け取れば、相手にどれだけの負担をかけてしまうのか。結果的に、どれだけの迷惑をかけてしまうのか。
その未来が少しだけ見えて、差し伸べられた手を取れずにいる。
「見える未来を選べれば良いのにな」
良い結果だけを教えてくれる。そんな都合の良い魔法でないことは、知っている。嫌と言う程に、思い知らされている。
ただ、その上でも望んでしまうんだよな。卑怯だと分かっていても、願ってしまうんだ。
どうすれば良いのか、どうなれば1番良い結果につながるのか、それが知りたい。それだけを選んで生きたい。
「まぁ、実際には無理だな」
私の未来予知は、良く当たる占い程度。それ以上の効果はない。
生きていくのがつまらなくなるような、全てを見通せる力はない。それが当たり前だと受け入れていたけど、私も中々我侭だな。
「結局、自分が頑張るしかないんだ」
恥ずかしくても、苦しくても、未来のために頑張らないといけない。
みんなその道を通っているんだ。だからこそ、幸せを手放したくないんだよ。
――私だって、分かっているはずなのになぁ