テーマ；許諾

相手の希望や願いを聞き入れて許すこと

らしいです。また、おもたーいテーマですな。
いやはや、ほんと重いですね。

はい、言い訳はここまでにして、昨日UPしたSSをお仲間に見せたワンシーンでも

（＾ｗ＾）　「あれ？　エイラさん素直すぎて、俺のイメージと違うんだけど？　何、馬鹿なの？　ﾀﾋぬの？」
（・ｘ・）　「あるえ？」

はい、続き物であることを告げず、1話だけを投げつけたのが失敗でした☆
流石、私。ダメダメだな。
そんなわけで、サーニャさんがエイラを調ｋｙ……素直にしてあげるSSを書くことにします。
どこまで表現できるか分からないけど、やってみます。


エイラーニャ　テーマ；許諾

あなたの我侭は、本当に我侭ですか？
相手は、それを受け入れてくれますか？

その先に、何を望んでいますか？

「そ、そんなこと出来るわけないだろ」
「私は、良いよ？」
どうして、そんなに動揺するの？
どうして、そこまで逃げようとするの？
私はただ、エイラと仲良くしたいだけ。エイラの笑顔を、見せて欲しいだけなんだよ？
「いや、でもさ、恥ずかしくないか？」
恥ずかしい、恥ずかしくないで話をすれば、勿論恥ずかしい。
けど、それ以上に大切なことだと思うから。恥ずかしさよりも、上回る気持ちがあるから。
「今は、私とエイラ２人きり。他には誰もいないよ？」
「そういうことを言っているんじゃなくてな」
今この場にいるのは、私とエイラ２人だけなのに。他には誰もいないのに。
そんなにもキョロキョロして、生まれたての小鹿みたいだよ？
「誰かが見ているとかに関係なく、恥ずかしいだろ？」
私は心を決めているから、その質問は意味がないよ。
止めようとしているのは分かるけど、その言葉だけでは足りないよ。
「……私、エイラなら平気だよ」
私はエイラだから、許可出来るの。ううん、エイラだからしてあげたの。
恥ずかしさも、嬉しさも、全部エイラがくれるから。全部受け止めたいから。
「そう言ってくれるのは、嬉しいんだ。とても嬉しいんだ」
嬉しいなら、素直になれば良いのに。自分の心の声に従って、行動すれば良いのに。
それは、エイラにとって難しいことなの？
「でも、サーニャ大変だろ？　きっと、痛いぞ？」
「大丈夫だよ。少し、痺れる程度だから」
それにしても、自分のことで精一杯のはずなのにね。どうして、私の心配まで出来るのかな？
どんなに大変でも、どんなに辛くても、私のことを優先しようとしてくれる。
嬉しいけどね、時には私にも支えさせて欲しいな。守られるだけではなく、エイラを支えていたいの。
「ね。だから、遠慮しないでおいで」
「うぅ……けど、その」
連日の出撃で、エイラが疲れていることは明らか。
その疲れている体で、私の任務にまで付いてくるものだから――いつ倒れたとしても、おかしくない状態だよ。
疲労が溜まり、睡眠をとっても回復しなくなっている。
いつも隣で眠っているから、エイラの変化はすぐ判るの。
「私がしたいの、私の我侭なの。エイラが遠慮する必要なんて、ないんだよ」
「そっか、サーニャの我侭か」
だから、ここは譲れないよ。エイラにはきちんと休んでもらうの。
元気な笑顔を見せてもらう為に、彼女が幸せを見つける為に。私は、私に出来ることで応援するよ。
だから、素直に受け取って欲しいな。
「そ、それなら、叶えてやらないといけないな。うん、我侭なら仕方ない」
……素直にって部分は取り消すよ。今はまだ、エイラには難しそうだね。
これから先、そうなってくれるといいな――

　　　　　◇

「ごめんな、いつも素直になれなくて」
「気にしなくて良いよ。それが、エイラだもん」
エイラ、自分でも分かっているんだ。素直に慣れていないこと、頑固なこと。
けど、時々困らせるの以外は、問題ないよ。無理をしてまで、直さなくて良いよ。
「それって、褒められているのか？」
「どうかな？　私でも、分からないよ」
褒めては、いないのかな？　うん、素敵なことではないよね。
ただ、悪いところでもない。悪いと言うほどのことでは、ないよ。
「だけど、そんなところも魅力的に見えるから、きっと褒めているんだよ」
それに、エイラが素直になれないなら、私が我侭になれば良いだけ。
私の我侭を叶えて貰うことで、エイラの望みを叶えれば良い。
そうすれば、私達２人の願いが同時に叶って、素敵でしょ？
「なぁ、サーニャは恥ずかしくないのか？　抱きついたり、膝枕をしてくれたり。こういうの、恥ずかしくないのか？」
「恥ずかしいよ。逃げ出したいくらい、恥ずかしいよ」
意識してやっていなくても、恥ずかしいものは恥ずかしい。
後で気付いて赤面したり、恥ずかしさのあまり床を転がってみたり。結構、大変なんだよ。
「なら、どうして？　どうして、こんなにもしてくれるんだ？」
恥ずかしくても、エイラの願いを叶えてあげたい理由。彼女の傍にありたい理由。
友達だから？　ううん、少し違う気がするな。それだけはないよ。
戦友だから？　うーん、それも違う気がする。さっきよりも、遠のいた感じだね。
「好き、だから、かな？」
１番納得出来て、１番憧れる答え。
正解というには何かが足りないけど、間違いではないよ。
私はエイラが好きだから、エイラに笑って欲しいから、これだけのことが出来るんだよ。
「私がこんなに頑張れるのは、エイラが好きだからだよ」
恥ずかしくても、逃げたくても、頑張ろうって思えるのはエイラだから。
「芳香ちゃんや、ハルトマン中尉も仲が良いけど。ここまでは出来ないよ」
仲良くしてくれるみんなには悪いけど、これだけは譲れない。
私の心から染み出てくる想いは、エイラを求めているの。エイラに幸せになって欲しいと、そう訴えるの。
「今日は、エイラの傍にいたかったから。ベッドの上ではなく、私の膝で眠って欲しかったの」
エイラ、疲れているよね？　エイラ、寝不足気味でしょ？
それなのに、私の前だと元気になってしまう。元気に振舞ってくれる。
嬉しいけど、無理をしてまですることではないよ。私でも、それくらい分かってしまうんだよ。
「ただ、それだけ」
「そっか」
大人しく膝に乗り、私に身を任せてくれるエイラ。
無理しなくても良いんだよ。我侭になっても良いんだよ。
私が受け止めるから。エイラの全てを受け入れるから。私には、遠慮しないで欲しいな。
「なぁ、サーニャ。少しだけ、ほんの少しだけ眠っても良いか？」
「良いよ。エイラの好きなだけ、眠りたいだけ眠って」
サラサラの髪が心地良く、日の光に反射して輝いている。
そとでは太陽が照り、誰かが訓練しているみたいだけど。この部屋の時間はゆっくり流れるから。
その穏やかな気持ちのまま、眠りに付けば良いんだよ。
「起きるまで、ずっとこのままでいるから。ずっと見守っているから」
「……ありがとう」
瞳を閉じ、微かに笑う彼女。その横顔はとても綺麗で、綺麗だからこその脆さが垣間見える。
エイラ、どうして無理をするのかな？
傍にいても、彼女を支えられない。私の手は、彼女を守れていない。
それは悔しいことで、どうにかしようとしても中々届かない。
私より強いエイラを守るのは、無理なのかな？
私よりも優しいエイラを救うのは、無理なのかな？
違うよね？　難しいだけなんだよ。
それに理由をつけて、諦めようとしているだけ。
「私に出来るのは、これくらいだから」
今は、膝枕しか出来ない。彼女の代わりに戦うことも、彼女の代わりに支えることも、今の私では無理なのかもしれない。
けど、諦めきれないから。無理ではなく、難しいことなんだって、そう思えるから。
私は、エイラの隣に立つ為の努力を、止められないの。

――おやすみ、エイラ